前回の解
「あんた達……せっかく替え玉無料にしてあげたのに!! この恩知らず!!」
「うっ……それはそれ、これはこれよ! クライアントから依頼された以上、任務は遂行する。『情け無用』と『金さえもらえればなんでもやる』が私達便利屋68のモットーなんだから!」
「どっちにしろ、追っ払うのには変わりない。傭兵もだいぶ削ったし、早めに帰ってもらう」
おやおや、険悪だね。まあこうなるように放っておいたのは僕なんだが。それにしても、アルちゃんもなかなかやるね。まさかセリカちゃんとシロコちゃんの2人を相手にして全く互角とは。
「消えてください消えてください消えてください消えてください消えてください!!」
「まさかそのまま突っ込んでくるなんて……怪我するのが怖くないんですか!?」
『突っ込んで来ているように見えても、しっかり機会を伺って攻めてきています! 警戒を怠らないでください!』
ハルカちゃんも見かけによらねえな。ノノミちゃんのガトリングガンを恐れる素振りもなく、少しずつ距離を詰めて行ってる。アヤネちゃんのサポートが無ければ、ハルカちゃんはすでに勝っていたかもしれないね。
「おじさんの貴重なお昼寝の時間を奪った罪は重いよー。覚悟してね?」
「あははっ、ちょーっとこれはキツイかも……!」
「はあ……いくらなんでもこれはない。全く割に合ってないよ」
カヨコちゃんとムツキちゃんは……相手が悪いか。流石にホシノちゃんの相手は二人がかりでも厳しいらしい。それでも拮抗させてるだけ凄いとは思うけど、多分ホシノちゃんはまだ本気じゃねーな。
さて、どこから行こう……いや、一択だなこれ。比較的余裕を持ってるアルちゃんを崩しちまえば、多分便利屋全体が一気に瓦解するだろ。
そうと決まれば話は早い。気づかれないように「
「やあアルちゃん、さっきぶりだね」
「きゃあっ!!??」
「そこまでビックリするかね。ちょっと声かけしただけだろう?」
「いきなり後ろから話しかけられたら誰だってビックリするわよっ!!」
そういえば、名瀬ちゃん達に後ろから話しかけた時も驚いてたっけな。いやー、今にして思えば悪いことをしたね。
「で、
「ああいや、僕がここにいることは別に問題じゃないんだよね。なんせ
「……え?」
僕はアルちゃんの肩から手を離し、少しずつシロコちゃん達の方へと向かって歩く。
「独立連邦捜査部……シャーレっていうのは実はかなりの権限を持っていてね、その権限は凄まじいもので、このキヴォトス内において不可能なことはあんまりないんだ」
「えっと、
「あんまりないとは言っても、出来ること全部をやるわけじゃない。先生と僕で定めた方針なんだが……無意味に武力を行使したり、こちらから攻撃をしたりすることは、100%あり得ない」
「ち、ちょっと……まさか、そんなわけないわよね? カヨコが言ってたもの、
「
「ただ……?」
「
「と、いうことは、つまり……
「
「な……」
来るかな。
「なんですってえええぇ!!??」
わはは、やっぱり出たね。アルちゃんの十八番(と思われる)変顔と絶叫。本人としては、ただただ純粋に驚愕しているだけなんだろうが。
「そんな……それじゃあ、私達にできるのは抵抗くらいじゃない……」
「この状況でもそんなこと言ってるわけ!?
「セリカちゃんセリカちゃん。君が僕のことを高く買ってくれているということは十二分に分かったんだけどさ、僕に頼りっきりって言うのはいただけねえな。自分のことは自分で助けなさい」
「うぐっ……分かってるわよそんなの! シャーレは全ての生徒の味方! だから生徒同士の小競り合いには武力での介入は基本しない、でしょ!」
「
おやおや、わざと誤解を招くように言ってみたんだが……僕を理解してくれるのが早くて助かるね。遠くの方で指揮をしている先生も訳知り顔で頷いているのが腹立たしいが。
「じゃあまあ、頑張れよアルちゃん。君の勇姿は見届けておいてやるからさ、存分に暴れちまえ」
「どの口で言ってるのよ!?」
全くもってその通りだぜ。笑えてくるね。
「クッソ……割に合わない……」
「お腹すいた……もう帰る……」
「楽な仕事だって聞いてたのにぃ……」
なんだかんだでそれぞれの戦いは拮抗していたのだが、段々と日雇いの傭兵達が駄々をこね始めた。そりゃあそうだよな。ノリで襲った相手がキヴォトスでもトップクラスの連中でしたとか、悪夢もいいところだろう。
そしてしばらくして、日雇い傭兵達はそそくさと逃げ帰ってしまった。カヨコちゃんやムツキちゃん、そしてハルカちゃんは特に変わった様子はないが、アルちゃんの狼狽振りは、それはもう酷いものだった。
「ちょっとあなた達どこへ行くの!? まだ作戦は──」
「他人の心配より、自分の心配をした方がいいんじゃない? おじさんはそう思うな〜」
「──ッ……! 小鳥遊、ホシノ……!」
傭兵が抜けた分の
そして現に、カヨコちゃんとムツキちゃんは即座に制圧された。ホシノちゃんのスキル「
そしてホシノちゃんであれば。動揺しているアルちゃんの不意をつくことなど、容易でしかない。ライオットシールドとショットガンを持っているとはいえ、そのスピードは健在だ。
「アル様ぁッ!!」
アルちゃんの額にショットガンを突きつけていたホシノちゃんだったが、突然横から突っ込んで来たハルカちゃんへの対応が一歩遅れた。どうやらハルカちゃんはノノミちゃんを突破してきたらしい。
見たところ、ノノミちゃんが持っているガトリング──リトルマシンガンVだったっけ。それをショットガンの接射で吹き飛ばした隙に飛んで来たらしい。
「やらせないわよッ!」
「ん、ここで食い止める」
ハルカちゃんが九回連続でショットガンのトリガーを引き、その都度弾が拡散する。それらはシロコちゃんの「
「捕まえた! 絶対逃さないから……!」
「ぐっ……! 離してください、さもないと──全部吹っ飛ばしちゃいますから!」
ハルカちゃんはそう言うとポケットから物を取り出した。球体状のその物質、即ち手榴弾からピンが引き抜かれ、爆ぜる準備は整った。
シロコちゃんとセリカちゃんは驚きのあまり反応が遅れた。まさかハルカちゃんが自爆じみたことをするとは考えていなかったからだろう。
ノノミちゃんは合流しようとするあまり、手榴弾の存在に気づいていない。重そうなガトリングを持ってこちらに走ってきているため、爆発すれば回避は不可能だ。
それを即座に判断したのか、ホシノちゃんは手榴弾にお腹の側から覆い被さった。恐らく、ホシノちゃんの頑丈さであれば、周囲に一切の被害は出ないだろう。
よりにもよって、先生と僕の前でそれをやるかな。
「それはちょっとマズいぜホシノちゃん。僕達は生徒の味方なんだから、介入せざるを得なくなっちまったじゃねーか」
僕はホシノちゃんのお腹の下にある手榴弾を、奪い取るスキル「
悠長に奪い取ったはいいものの、こいつは急がないとまずいね。そろそろ爆発しそうだし、多分説明してる時間もねーし、さっさと終わらせようか。
「いただきまーす」
僕はそう言ってから、手榴弾をわざわざ飲み込んで処理する事にした。当然みんなは目を白黒させている。
「なっ!?
「まあ落ち着けよホシノちゃん。この程度の手榴弾の処理なんて、僕にとっちゃあ朝飯前だぜ。昼ご飯さっき食べたけどね」
「そんなバカな事言ってる場合じゃないでしょ!! 早く吐き出して──爆発しない? いや、そんな、もしかして……またスキルで?」
「ご明察。手榴弾をわざわざ飲み込んだのは、体内を無敵にするスキル『
ホシノちゃんにそう説明すると、しばらくの間僕の体をじろじろと見回し──本当に何事もない事を確認し終えてから、彼女はため息を吐いた。それはもう大きな。
「
「酷いなあシロコちゃん。もうちょっと僕の心配をしてくれてもいいんじゃねーのかな」
「うう……私が銃を吹き飛ばされなければ、こんな事にはならなかったですよね……」
「いやいや、むしろハルカちゃん相手によくやったもんだぜ、ノノミちゃん。あの子は制圧力だけなら便利屋トップクラスだからさ」
口から出まかせだが、完全に嘘ってわけでもない。だからノノミちゃんは別に罪悪感なんて感じなくてもいいぜ。
なんて、僕達がわちゃわちゃと楽しげに女子会に興じていた間に、便利屋の面々は全員集合していた。アルちゃん以外はほとんど余力も残っていないように見える。
「さて、便利屋のみんな。僕──じゃない、僕達シャーレとしては、ここで退いてくれるのならば君達を見逃すって手もありなんだが」
「なっ、何言ってんのよ
『落ち着いてセリカ。君の気持ちも分かるけれど、シャーレは全ての生徒の味方だからさ。あくまで公平に、公正に、公然たる態度で行動しなくちゃいけないんだ』
「
「……今日のところは、これくらいにしておいてあげるわ。またいつかここには来るから、覚悟しておくことね。便利屋68はこの程度じゃあ折れないのよ」
アルちゃんは便利屋の面々を見て、状態を確認し……表情を引き締めてこちらに向き直ってから、キッパリとそう言い切ってのけた。
「それと、
「なんだい、アルちゃん。宣戦布告でも──」
「お昼ご飯、ありがとう! この恩もいつか返してあげるから、覚悟しておくことね!!」
そんなことを言って、僕達が呆気に取られているうちに、便利屋の連中はそそくさと撤退していった。残されたのはどこか火薬臭い校庭と、砂まみれになった対策委員会のメンバーだけだった。
別にあの程度の恩、返さなくたっていいんだが……根が善良なのか、それとも貸し借りを好まないのか……多分、どっちもだろうけれど。
「……まあいいか。とりあえずみんなお疲れ様〜。ケガは無いかな?」
「そんなにこっちを凝視しないでおくれ、ホシノちゃん。心配せずとも傷一つないってば」
「そう、だね……そうだよね〜。
ホシノちゃんの様子がなんだかおかしい気がするが……ああ、
「大丈夫。あの程度じゃ僕は死なないよ、
「なっ……いや、分かってるってばー!
はっは、これはこれは、目に見えて動揺してるじゃねーか、ホシノちゃん。昔に何かあったとか、大方そういうとこだろう。
ただまあ、そうだな。昔の僕ならいざ知らず、今の僕はシャーレの
僕はそんな事をするつもりは全くもってない。だからホシノちゃん、君が抱えているであろう何かも、いつかは僕達シャーレにも預けてみてほしいものだぜ。
ま、抱え込むならそれでもいいさ。抱え込めるならね。
解
難易度:★★☆☆☆
日用品を買い足すのであれば、土用の頃にまとめて買うべきである。生きるにあたって最も緊要なことであるから、忘れてはいけない。尤も、公用があるのならばその限りではない。それから、無駄な浪費は避けるべきである。また、いかに真面目であっても信用が薄いようでは、碌に仕事も得られなくなるため留意せよ。
この文章ですが、最初の一行を読んでもらうと
「
という部分が目に留まると思います。
さらに読み進めていくと「最も
この事から、問題文は
一週間を日曜日から月曜日にかけて逆走している
ことが分かると思います。
重要となる部分を分かりやすくするため、フォントの特殊タグを外した上で、曜日を示す箇所をルビで可視化します。
難易度:★★☆☆☆
こうなります。
すると、火曜を示す単語と月曜を示す単語が無いことが分かります。
つまりは
言い換えると、
読み変えると、
ここで思い出してほしいのですが、問題文は旧字体で書かれていました。
つまり一月という暦の上での区分を、同じく旧がつく旧暦の読み方に変えてしまえばいいわけです。
一月の旧暦での読み方は、
つまり暗号の答えは
これであなたも灼熱のセレナーデ。
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