なじみアーカイブ   作:Minus-4

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 今回はつなぎみたいなもんなんで短めです。




第43箱「ここに参上!!」

 

 

 さて、突然だが陰陽部でのなんやかんやは全カットだ。結局ただたらい回しにされただけだったし。

 

 得た成果と言えば、僕たち以外にも修行部って奴らが魑魅一座に困らせられている、ということが発覚したくらいのものだぜ。

 

「いやしかし、あの和楽(わらく)チセとかいう子はなかなかに強烈だったねえ。ああいうのを電波系、あるいは天然っ娘と言えばいいのかな?」

 

「まあ多分、チセはそっちの枠かな……それにしても、修行部かあ……確かにお互い魑魅一座に困らせられている身とはいえ、大丈夫かな……」

 

「"シズコは何か心配事でもあるの? その、修行部の子たちとは反りが合わない、みたいな"」

 

「ああいえ! そういうわけではなく……その……()()って噂なんですよ。修行の一環と称して寝ながらジグゾーパズルをやる人とかがいて」

 

「……寝ながら、ジグゾー……ですか? えっと、器用な人たちなんですね……」

 

 うーん、ハルカちゃんがどういう連中をイメージしているのかまでは分からねーけど、多分器用とかそういうのではねーんじゃねえかなあ。

 

 シズコちゃんが言うには、他にも立派なレディーになるために不良を倒して回っている奴とか、大和撫子の嗜みとか言って読心術を使う部員もいるらしい。

 

 なんつーか、あれか。百鬼夜行には変人しかいねーのかな。そろそろ詰め込みすぎでキャパオーバーが近いと思うが。

 

 ……修行部とやらは十中八九、()()()()()()()()()()()()()()()()のことだろうね。あの時彼女は、僕に向かって確かに「もしかして修行部の──」と、そう口にしていたから。

 

「それで、シズコちゃん。その修行部とやらは一体どこ──いや、やっぱいいや。それは後でも聞けるし」

 

「……? どうしたの、安心院(あんしんいん)さん。いきなり銃なんか取り出しちゃって──って、まさか……そういうこと?

 

「まあそういうこ──?」

 

 いや、これは僕たちの出番はないな。勘違いされてもたまったもんじゃねーし、シズコちゃんには悪いが、銃はしまっておこう。

 

「……えっと、安心院(あんしんいん)さん? 私、今から念のためスキルを使おうとしてたんだけど、どうして銃をしまってるの?」

 

「ああいや、どうやら()()()()()()()()()()らしい。ちなみにシズコちゃんのスキルを教えてもらったりは出来るのかな」

 

「それはまあ、別にいいんだけど……屋台を呼ぶスキル河店敷(サイドリバー)。こうやってこうすると──」

 

 シズコちゃんがおもむろにコップを取り出し、地面へと叩きつけると、何故か空から百夜堂の出張屋台が降ってきた。

 

 ……いや、結構な音と砂埃が出ているが、いきなり使ったら間違いなく騒ぎになるだろ、これ。

 

 あと一応お店ということだし、露店営業許可申請とかも必要になってくるんじゃねーの? いやまあ、今はシャーレである僕たちと一緒にいるから大丈夫だけどさ。

 

「ちなみにこの屋台は同時に一つしか存在できなくて、あとついでに言うと、私自身の半分くらいの耐久力があるって感じ。試したことないから多分だけど……」

 

「わ、私のよりも使い勝手が良さそうですね……守りにも使えそうだし、羨ましいです……」

 

「そう? 私としては、もっと派手な方がお客さんも引き込めるかと思ってるんだけど、まあ確かに防衛戦には向いてるかも?」

 

 ハルカちゃんとシズコちゃんも、段々と壁が無くなってきた感じがするね。百鬼夜行という土地柄とか、あとはお祭りの雰囲気なんかも味方していそうだ。

 

 と、ちょうど僕がそう考え始めたタイミングで、先ほど僕が魑魅一座の気配を察知したところから、()()()()調()()()()()に身を包んだ三人組が現れた。

 

 気絶した魑魅一座の連中を抱えているし、事前に伝えられた外見情報とも一致する。どうやら、あの連中が修行部で間違いなさそうだ。

 

「あっ! さっき空から降ってきた屋台!!」

 

 そのうちの一人──一番身長が低い子が、シズコちゃんの方を指差してそう大きな声を出した。それに伴って、残りの二人も屋台の方を見る。

 

「……スキル、かな? それとも……ふわぁ〜……」

 

「もしかして、あの人たちがシャーレの……?」

 

「おや、よく分かったじゃないか。つってもまあ、どうせ陰陽部辺りから聞いていたんだろうがねえ」

 

「ええ、まあ……って、えっ?」

 

「おや、どうしたんだい突然話を止めて。僕はただスキルを使って背後に回っただけだから、気にしなくていいぜ」

 

 最近こういうこともあんまりやっていなかったし、驚いてくれれば面白えなー、とかそんなことを考えてやってみたわけだが、さてどうなることやら。

 

「あれ、瞬間移動ということは……もしかして最近噂の、シャーレ所属の生徒さんですか?」

 

「あーっ、聞いたことあるよ! そこかしこをビュンビュン飛び回ってて、シャーレの悪口を書き込んだ人を怒りに行ってるって!」

 

「いや別にそんなことはやってないけどな。僕がやってるのはあくまでシャーレとしての業務だけで、SNSの監視とかはしてねーし」

 

「そうなんだ……」

 

 なんか話に尾鰭が付いているね。影響力の大きい機関に所属していて、尚且つ世間への露出も多いとなると、やはりこうなってしまうのか。

 

 まあ別にいいんだけどさ。

 

「……その服、もしかして、入部希望の人?」

 

「あー、これは普通に自前の服さ。せっかく百鬼夜行のお祭りを楽しみに来たというのに、これを着ないのはもはや怠慢かと思ってね」

 

「ふーん……まあいいや。よろしくね?」

 

 ものすごく眠たげな子は、そう言うと僕に手を差し出してきた。すかさず僕も握り返すと、目の前の子がやんわりとした笑みを浮かべた。

 

 こっちまで眠たくなってくる。

 

「"安心院(あんしんいん)さん、急に『腑罪証明(アリバイブロック)』を使われると追いつけな……って、もしかしたら、その子たちが?"」

 

 と、僕たちが平和にファーストコンタクトを交わしていたところに、先生たちも追いついてきた。まあ修行部の連中がいるところまで30mくらいあったし、そりゃあ追いつくのに時間もかかる。

 

「やあ先生、遅かったじゃないか。君がここに到着するまでの間に、僕と修行部のみんなは初対面の挨拶を──」

 

「あ、ちょっと待ってシャーレの瞬間移動の人! 修行部の挨拶みたいなやつがあるから、それだけやらせてくれない?」

 

 一番背の小さい子がそう言ってきたが──まあ別にいいだろう。見て困るもんでもないし、交流を深める意味合いではむしろプラスだ。

 

「先生、どうする? せっかくだし……」

 

「"うん。それじゃあ、みんなのことを知るためにもやってもらおうかな!"」

 

「えっ?」

 

「オッケー! それじゃあいくよ、ツバキ先輩、ミモリ先輩!」

 

「いくよ〜」

 

「その、カエデちゃん?」

 

 そうしてミモリちゃんとやらの意向は完全に無視されたまま、修行部の自己紹介が始まった。

 

「何だ誰だと聞かれたら! 答えてあげるのが人情ね!」

 

「そんな、いきなり……!?」

 

 カエデというらしい子がそう叫び、「シュババッ」と口に出しながら動き回ったあと、カエデちゃんはツバキちゃんとミモリちゃんの間に落ち着いた。

 

「派手に!!」

 

「可憐に……」

 

「う、美しく……! で、合ってます……?

 

「ばっちり!」

 

 カエデちゃんがそう言ったのを聞いたミモリちゃんは、あからさまにホッとした表情を浮かべていた。なんか申し訳ないことをした気分だぜ。

 

「街の平和を守るため、美少女三人組の修行部……

ここに参上!!

 

「参上ー……」

 

「えと、参上、です……」

 

 往年の特撮番組であれば、ここで背後が爆発するのだろうな、という登場演出を完遂したカエデちゃんはどこか誇らしげに見える。

 

「ふふっ……完璧な口上!! ツバキ先輩もそう思うでしょ!?」

 

「ふぁ……ん? うん……」

 

「えっと……カエデちゃん? その、なんだか凄く周りの人に見られている気がするんだけど……」

 

「……ね? 言ったでしょ安心院(あんしんいん)さん。変わり者だって……」

 

 ──本当に、百鬼夜行にはキャラが濃い連中しかいなくて退屈しねーぜ、わっはっは。

 

 ……胃もたれしそうだ。

 

 






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