人になりたかった魔族 作:フリーレンにハマった人
書ける時間があったので投稿です。
楽しんでいただけたら幸いです。
ハイターの死から一年ほど後、旅の途中の道にて、歩きながらフェルンが口を開く。
「そういえばフリーレン様。」
「……ん?何?」
フェルンはフリーレンに問いかけた。
「あの魔族……シュネーはなぜ殺さないのですか?」
「あれはもう魔族じゃないよ。説明が難しいんだけどね」
首を傾げるフェルンにフリーレンは話を続ける。
「確かに種族としては魔族だ。アイツが律儀に折って生えないように削ってるけど角もある。でも、あの精神構造はもう魔族とは言えない。」
フリーレンはそう断言した。
「まぁ、所々魔族らしいところはあるよ。嘘が得意だったりね」
そんな会話をしていると、いつものフードとローブのシュネーが二人の後ろから、話に首を突っ込む。
「なんだい?ボクの話かな?」
「そうだよ。フェルンに少し話してたんだ」
「そうかい。なら改めて自己紹介をしておくよ、ボクはシュネー。人間を目指す魔族と覚えてくれたまえよ」
フェルンに向かって手を差し出すシュネー。
その様はまるで童話の王子様のようで、良く言うならば幻想的で、直球に言うならば芝居がかった仕草だった。
フェルンがその手を握るべきか戸惑っていると、シュネーの手から手品のように紫色の薔薇が現れる。
「紫の薔薇の花言葉は「誇り」「気品」、君に似合う花だよ。」
フェルンは数秒の硬直の後、
「……すごく気取った感じがします。不快です」
と言い放った。
「えっ、ヒドイなぁ……。」
少し悲しそうな顔で項垂れるシュネー。
「まぁとりあえず、棘は無くしたから髪飾りにでもしておくれよ」
シュネーはフェルンの髪に優しく紫色の薔薇を添えた。
そして、優しくフェルンの頭を撫でる。
「うん、よく似合っているよ。ほら、行こう」
そう言って満足げに前を向いて目的地へと歩き出す。
「──フェルン」
フリーレンがフェルンに呼びかける。
フェルンは後ろに振り返る。
フリーレンは少し眉を顰めて、憐れむように言う
「アイツはね、十年と少し人と過ごしたんだ。」
「そうなんですね」
「その集落が焼き滅ぼされて初めて、その集落に愛着を持ってたって気づいた、とも言ってた。」
フリーレンは彼女と出会ったその日を、燃え尽きた集落で共に生きた人々を埋葬するその姿を脳裏に思い出す。
「……え?」
「一緒に過ごした全てが滅んだ後でやっと、それが大事だったって気がついたんだ。……少し、私にも似てるかもしれない。だから、私はアイツは他の魔族とは違うって信じることにした。──勇者ヒンメルがそうしたから。」
二人の前を歩く自信満々なようでどこか寂しげな背を見て、フェルンはそれに追いつくべく歩くペースを早くした。
それを見て、フリーレンもそれに合わせる。
「シュネーさま、もうすぐ街です。何か美味しいものを食べに行きましょう」
「……え?いいのかい?」
きょとんとした顔で聞き返すシュネー。
フェルンは彼女が信頼して良いと確信したのか
「はい、もちろんです」
と頷く。
ついでにフリーレンが後ろから
「誕生日もそろそろだしね」
と言う。
「誕生日?……誰の?」
「覚えてないの?お前と私が旅を始めた日、あそこがシュネーの
その言葉に、シュネーは目を見開く。
「あんまり時間もなくて祝ってあげられてなかったけど、フェルンも増えたことだし、今年くらいはね。」
フリーレンはいたずらっぽく笑う。
シュネーもつられて笑った。
「そうかい、なら今日くらいは我が儘を言ってみようかな?」
「……あんまりに我が儘すぎると怒りますからね」
「っははは!気をつけるよ!」
二人と一体の旅路は、三人の旅路になって、近い未来に四人、そして五人と増えながらも続いてゆく。
その果てにどんな未来があろうとも。
読了ありがとうございます
これからの更新は本当に暇な時だけになるので、年内中は無い&どれほど後になるかわかりません。
読んでくださった方、ありがとうございました。