大学の課題とかバイトで忙しくてキャパヤバいので土日休みます。寝不足すぎてマジで眠い。
──「強い」のだということはなんとなく理解していた。ただそれは、スキルだとか状況だとか、そういうものも関係しているのだと思っていた。
実際に私はこのキヴォトスに来てから、一番ナジミと行動を共にしているわけだけど、なんだかんだで、
あるにはあったのだけど、それだってほんの一瞬だったし、ナジミは意外と裏に回ってサポートに徹しがちだ。
思うに、戦い自体には意味を見出していないのだ。観察に基づく憶測でしかないけれど、しかしあながち間違いでもないと感じる。
だから大量のスキルを使ったりせずに、ほとんど純粋な身体能力とかだけで戦っているのを見るのは、本当に初めての経験。
というかナジミは度々私に「僕ってばスキルが大量に使えねーとそこまで強くねーからさー」と言ってきていたので、少なくとも、前ほどの殲滅力は無いのだと思っていた。
今の今まで。
さっきのさっきまで。
「……先生。今あの子たちが──」
「"小鳥遊ホシノと
「──ホシノさんと
シズコは心底うんざりしているのを隠そうともせずに、私に向かって半ば愚痴るようにそう言った。多分この子は、普段から苦労しているんだろうな。
「まあ、
「"うん、まあそこは
「そんなにですか!? シャーレってもしかして怖いところ……?」
「シャーレ組、やっぱり
「ちょっとフィーナ! 折角助けてもらってるのに──いやまあ否定し辛いけど、そういうことはあんまり大声で言っちゃ……」
……何か誤解されている気がする。後でしっかり解いておくことにしよう。
いや、しかし。それにしてもまさか。ホシノはともかくとして、ナジミがここまで戦えるのは正直言って
あの日──つまりはアビドスの砂漠地帯で倒れた日以降、ナジミは
もう少し細かく言えば、
アロナに解析してもらった所によると、どうやら今のナジミは脳に過剰な負荷がかかったことによって一部回路がショートしたような状況に陥っているらしい。
それから、ナジミはアロナのことをすでに認知しているから、やろうと思えば
それをやると私を銃弾から守れなくなるらしいんだけど、しかしそんなことは私にとって些事だったから、ナジミにはすぐさまその旨を──スキルの反動を肩代わりできるということを伝えた。
「自分の失敗の責任くらい自分で取るさ」と一蹴された上に「無理に肩代わりしたら姿を消してやるぜ」と脅されたから、私にはどうにもできなかった。
ナジミのことも私の生徒であると思っているし、守らせて欲しいんだけどな。
ナジミが普段からスキルを沢山使うからすっかり忘れていたんだけど、三つでも十分多い。私が知っている他の子たちは、使えるスキルは一つだから。
だからキヴォトスの中でも屈指の強さを誇る(と私は思っている)ホシノと、同じくシンプルに強いナジミが組んだら、まあ
まあ、それはそれとして。
「
反対に「
これについて、私が提案できた対策は「強力なスキルを使わない」という、あまりにもシンプルな物だった。
……こうなったのは、
しかしこのままくよくよしていても、ナジミの後遺症は取り除けないし、何の進展もないままになってしまう。
幸いにもこの前ちょうど
「あ、あの……先生? えっと、その……私、ああなった方がアル様の、便利屋のみなさんのお役に立てるんですよね??」
「"ん? ああ、いや。
「……? えっ、と、それって、何か違うんですか? 同じように聞こえる……ような……?」
「"いいや。『同じ
私がそう言うと、ハルカは手に持った
「"だって、ハルカは
「……えへへ、それは、まあ、そうですが……」
「"それだったらさ、目指すべきは変わること
私はハルカの方を向いてそう言ってみるが、いまいち分かっていなさそうだった。唇が震え始めているし、視線があっちこっちに行ったり来たりしている。
これはよくないね。多分ハルカは、また自分を責めてしまっている。これが多少であればいいんだけど、この子の場合は少々過剰な自責になってしまう。
過剰な自責というのは、言い換えれば自信がないということで。それはつまり自分の優先順位が低いということでもある。
自信がないから、自身がない。
多分だけど、ハルカは「自分で考えて動くと失敗する」と思い込んでしまっている。
これはハルカの中で絶対的に、根底に根差している価値観なのだと思う。だから行動選択の際も、他人の正解を自分の正解と思い込んでしまうのではないか。
……本当に、アルには──便利屋のみんなには感謝しかない。ハルカの拠り所となってくれていたことに。そして今回、
便利屋のみんなの誠実さに応えなければいけない。だからこそ私は、今回ハルカに
当然先生として教えられることは教えてあげたいし、道に迷っていたら導いてあげたいとも思っている。だけど一から十まで教えてしまったら、それは
示すのは当たり前。大変そうなら手を取って引いてあげるのも。だけど、初めから私が答えを教えてしまうのは、絶対に違う。そうして導き出した答えは、
答えを見ながら問題を解いても、勉強はできるようにはならない。それをやった結果身に付くのは、たぶん生徒自身の未来──可能性を閉ざす方法だけだ。
それじゃあ意味がない。
私の仕事は
……多分、ナジミとホシノも、私が何をしようとしているのかは気が付いていると思う。ふざけているようにも見えたけど、あれだって固くなっていたハルカをほぐすためだし。
あの子たちはそういうことを、意外と計算してやる子だから。緩いように見えてその辺きっちりしている。
本当に、感謝しかない。
だからここは、私の仕事だ。
「"……そうだな、それじゃあハルカ、例え話をしよっか。絶対にありえない話だとは思うけどね"」
「……? えっと、先生がそうおっしゃるってことは……今、必要なこと……なん、ですよね?」
「"うん、とても大事なことだよ。極端な例だけど、例えばハルカ。君が慕ってやまない社長──アルがもしも強大な力を得た代わりに、悪を悪とも思わないような残虐な悪党になったらどう思う?"」
私がそう問うと、ハルカは一瞬ポカンとした後、何か思う所があったのか慌てた様子になり、その後私に問い返してきた。
「そっ、それはつまり……弱いものいじめばっかりするとか、無意味に大切に育てられた植物を踏みつけるとか、そういうことですか!?」
「"まあ何があってもあり得ないとは思うけど、そういうこと。万が一、億が一にもあり得ないけどもしもアルがそんな──"」
「ちっ違います!!!! アル様は優しいんですカッコイイんですだからそんなことしません!!!! だ、だから
「"……今考えたことを、口に出してごらん。多分、
私がハルカにそう促すと、しばらく悩みに悩んだ後、目線を右下の方へと固定し、恐る恐るといった感じで考えを吐き出した。
「えっと、その……私がそう思っているように、その、アル、さまも……私に、そのまま、変わらないままで、いてほしい……?」
「"そうだね。きっとそうだよ。ちなみに私も、ハルカには無理してまで変わってほしくはないかなあ"」
「えっ、いやでも、私なんかのままじゃ……」
「"それでいいと、私は思うよ。便利屋のみんなが好きなのは、過去でも未来でもなく、きっと
そう提案すると、途端にハルカは顔を青くした。多分この感じだと、悪いことを想像しているな。
「むっむむむむ無理です!!?? そんな、だって、それでもしも……!」
「"ハルカ。今まで一回でも、便利屋の皆が傷つけるようなことをしてきたことがあったかな?"」
「……い、いえ、いつもよくしてくれて、毎日、一緒にいてくれて、そんなことは、一度も……」
「"でしょ? それならきっと、悪いようにはならないよ。どうしても不安でしょうがないなら、私がついてるからさ。だから、ね?"」
視線の高さを合わせて、ハルカの顔を見る。するとハルカは何かに驚いたような表情をした後、数秒間視線を彷徨わせ、それから辿々しくではあったけれど、私の方を見て言葉を紡いだ。
「そ、その、分かっ、り、ました……聞いてみます……」
「"きっと大丈夫。勇気を出してアルたちを……便利屋のみんなを信じてみて。絶対にもっと、仲良くなれるはずだから"」
「おいおい先生、そこは嘘でも『"
「うわあっいつの間に!!??」
……突然ナジミが「
ハルカは……うん、そこまで驚いていない。これで大丈夫なら、他に何かあっても大丈夫だろう。
それから。フィーナがシズコを引き起こし、ハルカの顔色が落ち着いてきてからしばらく経ったところで、ホシノも百夜堂の前に帰ってきた。
「いやー、おじさんもうヘトヘトだよお。流石にあの相手を二人ってのは無理があったかな〜!」
帰ってきた、のはいいんだけど。
「"あの……ホシノ? なんだか
「ん? あー、そうだね。いやまさか、あんなにいい子そうだったイズナちゃんを一日で二回も気絶させることになるとは思ってなかったよ〜」
ホシノは小脇に目を回したイズナを抱えながら帰ってきた。ちょっと意味が分からない。
「"いや、えっと……何で?"」
「何でって、そりゃあねえ?」
「イズナちゃんが魑魅一座に手を貸してたからだが」
「"なおさらなんで!!??"」
イズナは忍者を目指しているいい子だったじゃないか。まさか心変わり? いや、あり得ない……長々と考えていても、悪い妄想ばかり浮かんでくる。
「"……とりあえず、中に入ろっか"」
私のその言葉は、今までの何よりも小さく響いた。
眠すぎて滅茶苦茶書いてるかもしれないんで、誤字脱字見つけたらご協力お願いします。
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