人になりたかった魔族   作:フリーレンにハマった人

10 / 10
IF√とある集落にて。果たされた約束①

とある集落の外れにある林の中、開けたその場所にて、二人の男女が打ち合っていた。

双方、その手に握るのは木剣。

ただの模擬試合だが、お互いに本気の目で戦っていた。

 

「─────ふっ!やぁ!」

「……っ!甘い!」

 

男の連撃を、女が最小の動きで弾く。

 

「……はぁはぁ、やっぱり強いな、シュネーは」

「──当たり前だろ?残念だけど、ボクと君は根本から違うんだからね」

「落胆するのはまだ早いよ──!」

 

男は再び木剣を持って肉薄する。

男の一撃目を先ほどよりも強く弾く女。

大きく体勢を崩した彼に、女が木剣を振りかぶる。

しかし、男はまるで用意していたようにすぐさま体勢を立て直し、女の木剣をその手から弾き飛ばし、女の首に木剣を添える。

女はその目を見開き、固まる。

 

「………………、驚いたよ。まさか本当に、僕に勝てるほどになるだなんて」

「約束しただろ、僕はあなたを超えて、あなたを娶るって」

「ふふふ、そうだったね。それで式はいつ挙げる?……いつ挙げるにしても、まずは君の名前を聞かせてもらわないとね?」

 

それを聞くと、男は鎧の胸元から大事そうに一本の薔薇を取り出した。

そして、それを女──シュネーへと差し出しながら言う。

 

「僕の名前はハーヴィ。この通り、貴女への気持ちは変わらなかった。だから、雪のような貴女よ、どうか……」

 

シュネーは一瞬パチリと目を見開き、そして

 

「っははは、そこまで畏まらなくても良いのに。でも、そうだね。末長くよろしく頼むよ。旦那様」

 

そう言って、ハーヴィの頭を抱きしめた。

すると、周囲から歓声が沸き立つ。

そして、木々の背後から他の村人が寄ってくる。

 

「やっとかよ!」

「良かったなハーヴィ!」

「おめでとう、二人とも!」

「えっ?皆……?なんでこんなところに?」

 

心の底から困惑した様子のシュネーに、他の村人が言う

 

「そりゃあ、アンタら2人の恋路を見守ってたんだよ」

「そうそう!シュネーさんは、『ボクに勝てるくらい強くなったら』とか言うし、ハーヴィは名前も教えないし!二人とも相思相愛なのに!」

 

そう言われて、ハーヴィとシュネーの二人はどちらも顔を赤くしてみあわせる。

そうしてしばらくその場で話し、村人たちが帰った後は二人きりで過ごした。

 

──────────

そして、次の日

 

「新婦シュネーは、いついかなる時も夫を愛し続けると違いますか?」

「──はい」

「では、指輪の交換と誓いのキスを」

 

結婚式は村の広場で行われた。

ハーヴィの手で、指輪が入れ替わる。

いつのまにかシュネーと同じほどまで身長が伸びていたハーヴィのその顔が、シュネーに少しずつ近づき、その距離がゼロになった時、参列した村人たちから拍手が巻き起こった。

 

「……これからよろしくね。ハーヴィ」

「こっちこそ、よろしく」

 

二人の約束は、ここに果たされた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。