第一話:筆者が聞き取りを行った語り手の流派について
緑の勇者と黄昏の姫の冒険譚の語り手にはウィー派とジーシエヌ派がある。筆者の手稿は主にウィー派の語り手に依拠した。ウィー派においては勇者は右利きとされているが、ジーシエヌ派では勇者は左利きの剣士として語られている。(興味深いことにウィー派では魔王ガノンドロフが左利きであり、対してジーシエヌ派では魔王は右利きである。)筆者には無論のこと左利きを貶める意図はなく、自身の接した語り手の多くがウィー派であったためこの選択を行ったまでである。
第二話:リンクの出生について
リンクの出生について諸説あることは賢明な読者諸兄は既にご存じであろう。例えば、リンクはトアル村に来る前に他の地方で剣士として訓練を受けていたとする語り手もいる。ただ、田舎の農村であるトアル村において青年期に近づいた余所者の男がすんなり村に受け入れられ剣士見習いとなるということはなかなか考えにくい。また、冒険の間もリンクと村長のボウは極めて親しい関係であったことから、赤子の頃からリンクはボウに育てられていたとする説を筆者は支持する。
第三話:ファドの家について
トアル村においてはファドの家が「開かずの家」となっていたことは村人たちの共通認識であったようだ。これは田舎村では珍しいことであるが、自分の地所を持たない独り者であり一日のほとんどを牧場で過ごしていたファドのことであれば不思議はないであろう。
第十一話:勇者の服について
リンクはフィローネ地方の影の領域を晴らして意識を取り戻したときには既に勇者の服を着ていたとする語り手もいる。精霊の力でそのようなことが起こったということも無論考えられるので、筆者はこの説に反対するものではないが、いずれにせよ実際に服を誰かから受け取ってそれを着たという事実は存在するには相違ない。これらを考慮のうえ、筆者はリンクが勇者の服を近辺で見つけ出してそれを着用するという記述を含めた。
第十六話:オルディンの精霊の泉の位置について
オルディンの精霊の泉の正確な位置は、地図をあたってみると、実のところ南ハイラル平原からの道を経由してカカリコ村に入ると(西に向いているという前提で)左手になるようである。筆者は今後再度カカリコ村を訪れた暁にはこれを確認し、訂正の必要があればここを訂正するつもりである。
第十八話:エポナのとの再会について
本稿執筆後再確認したところ、魔物たちから逃げようとしていたエポナがカカリコ村に入ってきたのは南ハイラル平原側からの道ではなく北側からだったという。再調査し証言を集めたうえでこの部分は将来改訂しようと筆者は考えている。
第二十五話:族長ダルボスの変身について
実のところ、他の語り手の多くは「族長ダルボスは激しい噴火による地震が発生した際に精霊から託された宝物の無事を確かめようとそれに手を触れた瞬間に魔物に変身した」としている。筆者の記したものは少数意見であって、多数派ではないことはお断りしておかねばならない。とはいえ、多数意見によるこの変身の経緯を採用してしまうと、その後ミドナが結晶石を持ち去ったにもかかわらずリンクがゴロン族と友好関係を保ち続けられた理由の説明がつかなくなってしまう。従ってこの点については本脚注で両意見を述べたうえで読者諸兄のご判断に任せたい。
第三十二話:ラネール水源回復前の川の水位について
本稿執筆後改めて調査したところ、狼姿の勇者が影の領域となっているラネール地方に足を踏み入れた時には、城下町に北側から流れ込む川は枯れかかっていたことがわかった。ただ、完全に枯れていたわけではなく、ここで水を飲むことは可能であったと推測される。厳密にはこの部分は改訂を要するかも知れないが、本筋に大きく影響するものではないため、折りを見て他の改訂と同時に行うことを考えたい。
第三十九話:ハート型瓶入りの魔法薬について
別の語り手は、勇者がハイラル各地で類似の魔法薬を多数発見したとする。それらの魔法薬は五つ集めるごとに勇者の元々持てる耐久力を増していったという。
第四十四話:ジョバンニの身体の回復について
別の語り手によれば、リンクは冒険を終える前にニ十個の幽霊の魂を集めてジョバンニに渡した。ところが、青年の身体は動くようになったようなものの、人形のような関節や肌の質感は元に戻らなかった。そのためリンクはその後再び幽霊の魂を集める旅に出なければならなかったという。ある語り手は、リンクが計六十個の魂をジョバンニに渡して初めて青年は人間に戻ることができたとする。
第四十六話:聖剣の由来について
一部の語り手たちは、聖剣の由来について「賢者たちによって作られたもの」と説明しているが、筆者はこの説を支持しない。というのも、初代勇者の伝説をつぶさに調査すると、聖剣は古ハイリア人たちが地上に降りて来る前に既に存在していたと結論せざるを得ないからである。伝承によれば、初代勇者は浮島にて女神ハイリアの像の足元にあった隠し部屋に秘匿されていた聖剣を見つけ、これを台座から引き抜いたとのことである。その後初代勇者はその剣を「聖なる炎」で鍛えた。それによって聖剣は現在の形をとるに至った。従って筆者は、聖剣はもともと女神ハイリアによって手づから作られたと考える。
第四十七話:城下町における遊戯施設その他について
ある語り手たちは、城下町に滞在中勇者が遊戯施設および占い屋を利用した旨言及している。すなわち、本稿で「サーカスのようなテント」と形容されている施設は、金網の中に浮かべた「スタア」を制限時間内に獲得するという「スタアゲーム」の小屋であり、勇者はこの遊戯に挑戦して景品を獲得したとされる。また、勇者は歓楽街にある占い屋を訪れ、占い師に仕事運や恋愛運を占わせたという。ただ、これらは冒険の本筋にあまり関連しないため筆者はこれらを割愛している。
第四十八話:オルディン大橋の破片の下にあった洞窟について
多くの語り手たちが証言したところによれば、ミドナが後にオルディン大橋の破片を元の場所に戻したところ、その刺さっていた場所に謎の洞窟が現れたという。そして勇者はその洞窟を探索し、多くの魔物たちを倒したあと「大妖精の雫」という宝物を手に入れたとされる。極めて興味深い話ではあるが、冒険の本筋とは関わらないため筆者はこれを割愛した。
第五十四話:ヘナの釣り堀およびリズの川下り屋について
ある語り手によれば、リンクはこのときヘナの釣り堀を訪れて釣りやその他の遊戯を楽しんだという。また、勇者はこの後度々リズの店を訪れて川下りを行い、また女主人が用意した射的の景品を獲得したとも言われている。ただ、冒険の本筋には関わらないため筆者はこれらを割愛した。
第五十六話:武器庫の発見について
別の語り手によると、勇者は鎖と鉄球を持った巨人兵士との戦いの前に、中庭に面した部屋を探索しそこで巨大な武器庫を発見したという。またその武器庫は床の抜けた部屋に通じており、勇者は残存した梁を伝ってその部屋を捜索した末コンパスを発見したとする語り手もいる。
第六十三話:南ハイラル平原への道路開通について
ある語り手によると、勇者が南の方角で見かけたゴロンの男は南ハイラル平原へ通じる道路を塞いでいた岩を除去しようとしていたという。だがどうしてもその仕事をやる気が出なかったゴロンの男は、その後勇者が温泉水屋のゴロンを力づけたあと(第七十話の脚注参照)、その温泉水を購入して持っていってやることで力を取り戻し、苦闘のすえ岩の除去に成功したらしい。詳細な証言が得られなかったため本稿では省かれているが、いかにも勇者らしい逸話ではある。
第六十四話:オルディン大橋修復について
ミドナがいつオルディン大橋を修復したかについては諸説ある。ここで正直に告白してしまうと、筆者はその期日を確定しうる詳細な証言を得ることができなかったため、事実関係の整合性を重視し勇者が忘れられた里を訪問する前にミドナが独力で行ったとした。しかし、この頃常に勇者の影のように寄り添って共に行動していたミドナが単独でそのようなことを行うとは考えにくいという議論も存在するのは確かである。筆者は現時点においてハイラル各地を巡る旅行をしておらず通常の稼業に戻っているのであるが、将来的にもし再び調査を再開し、この事実関係を確定する新たな証言が得られたならこの部分を改訂することも検討していきたい。
第七十話:リンクのルピー探しについて
ある語り手は、勇者リンクのルピー探しはさらに広範囲に及び、最終的に四つの小洞窟が発見され踏破されたとする。一つは、ハイリア湖畔の梯子の上の岩に塞がれた洞窟である。この洞窟は極めて長距離に及び、リンクは多くの魔物と戦うとともに多額のルピーを獲得したという。また、もう一つはカカリコ峡にかかる橋の南の岩壁に開いた洞窟である。こちの洞窟は比較的短くはあったがやはり勇者にいくらかのルピーをもたらした。さらにもう一つは、オルディン大橋を北に渡った先にある岩壁の高所に開いた洞窟である。その洞窟はゴロン鉱山に似た環境であり底に溶岩の広がる危険な場所であった。そこでも勇者は宝物を手にしたという。最後の一つは、北ハイラル平原の、ゾーラの里からの川が流れ出している場所の北側の岩壁に開いた洞窟である。勇者はその中で衣装ケースのパズルを解き、宝物を手に入れたという。
第七十話:城下町温泉水屋への援助について
別の語り手によると、勇者リンクの貢献は城下町西橋の再建資金の寄付に留まらなかったという。勇者は温泉水の樽を徒歩でカカリコ村から城下町まで運搬し、それをもって意気を落としていた温泉水屋のゴロンの男を力づけたというのである。ただ、温かい温泉水を短時間でカカリコ村から城下町まで運搬するという難行を勇者が成し遂げたかどうかについては確たる証言が得られなかったため本稿では省くこととした。
第七十一話:ザント警備装置の数について
勇者が影の宮殿の東棟に侵入し二番目の部屋で出会った兜型警備装置の数は二体だとする語り手もいる。この点については勇者の記憶が曖昧だったのかも知れず、今後もし新たな証言が出てきた場合は改訂も考えたい。
第七十三話:勇者がアゲハに与えた黄金の虫について
ある語り手によると、勇者はアゲハに対して二十四匹の黄金の虫を与え、それに対する返礼として無尽蔵なほどルピーが入る巨大な財布を受け取ったという。ただ、黄金の虫探しはリンクの本来の任務からすると脇道であり、詳細な証言があまり残っていないところもある。他人からの頼みを断れない勇者が、アゲハの希望に沿って全ての黄金の虫を集めたという可能性も無論考えられるが、筆者としては詳細は読者諸兄の想像にお任せしたい。
第七十三話:最後の奥義の習得について
勇者がその師である骸骨剣士から最後の奥義を習得したのはいつかということについても諸説ある。ミドナがハイラル城の魔法防壁を破った後だという語り手もあれば、勇者が天空都市を訪問する直前だとする語り手もいる。だが、筆者としては。奥義の習得そのものが勇者の見た幻の中で行われていることであるという性質上、この前後関係を詳細に確定することは極めて困難だと考えている。従って現時点では現行の記述を改訂することは考えていない。
第七十四話:ハイラル城西側の中庭について
別の語り手によれば、勇者リンクは城の前庭から西側の中庭に侵入し、櫓の上に陣取ったボコブリン弓兵たちを倒した後、隠された墓地を発見したという。そこで勇者は新たな鍵を見つけ、後に城の中心部で高額ルピーをはじめとする多くの財宝を隠した部屋にたどり着いたとされる。ただ、財宝があったとしてもそれはハイラル王家のものであり、魔王との戦いを目前にした勇者がそれらの財宝に手をつけたというのはやや疑問が残る話ではある。そのため筆者はこの件を割愛することとした。
第七十四話:鎧武者の人数について
一部の語り手は、勇者リンクはガノンドロフに占領されたハイラル城の内部で延べ四名の鎧武者たちと戦ったとする。筆者の版の記述はこれとは異なっているが、その人数の鎧武者が城の内部に存在したということに関しては極めて信憑性が高いと同意する。というのも、ハイラル城解放後も、城のある一角には魔物が立て籠っているという噂が一時期流れ、その部屋を開かずの間として数か月間の間封じていたというのである。ある時ようやくその区画を開けると、その中の床には二体分の鎧が転がっていたという。これは勇者リンクが倒したのだという解釈もありうるが、いずれにせよ魔王ガノンドロフは勇者を迎え撃つため同じ鎧武者を複数人蘇らせたというのは間違いない。
第七十五話:四勇士の活躍について
語り手によっては、ラフレル、モイ、アッシュおよびシャッドの四人はリンクに襲い掛からんとしていたブルブリン弓兵二匹と、若干の数の蜥蜴男どもを倒したのみであり、それほど激しい戦いには従事しなかったとする者もいる。しかし筆者の解釈では、勇者がハイラル城中心部に侵入している間も前庭および東西の中庭には相当数の魔物どもが残っていたと考える。時間軸は多少違えども、それらの掃討は城づきの兵士たちではなく四勇士によって行われたということについては筆者は確信を持っている。
第七十七話:妖精の助けについて
ある語り手は、魔王との戦いの最中、リンクが力尽きたときに地面に転がっていた頭蓋骨から妖精が飛び出て勇者を癒したという。この妖精による癒しの働きに言及する語り手は少なからずいる。ただ、妖精の存在については目撃証言が少なく、語り手によっては勇者の冒険の中でまったくこれに触れないこともある。そのため筆者はこれを割愛することとした。
第七十九話:マロの帰村について
ある語り手はマロはカカリコ村には残らずモイと他の子供たちとともにトアル村に帰ったとしている。筆者は、もしもマロが城下町進出の悲願を果たした後であればそのようなこともありうると考える。ただ、いずれにせよ二つの店舗の運営責任者となるに至ったマロが、一時帰村ではなく恒久的にトアル村に留まるということは考えにくいというのが筆者の意見である。実際城下町の二号店は大成功を納め、町民がこぞって「マロマートの踊り」を覚え広場で踊ったという事実を考えると、マロは緑の勇者の冒険が完結した後も実業家として長らくハイラル全土を股にかけ活躍したと考えるのが自然であろう。
第八十話:城下町セレブショップの買収について
別の語り手によると、城下町セレブショップの買収は勇者が冒険を行っているうちに完了したという。買収後の店舗では商品が通常の価格で買えるようになり、またある語り手によると勇者はこの店で魔法の鎧を購入したとする。あり得る話ではあるのだが、確たる多数の証言が得られなかったため本稿では買収の完了を勇者の冒険後としている。