呪術?呪霊?何それしらない 作:何も知らない人
自分を刺している男に対して悟君は質問を投げかける。
「あんた、どっかで会ったか?」
その声は無理をしていそうな声だった。男は刀を抜くことなく答えた。
「気にすんな、俺も苦手だ。男の名前覚えんのは」
その回答を聞くと同時に悟君は男に向かって蒼を放ち、吹き飛ばされた男に対して傑君がカブトムシの幼虫みたいな呪霊をけしかけた。俺は長めのナイフみたいな呪具を取りだし、構えた。
傑君の呪霊はそのまま男を飲み込んで近くの石の上に落下した。すぐに傑君が悟君の心配をして駆け寄ったが悟君は問題ないと言った。
「術式は間に合わなかったけど内臓は避けたし、その後呪力で強化して刃を何処にもひかせなかった。ニットのセーターに安全ピン刺さったみたいなもんだよ。マジで問題ない」
ならいいんだけど...
「それより天内優先!アイツの相手は俺がする」
悟君はストレッチを始める。石の上の呪霊が少し動いた。
「傑たちは、先に天元様の所へ行ってくれ」
死亡フラグじゃん!...なんてふざけられる空気感じゃないな。
「ほら行くよ!いつあれの腹ん中から出てくるか分かったもんじゃない」
みんなを先導するように薨星宮へと続く道へ向かう。はい!と言って黒井さんと星漿体ちゃんは着いてきてくれる。傑君は少し考えた後、悟君に油断するなと伝えてからついて来た。
薨星宮に入り、エレベーター(こういうとこだけハイテクだなぁ...ありがたいけど)に乗って本殿へと向かう。エレベーターが最下層に着き、全員が降りたところで黒井さんが口を開いた。
「理子様、私はここまでです。理子様どうか、どうか...」
黒井さんは泣きそうな顔で喋ろうとするが星漿体ちゃんが抱きしめたことで止まる。
「黒井...大好きだよっ。ずっと、これからもずっと...」
背中しか見えないので分からないが恐らく星漿体ちゃんも泣きながら言い、黒井さんも抱き返しながら私も大好きと言葉を返す。
「・・・こっから先は二人で行ってくんない?」
傑君にそう言うと傑君は少し驚いたような表情をして何故か訊いてきた。
「疲れたから?あともし天元様に会った時失言しそう」
俺がそう言うと傑君は少し笑って了承してくれた。
それから傑君と星漿体ちゃんが本殿に行くのを見送ってから呪具を仕込みまくってある上着を端の方に投げ捨て、さっき出した呪具を持ってエレベーターの前に立った。
「あの...いったい何を」
「黒井さんも端に寄っときな。あの男が多分こっち来るから」
それを聞いた黒井さんは分かりましたと俺の上着近くまで寄った。
その瞬間エレベーターの扉が開き、さっきの男が出てきた。
「やぁ、さっきぶりだねおっさん」
「あぁ?なんだ着いて行ってねぇのか」
「一応聞いとくよ、悟君はどうした?」
「その感じじゃ分かってんだろ?」
やっぱ死んだか...惜しい人を亡くした。そうしてるうちに男は呪霊を吐き出し、体に巻き付けた。
「じゃあ、やるか」
男がそう言った瞬間男の姿が掻き消えいつの間にか宙に浮かされていた。
(速っ!?)
宙に浮かされたまま蹴られ、壁にめり込む。そこにどっから出したのか分からない刀で切りかかろうとしてきたので急いで脱出する。
「もうちょっと手心とかさぁ!」
その叫びに一切反応することなく跳んでくる男。それを間一髪で躱す。
(あっぶね!?マジで気が抜けない)
「あ~...素直に引くってんなら見逃してやるがどうする?」
「ハハハ、冗談」
呪具を構えて男の一挙手一投足を見逃さないようしっかりと見る。
「そうかよ」
男は真っすぐに斬りかかってきた。反射的に呪具を刀に合わせ、軌道を変えようとしたがまるでバターのように切られた。呪具を突き出すと同時に身を引いていたため真っ二つ!となる事は無かったがそれでも致命傷は避けられなかった。男は間髪入れずに蹴りを入れる。
「はぁ...まだちょっと鈍ってたな」
男はそう独り言を言った後傑君達の方へと向かった。
(あ~...ダメだこれ。血ぃ出すぎ。死ぬ死ぬ)
黒井さんが駆け寄って来ているが返事なんてできそうもない。視界もぼやけてきたし...
ゴンッ!
「痛ってぇなぁ!」
死に掛けの脳で人生を振り返ってたわけだが...思ったんだよ
「どうせ死ぬならあいつも道ずれにしてやんよ」
黒井さんはおらず上着も持ってかれたのか消えていた。
ふらふらの状態のまま傑君達の方へと歩を進める。意識が飛びそうになったら壁に頭を打ち付けて起きる。
なんか一部が崩れていたのでそこを見ると傑君がぶっ倒れていた。
「傑くぅん...あのおっさんどこ行ったかわかる?」
・・・返事がない。ただの屍の様だ。まぁいい、どうせ盤星教の手先でしょうに、本拠地行けば分かる。
ぼたぼたと血を流しながら盤星教の本部へと赴く。ここからそう遠くはなかったはずだ。
「待ってろおっさん...ぶち殺してやっからよぉ!」
んぁ?悟君とおっさんが対峙してる...
「なぁ...俺も混ぜてくれよ」
俺の声に反応して二人がこちらを向いた。
「反転術式っ!?」
多分悟君は反転術式やろな。んでこの人は俺もそうだと言っている...
「残念!俺は気合で立ってるだけ!アドレナリン切れる前にぶち殺してやるからよぉ!」
「正解っ!お前に喉ぶち抜かれた時、反撃は諦めて、反転術式に全神経を注いだ」
さてぇ...どうやって殺そうかなぁ?アドレナリンのお陰か知らんが今なら何でもできそうな気がする!
「敗因?勝負はこれからだろ」
おっと、どうやら悟君とおっさんの会話が続いていたらしい...
おっさんは呪霊から変な形状の短剣を取り出して構える。
おっさんが動く前に接近し、短剣の刃の部分を持っておっさんから取り上げる。なんか腕が悲鳴を上げてるけど知ったこっちゃない。
おっさんは信じられない物を見るような目でこっちを見てるけど...そんなんでいいのかね?
悟君から赤い何かが出たと思えばそれはもろにおっさんに当たった。おっさんは向こうの建物まで吹き飛ばされた。悟君はいつの間にかそちらに移動していたので俺も足に目いっぱい力を込めて跳ぶ。
移動したときにはおっさんは口元の血をふき取り、ストレッチをしていた。
そして俺を視界に入れた瞬間例の刀で切りかかってきた。反射的に短剣で防いだのだがなんと短剣は切れる事無くしっかりと鍔迫り合いどころかはじき返すことが出来た。
「ハハッ!こりゃあいい!」
おっさんはチッ!と舌打ちをして逃げようとするが...
「逃がさんよ????」
短剣をぶん投げ、的確に健をぶった切る。それによっておっさんはよろけた。勿論そんな隙を見逃すわけも無く、追撃しようとした時、嫌な予感がして飛びのいた。その数瞬後、俺のいたところを通っておっさんに向かって紫色の何かが向かって行った。それは見事おっさんに当たり、おっさんの半身をえぐり取っていた。
「は、ははは...肝心なとこで取られるのな...」
まぁ、満足。といったところで俺は意識を手放した。
ちょっと強引だったかも...ってな感じで今年の更新はラスト!
皆さん!良いお年を!
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