人になりたかった魔族 作:フリーレンにハマった人
転校した友達とか、縁が切れてしまった友人とか、果たせなかった約束はいつまでも後悔しますよね。
回想、在りし日の思い出。果たされなかった約束
とある集落での、ある日の出来事。
いつものように鍛錬をする少年をボクは見つめていた。
「少年。」
ボクは少年が鍛錬に一区切りつけた頃合いで声をかけた。
すると少年は木刀を置いて振り返った。
「なんですか?シュネーさん。」
少年の背丈がいつの間にかボクに近づいていることに少し驚きながらも、落ち着いた様子でこちらに振り返った少年に質問をした。
「君の名前をまだ聞いていなかったと思ってね。君の名前を教えてくれるかい?」
すると少年は自信満々な様子で
「僕の名前は、僕とシュネーさんが結ばれるその時に初めて呼んで欲しいので、まだ内緒です。」
少年と約束をしてから一度も枯れることなく咲き続ける薔薇園を見ながら少年は言った。ボクは未だ約束を覚えていた少年に驚きつつも出来るだけ穏やかに笑って
「そうか、それじゃあその日を楽しみにしているよ。ボクの未来のダンナ様?」
と、揶揄うようにして言った。
しかし、それでも少年は嬉しそうに
「はい!待っていてくださいね!必ずシュネーさんに、千年先でも忘れられない思い出を作ってみせますから!」
と言って、ボクの左手をその暖かい両の手で柔らかく包んで言った。
千年先、と少年は言った。
彼は以前ボクが言ったように、ボクが少年と結ばれたならば必ずボクが少年を看取り、その後も生きることになるという事実を真剣に考えたのだろう。
ボクはそんな彼の柔らかい笑顔が、優しい気持ちが嬉しくて
「わかった。待っているよ」
と微笑んで返事をした。
その時の彼の嬉しそうな笑顔と、この日に交わした約束がきっと
ボクに人間に近い感情の働きを与えてくれたのだろうと思う。
この時のボクはそんな小さな、それでも光る星のようにきらきらとした素敵な約束を、楽しみにしていたんだ。
魔族でも人のようになれるって、人と共に生きることができるって信じたんだ。
長く集落で人と暮らして、素晴らしいものだと知った平穏がこれからも続くと信じてたんだ。
だから、ボクが君への愛情に気がついたのはそれよりもずっと後、
全てが終わった後だった。
今更人に近い感情を手にして、人の気持ちがわかっても結局は平穏なんかより、君の隣が一番欲しかっただなんて、涙を流したところで手元にあるのは焼け焦げた薔薇一輪だった。
君との約束は果たされないまま、後悔はボクの内側に根を張ったまま。
君の名前すら知らないけれど、ボクは君に胸をはれるボクでいたいから。
だからボクはいつか、人間になりたいんだ。
後書きで裏設定というか解説みたいなものを書いておくと
現在シュネーに芽生えている感情は動物の愛着などに近い感情です。
他の魔族は殺し殺されの関係や縦社会的な繋がりしかなく
発露しなかったそれをシュネーは様々な偶然が重なったことで発露させました。しかし、それは人に近くとも本物の人間の感情と比べてまだ野生的なものであることを彼女自身が理解しています。そのため、完全に人と同じ感情を得ることを指して彼女は人になることであると定義づけてそこを目指しています。
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