急ピッチで書いたので誤字脱字多いかも。
あの後、僕達はブラックマーケット中を練り歩いた。しかしあまりにも手がかりが見つからないもんだから、もうお昼時は過ぎちまった。
途中でノノミちゃんが全員にたい焼きを奢ってくれたおかげで、僕達の雰囲気が悪いということはない。
……ノノミちゃん、どうやら相当な金持ちらしい。この前ダンベルを40個も買ったと言っていたし、この見立ては間違ってないはずだ。
いやしかし、その量のダンベルを一体どう使うんだろうね。箱庭学園も変人揃いだったが、アビドスの連中も大概変だよな。
それから。
あまりにも手がかりが見つからなくて暇だったもんだから、ヒフミちゃんがブラックマーケットの豆知識を披露し始めた。
曰く、ここでは
果てには、人身売買なんかもあるらしい。ヒフミちゃんはこんな所に一人で来るべきじゃねーと思うぜ。つーか来るべきじゃねーよ。
そんな話の中で、ヒフミちゃんはブラックマーケットの仕組みについて話し始めた。
「ふうん、なるほどねえ。つまりヒフミちゃん、きみはこう言いたいわけだ。ここブラックマーケットでは、盗品を扱うだとか、闇企業によって市場が左右されるとか……そういうのは
「そういうことになります。だから、皆さんが探している戦車の情報というのも、徹底的に隠されているかもしれません。そうでなければ、ここまで見つからないのは……」
「あまりにもおかしい、と……そういうわけか。確かにブラックマーケットに詳しい──もとい、精通しているはずのヒフミちゃんですら手がかりの一つも掴めない、というのは妙な話だね」
「……まあ、私もブラックマーケットの全貌を把握しているわけではないですけど、それでもやっぱり変だというのは断言できます。というか、はっきり言うと
ヒフミちゃんの話に、先生を含めた全員が食い付いていた。重要な情報だから聞き逃すわけにはいかないだろうしね。
「いつもと違う、というのはどういうことかな?」
「ほら、連邦せ……
「そうだね。まあ僕一人で制圧もできるが、それをやった場合
つまり、連邦生徒会は犯罪者どもを一纏めにしておきたいわけだ。キヴォトス全域に散らばられるよりも、一つの場所に纏まっていた方が御し易い。手綱を握れているかは別として、だが。
まあその辺りはリンちゃんと……なんだっけ。あの、小柄な……防衛室長が上手いことやるだろう。どうにもならなきゃシャーレも動くだろうが、そこまでのことにはならないだろ。
「だからつまり、ここにいる企業は
そこまで語ると、ヒフミちゃんは近場のビルを指差した。一見何の変哲もないビルだが、ここはブラックマーケット。どうせしょうもねーものがあるに決まってる。
「例えば、あそこのビルはブラックマーケットで最も大きい銀行の一つです。ただし一口に銀行とは言っても、実態は……
「それはまた物騒じゃねーかヒフミちゃん。ところで、まるで利用したことがあるみたいに語るんだね。その辺り、僕としては訝しむほかないが」
「私を突然凶悪犯罪者に仕立て上げようとするのはやめてくれませんか……!?」
わはは、いい反応だぜヒフミちゃん。きみはペロロ様が絡まなければ本当に真面目でいい子だねえ。
「とにかく! 話を続けますよ! あの銀行では、横領・強盗・誘拐などなど、様々な犯罪によって獲得した財貨が集まるんです。そしてそれが、再びブラックマーケット内部で違法な武器や兵器を購入するのに使われるんですよ」
「それによって新たな犯罪が生まれ、銀行は儲かり、犯罪者は目的を達成して稼げる、と……見事にお手本な負の循環じゃねーか。いっそ万雷の拍手を送ってやりてーくらいだぜ」
さて、こんなもんかな。対策委員会の連中は複雑な表情を浮かべているが、まあ世の中なんてこんなもんだぜ。
悪事の方が儲かるんだよ。
「……それじゃあまるで、銀行が犯罪を煽っているようなものじゃないですか」
「ノノミさん……ええ、そうです。ここでは銀行すらも、巨大な犯罪組織に過ぎないんですよ」
「……世の中、まだまだ知らないことが沢山あるね。私たちはずっとアビドスのことで精一杯だったから、ここでそんなことが行われてるなんて全然知らなかった」
と、そんな風にみんなが若干ブルーな気持ちになったところで、またもやアヤネちゃんから通信が入った。
『皆さん、少しいいですか?どうやらその銀行の入り口に武装集団がいるみたいなんですけど……隠れなくても大丈夫ですか?』
「ああ、気にしなくていいよアヤネちゃん。さっき使ったスキルのおかげで、あいつらに
「というか……あれってマーケットガードですね。何かを護衛しているみたいにも見えますけど……あっ! 見てください、現金の引き渡しをしてますよ!」
ヒフミちゃんはそう言って銀行の入り口近くを指差した。あんまり人を指差すもんじゃない……と言おうとしたが、しかし僕は、その言葉を吐き出さずに飲み込んだ。
そこにいたのは、闇銀行の職員と
見たことのある──カイザーローン職員のロボットは、現金を銀行員に引き渡し、確認のための書類を書き込んでから、車に乗り込んで去って行った。舐めやがって。
「あれって……私たちの所に来てたカイザーローンじゃないの!? アヤネちゃん!」
「う、うん……! あの現金輸送車は間違いなくカイザーローンの……!」
「えっ、と……もしかして、アビドスの皆さんって、
「うん、そうだよー。元はと言えば、何十年も前にこっちが頼っちゃったのが始まりなんだけどね、それで法外な利子吹っかけられちゃって〜」
ホシノちゃんはそう言いながら普段の調子を崩さないが、目が笑ってないぜ。相当頭に来ていると見た。
「それよりも……もしかしてカイザーの奴らが現金でしか返済を受け付けなかったのって、このため?」
「このためって……まさか、シロコ先輩。カイザーの連中、私たちの返済金を犯罪の支援金として、ブラックマーケットに横流ししてたってこと……!?」
「うん……多分、じゃなくて、絶対そう。ネットでの返済だと足がつくから横流しできないけど、ブラックマーケットの中に
「カイザーローン、そして母体のカイザーコーポレーション……トリニティでもその悪徳さから『ティーパーティー』に目をつけられてる企業……確かにあそこなら、横流しくらい平気でするかも……」
ティーパーティー、か。確かトリニティ総合学園の生徒会だったかな? そんなところにも目をつけられているなんて、相当影響力が強いらしいね。
「……でも、そうと決めつけるには証拠が足りません。いえ、状況証拠は十分ありますけど……」
「あっ、それなら、さっき書いてた書類が証拠になりませんか!? あれさえあれば、物的証拠も揃って──」
「だけど、書類はもう銀行の中に持っていかれちゃいましたし、今から確保するというのも、かなり難しいと思います……」
状況は絶望的だね。セリカちゃんもノノミちゃんもヒフミちゃんも下を向いちまってるし、アヤネちゃんは通信の向こうでため息ついてる。まあ辛気臭えったらありゃしねーぜ。
最悪僕が「
……だってほら、二人ほど諦めてない奴がいるらしいし。
「……ホシノ先輩。ここはもう、
「うーん、
その言葉を聞いて、セリカちゃんとノノミちゃんが顔を上げた。もう大体察しがついてるらしい。本当にきみ達は仲がいいねえ。
「確かに!
「ちょっと、ちょっと待ってよ!? まさか、
「えっと、話が全然見えないんですけど……『
「
ヒフミちゃんはただ一人、話が見えずにおろおろと狼狽ていた。可哀想だが、この場にいたのが運の尽きだ。大人しく諦めなさい。
シロコちゃんはこれ以上ないくらいに目をキラキラと輝かせて、カバンから取り出した覆面を被りながら、いっそ清々しく、これ以上ないくらいに、高らかに宣言した。
あーあ、もうしーらね。
次回は
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