なじみアーカイブ   作:Minus-4

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 公式の供給が多すぎて熱を抑えきれなかった……。
 というわけで、久々の更新です。




第14箱「酷い目に遭わせてやる」

 

 

「それで、ヒフミちゃん。どうしてこんな場所にいるんだい? やっぱり違法な銃火器が欲しいのかな?それとも失われた技術(ロストテクノロジー)が関わる遺物?」

 

 つい先ほどセリカちゃんに散々せっつかれまくって、品行縫製(ビヘイビアソーイング)で制服を渋々連邦生徒会のものからアビドスのものへと変更した僕は、行動を共にするヒフミちゃんへとそう聞いた。

 

 別に目的があったわけじゃなく、この子と対策委員会の連中との間で潤滑油になってやろうかと思ってね。仲を取り持つのは得意なんだ。

 

 そういうわけで質問してみたんだが、まあ大方の予想は付いてる。キヴォトスの治安は終わってるみたいだし、ヒフミちゃんも可愛い顔して戦車とかを求めてるんだろ。

 

「あ、あはは……それはですね、もう販売されていない激レアのペロロ様とアイス屋さんがコラボした限定生産で100体しか流通していないぬいぐるみが欲しくて

 

「何が何だって?」

 

「もう販売されていない激レアのペロロ様とアイス屋さんがコラボした限定生産で100体しか流通していないぬいぐるみが欲しくて!」

 

 もう販売されていない・激レアの・ペロロ様とアイス屋さんがコラボした・限定生産で・100体しか流通していない・ぬいぐるみか。がっつき過ぎて悪文になってるぜ、ヒフミちゃん。

 

 この場合はペロロ様とアイス屋さんがコラボした・限定生産で・100体しか流通していない・もう販売されていない・激レアの・ぬいぐるみがいいんじゃないかな。正直大した変わりはねーが。

 

「それで……ほら、これがそのぬいぐるみです! 可愛いでしょう?」

 

 ヒフミちゃんはそう言うと、口にチョコミントアイスを捩じ込まれて白目を剥きかかっている鳥のぬいぐるみを取り出した。最近の若い子のセンスにはついていけねーな。

 

「わあ☆ モモフレンズですね! 私も大好きです! ()()()()()()可愛いですよねえ! 私はミスター・ニコライが好きなんです」

 

「ん? ちょっと待ちなさいノノミちゃん。この鳥の名前、()()()()じゃないのかな?」

 

「私が勝手に様付けで呼んでいるだけです! ペロロ様のお名前はペロロですけど、私にとってのペロロ様はペロロ様なので!」

 

「……まあ、うん。好きなことを追求するのはいいことなんじゃねーかな……」

 

 偶像崇拝(アイドルの追っかけ)みたいなものだろうか。いや、しかし……まさか()()()()()()にこんな超弩級の危険地帯(ブラックマーケット)に来たのかこの子。

 

 前言撤回だ。ヒフミちゃんは普通じゃない。

 

「それで、えっと……そうだ、ニコライさんも哲学的なところがかっこいいですよね! 最近出たニコライさんの本『善悪の彼方』も買いましたよ!初版で!」

 

「私も買いましたよ!いやー、是非今度互いに感想でも──」

 

 うーん、僕が潤滑油になってやろうとしたっつーのに、すっかり意気投合しちゃって。つってもまあ、ノノミちゃん以外はまるでついて行けてないようだけど。

 

「……おじさんは最近の若い奴にはついて行けん。ねえ安心院(あんしんいん)さーん、多分安心院(あんしんいん)さんも無理でしょ?」

 

「うん、僕は生憎マスコットだのファンシーだのとはまるきり縁がなかったからねえ。良さが分からない──とまでは言わないけどさ」

 

 しかし大半はそう思っていたのか、セリカちゃんとシロコちゃんはなんとも居心地が悪そうだった。まさかここまでペロロとやらを好きな子の前で、好きなものを貶すわけにもいくまい。

 

 アヤネちゃんがどういう反応をしているのかは分からないが、特に擁護のセリフを吐かないあたり、おおよそ同じ考えと見ていいだろうね。ペロロのビジュアルは人を選ぶ。

 

「──ああ、そういえば、アビドスの皆さんも探し物でしたっけ。何を探してるんですか? 私、この辺のことは詳しいのでよければ案内しますけど」

 

 ヒフミちゃんは歩みを止めることなく、少し振り返りながら僕達にそう聞いた。ブラックマーケットに慣れてるって、もしかしなくてもこの子不良だよな。

 

 いや、無法者(アウトロー)と言うべきか? アルちゃん辺りにぶつけてみてー所だぜ。

 

「うーん、案内ならうちのアヤネちゃんがやってくれるからいいかな〜。ヒフミちゃんを半ば無理矢理連れてきたのだって、戦力を多少増やしたかっただけだしね」

 

「うん。だからヒフミはそこまで気にしなくてもいい。私たちは私たちで、出来るだけ自分たちの力でなんとかするから」

 

「そう、ですか。わかりました! そういうことなら、私はお供するだけに留めておきますね!」

 

 と、そんな風に、僕たちがブラックマーケットでどのように動くのか、ある程度の方針を決めたところで。アヤネちゃんから突如通信が入り、先ほどまで和気藹々としていた空気感が多少引き締まった。

 

「皆さん、大変です! 四方から武装した人たちが向かってきています!」

 

「えっ!? もしかして、さっきとっちめた不良たちの仲間!? しょうがない、ヒフミさん! 安心院(あんしんいん)さん! やるよ!」

 

「まあそうじゃないかなー。お礼参りってやつ? 皆よくやるよねー、こっちにはヒフミちゃんと安心院(あんしんいん)さんもいるのに」

 

「言われてみればそうですね! 普段なら五人しかいない所に、ヒフミちゃんと安心院(あんしんいん)さんまでいるんですから、きっと楽勝です☆」

 

「そうだね。ヒフミに加えて、安心院(あんしんいん)さんまでいれば百万人力。安心して背中を預けられる──安心院(あんしんいん)さんだけに

 

 僕の持ちネタを奪わないでくれねーかな。

 

「えっ、えっと……精一杯頑張ります! 足を引っ張らないようにしないと……!」

 

「まあまあ、そんなに肩肘張らなくてもいいさ。最悪僕とホシノちゃんで何とかなる、なんとでもなる……だからお気楽に構えていなさい」

 

「はいっ! 頑張ります!」

 

 まあやる気を出してくれる分には構わないがね。それで、敵は何人くらいかな、アヤネちゃん?

 

「……恐らく23人です。それに対してこちらの戦力は私を含めないで6人。一人当たり4人倒せば問題ありません!」

 

「だそうだよ、先生。それじゃあ指揮の方をよろしく頼んだぜ。僕は前線出るから任せっきりになるが、問題ないね?」

 

「"うん、私に任せて。ブラックマーケットに来てから何もしてないし、そろそろヒフミに良いところ見せなきゃいけないと思ってたからね!"」

 

「あ、あはは……別に私は、気にしませんよ……?」

 

 ぶっちゃけるねえ。しかしまあ、そういう愚直なところは()()()()()()()()嫌いじゃあない──っと。こんなこと考えてる場合じゃねーよな。

 

「いたぞ! さっきのあいつらだ!」

 

「全員突撃だ! 痛い目見せてやれ!」

 

 やれやれ、どいつもこいつも血気盛んで困ったもんだ。ただまあ、不良どもにお灸を据えてやるのもまた一興か。そういうわけだから、是非とも僕に痛い目を見せてみなさい。

 

 ──酷い目に遭わせてやるからさ。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「──というわけで、一丁上がりだ。いやしかし、無駄に頑丈だったね。おかげで時間を食っちまった」

 

「本当にね〜。でも向こうにも色々と事情があるんでしょ。ほら、面子? って言うのかな、そういうの」

 

「ん、敵ながらあっぱれ。いい根性してる」

 

「シロコ先輩、『いい根性してる』ってあんまり褒め言葉としては使わないんじゃ……?」

 

 時間にして……1分半くらいかな? 「弾爪の麗人(レディギタリスト)」のおかげで残弾数を気にする必要がないとはいえ、少し遠慮しすぎたか。

 

 でもまあ、僕一人で全部終わらせちゃあ味気ないし、相当なピンチにでも陥らねー限りはこのままでいこうか。

 

「そんなことより、ヒフミちゃんも中々やるねえ。あの変な顔した鳥──」

 

「ペロロ様です」

 

「ああ、そう、それ……圧強いね。ともかく、きみがペロロ型のデコイを出してくれたおかげで楽に済んだよ。感謝するぜ、ヒフミちゃん」

 

「えっ!? い、いやあ……私のおかげじゃなくて、ペロロ様のおかげですよ! だってあんなに可愛らしい動きで、みんなの目を釘付けにしてくれたんですから!」

 

「……うん、それじゃあそういうことにしておこうか。きみのペロロ……ペロロ様愛は存分に伝わったとも」

 

 こうでも言っておかねーと一生話が進まなそうだ。たかだかマスコットに敬称を付けるのはなんか釈然としないが、まあ必要経費(コラテラルダメージ)だろう。

 

「"みんな、お疲れ様。ヒフミ、怪我は無いかい? もしもあったら私か安心院(あんしんいん)さん、それかアヤネに言ってね。救急キットを補給するから"」

 

「えっと、はい! 大丈夫です──ペロロ様が守ってくれたので! それよりも、皆さん。早めにここから離れましょう!」

 

「えっ? 不良の皆さんはもう全員倒しましたよね? そこまで急ぐ必要はないんじゃないですか?」

 

 ヒフミちゃんの提案にノノミちゃんがそう返す。ぶっちゃけた話、僕も同意見だな。まだ日は高いし、そこまで急ぐ理由は一見無いように思えるが。

 

「ええ、まあ……不良の人たちはもう問題ないんです。だけど、ブラックマーケットには()()()()()()()()()()()()()()()()()()があって……こんなに大騒ぎしたら……」

 

「うーん、まず間違いなく追いかけられるだろうね〜。どうしよう、安心院(あんしんいん)さん? 何かいい手はないかな~?」

 

 ホシノちゃんはそう言いながら、空を見上げるように、首だけ振り向いた。随分とわざとらしい──もとい、挑発的じゃないか、ホシノちゃん。その振り向き方は首を痛めるからやめておきなさい。

 

「そんなに期待するような眼差しを向けないでおくれよ、ホシノちゃん。つい応えたくなっちまう。それに、ヒフミちゃんもそんなに不安がらなくて大丈夫。マーケットガードだかなんだか知らねーが、僕にかかれば塵芥同然さ」

 

 僕は敵対者と遭遇しないスキル敵勢外(インアプロプリエイト)を使用し、突如奇襲される可能性を完全に排した。最初からこれを使っておけばよかったぜ。

 

「……よし、これでもう大丈夫。たくさんスキルを持ってるとこういう時便利だよな」

 

「えっと、安心院(あんしんいん)さん? まさか、またスキルで解決しちゃったわけ!?」

 

「なんだよセリカちゃん、別にいいだろう? 僕や先生の権限で弾薬を実質無限に補給できるとはいえ、無駄な戦闘を避けるに越したことはない。違うかい?」

 

「そう……だけど! 私だってかっこいい所見せたかったのに!!」

 

 あーはいはい分かったから。次に戦闘があったら滅茶苦茶活躍させてやるから、それで我慢しなさい。君の声はよく響くから、頭が痛くなるんだよ。

 

「えっ、と……これでもう大丈夫なんですか? いつもならもっと警戒しながら歩き回らなきゃいけないのに、安心院(あんしんいん)さんが何かやっただけで……?」

 

「はい☆ 安心院(あんしんいん)さんの言うことですから、きっと大丈夫ですよ!」

 

「……まあ、そうね。あの安心院(あんしんいん)さんが言うんだから、もう安全なんでしょ」

 

「やっぱり安心院(あんしんいん)さんは凄い。私の人を見る目に狂いはなかった。だから私もすごい」

 

安心院(あんしんいん)さんが凄すぎて、このままだとダメ人間になっちゃうよぉ~。そうならないために、おじさんも頑張らなくちゃだ」

 

「私としても、オペレートが段違いに楽になるので助かります!これからもよろしくお願いしますね、安心院(あんしんいん)さん!」

 

 おいおい、僕ってばモテモテじゃねーか。いやー、このままだと僕の取り合いが始まって、頭の痛い思いをしちまうかもしれないな。わっはっは。

 

 

 ──うん。

 

 

 そうだな。

 

 

 はあ。

 

 

 そうだね。

 

 

 …………。

 

 

 それにしても。

 

 

 

 

 

 

さっきから、()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

「"……ナジミ? どうしたの? なんだか調子が悪そうに見えるけど……"」

 

「──ッ、ああ、いや……さっきの戦闘で頭に流れ弾を食らったらしくてね。それで少し頭が痛かったのさ。それだけだから、先生は僕のことよりも自分の身の安全を考えていなさい。僕たちと違って、先生は銃弾一発が致命傷なんだから」

 

「"……今までナジミが嘘をついたことはないから、いったんは信用するけど……でも、本当に体調が悪くなったら言うんだよ? 無理して倒れたら大変だからね"」

 

「はいはい。まったく、うちの先生は心配性で困っちまうぜ。最悪スキルでどうとでもなるから、そんなに心配そうな顔をするのはやめてくれないかな?」

 

「"……そうだね、そこまで言うならそうするよ。よし! それじゃあ行こうか、ナジミ。みんなを待たせてもいけないしね"」

 

 先生がそんなことを言うのであたりを見渡すと、対策委員会の面々とヒフミちゃんが少し離れているところまで移動しているのが見えた。

 

 シロコちゃんがサムズアップしているので、大方僕と先生の話がほかのみんなに聞こえないように気を回してくれたのだろう。

 

「いやあ、悪いねシロコちゃん。そこまで隠すような話でもなかったんだが、一応礼は言っておくよ」

 

「ん。これで貸し一つ。見返りはこんど一緒にツーリングに行ってくれれば免除してあげる」

 

 僕はインドア派なんだけどなあ。まあたまには外に出て体を動かすのもいいか。

 

 ……めだかちゃんなら、そうするだろうし。

 

 






 久々に書いたから口調が不安!!

 感想・評価・ここすき等よろしくね。

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