同人作家はありふれた職業   作:エチチコンロ

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風邪ひきました。勢いのまま投稿します。


同人作家はありふれた職業

 僕、南雲ハジメは同人作家である。

 

 父はゲーム会社の社長、母は少女漫画家。ならば息子が同人作家になるのは、ポケモンのタマゴグループの仕組みから考えても当然の流れだ。

 

 そんな僕は今、BL同人を描いている。言っておくが、僕に男色の気は無い。普段はノンケ向け作品を描いている。最近のお気に入りは輪姦テニスサークルものだ。

 

 ならば、なぜBLを描かんとするのか。それは、僕にも分からない。僕はただ、アンテナである息子がキャッチした神の意志を、同人誌として世に広めるだけなのだ。

 さながら僕は巫女であり、巫女服脇乳丸出しバイト女子大生なのである。

 

 

――――

 

 

 「ふぅ……」

 

 僕はカタリとペンを置き、長時間同じ姿勢で凝り固まった肩周りをストレッチする。ポキポキと小気味よい音がして、なんだか達成感を感じた。

 

 

 最後に一度大きく伸びをしてから、描き終えたネームに目を通す。

 

 

『【くそみぞテグニック】

 

 オレ、天ノ川光にはずっと想いを寄せているやつがいる。それは、幼なじみで同級生の坂上龍二郎だ。

 

 そして今日は文化祭。やったぜ。

 

 ずっと燻らせてきたリビドーを解放するには絶好のチャンス。剣道で磨き上げたオレの突きで、龍二郎を昇天させてやるぜ。

 

 息巻いたオレは、まずコスプレ喫茶でサングラスとブーメランパンツを借りて着替えた。収まりが悪くて多少ハミ出しちまったがまあいい。些細なことだぜ。

 

 それから龍二郎の待つ公衆トイレへと向かった。道中、女子達の目線がオレの股間に群がってきやがった。だがすまない……オレはオンナには興味が無いんだ。それに、龍二郎を待たせちまっているんだ。

 

 オレは群がってくるオンナ達を撒きながら公衆便所へ向かった。

 

 目的地に着くとオレは自分の目を疑った。

 

 なんとそこには、誰かのクソまみれになった龍二郎が磔にされていたのだ! 

 

 「り、龍二郎!」

 

 オレは思わず叫びながら駆け寄る。

 そして体がクソまみれになるのも気にせず、龍二郎の磔を解いて抱きしめてやった。

 

 「……お、遅かったじゃねえか……」

 

 龍二郎は掠れた、今にも消えてしまいそうな声を出した。

 

 「一体誰がこんなことを!」

 

 「……小学生の……ガキ共だ……。……えらくマセていやがった……」

 

 「小学生だと!?」

 

 「あぁ……。アイツらは〜~  

 

 

 

 

 うん。いい出来だ。残すは清書のみ。熱のこもっているうちに清書まで終えてしまおう。そう思った矢先、チュンチュンと小鳥のさえずりが聞こえてきてハッとする。そして時計に目をやるといつもの起床時間になっていた。

 

 どうやら熱中するあまり、僕達は朝チュンしてしまったようだ。

 

 仕方ない。あとは帰ってきてからにしよう。

 

 僕はペンタブの電源を切り、朝食を食べにダイニングへ向かった。

 

 

 

――――

 

 

 徹夜で重たくなった頭と月曜朝の憂鬱感を持ってフラフラ登校し教室に着いた僕は、既に教室内に多くの生徒がいることを察して内心ため息を吐きつつ、ドアを開ける。

 

「よぉ、キモータ! また徹夜でゲームか? どうせエロゲでもしてたんだろ?」

 

「うわっ、キモ~い。エロゲで徹夜とかマジキモイじゃん~」

 

 僕を出迎えるのはそんな罵倒を浴びせるクラスメイト達。エロゲがどうたらと言っているが、そんなの幼稚園時代からなので今更恥ずかしくもないが。

 

 とはいえ、からかわれてウザいものはウザい。

 

 僕はゲラゲラ笑う四人の方を見る。

 檜山大介(ひやまだいすけ)斎藤良樹(さいとうよしき)近藤礼一(こんどうれいいち)中野信治(なかのしんじ)

 お前らはBLの次回作登場決定だ。タイトルは【ラッコ鍋、男四人、密室、何も起きない筈がなく~糞チャーシューハチミツ煮込みを添えて~】。

 楽しみにしていろ。

 

 僕が次回作の構想を練りながら席につくと、すぐに声をかけてきた女子生徒が一人。

 

「南雲くん、おっはー! 今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ」

 

 月曜の朝からニコニコ笑顔でそう声をかけてくれる女子生徒、白崎香織(しらさきかおり)だ。この美少女は内面も非常に美しく面倒見が良いため、僕のような平凡な男子生徒にもフレンドリーに接してくれる。

 

 しかし、ここで注意しなければならないのは『コイツ、俺のこと好きなんじゃね?』とか間違っても思わないことである。そんな自信過剰な勘違いで何人の男子生徒が犠牲になったのか、僕達はまだ知らない。

 

「あ、ああ、おはよう白崎さん」

 

 僕は多少ドモリながら挨拶を返す。すると、途端にパッと花が咲いたような笑顔を見せる香織氏。

 コイツ、僕のこと好きなのでは?(正解)

 

 それからしばらく、相変わらずニコニコしながら話しかけてくる香織と会話のドッジボールをしていると、俺達も交ぜてくれよ~とやってくる人影が3人。

 

「南雲君。おはよう。毎日大変ね」

 

「香織、また彼の世話を焼いているのか? 全く、本当に香織は優しいな」

 

「全くだぜ、そんなやる気ないヤツにゃあ何を言っても無駄と思うけどにゃあ」

 

 二人目の美少女とガチムチ達が話しかけてきた。

 

 美少女の名は八重樫雫(やえがししずく)。八重樫道場というところの娘さんらしい。切れ長の目とポニーテール。172センチという高身長に、引き締まった体。スポーティでえっちだ。

 

 そして、ガチムチ達はそれぞれ天之川光輝(あまのがわこうき)坂上龍太郎(さかがみりゅうたろう)。二人ともスポーツマンだ。

 

 天之川は百八十センチの高身長イケメン。女子たちからの人気が高いらしいが、彼はホモなので実害はない。

 

 隣の坂上は光輝の親友だ。刈り上げた短髪に鋭い眼光、百九十センチの身長に熊のような大柄な体格。まさに野獣である。

 彼を見ているとつい、お尻の穴がキュッとなる。

 

「おはよう、八重樫さん、天之河くん、坂上くん。はは、まぁ自業自得とも言えるね」

 

 僕はガチムチ達を刺激しないように、努めて慎重に言葉を選ぶ。気分はさながら野獣を前にしたノンケである。

 

「それが分かっているなら直すべきじゃないか? いつまでも香織の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。香織だって君に構ってばかりはいられないんだから」

 

 ちゃんとしろ。遠回しにそうのたまう天之川。

 

 そんな彼を、しかし僕は内心で笑った。彼はなんにも理解っていない。恋愛の法則というものを。

 人類が恋愛をするようになって以来、変わらない普遍の真理というものがある。その一つが、足りない部分を補い合ってこそ愛が深まるという法則だ。それは、酵素の活性部位に基質がガッリチリと嵌まること、あるいは男性器が女性器という名の鞘にヌププと納まることから見てもあきらかだ。だから僕のようなダメなところがある男子は、香織氏のような面倒見のいい女子との相性がいいと言うことになるのだ。ダメダメだけどやるときはやる主人公としっかり者だけどたまに弱さを見せる学級委員長系ヒロインの組み合わせが使い古されてきたことが何よりも根拠となっている。最近十周年を迎えたアマガミでも綾辻さんと主人公の組み合わせがチョベリグだったのもそういうことなんだ。だから僕は生活を改めるという自分の持ち味を捨てるような愚行は犯さない。犯すのは登下校中の小学○メスガキだけで十分だ(早口)。

 

「いや~、あはは……」

 

 しかし、僕は笑ってごまかす。

 

 そんなことを言って反抗すれば、二人に男子トイレへ連行されて掘られることが目に見えているからだ。

 

 僕はやはり、ガチムチ達を刺激しないように苦笑いでごまかした。

 

「? 光輝くん、なに言ってるの? 私は、私が南雲くんと話したいから話してるだけだよ?」

 

「え? ……ああ、ホント、香織は優しいよな」

 

 

 香織氏と天之川が何やら話しているが、どこか噛み合っていない。やはり、女子とホモは相容れないようだ。

 

「……ごめんなさいね? 二人共悪気はないのだけど……」

 

 すると、二人と仲がいい雫氏が苦笑いして謝ってきた。この二人には苦労させられていそうだ。

 

 

 

――――

 

 

 

 昼休みを告げるチャイムが鳴る。

 

 僕は突っ伏していた上半身を持ち上げた。昨日は徹夜で作品を描いていたので、眠気に抗えず居眠りしてしまった。

 まぁ、僕は進学せず同人で食っていく予定なので、授業を受けなくてもあまり問題はないのだが。

 

 教室内は昼ご飯を食べようと机を向かい合わせにする人や、財布を持って食堂に向かう人達でガヤガヤとざわめいている。

 それを見て僕も養分を摂取しようと思い、ガサゴソと鞄の中を漁った。

 

 取り出したるは十秒で食べられるゼリー。

 キャップに手をかけカチリと回す。

 

 口に持っていき、

 

 ──じゅるるる、きゅぽん! 

 

 2秒でチャージした。

 勢い良く吸い付く僕は、さながらひょっとこ顔を晒すメスブタだったに違いない。

 

「南雲くん。教室にいるの珍しいね。お弁当、よかったら一緒にどうかな?」

 

 搾り取られ、すっからかんになったゼリーのゴミを鞄に仕舞おうとしたタイミングで、香織氏が話しかけてきた。

 

「誘ってくれてありがとう。でも、もう食べ終わっちゃったんだ」

 

 僕はゼリーのからをボロンッと見せつけた。

 

「えっ! それだけなの? ダメだよちゃんと食べないと! 私のお弁当分けてあげるね!」

 

 くわっと勢いよく迫ってくる香織氏。

 大きな声だったので、周りの生徒からは何だ何だと視線が集まっている。

 

 するとそこにホモが現れた。

 

「香織。こっちで一緒に食べよう。南雲はまだ寝足りないみたいだしさ。せっかくの香織の美味しい手料理を寝ぼけたまま食べるなんて、俺が許さないよ?」

 

 困っている僕を見かねたのか、救いの手を差し伸べてきた天之川だ。

 

「え? なんで光輝くんの許しがいるの?」

 

 しかし、悲しいかな。香織氏は彼の粋なはからいを理解できなかったようだ。やはり女子とホモは相容れない。はっきり分かんだね。

 

 

 そんなこんなで賑やかだった昼休みだが、その終わりは音もなく、唐突に訪れた。

 

 僕がトイレに行こうと腰を上げようとした丁度その時、天之川の足元に光り輝く魔法陣が現れたのだ。

 それはたちまち教室中を呑み込む大きさになった。そしてピカッと激しく輝いた。

 

 目がぁぁぁ!

 

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