今回過去一やりたい放題やってますが、ちゃんとストーリーのプロット組んだ上でやってるので安心してください(
アルちゃんと別れた後、僕たちはヒフミちゃんを連れてアビドス高校に戻り、そこで強盗──もとい、襲撃……あんまり変わらないな。ともかく、それによって拝借した集金記録の書類を確認した。
ああ、そういえば例の1億円だが、なんと置いてきちまったらしい。僕は気づいていながら放置したわけだけど、まあ言わなきゃバレねーだろうし、誰かが拾ってるんじゃねーかな。ハルカちゃんとか。
そんで、集金の書類を確認した結果、驚きの事実が発覚した。それがつい先ほどのこと──そして、今に至るわけさ。
「……まさか、私たちが現金で支払っていた返済金が、
「しかも、恐らくこれはカイザーローンだけではなく、
「ともかく、今分かってるのは、思っていたよりも事態は大きくて、想像以上にカイザーがキナ臭い企業だってこと。アビドスを潰したらお金が入ってこなくなるのに、わざわざ私たちを潰そうとするのは不自然……
「そう言ってもらえて何よりだよ。今日は一日中歩き回って疲れただろうから、ここいらで一つ、お茶会でも開いてやろうと思ってね。スキルで用意したものだが、まあ時間もなかったから我慢してくれたまえ」
僕にしては珍しく、対策委員会の連中に気を回してお菓子なんかを振る舞ったりしている。先生もゆっくりとお菓子を口に運んでちまちまと食っている。
成人男性のくせに、胃が弱ってるせいでがっつけないんだとさ。食生活も見直してやらねーとな。
「ところでヒフミちゃん。こんな妙な形でアビドスのあれこれに首を突っ込ませちまったわけだが、きみはこれからどうする?」
「──ふぅ。そうですね……私はこの辺りでお
「まあそれがいいだろうね、僕もそう思うよ。ところで、ヒフミちゃん……やけに上手にスコーンを食べるじゃないか。それに紅茶を飲む時のマナーも完璧だった」
「え? ああ、ありがとうございます。だけど、トリニティ総合学園に通っている生徒なら、このくらいは皆さん出来ると思いますよ。私なんてまだまだで……」
ふーん、なるほどねえ。お嬢様学校って評判は間違っていないらしい。その割にはヒフミちゃん、なんというか、無法が過ぎると思うんだが。
──ともかく、
「というわけで、私は帰ってティーパーティーにカイザーの怪しい動きを報告してきます。それから、皆さんがお望みなら、アビドスに対しての支援の要請も……」
「いんや、それはいいよ、ヒフミちゃん。ティーパーティーほどの巨大組織がうちの状況を把握してないはずがないし、動かないってことは、
「……そう、ですか。分かりました、では私はこれで失礼させてもらいます。もし余裕ができれば、今度はうちに遊びに来てくださいね。全力でおもてなしさせてもらいます! それでは!」
ヒフミちゃんはそう言うと、恭しく一礼してから、対策委員会の部室を出て行った。ブラックマーケットを一人歩き出来るほどの胆力があるわけだし、護衛は必要ないだろう。
「ファウストちゃん、行っちゃいましたね。覆面水着団も、これで少し寂しくなっちゃいます……」
「ノノミ先輩、実はさっきから言おうと思ってたんだけど……そのダサい名前、どうにかならないの?」
「えっ!? ダサいと思ってたんですか!?」
「そうかな。私は結構、今の名前が気に入ってるけど。いっそのこと、本当に覆面水着団として活動するのも──」
「うん、却下ー。おじさんは別にやってもいいんだけど、アヤネちゃんの胃に穴が空いちゃうよー……ところで、アヤネちゃんはいつまで覆面被ってるの?」
「え? いつまでって……うわっ!? 体の一部みたいになってて、すっかり忘れてました……!」
はっはっは、締まらねー。本当に騒がしくて敵わねえな。毎日毎日目新しいことばっかりで、面白いことに
「"……ナジミ? どうかした?"」
「先生。今夜話があるから、少し時間を貰えるかな」
「"うん、いいよ。少しと言わず、いくらでも"」
はっは、ノータイムでこの返答かよ。どこまで行っても、先生は先生らしい。
まあいいさ。そう言うなら、言われた通りにさせてもらうぜ、先生。
「単刀直入に言わせてもらうよ、先生。今日気がついたことなんだが、
「"なっ、いや、いやいやいや!? 『質問はあるかな』じゃないよ!? ありまくりだってば!"」
「僕に不安を抱かせないために
「"……そういうことなら、いつも通りのテンションで行かせてもらうけど。ナジミ、どうして
「僕のことは親しみを込めて
「"もちろん覚えているよ。理由……というか、根拠はそれだけなの?"」
「まあ他にもあるんだが、これが一番直近の理由だからね。先生でも覚えているかと思って、これを挙げたのさ」
「"なるほどね、そういうことならありがとう、助かったよ。ところでナジ……
「心配には及ばないさ。あれ以降頭痛は鳴りを潜めているし、すっかり痛みは治ったし、気分の悪さなんかも無いしね」
「"そっか、それならいいんだ……それで、どうして決め台詞を言い忘れていたことが、
「いや、
「"……ごめん、少し難しい。あとちょっと具体的に説明してもらえれば、私でも分かるかもしれない"」
「まあそうだろうと思って、あらかじめ紙と鉛筆を用意しておいた。そして説明を書いておいた。この文字二つを読んでもらえるかな?」
「"準備がいいね……えーっと、なになに? 『なじみ』と、『ナジミ』?平仮名か片仮名かの違いしかないように見えるけど……"」
「単語だけで見ればそうだね。しかし今僕がしているのは【
「"それだけで、いいの?"」
「それだけでいいんだ。その一言を言ってくれれば、僕の中で答えが出る」
「"分かった。それじゃあ──ナジミ。"」
「……うん、分かった。ありがとう──ついでにもう一つ、頼みたいことがあるんだけど、構わないかな?」
「"もう一つと言わず、いくらでも。私は君の先生だから、もっと頼っていいんだよ"」
「そうかい……そうだね。
「"……それは、どうして?"」
「どうしても理由を聞くのかい」
「"理由だけは、知っておきたいから"」
「……恐らく、もう少ししたら、僕は平仮名のナジミではなく、片仮名のナジミになる。そしてこれを避けられないということは、ついさっき君に呼ばれたことでほぼ確定した」
「"……ごめん、もう少し詳しい説明が欲しい"」
「こっちにいすぎて、
「"なるほど、よく分かったよ。話を聞いた限りだと、平仮名と片仮名が変わる……だけじゃ、きっと済まないんだよね?"」
「別に傷が出来るとか、そういうわけじゃない。ただ……向こうの世界で平仮名のナジミとして過ごした記憶の殆ど全てが、
「"その、根拠は?"」
「現に僕は今、特に関わりが深かった人間のことしか覚えていない。可愛い妹分の
「"記憶がなくなることに、抵抗はできないの?"」
「できるならやってるさ。一京のスキルでどうにかできるならね」
「"他に、何か方法は──私の、
「ダメだ、却下。つーかそれだけは絶対にダメだ。確かに使えばどうにかなるかもしれないけど、懸念すべきリスクが多すぎる」
「"でも、君がどうにか助かるかもしれない"」
「君がどうにかなっちまうかもしれない。それを使うなら、僕はシャーレを脱退する。別に死ぬわけじゃねーし、そこまで重く捉えなくていいよ」
「"そっか、そっか……そこまで言うなら、しょうがな……くはないけど、しょうがないか……無くなる記憶は、前の世界のものだけなの?"」
「そうだね。より厳密に言えば、
「"……本当なら、どうにかしてあげたいところだけど、きっと今の私には、それはできないんだよね?"」
「不可能だろうね。いくら君が【主人公】だからって、こればっかりはどうしようもないさ。と言うわけで、先生。僕の過去を、聞いてくれるかな?」
「"うん……分かった。しっかり聞き届けるよ──
「え?ああ、うん……そうだけど、それがどうかしたかな」
「"だったら、安心してよ。君の、元々の居場所は──"」
「"──だから、大船に乗った気持ちで、私に任せなさい! これでも私は、シャーレの先生だからね!"」
「……そんな顔すんなよ、先生。それじゃあ僕は、不安になっちまうぜ」
「"……ごめん、
「それでいいんだよ。それなら僕も安心できる(
「"任された。それじゃあ、君の話を聞かせて欲しい"」
「そうしようか。さて、まずはどこから話そうか……とりあえず、僕と球磨川くんの──」
死ぬのは、別に怖くなかった。
だったら、記憶が消えるのはどういう気持ちなんだろうか。
怖いのかな。
寂しかったりするのかな。
分からない。
分からないけど。
だけどきっと、大丈夫だろう。どうなるかなんてのは分からないけど、先生に託してみることにする。
たまには【子供】らしく、【大人】に甘えてみようじゃないか。なかなかレアだぜ、僕がこんなことをするなんて。
覚えておけ。僕は、
向こうのみんなも、覚えてくれているといいけれど。
──それじゃあ、いつか。
このために平仮名と片仮名で書き分けてました。
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