イベストをキリがいいところで区切ると、どうしても短くなりがち。でも読みやすいとは思います。
「さて……具体的にどうやって元凶を突き止めるか、ですが……どうしましょう?」
百夜堂に到着してすぐにホシノちゃん達との顔合わせを済ませたあと、作戦会議で飛び出したのは、ミモリちゃんのそんな一言だった。
「やっぱりこんなに大人数なんだし、数を活かした作戦にするのがいいんじゃない? ハルカちゃんもそう思うでしょ〜?」
「は、はい……その、やっぱり、一箇所にまとめて一気に消し飛ばしちゃうのが、一番いいんじゃないかって思います……」
「まあハルカちゃんの言う通り、消し飛ばしちゃうってのもありっちゃありだろうね。問題はその場合、周辺被害がえげつない規模になるってことだが」
「……ちょっと待って
「"あー、シズコ? 凄く言いづらいんだけど、ハルカの爆破はもう爆破とかそういう規模じゃないから……"」
「そうそう。ハルカちゃんはついこの間もカイザーPMCってとこの基地を丸ごと使い物にならなくしちゃったからね〜。ま、そのおかげでおじさんは生きて帰ってこられてるんだけどさ」
「なんか物凄い大事件のエピソードを垣間見そうになったけど、まあいいわ……それじゃあやっぱり、数で押す戦法の方がいいかも……」
シズコちゃんはそう言って、しばらく首を捻りながらうんうんと考え込んだ。結構な長考だったので、ツバキちゃんとホシノちゃんは二人で眠ってしまった。
ちなみにこの二人は初対面から意気投合してやがった。「お昼寝連合」なんだとよ。まあアビドス外に交流を広げるのはいいことだと思うし、文句もねーが。
そうしていよいよホシノちゃん達がガチ寝し始めた頃合いで、シズコちゃんはようやく方針を定めたらしかった。
「うん、やっぱり数で囲んで一気に仕留めて椅子にくくりつけて元凶を何がなんでも吐き出させるしかない。散々迷惑かけられたしちょっとくらい過激でもまあいいでしょ」
「なるほど、サスガ委員長! あんな悪党たちには
「うわっ……お祭り運営委員会って、血祭りも運営してるの……?」
「血祭りというか……ただ痛めつけてるだけのような……?」
カエデちゃんとミモリちゃんがそんなことを言っているが……さて、僕はどうしようかな。乗るべきか、乗らないべきか。
こういう時は先生を見れば大体のノリが分かる。さて、先生の見た目は──オッケー、ハゲ散らかしたマスコットだ。ハゲ散らかしたマスコットがあんぐりと口を開け、驚きを隠せないといった様子で佇んでいる。
先生がハゲ散らかしたマスコットになっている間は、基本的にどれだけふざけても問題ねーからな。しかも見た目が、よりにもよってハゲ散らかしたマスコットなおかげで超分かりやすいから本当に助かるぜ。
「えっと、よく考えるとフィーナもそれはちょっとやり過ぎだと思いマスよ、委員長……」
「そんな提案をさらりと出来るなんて、もしかして普段からそんなことばかりしているのかな。そういうことなら、早いとこ白状したらどうなんだい」
「なんで勝手に私の発案みたいにされた上にまるで常習犯みたいな扱い受けなきゃいけないの!?」
うん、やっぱりシズコちゃんはツッコミの適性が高いね。まあ流石にこれ以上はやらねーが。
ボケ倒すと話が進まねーんだよ。
「とにかく! 魑魅一座を捕まえて元凶を吐かせる! もう百夜ノ春ノ桜花祭のクライマックスは明日──時間なんて無いんだから」
「あっ、聞いたことある! 花火でしょ、ホログラムの! パンパンパーンって!」
「ええ、盛り上がりも最高潮。桜花祭のラストを飾るに相応しい新たな花火を用意したわ」
「ふわぁ……もしその時に魑魅一座が暴れたら、
おや、ツバキちゃん起きていたのか。うちのホシノちゃんは……まだ眠っているね。まあ朝から気を張っていたみたいだし、今くらい休ませてあげよう。
「
「もしかして、小指ザクリの刑、デスか……?」
「小指どころか首が飛ぶわよ。まあ少なくとも、全責任を負わされるのは間違い無いでしょうね……」
「シズコちゃん、そんなことには私たちがさせません。一緒にお祭りを台無しにしようとした元凶を探し出して、絶対に桜花祭を成功させましょう?」
「ミモリ……うん、そうね!」
まあ仮に、シズコちゃん達が責任を負わされる事態に陥ったとして、その時は先生がなんとかしちまうんだろうが。
っつーか、そうなりそうになったら僕とホシノちゃんとハルカちゃんの三人で、元凶の思惑ごと吹き飛ばしちまうだけだがよ。
「よし、まずは早いところ元凶を探す! それで私が受けてきたストレスをそっくりそのまま叩き込んでやらないと腹の虫が収まんない! 絶対ボコボコにしてやるんだからっ!!」
「えっと……や、やっぱり消し飛ばす方針ですか……? それなら、もしかしたら私が……お役に立てるかも……?」
「いや、ハルカちゃんは気にしなくても大丈夫! あくまで私がボコボコにしたいだけだから! こう、パンチとかで」
シズコちゃんはそう言って、その場でキレ良くシャドーボクシングをし始めた。ストレートには明確に怒りがこもっているのが見えるね。
というかシズコちゃん、ハルカちゃん相手でも取り繕うつもりとか毛頭無さそうだね。まあ素を出してもらえるくらいには、今日1日で親しくなれたってことでいいのかな。
ハルカちゃんを百鬼夜行に連れてきたのは正解だったらしい。ほっとしたぜ。
さて、作戦会議も終わったところで、僕たち一向は魑魅一座の連中を探しに街へと繰り出した。
……というのはやや嘘を含む。なぜなら、僕とホシノちゃんだけは別行動をしているからだ。今は二人で屋根の上に座っている。
「さて、ホシノちゃん。十分休息は取っただろうし、僕たちは既に元凶を知っている。だから実のところ、今すぐ事件の解決に動くことだって出来るわけだが──」
「それじゃあ折角ハルカちゃんを連れてきた意味がなくなっちゃうしね〜。ハルカちゃんの成長のためにも、年老いたおじさんたちが水を差すわけにはいかないよぉ〜」
「分かってるじゃないか……っと、お出ましだぜ」
「あ〜……これはもう、言い逃れできないね?」
ホシノちゃんと僕の視線の先には、
姑息な大人とはいえ、流石に現場を押さえられちゃあ言い逃れのしようもないだろう。
「さて、と。それじゃあホシノちゃん、ニャン天丸尾行作戦、現時点よりスタートだ。くれぐれも、バレるようなヘマはしねーように気をつけなさい」
「ちょっとちょっと、誰に言ってんのさ、
ふん、言うようになったじゃねーの、ホシノちゃん──まあいいさ。僕はこんなことで怒るようなたまではないし。
こういう気安くて気の置けない関係ってのも、なかなか楽しいもんだぜ。
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