昨日に比べて少し長め。具体的には、1,500文字くらいプラス。
初対面の印象は随分なもんだったが、しかし修行部の連中、話してみると意外なことに結構まともな価値観を持った連中だった。変わり者と思ったのは、撤回しないといけないかもね。
さて、さっきから今までの間に何があったか説明しよう。ファーストコンタクトの後、修行部の子たちは自己紹介をしてくれた。
まずは一番身長の小さい子こと、
続いて眠たげな子こと、
最後にさっき恥ずかしがっていた子こと、
それから、修行部は活動の趣旨として「修行」を掲げている以上、やはり魑魅一座の暴挙を見過ごすことはできなかったらしく。
ここ最近は魑魅一座を退治しながらここら一帯をパトロールして回っていたらしかった。なお修行部は別に治安維持組織ではないため、完全にボランティア──善意で、しかも無償で祭りを守っていたらしい。
シズコちゃんは面と向かって「もっと変わった人たちなのかと……」とか言っていたが、流石に面と向かってそれはいかがなものかね。先生も苦笑いしていたし。
と、まあ、総括すると。
修行部と僕たちは同じことで困っているらしいし、協力体制を結ぶことができそうだ──。
「──と、
「……僕、まだミモリちゃんには
「まさか、本当に読心術が使えるの!? てっきりただの噂かと……」
まあ今更こんなことで驚くほど、僕も心臓が小さいわけじゃない。悪い奴ではないみたいだし、読めるだけ読めばいいさ。
というか、多分厳密には
「それで、私たちは魑魅一座・路上流を退治して回ってるんだ。ここ最近、いきなりまとまって暴れ始めたから……ふぁ……『雇い主』、みたいな…………」
「……えっと、ツバキ? あれ、おーい……?」
「た、立ちながら眠ってますね……やっぱり、器用なんですね……?」
「あーっ、ツバキ先輩また!? こんなところで眠ったら風邪ひいちゃうよー!!」
「風邪をひく気温じゃないと思うけど……むしろ私もお昼寝したくなってきたわ……」
立ちながらいきなり眠ったにしては、随分と心地良さそうだ。しかし話している途中に眠られちまうと、こちらとしては困っちまうな。
「なあミモリちゃん。見ての通りツバキちゃんは眠っちまったわけだが、あの状態でも心を読めたりするのかな?」
「えっ? いや、やったことはないので分かりませんけど……それじゃあ、一応やってみましょうか」
ミモリちゃんはそう言うと、ツバキちゃんの方をちらと一瞥した。そうしてすぐに僕の方を向き直ると、首を横に振った。
「おや、ダメだったのかい。なるほど、つまり眠っている子にはお得意の読心術は使えない、と。そういうわけだ」
「いえ、使えはしたんですよ? ただツバキちゃん、本当に眠かったみたいで……『Zzz……』って、考えてるみたいで……?」
ミモリちゃんは困ったように笑いながらそう言ったが、そんなこと言われたって僕も困っちまうぜ。Zzzって。漫画じゃねーんだぞ。
なんて、そうやって考え込んでいる間にも、カエデちゃんはツバキちゃんの体を揺さぶっていた。その甲斐あってか、どうやら目覚めてくれたらしい。
「んぅ……あれ? カエデ、おはよう……もしかして、もう朝?」
「もー! さっき寝たばっかりでしょ! それに今はお昼真っ只中!!」
「お昼? それじゃあ、お昼寝……しなきゃ…………」
「ツバキ先輩!!??」
「ミモリちゃん?」
「『Zzz……』ですね」
前言を撤回したのを撤回しよう。
やはり、変わり者だという評判は間違いない。
「"それで……みんな、これからどうする? 倒れてる魑魅一座の子たちも放置しておくわけにはいかないし……"」
ツバキちゃんがようやく目覚めたあと、先生はそんなことを口にした。まあ確かに先生ならば、不良とはいえ子供を放っておくわけにはいかないか。
「うーん……それなら、百夜堂に連れていっちゃいます? そこで問い詰めて雇い主について聞き出しちゃうのが、一番手っ取り早いんじゃ──」
「その点に関してはお任せください!!」
──突如として、その場の全員に
突然大きな声が響いたものだから、当然全員の注目がそちらに集まる。
恐らくは、
──倒れて山積みになっていた魑魅一座は、
ツバキちゃんとハルカちゃんがすぐさま元向いていた方向を見た。僕も見ていたが、そこには
なるほど、シンプルに脚力だけで突っ込んで来やがったな。この様子だとスキルは別にありそうだ。
「こ──じゃなくて、捕まえます……!」
「うん」
最速で反応した二人組が、それぞれ
イズナちゃんはそう叫ぶと同時に煙玉を叩きつけ、周囲に煙幕が張り巡らされた。一寸先も見えないほどの煙だが、まさかこれで煙に巻くつもりなのだろうか。
……
僕は「
(やあやあホシノちゃん。突然で悪いんだが、今そっちにニャン天丸っているかな?)
(うへ、直接脳内に〜!? なんちゃって。ちょうどさっき出て行ったところだよ。一応泳がせてみたけど、正解かな?)
(大正解だぜ、ホシノちゃん。それじゃあ多分この後すぐ帰るから、それまでのんびりしていてくれたまえ)
(うへ〜い。フィーナちゃんとお昼寝して待ってるね〜)
どうして僕の周りにはお昼寝好きがこんなに多いんだろうか。
……っつーか、やっぱりこの程度でも
不便極まりねーぜ。
「"けほっけほっ……これ、もしかしてイズナ!? 見えないからどこにいるか分からないけど!"」
「はいそうです! 突然ごめんなさい先生たち! でもイズナ、これも忍者としての宿命だと割り切ったので!!」
「ミモリちゃん、どうにか読めないかな?」
「これは……流石に、顔が見えないと……!」
ふむ、それならばやはり
ただ、そうだな。このまま逃して僕たちが疑われたら嫌だし、煽るだけ煽っておこう。
「……イズナちゃん、まさかとは思うけど、僕から逃げ切れるとでも思っているのかな?」
「最初から負けるつもりで突っ込むほど、イズナは考えなしじゃないですよ
おっと、
「カエデちゃん、君って防御系のスキル使える?」
「えっ? うん、バリアを張るスキル『
「そうかい。それなら今すぐ使ってくれ」
「──合点承知!!」
僕が使ってくれと頼んだ瞬間、カエデちゃんは一も二もなくスキルを使用した。信号弾を撃った直後、僕を含めて周囲にいる全員にシールドが張られている。
なるほど、人数制限がないのならかなり便利だね──と、そう考えている間に、イズナちゃんも飛び出す準備が整ったらしい。
誰にもほとんど反応させないスピードを、脚力頼りで出しているんだ。恐らくは──。
「
──周囲への被害は、もはや爆発と変わらない。
イズナちゃんが飛び出した直後、僕たちがいた場所の煙は一気に晴らされ、そしてものすごい砂埃が立った。
「っ……逃がさないっての!!」
シズコちゃんが咄嗟にそう叫び、おそらくイズナちゃんが飛んで行ったと思われる方向に「
が、しかし。
「とりゃあっ!!」
「嘘っ!? 結構頑丈なのに!!」
イズナちゃんはすかさず屋台を
三倍強いっつーか、三倍速くなってねーか?あの子。いやまあ、速さは強さか。
「……あ、
「ん? どうしたんだいハルカちゃん、しきりに地面を指差して──って、おい、マジかよ」
ハルカちゃんが顔面蒼白なので、地面を見てみると──
いやー、ホシノちゃんと夜の校舎でやり合った時を思い出すね、このレベルとなると。脚力だけなら、そうそう引けを取らないだろ、これ。
「……まあいいや、とりあえず百夜堂で作戦会議でもしようぜ。気を張り詰めっぱなしってのも、あんまり良くねーだろうし」
僕の提案に否という者は、その場には一人もいなかった。
イズナの身体能力、具体的にどのくらいなのかはあまりよく分かってないので盛りました。インフレにご理解とご協力をお願いします。
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