転生大魔族は生き残りたい   作:Yk7

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一週間と言いつつ遅くなりました。今回、書くの難しかった。


15話

 

ボク達が街に戻ると人々が盛大に出迎えてくれた。街中の人から感謝を告げられるとボクは頑張って良かったと思えた。けど、ゼーリエはこういうことはどうでも良いって感じだった。

 

チヤホヤされるのが苦手なのかな。そういうところはフリーレンと似てるから、もしかしたらエルフはみな共通して人との関わりに興味が薄い性格なんだろう。それも長命種の感覚故、か。

 

その夜、街では魔族を倒した事を祝って祭りが行われた。

 

もちろんボクとゼーリエも誘われた。ゼーリエは嫌がっていたけれどボクが強引に引っ張って連れていった。

 

屋台も出て街中がとても賑わっているし、参加している人々は一様に明るい顔をしていた。そんな風に街の様子を眺めているとゼーリエが話しかけてきた。

 

「なぁフェルシュ。お前はなにをそんなに遠慮しているんだ?お前がエルフにしては珍しく人間と関わるのが好きなのだろうことは見ていて分かった。だが、今お前はこの祭りの主役だというのに人々を遠巻きに見ているだけだ」

 

「…ただ喜ぶ姿を見たいだけかもよ?」

 

「そうかもな。ならば私に対する態度が他と違うのは何故だ?ほぼ初対面なのにも関わらず信頼していると言っていたことが関係しているのか」

 

「それは…」

 

洞察力すごいなぁ。一体どう説明すべきか。まさか出会う前から知っていたなんて言える訳ないしね。それに、彼女の言っていることもあながち間違いじゃない。

 

「別に私はお前の過去になど興味は無い。ただお前の態度が疑問なだけだ。フェルシュ、お前は性格はともかく強い魔法使いだ。魔法使いが他人を慮ってどうする。お前はもっと好きなように生きるべきだ」

 

「ははは、それだとただの自分勝手な奴だよ」

 

「知らなかったのか。魔法使いとは自分勝手に魔法を追求するもののことだ」

 

横目でゼーリエの顔を伺うとニヤリと笑みを浮かべていた。…深入りはされなそうだし、少しぼかして話してみようかな。

 

「……ボクはね、ゼーリエ。もう随分と前のことなんだけど、もともと小さな村で特に目的も持たずに生きていたんだ。その村の人はボクにすごく良くしてくれてさ。居心地が良くて長い間そこに滞在してたんだ。

……でも、ある時に魔物の襲撃を受けた。結果的に村人は全員無事だったんだけど、そこでボクは重大な失敗を犯した。仕方がなかったとは言え村の人達を裏切るようなことをしてしまったんだ。そしてそのまま成り行きで村を飛び出した。その後はこの前話した通り、新しく出来た友達に言われた事がきっかけで人助けを始めたんだ。それも今考えれば、他人を助けることで自分は正しいことをしたのだと信じたかったのかもね。今でも時々考えるんだ。あの時の選択は正しかったのか。って。…えっと、要するに…その…あれ?」

 

ボクは自身の過去についてゼーリエに話すと、色々と思い出してしまってうまく言葉にまとめる事が出来なくなってしまった。ゼーリエは呆れたようにため息を吐いた。

 

「やはりお前は魔法使い向きの性格ではないな。繊細すぎる。そんなこと気にする必要など無いだろう。そもそも人を助けるという行為自体が自己満足だ」

 

「…そうかもね」

 

「…私は人間のことはよく分からん。だが、たとえ裏切られたのだとしても命を救われたならば普通は感謝される事だろう?ならばその村の奴らも感謝していると思っておけば良いではないか」

 

髪を掻き乱してから少し不機嫌そうな顔で彼女はそう続けた。…もしかしてゼーリエ、ボクのこと励ましてくれてる?

 

「…うん、そうだね。そうだと良いなぁ。あはは」

 

「何が可笑しい?」

 

「いや、ゼーリエって意外と優しいんだね」

 

「何を言ってる?私はただお前の態度が気に入らなかっただけだ」

 

不器用なところはボクの知るゼーリエだ。と、そんなことを考えているとボクのお腹が鳴った。

 

「ボクお腹空いたや。どこか食べに行こうかな。ゼーリエはどうする?」

 

「私は気分じゃない。適当な魔法店にでも行っている」

 

「了解。じゃあまた後で」

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

ゼーリエと別れたボクはご飯を食べる為に、外から見ても賑わっている事がわかる宿屋に入った。1階が酒場のようで食事が出来るようになっており、祭りという事もあってかかなりの人が騒ぎながら飲み食いしていた。

 

「いらっしゃい!あら、フェルシュ様じゃない!」

 

「おお、聖女様!魔物共を退けてくれて本当に助かったぜ!」

 

「ありがとうよ!聖女様〜!」

 

「あはは…」

 

「ほら!酔っ払い共!フェルシュ様に絡むんじゃないよ!フェルシュ様、こっちの席に座りな」

 

酔っ払っている人達に絡まれながらなんとか案内された席に着いて、手渡されたメニュー表を開く。

 

「フェルシュ様、うちに来るのは二度目だよね?また来てもらえるなんて光栄だよ」

 

そう言われて気付いた。そういえばこの場所、ボクがこの街に来た時にご馳走になったところだ。あの時は先に用意されていたものを食べたから、メニューは見てないんだよね。今回は何を食べようかなぁ。ん?

 

「……え、これ、って」

 

ボクはメニュー表の中で一つだけ異質な名前をした料理を見つけてしまい、その()()()()()()名前に思わず動揺した声が漏れた。

 

「ああ、そのシチューかい?おかしな名前だろう?そのシチューだけはかなり昔からその名前なんだよ。なんでも昔助けてもらった恩人の好物だったらしいよ。当時の女将の遺言でずっとその名前なのよ」

 

ボクがそれを見ていることに気づいた女将さんが笑いながらそう説明してくれた。

 

「フェルシュ様、気になるならそのシチューにするかい?」

 

そう聞いてきた彼女(あの子)と同じ茶髪の女将さんに辛うじて頷く。少しして運ばれてきたシチューを、震える手で持ったスプーンで掬って一口飲む。

 

「……あぁ、やっぱり、いちばんおいしいなぁ。グスッ」

 

あの時言っていたことをまさか本当にするなんてね、ニーエちゃん。みんなを騙していたボクのことを恩人だと思っていてくれてたんだ……。ゼーリエの言った通りだったなぁ。

 

その後、宿屋の人達に本気で心配されたのは言うまでもない。




料理名はあえて描写しませんでした。
ニーエちゃんが言っていたままかも知れませんし、フェルシュに想いを伝えるために少し変わっていたのかも知れません。
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