ストレスフリーの異世界に転生したはずなのにストレスフルで死にそうです助けて!!   作:kayako

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最終話 これぞ最後の最強術!!

 

 この事態に、当然女神様は大慌て。

 

「な……何を、ルーナ!? 

 まさかアナタ、ホントに堕天使になっちゃったのデスカ!?」

 

 あぁ、散々駄天使駄天使呼ばわりしていたらこうなってしまったということか! 

 ルーナは女神様を見下ろしながら、ケタケタと笑う。

 

「だって、ぽっと出のサブヒロインが主人公をかっさらうとか、最悪の悪手でしょう~

 ね、女神様♪」

「ぽっと出? わ、ワタシのことデスカ?」

 

 ぽかんとしてしまう女神様に、くわっと目を剥くルーナ。

 まさかこの世界でこんな女の戦いが始まるとは。

 

「貴方以外に誰がいるんです! 

 私は最初から、銀さんたちを一生懸命サポートして頑張ってきたのに、駄天使だのアホウサギだの散々に言われた挙句、最後はこんな仕打ちですか!?」

「お前最初から超面倒そうなサポートしかしてなかっただろ」

「銀さんのそのツッコミも飽きました! 

 もうキレたから、私、本物の堕天使になります!」

 

 

 そう言いながらはんぺんと玉露を抱え、黒い翼をはばたかせて空へ舞い上がるルーナ。

 

「ストレスもエロも血しぶきも、絶対ありえません! 今のトレンドは追放ざまぁです! 

 よくも銀さんも女神様も、みんなで私をぶっ叩いてイジメまくってくれましたわね! ちょうどいいから私、悪役令嬢として全員に復讐しますわ~!」

「お前令嬢でも何でもないだろ!」

 

 というか何で口調まで変わってるんだあの駄天使。

 

「そうだ、この際だからタイトルも変えちゃいましょう。『異世界から追放された堕天使令嬢、転生者たちに復讐する! ~私がいたから貴方たちは転生出来た癖に~』 これ、ウケると思いませんか!? 

 というわけで、貴方がたをざまぁしてやりますわ! ついでに一族郎党皆殺しにしてやりますわ!! ざまぁ~!!」

 

 

 何を言い出したのか、さっぱりワケが分からん。

 追いかける俺。口々に突っ込むはんぺんに玉露に女神様。

 

「タイトルに『令嬢』が入ってるからってウケるとは限らないよルーナちゃん!」

「そうですよ、『触手令嬢』ってタイトルにした時の悲惨なPV知らないんですか!?」

「一族郎党って、関係ない人たちまで巻き込んじゃイケませんよルーナ~!」

 

 しかし俺たちが必死で追いかけても、ケタケタ笑い続けて滑空するルーナは意外と素早い。追いつけない。

 

「し、仕方ない! こうなったら――」

 

 ――俺は覚悟を決め、例の禁断の術を使った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、12行か。

 いつもの倍の行を消費したが、何とか丸くおさまったな」

「星が爆発するレベルの大災害が5回ぐらい起こった気がするけど、何とか全部元に戻れてよかったね」

「人類どころか神々さえ全滅するレベルの大戦争が10回ぐらいあった気がしますが、平和になって良かったです。阿鼻叫喚をあんなに間近でたくさん見られて大満足でしたし♪」

「ワタシ30回ぐらい一族郎党皆殺しを喰らいましたが、何とか皆復活出来てほっとしたデス」

 

 気が付くと俺の目の前には、解放されたはんぺんと玉露。ほっと胸をなでおろす女神様。

 そして、頭にドデカいたんこぶを作ってのびているアホウサギがいた。

 翼の色も黒から白に戻り、すっかり浄化されたようだが、それでも……

 

「う……うぅ~! 

 こんなオチは認めません、私は絶対にぃい~!! 

 私と戦いながら、結局世界がどうなったか分からないオチでも良かったじゃないですか~!!」

「いや、それこそ感想欄に何書かれるか分からんから」

「いよいよぶっちゃけ始めたね銀ちゃん」

「うぅ……ふぇえ~ん……

 3人のクズと駄女神相手にざまぁをかます追放天使……絶対ウケるはずなのにぃ~!」

 

 それでも未練がましく手足をジタバタさせ泣きじゃくるルーナ。

 そんな彼女に、俺はそっと手を差し伸べた。

 

「ルーナ。お前のおかげで、俺たちは散々酷い目にも遭ったが――

 最初に俺たちを転生させてくれたのは、間違いなくお前だ。

 それからも、滅茶苦茶面倒がりながらもずっと一緒にいてくれた」

「えっ?」

 

 俺の言葉が意外だったのか、顔をあげてまじまじと俺を見るルーナ。

 はんぺんや玉露も、思わずのけぞっている。

 

「ぎ、銀ちゃん、まさか?」

「いや、それはさすがによもやよもやですよセンパイ……」

 

 そんなツッコミも無視して、俺はルーナに囁いた。

 

「だからこれからも、俺たちと一緒にいてくれないか。

 どんなに駄天使でもアホウサギでも、やっぱりお前は――

 俺たちの天使なんだから」

 

 そんな俺の言葉に、ルーナの赤い瞳に涙がにじんだ。

 

「ぎ、銀さん……」

 

 

 ――だがルーナ。俺が今からお前に言うのは、そこまで甘い言葉じゃない。

 俺が、俺たちが、そう簡単にお前を許すとでも思っているのか。

 俺たちの異世界生活をがストレスフルになった最大の原因は、お前が色々忘れてたし色々無知だったせいだろう!! 

 

 

「だから……

 余計な茶番してないでさっさと元通り、はんぺんと玉露の世界でざまぁされろやクズウサギ」

 

 

 赤く染まりかけていたルーナの顔が、予想通り真っ青になる。

 

「い、いやぁああぁあ~! 

 何気に銀さん、一番のクズじゃないですか!?」

「お前にクズ呼ばわりされる筋合いはない。

 はんぺん、玉露、頼んだぞ!」

「「イエッサー!!!」」

 

 魔法のステッキを構え、ずずいとルーナに迫るはんぺんと玉露。

 女神様もにっこりと微笑みながら、彼女に近づく。その手にも当然ステッキが握られ、今にもあの三日月ボタンが押されようとしていた。

 

「ついでにルーナ、ワタシの好きな世界も見ていきませんカ? 

 貴方はいつもあれだけ嫌がったけど、ハマってみれば良いモノデスよ?」

「い、いや、遠慮しときますぅ!!」

「ホ×が嫌いな女子なんていませんよ~」

「アレ違いますから! ちゃんと普通に嫌な女子だっていますから!! 

 ぎ、ぎゃあああぁあああぁ~~!!!??」

 

 

 

 ――ルーナがその後、ストレスやエロや血しぶき、そしていわゆるBLを好きになれたかどうか。

 そして、『ウナロ』の未来がどうなったのかは――

 神のみぞ知る。

 

 

 

 

 おしまい

 





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