前世で効率厨だった俺、神スキル『タイパ』を手に入れて面白いところは大体ダイジェストの成り上がり異世界生活へ   作:quiet

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第10話 【どこにでもある何気ない日常編】~【暗躍政府組織編】

 

【どこにでもある何気ない日常編】

 

 

 ヤエカはとうとう今年で四十歳で、今でも時々変身して怪獣と戦っている。

 

 

 でっかい海の傍にあるちんけな町の堤防を、いつも自転車で通う。

 春と秋は涼しくて気持ちが良いけれど、冬は寒いし夏もまあ、そこそこ暑い、そんなごくごく普通の、石拾いの通勤ルートを行きながら、ヤエカはぼんやり考える。

 

 初めて変身したのは十八歳のときで、それからいよいよ二十二年。

 二十二年かあ。

 

 き、と自転車を停める。

 

「あら、ヤエカちゃん。今日はもう仕事終わり?」

「はい。今日は潮の流れが悪くて、あまり石が落ちていなかったので」

「あらら、不景気だ。家賃下げようか?」

「大丈夫です。食べるのに困らない程度には……あ、来月の家賃、今お渡ししても大丈夫ですか」

 

 ヤエカは一度、都会で朝から晩まで机の前に座っているような仕事に就いたこともある。

 

 が、長くは続かなかった。

 不定期に変身して怪獣と戦うような人間が、いわゆる『工業的な労働時間』の中に適応するのは難しい。

 

 職を転々として、辿り着いたのがこの海辺の町と小さなアパート。

 家賃を手渡しするのも、四十歳を捕まえて『ちゃん』付けで呼んでくる大家も、慣れてしまえばそう悪くない。

 

 大家と別れて、二階の角部屋のオフィス。

 潮の香りだけでも流してしまおうかと、浴室の扉に手を掛けたそのときだった。

 

 ぴんぽーん。

 

「はい」

「ああ、すみません突然」

「はい」

「隣に越して来たユーウェンと申します。これ、引っ越しのご挨拶に」

 

 コンビニで売ってるようなクッキーの箱。

 

「どうも」

「単身ですのでそれほど騒がしくはしないと思うんですが……夜、人が動いていると気になりますか?」

「いえ。全く」

「そうですか。私、仕事の都合で夜に出たりすることがあるので。うるさかったらすみません……あの、失礼ですが今朝、海岸におられませんでしたか?」

「いました。仕事で」

「やっぱり! 扉を開けたとき、どことなく今朝お見かけした方と似ているなと思ったんですよ」

 

 じ、とユーウェンが床の方を見つめている。

 視線の先に気付いて、ヤエカは、

 

「触ってみますか。石」

「え、」

「物珍しいでしょう」

 

 足元に置いたバケツを持ち上げて、ユーウェンに押し付けてみる。

 

 中にはきらきら光る、真っ青な宝石が入っている。

 

「触っても平気なんでしょうか」

「石が反応するのは水に触れているときだけです。海辺で見つけたときは触らない方が安全だとは思いますが、これは砂で湿り気を切ってきたので問題ありません」

「……では、失礼して」

 

 触る。

 

「……普通、ですね。つるつるの石だ」

「ええ。魔力が籠っているだの怪獣のお腹から出てきただの色々言われていますが、物珍しいのも一日目までです。慣れればただの石拾いですよ」

「反応中の魔石をただの石とは私は言えませんが……海でのお仕事は、もう長いんですか。あ、ええと、」

「ヤエカです。石拾いは四年くらい」

 

 触り終えた頃を見越して、ヤエカはユーウェンから石を返してもらう。

 バケツに収めて、また床へ。

 

「私も朝、早いので。起こしたらすみません」

「ああ、どうも。そのときはお互いさまで。……ヤエカさん」

「はい」

「海辺で、何か変わったものを見かけたことはありませんか」

 

 ヤエカは。

 少し考えてから、こう答える。

 

「いいえ」

 

 次の朝も、ヤエカは自転車に乗ってでっかい海へと向かった。

 

 漁をするほど早い時間ではない。

 朝日が出てから、夕日が沈むまでならいつでもいい。

 

 服の裾を捲って、水面に足を踏み入れる。

 

 朝だから、少し冷たい。

 気にすることなく、目を凝らす。

 

 波の間に、青く光る宝石。

 手のひらの形を少しだけ変えて、ヤエカはそれを掬い取る。

 

 ざっ。

 

 背後で、音がした。

 

「……なんだ、君か。驚いて損した」

「ワン」

 

 浜辺でよく見る、黄色い猫。

 

 咄嗟に背中に隠した手を、ヤエカは水の中に戻す。

 

「昨日、隣の部屋に人が越して来た。私が石拾いをしているところを見たらしい」

 

 いつものように、ヤエカはその猫に独り言を語り始める。

 

 何とも寂しい趣味だとは思うが、実際、客観的に見れば自分は結構寂しい奴だろう。

 

 その自覚があるから、特に気負うことなく、

 

「こんなところ、町の人は誰も来ないから気楽なものだったんだけど」

「…………」

「君も、全然喋らないし」

「ワン」

 

 ヤエカは笑った。

 

「無理して喋らなくてもいいよ。静かな方が、落ち着くし」

 

 それからは、真っ青な夏の音ばかりが響いた。

 

 砂を踏む音。

 波の音。

 風が雲を押し流して、空に響かせる音。

 

 ヤエカは次々に石を拾い上げる。

 砂の上で転がして、安全になったのを確かめてから、バケツの中に放り入れる。

 

 じゃばっ、ざらっ、こつ、こつ。

 

 いつもどおりの、慣れた動き。

 

 ヤエカはこの仕事が嫌いではない。

 強いて不満があるとすれば、夏が暑いとか、冬が寒いとか、人より早く腰が曲がってしまいそうだとか、そのくらい。

 

 一日に働く時間も、街で働いていた頃よりは随分短いはずだ。

 

 視界に石が見えなくなったころ、ヤエカは汗を拭って身体を起こす。

 失った水分を取り戻そうと、堤防の上に停めた自転車の方を振り返る。

 

 ユーウェンがいた。

 

「っ、」

 

 驚いて、手を後ろに隠す。

 見られただろうか?

 

「ヤエカさん」

 

 ユーウェンは、目が合うや一目散にこっちに近付いてきた。

 

「こんなに早く、もうひとつの自己紹介をすることになるとは思いませんでした」

 

 懐に手を入れる。

 手を出せば、黒い手帳のようなものを持っている。

 

「私は国際危機管理機構のエージェントです」

 

 とうとう来たんだ、とヤエカは思った。

 

 焦りとか、諦めとか、そういうことじゃない。

 ただ単に、「まあそうなるよな」とか、「よく二十二年もバレなかったものだ」とか、その程度の、ありきたりな感想を胸にした。

 

「あなたには――」

 

 そのとき、ズズーン、と音が響いた。

 

 ユーウェンが、ぽかんと口を開けている。

 ヤエカは、いつものように沖の方に振り向く。

 

 

 

 ゴゴゴゴゴゴ――!!!

 

 大怪獣、襲来。

 

 

 

「あの、」

 

 ヤエカは、ユーウェンに言う。

 

「すみません。ちょっとお話は、こっちの用事を済ませてからで」

「へ、」

「大丈夫です。ちゃんと戻ってきます」

 

 二十二年のベテランだから。

 何のためらいもなく、ヤエカは変身した。

 

 瞬く間に、ヤエカの身体は大怪獣と同じ大きさの怪獣に変化する。

 

 話の途中だから、そんなに時間をかけるつもりはない。

 

 ジャブ、ジャブ、フック。

 ふらついたところにストレート、右ハイキック。

 

 ほとんどKO勝ちの状態から、思い切り相手を持ち上げて、空に向かって口からビーム。

 

 人間の姿に戻って、それからはじゃぶじゃぶと波をかき分けて浜辺に戻る。

 

「終わりました」

 

 ユーウェンは、茫然として答えない。

 

「それで、これから私はどうなるんでしょうか。できれば実験体とかは、あまり楽しくなさそうなので遠慮したいんですが」

「べ」

「べ?」

「別件です」

 

 何を言われたのか、よくわからなかった。

 

「別件?」

「私が来たのは、その『チーター』の調査で。どうもあなたとよくいるところが目撃されているようでしたから、何かお話が聞けないかと。そうしたらちょうど一緒にいらっしゃる場面に出くわしたので、お声かけをした次第だったんですが」

 

 話を噛み砕く。

 

「もしかして、私、」

 

 飲み込む。

 

「早とちりましたか」

「はい――あ、でも」

「でも?」

「いつも、ありがとうございます。みんなを守ってくれて」

 

 ヤエカは。

 少し考えてから、適切な言葉を口にする。

 

「どういたしまして」

 

 

【どこにでもある何気ない日常編 完】

 

 

 

 

 

【暗躍政府組織編】

 

 

 ユーウェンはクラス・ゼロの機密情報へのアクセスも認められた国際危機管理機構の非常に優秀なエージェントであり、今回はある歴史資料に基づいて『チーター』と呼ばれる伝説の存在の調査に乗り出した。

 

「それがこの猫なんですか。すごいね、君」

「ワン」

「…………」

 

 そしてその過程で、我らが人類社会を何度となく危難から救ってくれたあの超怪獣が人間の変身した姿であり、その人間は今年で四十歳、石拾いを仕事とする隣人・ヤエカであることを知った。

 

 己の優秀さを恨むべきか。

 はたまた、運命に翻弄されるばかりの我が身の不甲斐なさを嘆くべきか。

 

「それで、調査っていうのは具体的に何を?」

「……『チーター』は、かつて幾度も世界を滅ぼしていたんだそうです」

「悪いね、君」

「……ワン」

「怪獣の一種なのではないか、というのが情報部のもっぱらの見方でして」

「そうなの?」

「……違う」

「――――うわっ、喋った!!!」

 

 思わずユーウェンは、腰を抜かしそうになった。

 一方でヤエカは、全く動じた様子がない。

 

「しゃ――喋るんですか!? 『チーター』は!」

「そうですね。確かに、そう言われればそうです」

「そう言われればって――い、今まで気にならなかったんですか?」

「まあ、そんなには。私も特に理由なく変身しますし――あ、もしかして。私もその……世界保安機構?」

「国際危機管理機構」

「そこ。そこに改造された人間だとか、そういう背景があったりするんですか」

「……少なくとも、私は知りません。あなたの正体だって、今日初めて知ったくらいですから」

 

 へえ、とヤエカはやはり平然とした様子で頷いた。

 

 チーターの頬を、さわさわと撫でる。

 その手つきに、さっきの戦いを思わせるような激しさはまるでない。

 

 おほん、とユーウェンは咳ばらいをした。

 

「会話が可能なら、話は早い。『チーター』。私はユーウェン。地上二百四十六ヶ国の団結と平和への意志に基づいて設立された世界構想特区が保有する専門機関の一つ、国際危機管理機構の諜報部に所属する最高位のエージェントです」

「…………」

「率直にお訊ねします。近年の怪獣の大発生と動植物の絶滅。これらを引き起こしているのは、あなたですか」

 

 ユーウェンには、ある特殊な能力がある。

 

 一言で言ってしまえば、『勘』だ。

 

 自分でも馬鹿馬鹿しいと思うが、エージェントとしてこの位に上り詰めるまでの間に散々世話になったものだから、鼻で笑い飛ばすこともできない。

 

 ユーウェンは。

 質問に対する回答が『嘘』か『本当』か、必ずわかる。

 

「――いいや。何のかかわりもない」

 

 だからこそ。

 こんな得体の知れない喋る大猫の言うことも、心から信じられる。

 

「……そう、ですか。わかりました。『チーター』。あなたが私の質問を受けてくれたこと、そしてそれに対し、真実で以て答えてくださったことに、感謝を申し上げます」

「ちなみに、どうして怪獣は大発生して動物は絶滅してるの?」

「ヤエカさ――」

「『季節』だからだ」

 

『本当』だった。

 今日何度目だろう、ユーウェンは目を丸くする。

 

「『季節』?」

「春が始まり、春が終わる。夏が始まり、夏が終わる。人は生まれ、やがて死ぬ。宇宙に放たれたあの星々もまた然りであり、当然『世界それ自体』にも『季節』が存在する」

「今は絶滅の季節ってこと?」

「端的に言えば、そうなる」

 

 全てが『本当』のこと。

 

「回避する手段を、あなたは知っていますか」

「遅らせることはいくらでも可能だろうが、完全な回避を求めるなら『季節』を『固定』することだ」

「あなたにはそれができますか」

「試したことはない。それは『願い』か?」

「…………」

 

 ユーウェンは、考え込む。

 

 国際危機管理機構が取り組んできた調査課題に、ひとつの解答が得られた。

 しかし、それを選び取るかどうかはどうも自分が――世界の『裏側』の一存によって決めてよいことではないと、そう思われた。

 

「……いえ、ただの確認です。質問ばかりで恐れ入りますが、『チーター』。あなたはしばらく、ここにいますか」

「会いたいなら、呼べばいい。どこにでも行こう」

「ご厚意に感謝を。では、しかる筋に確認を取ったのち、再度連絡いたします」

 

 チーターが頷く。

 ヤエカが口を開く。

 

「大変だね、公務員は。……公務員?」

「……ええ、まあ。公務員と言えば公務員ですが」

 

 ひとつの問題が解決すれば。

 また、次の問題。

 

「それより、ヤエカさん。あなたにもお訊ねしたいことがあります」

「答えられることなら」

「あなたはその……怪獣、なんですか」

「さあ」

 

 何でもないことのように、ヤエカは答えた。

 

「さあ、とは」

「知らないから。大学生のときに、空から怪獣が降ってきた。戦おうと思ったら戦えた。で、それから戦えそうなときは戦って、二十二年」

「……何らかの組織に所属しているわけでは?」

「全く。そもそも、誰にも言ったことがありません」

 

 しばし、ユーウェンは言葉を失った。

 

「それなのに、」

「ん」

「それなのに、戦い続けているんですか。ひとりで。軍隊だって歯が立たないような怪獣だって相手にして。時には人間から攻撃されることすらもあって、給料も出なくて、忙しくて、辛くて、誰にも知られることもなくて、それでも」

 

 唾を飲んで、

 

「どうして?」

 

 ヤエカは、しかし。

 真剣な質問に、ひどく気の抜けた答えを返してきた。

 

「あんまり深く、考えたことがありませんでした」

 

 ユーウェンは、絶句した。

 

「何となく、それができるからやってるだけで……まあでも、人間って多かれ少なかれそういうものなんじゃないですか。みんな、何となくできることをやってるだけでしょう」

「んな、」

「そういえば、ユーウェンさんは私がどうして怪獣に変身できるのか、知ってたりしませんか。それはたまに、どうしてだろうと考えることもあったんですが」

「魔法だ」

 

 チーターが言った。

『本当』のことを。

 

「『魔法』?」

「サイクルごとに人間は何かを発見し、何かを見落とす。今の時代ではほぼ完全に見落とされているが、別の時代では科学のように扱われていた技術のひとつだ。体系化・理論化を待たずして行使されるものは、時に単なる『能力』と呼称されることもあったが」

「じゃあ、これは『能力』だ」

「そうなる」

「そっか。怪獣だっているわけだし、魔法があっても不思議じゃないか」

 

 馬鹿げた話だ。

 

 しかし、ユーウェンはそれをあっさりと飲み込んでいる。

 だって、自分にも『能力』があるのだから。

 

「教えごとの、ついでだが」

 

 チーターが、さらに言う。

 

「ヤエカが怪獣と戦う理由は……。…………」

「何」

「いや……」

「言い掛けてやめられると気になるな。教えてよ。何、運命?」

 

 言い淀んだチーターは、しかし追及を受けて渋々と口を開く。

 

「人を助けるのが、好きだからだ」

 

 それは、『本当』でも『嘘』でもない。

 ただのチーターの私見のように、ユーウェンには思えた。

 

 ヤエカは言葉を受け取ると、しばし視線を飛ばした。

 それをユーウェンは追い掛けてみる――やたらに青い空、飛ぶウミネコ、滅びゆく季節とは信じられないくらいの、何気のない夏の空気。

 

 ヤエカは笑った。

 

「だったらいいね。何だかすごく、立派な人みたいで」

 

 

 それからいくつかの話をして、日が暮れる頃に解散することになった。

 

 帰り道、ユーウェンはヤエカとふたり。

 同じアパートに帰るから、歩幅を揃えて歩いていた。

 

「ユーウェンさんは、これからどうするんですか」

「しばらくは、こちらにいることになると思います。とりあえず部屋に戻ったら本部に連絡して……重大なことを決めるのには、時間ばかりが必要になりますから。いざ指示があるまでは近隣待機ということになるでしょうね」

「そうですか」

「ヤエカさんは?」

「私?」

 

 ユーウェンは頷く。

 

「折角正体を教えてもらいましたから。本部に掛け合って、これからのヤエカさんの作戦行動を補助できるよう、私から後押しすることもできますよ」

「しないこともできるんですか」

「……まあ」

「いいんですか」

「報告義務から考えるとよくはありませんが、融通を利かせたいとも思っています。私もかつては、あなたに命を助けられた者のひとりですので」

「いつ?」

「十五年……もう十六年になりますかね。そのくらい前のことです」

「……覚えてないけど、仕事を辞めたくらいかな」

「大変ですか。やはり、仕事をしながら怪獣と戦うのは」

「今の仕事を見つけてからはそんなに。誰にも言い訳しなくていいですから。怪獣と戦うより、そっちの方が苦手で」

 

 アパートに着く。

 ヤエカが自転車を停めて、ふたりで階段を上っていく。

 

 部屋の前、廊下のオフィス。

 

「じゃあ、いいです」

 

 ヤエカが言った。

 

「報告、誤魔化してもらえれば助かります」

「いいですか。こちらから戦闘報酬をお支払いすることもできますが」

「いいです。今の生活も嫌いじゃありませんし。何か本格的に困ったことが起きたら、そのときまた呼んでください」

「わかりました。では、ヤエカさんも気が変わりましたらいつでも」

「はい」

 

 鍵を開ける。

 ドアノブを握る。

 

「あの、」

「はい?」

「別件なんですが」

 

 ユーウェンは、勇気を出す。

 

「今度、よければ一緒にお食事でもどうですか」

 

 ヤエカが止まる。

 ゆっくりと首を傾げて、

 

「懐柔されてますか。今」

「怪獣……? あ、いや! そういうつもりではなくて! その、」

 

 さっきのチーターに、負けないくらいに言い淀んで、

 

「その、前から一度お会い出来たらなと……ミーハーで恐縮なんですが。あ、あと! それ以外にもその、私も結構――いえ、比べるのもおこがましいくらいなんですが。人知れず抱えることも多い仕事なので。その、何となく、」

 

 言葉尻が、どんどん弱くなって、

 

「気が合ったりしたらいいな、と。ただそれだけ、なんですが……」

 

 ヤエカの手が。

 ドアノブから、離れる。

 

「私、自炊ばかりなので。あんまり良いお店とか知りませんよ」

 

 ユーウェンは顔を上げる。

 仕事人間でよかったかもしれない、と初めて思う。

 

「任せてください。調べるのは得意中の得意ですから」

 

 それならぜひ、とヤエカが笑った。

 

 

【暗躍政府組織編 完】

 

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