なじみアーカイブ   作:Minus-4

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 本当は別の小説書いてる途中だった上に大学のレポート課題もあるんですけど、ブルアカ本編のストーリーがアツすぎて脳破壊されたので先にこっち投稿します。
 可能な限り毎日20時に更新するのでゆるして。

 あと原作程度に重い展開はやるんですけど、逆にそれ以上はやらない(必要以上に痛め付けたり暗い展開にはしない)ので「曇らせ」のタグはやっぱり外します。ガタガタしてごめんなさい。

 今後とも「なじみアーカイブ」をよろしくお願いします。




3章:久田イズナの絵空じみた徒花
第38箱「祭りを見に行くとしようか」


 

 

 

 

 

 それこそまるで花火のように、人の夢は儚い。

 それこそまるで徒花のように、人の夢は儚い。

 

 何もかもがが同じだ。違うところなど全くない。

 熱が冷めるも、夢から醒めるも。

 

 けれど唯一、決定的に違うところがある。

 夢というのは、夢から覚めなきゃ叶わない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アビドスでの諸問題を解決し、僕が目覚め、杖を使って歩くことにも慣れ始めてからしばらく経って。僕はアルちゃんに誘われて、朝っぱらから柴関にラーメンを食べに来ていた。

 

「久しぶりね、安心院(あんしんいん)さん……呼んでおいて何だけれど、もう一人で動いて大丈夫なのかしら?」

 

「うん、問題ないさ。先生が過保護すぎるだけなんだよ、砂漠でぶっ倒れて一週間意識喪失してたくらいで大袈裟だっつーの」

 

「……その、どうしようかしら? 今日はやっぱりやめておいた方が……」

 

「いや、今日がいい。最近あんまり外を出歩いてなかったからストレス溜まってたんだよ。ダメかな?」

 

 何やら雲行きが怪しかったので、少し伏し目がちにしながらそう問いかけてみる。卑怯とか言うなよ。

 

「うーん……まあ現にこうして外に出ているから、先生からは許可を貰っているんでしょうし……そうね。折角来てもらったし、話を聞いてもらおうかしら」

 

 よし、余裕。

 ちょろいもんだね。

 

「今日安心院(あんしんいん)さんに来てもらったのは他でもない、ハルカのことについてよ。私、あの子が心配なのよ……ずずっ」

 

「……どうしたんだいアルちゃん、いきなりお母さんみたいなことを言い出すじゃないか……ずぞぞ」

 

 さて、どうやらハルカちゃんが心配ということらしいが……流石にここまで少ない言葉では僕も真意を計り知ることは出来ない。

 

 差し当たっては、根掘り葉掘り聞かせてもらうとしようか──と思っていたんだが、アルちゃんは普通に語り始めた。手間が省けて助かるぜ。

 

「いや、別に大事(おおごと)じゃないのよ。ままごとでもないわ。ただ、ままならないことではある──ほら。あの子って便利屋以外とはあまり関わらないから……」

 

「ああ、なるほど。つまり君は『ハルカちゃんにはもっと交友関係を広げてほしい』……あるいは()()()()()()と、そう考えているわけだ」

 

「そういうことなのよ! これだけで伝わってくれるなんて、流石は安心院(あんしんいん)さんね!」

 

 こんなことで褒められてもなあ、とは思うが、しかしこの子の純粋な賞賛を浴びるのは、そこまで悪い気分というわけでもない。大人しく受け取っておこうか。

 

「しかしどうして急にそんなことを言い出したんだい? これまでにも関係を広げるチャンスはあったんじゃないのかな」

 

「それがね……あんまり無かったのよ。ほら、私たち──便利屋68(シックスティーエイト)は、一応指名手配されているから」

 

「ふうん、なるほどねえ。まあわざわざ犯罪者とつるむ物好きもそうそういないか」

 

「ええ、そうね。そんな物好きは先生と安心院(あんしんいん)さんくらいのものよ」

 

「そりゃどうも……そうだな、アビドスの連中なんかと関わらせてみるのはどうだい?」

 

「それも考えたのだけど……その、一度は傭兵を大量に引き連れて襲撃しちゃったわけじゃない? だから、少し気まずいかも──とか考えちゃうのよ」

 

 どうだろうなあ。今更そんなことを気にするような連中でもないと思うが……ああいや、なるほど。()()()()()()()()()()()()()()()のか。

 

 確かハルカちゃん、昔はいじめられてたんだったか。まったく、酷いことをする連中もいたもんだねえ。あんなにかわいい子をいじめるなんて。

 

 ……僕としちゃあ、キヴォトスにおける()()()がどれほどのもんか想像できねーから、戦々恐々としちまうところだが。

 

「まあつまりアルちゃんとしては、僕たちシャーレを頼ってでもそれを成し遂げたいってことだろう? というよりもむしろ、()()()()()()()()()()といったところか」

 

「ええ。そして()()()()()()()()()()()()()()でもある。『シャーレの業務を支援している生徒』なら、それはシャーレ所属の生徒ということになるでしょ?」

 

「そうなるねえ。つまり僕たちの業務を手伝っている間ならば、シャーレの莫大な権利によって生徒を保護できるということになる」

 

分かりやすく言い換えるのならば、シャーレと行動している間は()()()()()を得る。そうなっちまえば指名手配だろうが何だろうが関係ない。

 

「わははは、中々君も悪いことを考えるねえ。いかにもアウトローって感じだ。様になってきたじゃないか」

 

「ふふふふ、そうでしょうそうでしょう? きっとこういうのを、悪知恵を働かせるって言うんでしょうねえ」

 

 悪知恵って。

 なんか一気に小物っぽいぜ。

 

「まあいいさ。君たちにはアビドスの件でかなり助けられたし……僕の方から先生に掛け合ってみるとしよう」

 

「ありがとう、安心院(あんしんいん)さん。ハルカと一緒に行動する時は、ぜひ優しくしてあげてもらえると助かるわ!」

 

「当然だろう、僕はこれでもシャーレの安心院(あんしんいん)さんだぜ? 生徒の味方としてしっかり優しくしてやるから、安心してくれたまえ(安心院(あんしんいん)さんだけに)」

 

 僕がそう言うと、アルちゃんはあからさまにホッとした表情を浮かべた。前々から何度も言っていることではあるが、とことんアウトローらしくはないね。

 

 それなのに決めるところはしっかりと決めているから、きっと便利屋の連中はアルちゃんのそういう所にも惹かれたんだろう。

 

 ……何回食ってもここのラーメンは美味いな。そこまで変わったことはしていないと思うんだが、どうしてだろうか。

 

「そういえばアルちゃん、最近仕事はどうだい? 今日ここに来ているということは、まあ上手いことやってるんだろうがよ」

 

「ええ、順風満帆よ! ベリー──安心院(あんしんいん)さんから貰った猫ちゃんが来てからというもの、仕事が山のように舞い込んできて!」

 

「へえ、マジで招き猫だったってわけか。そこまで考えて猫を送ったわけじゃないが、縁起がいいねえ」

 

「おかげで仕事を選ぶ余裕まで出来てきて……本当、嬉しい悲鳴を毎日上げているのよ!!」

 

「白目剥きながら?」

 

「剥いてないわよぉ!?」

 

 剥いてるじゃねーか。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 そんなこんなでラーメンを食べ終わって解散した後、僕は腑罪証明(アリバイブロック)を使ってシャーレのオフィスへと飛んだ。

 

 ビナーとかいう奴相手にスキルを100個連続で使ったせいで神秘が枯渇し、脳にダメージを喰らったせいで満足にスキルが使えなくなったとはいえ、「腑罪証明(アリバイブロック)」ほど使い慣れているとほとんどノーリスクらしい。

 

「つーわけで、何か直近でハルカちゃんを帯同させられそうな依頼は入ってないかい? 本当になんでもいいぜ、ハルカちゃんがあの子らしくあれる依頼なら」

 

「"……それなら、ついさっきちょうど良さそうな依頼が入ったよ。百鬼夜行連合学院で開催されるお祭り──百夜(ももよ)()(はる)()桜花祭(おうかさい)に関連することらしいんだ"」

 

 ふむ、タイミングがいいね。しかも百鬼夜行……今まで関わったことがない学院自治区だ。もしかしたら、僕が()()()()()()()()()()があるかもしれない。

 

「それならば、そうだな……先生の護衛としてハルカちゃんを選出するのはどうだろう。万が一物量で押されたりすると、僕だけでは君を守り切れるか怪しいところだし」

 

「"うん、それが一番いいかもね。安心院(あんしんいん)さんの負担軽減にも繋がるし、ハルカの自信にも……繋がればいいな"」

 

 よし、パーフェクトだ。あとはこのまま話を打ち切り、適当な言い訳をして急いでここを抜け出せば──。

 

「"さてハルカを連れて行くのはひとまず決まったことだし次は安心院(あんしんいん)()()()()()()()()()──"」

 

「えー安心院(あんしんいん)さんの護衛が必要なの〜それじゃあその役目は私に任せてくれちゃったりしちゃったりしてもいいんじゃないかな〜?」

 

 ──抜け出せばいいだけだ。僕は「腑罪証明(アリバイブロック)」を使っ

 

「いやいやいやいや安心院(あんしんいん)さん!? 無視するのは流石に酷すぎるんじゃないの〜?」

 

 ……なんで今日のシャーレの当番がホシノちゃんなんだろうか。いやまあ、()()()()()としか言いようがないけれども。

 

 今日じゃなくたっていいだろう。

 まあ別に、なんでもいいんだけどさ。

 

「ホシノちゃんさあ、僕は()()()()のが一番嫌だったんだよ。ただでさえ色々と忙しい君を──」

 

「忙しいのは安心院(あんしんいん)さんだって同じでしょ? しかも最近は色々と問題を解決してもらったばっかりだから、そこまで忙しくないって」

 

 のらりくらりと躱しやがって。無駄だとは思うが、一応先生にも聞いてみるとしよう。

 

「なあ先生。僕は別に、護衛が必要になるほどの弱体化を喰らったわけじゃないんだが。護衛を護衛するためにわざわざ一人生徒を呼ぶのは、非合理の極みだと思うぜ」

 

「"うん、確かに安心院(あんしんいん)さんの言う通り非合理的だね。だけど私は、()()()()()()()()()()()()()()()()と思ったんだよ。どうかな?"」

 

「……少し考えるから、二人とも待っていなさい」

 

「うへーい」

 

 ホシノちゃんの気が抜けるような返事で、危うくこちらも気が削がれそうになるが……しかし僕は平静を保ち、脳内で会議を開始した。

 

 さて。まず考えるべきはホシノちゃんが着いてこようとする理由について……うん、まあこれは罪滅ぼしだろう。

 

 流石に少し過剰な表現だとは思うが、しかしあながち間違ってもいないはずだ。多分この子は僕が弱体化したことに今でも責任を感じているだろうし。

 

 別に気にしなくてもいいんだがねえ。どうせそこらの奴よりは僕の方が強いはずだし。それにそこまで不便もしてねーし。

 

 次、先生が少しだけ過保護になっている理由について。これもそこまで難しくはねーな。僕が元いた世界に帰るとなった時、取り返しのつかないことになっていたら困るからだろう。

 

 例えば……まあ無いとは思うけど、こっちで死んだりする(キヴォトス(こちら)では『ヘイローが壊れる』と遠回しに表現するらしい)とか。あとはとんでもない後遺症が残ってたりするとか。杞憂と言わざるを得ないがね。

 

 どっちにしろ、死んでなきゃ安い。怪我ならスキルで治せるし。しかしまあ、心配されているというのは新鮮だね。

 

 悪い気分じゃあない。

 

 続いてハルカちゃんとホシノちゃんを合わせた結果発生し得る事態について──まあ()()()()のことだけど、問題ないだろ。何が起ころうが僕とホシノちゃんがいれば対処できる。

 

 それに二人とも扱う武器がSG(ショットガン)だし、もしかすると案外いいコンビになってしまったりするのではないか。あくまでも希望的観測だがね。

 

 一つ問題なのは、ホシノちゃんに対してハルカちゃんがどう出るか。緊張してパニクったりしなきゃいいんだけど……万が一そうなったとしても、まあ僕のスキルでどうにかできるしな。

 

 アルちゃんから頼まれた件も含めると──アルちゃんからの要請はまるきり無視する形になるが──やはりホシノちゃんと引き合わせてみるのは一つの手な気がするなあ。ホシノちゃんって結構先輩らしい先輩だし、SG扱う子の中では最強だと思うし。

 

 ……うん、デメリットよりもメリットの方が余裕で多いな。それならしょーがねー、ここで断るのもホシノちゃんに悪いし、ハルカちゃんの交友を広げるチャンスをみすみす流しちまうのもよくないか。

 

 それにホシノちゃんには一つ貸しがある。ここで返してもらうのが、一番後腐れも残らねーかな。以上、脳内会議終わり。

 

「……ホシノちゃん、一緒に祭りを見に行くとしようか。確か桜花祭は花火が名物だったはずだし、折角だから眺めてみるとしよう」

 

「そうこなくっちゃ! 守りは任せてよ、安心院(あんしんいん)さん。これでもおじさん、結構頑丈なんだよ〜?」

 

「ああ、頼りにしているとも──それで、先生? 百鬼夜行にはいつ頃向かうんだい?」

 

「"そうだな……お昼過ぎにしよう。向こうはグルメが有名らしいし、折角だからハルカも含めて、四人で食べ歩きでもしてみよっか!"」

 

 ほう、胃が弱い先生の方から食べ歩きを提案してくるとは、なかなか珍しいこともあるもんだね。まあたまにはそういうこともあるか。

 

 そうと決まれば話は早い。アルちゃんにはさっさと連絡しておくとしよう──「お昼頃にハルカちゃんをこっちに寄越してくれ」っと。これで大丈夫だろう……既読はやっ。

 

 多分画面の向こう側で「早すぎるでしょ!!??」とか言いながら驚いてるんだろうが、こういうのは早いに越したことはねーだろ。

 

「さて、アルちゃんへの連絡も済ませたし……僕たちも準備を始めようか」

 

「"うん、そうしよっか。いやー、百鬼夜行のグルメ楽しみだね、ホシノ!"」

 

「そりゃもちろん! いやー、それにしても楽しみだな〜、魚……お刺身……」

 

「"お刺身……あるかなあ?"」

 

 ……ホシノちゃんがソファの上で液体みたいにぐにゃっぐにゃになりながらそんなことを言っているが、もう僕は突っ込まねーからな。

 

 いやしかし、()()()()()ねえ……そうだな。どうせこれからも絡むことになるんだし、いつか本物の海に連れて行ってやるか。

 

 そんなことを考えながら、僕は百鬼夜行へと向かう準備を開始した。

 

 






 なんかハルカとホシノが着いて来ることになってるのは気にしないでください。誤差です。

 書き溜めはありません。明日の20時に更新されていなかったら明後日の20時に更新します。頑張ります。

 感想・評価・ここすき等よろしくね。

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