転生大魔族は生き残りたい   作:Yk7

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大学が忙しい。
モチベ次第で更新が早くなったり遅くなったりします。


9話

 

とりあえずボク達は案内された宿でそれぞれ部屋を取り、バンディにはボクの部屋に来てもらった。

 

「おいおい、マジで治せんのかぁ?」

 

「うん、多分ね」

 

うーん、相変わらず言動が賊っぽい。彼の為人を知ってから見れば、今の発言も魔法の凄さに期待しているだけだと分かる。顔が笑ってるし目が輝いているからね。

 

「それじゃあ、早速だけど、やるね」

 

そう言って、彼を視界に収めた状態で、魔法を発動する。

 

傷病を移す魔法(モーデハイト)

 

すると、バンディの身体が突然光り出し、その光が収まると、ボロボロだった身体がもとの無傷な状態になっていた。

 

「お、おおおおおおお!!すげぇ!これが魔法かよ!すごすぎだろぉ!」

 

そう言って騒いでいるバンディを放置して、ボクは自身の身体に意識を向けていた。

 

ふーむ、見た感じでは傷はどこにもない。これはどういうことだ?確かに魔法は発動したし、実際バンディの怪我は治っている。

 

魔族の身体にとっては怪我ですらなかったのか、傷は移っているが何らかの理由で見えていないだけなのか。例が少ないから分からないなぁ。でもまあ、一つの結果として覚えておこう。これから研究すれば、いずれこの原因も分かるはずだ。

 

「よし!とりあえず治療は終わり!どこか違和感とかない?」

 

「あぁ、問題ねぇ。今すぐにでも戦えるぜ!」

 

肩を回しながらバンディはそう言った。うん、ボクから見ても問題なさそうだね。

 

「でけぇ借りを作っちまったな。なんかして欲しいこととかあるか?」

 

「良いよ。ボクにも実際に魔法を使ってみる、っていうメリットがあったから。それに、この村に来れたのは君達のおかげだしね。お互い様だよ」

 

そう答えると、まだ納得がいかないような顔をしていたので、話を変えることにした。

 

「ところで、怪我は治った訳だけど、すぐこの村を出るの?」

 

「そうだなぁ。金払っちまったし、どうせなら一泊だけするつもりだ。その間に色々と必要なもんも調達出来るしよ。そっちはどうすんだ?」

 

うーん、すぐに出て行っても良いんだけど、別に急ぐ旅でも無いからなぁ。

 

「……そうだね。一週間くらい居ようかな。少しやりたい事もあるし」

 

「そうかい、なら明日にはお別れだな。んじゃあ俺はそろそろ部屋ん戻るぜ。デイブのやつも待たせてるしな。……まじで助かったぜ、ありがとよ」

 

「うん、もうあんな無茶はやめなよ」

 

「そりゃあ約束しかねるぜ!男には、やらなきゃならねぇ時があんのよ!」

 

そう言って彼は部屋を出て行った。良い人ではあるんだろうけど、ボクには理解できないタイプの人だなぁ。

 

 

 

 

 

翌日、言っていた通りバンディとデイブは村を出発した。

 

それじゃあボクも、昨日言っていたやりたい事を始めようかな!

 

そのやりたい事とは、村の人達の怪我や軽い病気を治すボランティアだ。バンディの傷を治した時から考えていた事だが、ボクの魔法は移すにしても移されるにしても対象となる人が必要だ。だからこそ、実験を兼ねた実践として、これが一番効率が良いと思ったのだ。

 

村長にそのボランティアの事について話す(魔法については治療魔法だと説明した)と、薬が無くて困っている人がいるから是非と言われた。村長自身にもどこか悪いところがないか聞いてみると、最近腰痛が酷いと言われたから早速治してあげた。

 

「こりゃあ驚いた。魔法って凄いんだねぇ、本当に痛みが消えたよ。ありがとうね」

 

「……うん、どういたしまして」

 

……よし、どんどんいこう。

 

村長に案内してもらい、怪我で困っている村の人の傷を移していく。最初は畑仕事で腕を切ったお爺さんを。

 

「ありがとうなぁ」

 

次に、屋根の修復作業中に落ちて足を挫いたお兄さんを。

 

「ありがとな!」

 

次に、広場を元気に走り回っていて転び、全身を擦りむいた子どもを。

 

「お姉ちゃんありがとう!」

 

そして、病で寝込みがちだった少女を。

 

「嘘みたい!本当にありがとうっ!」

 

 

ある程度移し終わって、ボクは村の広場のベンチに座っていた。

 

……ありがとう、か。

 

ボクは自身の掌を見つめる。

 

「ボクの魔法でも誰かを救えるんだ」

 

「そうですねぇ」

 

「わ、村長さん」

 

独り言のつもりで言った言葉に、背後から反応が返ってきて驚きながら振り向くと、村長がいた。

 

「何を悩んでおられるのかは分かりませんが、少なくとも我々は貴女様の魔法に救われました。それが事実です」

 

「……そっか」

 

「改めて感謝を」

 

「ははは、何だか照れ臭いね」

 

でもそっか、魔族(ボク)の魔法でも人を助けられるんだ。

 

それから約一週間、村に薬が届けられるまで、ボクは村の人の傷や病を移し続けた。ただ、感謝されるのは嬉しいんだけど、聖女様と呼ぶのは勘弁して欲しい。ボクは聖女って柄じゃないよ……。

 

まあそんな感じで感謝されながら村を出発した。この一週間、傷病を移す魔法(モーデハイト)を使い続けて分かったことがある。ボクの身体は常に、人類に擬態する魔法(マニミメーゼ)によってエルフに擬態している。そう、文字通り擬態しているのだ。()()なエルフの身体に。

 

例え傷病を移す魔法(モーデハイト)によって傷を移したとしても、それを上書きして擬態している為、傷が可視化されないのだ。

 

そして、魔族としての肉体の耐久性と再生力は、人間と比べて遥かに高い。それは原作のリュグナーさんを見ても分かる。

 

この二つの性質が奇跡的に噛み合うことで、

ボクの身体に傷を移す→圧倒的な治癒力で短時間で治す→結果的に傷が表面化しない

というループが完成しているのだ。

 

ただ、ここからは仮説だけど、致命傷を移した場合や許容量を超える傷、例えば欠損を移した場合には、流石に擬態では誤魔化せないと思われる。これに関してはこの先、何か対策を講じないとね。万が一、ボク自身が致命傷を負った時とか、誰かが大怪我をした時に困るから。

 

そして、病に関してはおそらく、魔族にそういうものが無いのかも知れない。だから病をボクに移しても何ともない。魔族は肉体が魔力で構成されているらしいし、そうだとしても納得がいく。

 

と、魔法についてはこんなところか。

 

これから先もボランティアで人々を助けつつ、魔法の研究に勤しむとしますか。

 

ボクは、これからの方針を固めたところで、旅を続けるために歩みを進めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

──旅を始めてから約200年──

 

 

「お前が聖女とか呼ばれてる同族(エルフ)か」

 

「……」

 

ボクは、とある森の中で見覚えが有りすぎるエルフに遭遇していた。

 

これボク死ぬのでは?

 




圧倒的急展開!!

大学も忙しいし、課題もやらないといけないし、バイトもあるし、好きなゲームもしたいし、執筆もしたい。
やるべき事とやりたい事が多すぎる。一日30時間にならないかな。
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