転生大魔族は生き残りたい   作:Yk7

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大変長らくお待たせしました。テストが終わったと思いきやまさかのコロナに罹りまして、しばらくダウンしていました。ある程度は体調が良くなりましたので、これからは以前のように最低週一のペースで投稿できると思います。


14話

 

「後は頼むよ

 

 

 

 

 

 

 

ゼーリエ」

 

「何を言って、っ!?」

 

べスティはボクの言ったことに困惑していた。しかし次の瞬間、今にも街を襲おうとしていた魔物達が次々と魔法によって倒されていく。炎で焼き尽くされたり鋭い氷の槍で貫かれたり多彩な魔法が空から降り注いでいる。

 

やっぱり魔物の軍勢みたいな雑兵には範囲攻撃が効くなぁ。ボクにはそういう魔法使えないから、正直結構キツかったんだよね。

 

「今回も要らん横槍だったか?」

 

背後からそう声をかけられて振り返れば、ゼーリエが不敵な笑顔を浮かべて立っていた。

 

「いや、普通に助かったよ。正直ゼーリエが来なかったら危なかった」

 

「ふん、3体いたはずの言葉を話す魔物の内、2体を倒しておいてよく言う」

 

「本当だってー、実際街を襲われそうだったでしょ?」

 

「なんでっ!お前がここに居るんだ!来るにしても早すぎる!」

 

ボクとゼーリエが軽口を叩き合っていると、信じられないと言うようにべスティが言った。

 

「見覚えのある魔力が制限まで解放して戦っていたからな。気になるのも仕方がないだろう?」

 

「……わざわざ戦闘の前に制限を解いたのはそう言うことか!」

 

魔力の制限解除の別の意図を知ったべスティは、苦虫を噛み潰したような顔でそう言った。

 

「おお!一応それも期待してはいたけど、まさか本当に気付いてくれるなんてね。流石ゼーリエ!」

 

「だが…私を呼んだならばお前は時間を稼ぐだけで良かっただろう。なぜわざわざ勝負に出たんだ?」

 

「ふふ、逆だよ。ゼーリエが来るって分かったから勝負に出たんだよ。奴等がゼーリエに気付かないようにってのもあるけど……仮にボクが失敗しても君ならどうにかしてくれるって信頼してたからね!」

 

「……出会って僅かの癖に何が信頼だ」

 

「あはは!そういえばそうだったね!」

 

ボクにとっては出会う前から知ってた人だからなぁ。口では辛辣なことを言うのに、その実魔族に全てを奪われた幼いフランメを弟子に取るくらいには面倒見がいいし。それ以降に取った弟子のことも全員覚えていたし。少なくとも悪い人ではないことは知ってるよ。

 

「そんなことよりさっさとコイツを片付けるとするか」

 

「くっ」

 

ゼーリエはそう言いながらべスティに視線を向けた。

 

「お前達!私が逃げる時間を稼げ!」

 

その言葉によってべスティが使役する魔物が、ボクとゼーリエを取り囲んできた。この状況でもまだ逃げようとするなんて、往生際が悪いね。

 

「ふん、この程度で足止めが出来ると思っているのか」

 

そう言ってゼーリエがパチンと指を鳴らすと、彼女の背後に無数の魔法陣が現れ、白い光線が正確に魔物を撃ち抜いていく。これはボクが手伝う必要も無さそうかな?

 

「そして、この手の魔法を使う輩には、徹底的に本体を狙うのが効く」

 

ゼーリエはそう付け加えて、右の手のひらをベスティに向かって突き出した。手のひらの先にも新たに魔法陣が浮かび上がり、そこから放たれた光線は魔物では無くべスティを目掛けて飛んでいく。

 

「くっ!」

 

べスティは自身に向けられた光線を魔物を操り盾とすることで防いでいる。しかし、それを見たゼーリエは動じることなく再び光線を放った。さっきと同じかと思いきや、今回の光線は飛んでいく最中に幾多にも枝分かれし出した。

 

「くっ…この、物量……捌き…切れな」

 

べスティは前後左右あらゆる方向から飛んでくる光線を魔物で防いでいたが、とうとう防ぎ切れずに腹部を貫かれた。

 

「お前が、恐れられる……理由が…よく分かった…この…化け物、め」

 

べスティはそう言い残して灰になった。最初から圧倒的な物量で抑えつけ、防戦一方にさせて攻勢に転じさせない。単純故に強力だね。

 

…原作知識で知ってはいた。彼女が強いってことを。でもこの一戦を見て、改めて底が知れない。

 

 

絶対、正体バレないようにしよう!

 

 

ん?べスティが操っていた魔物まで全て倒し切ったゼーリエが、不自然にその場に立ち尽くしている。一体どうしたんだろう?

 

「どうしたの?…あ、もしかしてさっきべスティに言われたこと気にしてるの?化け物だ。って」

 

だとしたら意外だね。ボクの知ってるゼーリエってそういうこと気にも留めないイメージだから。

 

「馬鹿かお前は。魔物がいちいち言うことを気にするわけが無いだろう。こいつらの言葉は一字一句まで人類を惑わす為にある。…ただ」

 

「ただ?」

 

「最近の魔物共との戦いはつまらんと思っただけだ。長く生きた魔物はここ数百年で私が狩り尽くしてしまったからな。若い魔物は使う魔法に芸がない」

 

うへぇ、何言ってるんだろうこの子。ボクからしたらべスティ達も普通に厄介だったんだけど。なんとなく分かってたけど、ゼーリエって魔法に対しては変態的だよね」

 

「おい、フェルシュ。誰が変態だ。喧嘩を売ってるのか?」

 

「え、もしかして、口に出してた?」

 

「ああ、ガッツリとな」

 

そう言ってゼーリエは、目が笑ってない笑顔でボクを見上げた。

 

「……」

 

「……」

 

「…てへっ」

 

「……」スッ

 

ボクに向けて手のひらを向けるゼーリエ。

 

「わあああ!冗談!冗談だから!ごめんなさーい!君の魔法受けたら死んじゃうって!」

 

「お得意の魔法で治せばいいだろう?」

 

「…え?嘘だよね?まさか本当に撃たないよね?」

 

「…ふ、冗談だ」

 

ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべてそう言ったゼーリエに、ボクは割と本気で胸を撫で下ろした。原作のゼーリエは冗談とか言わなそうだから本気で焦ったよ。今の頃のゼーリエは意外とお茶目なのかな。

 

「さっさと街に戻るぞ」

 

「それもそうだね」

 

ボクは、街に向かって歩き出したゼーリエの後を付いて行った。




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