なじみアーカイブ   作:Minus-4

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 3分遅刻。時間に余裕があると逆にサボっちゃって良くないね。




第46箱「気に入るはずですから」

 

 

「それではハルカさん! お頭のことは任せマシタよ!!」

 

 ──フィーナはそう言って、桜花祭に毎回現れる「かたぬきチンピラ」という……よく分からない風物詩みたいな子たちを退治しに行った。

 

 ちなみに修行部のみんなは迷子の子の親御さんを探しに。シズコはお祭り運営委員長として会議に。ナジミとホシノは何やら用事があると言ってどこかへ行ってしまった。

 

「"うーん、これだけ人数が減っちゃったら、包囲作戦は出来ないし……ハルカ、私たちはお祭りを見て回ってみようか"」

 

「えっ!? いえ、でも、その……皆さんそれぞれ頑張っているのに、私だけ、お祭りを見て回るなんて……」

 

「"大丈夫大丈夫。それに、パトロールついでに回るだけだから、お仕事みたいなものだよ"」

 

「……ほ、本当ですか?」

 

「"本当だよ。それで、もし途中で魑魅一座を見かけたら、私たち二人で後を尾けようか。根城を突き止められたら、あとは人数が揃うまで待てばいい。どうかな?"」

 

「えっと、うーん……わ、分かりまし、た……?」

 

 私がそう説明すると、ハルカは()()()()()あと、首を小さく縦に動かしてくれた。

 

 ……百鬼夜行に来る前のハルカだったら、きっと私の言うことを()()()()()()()()()と思う。だけど今、ハルカは確かに、ほんの少しとはいえ、()()()()()()()()()

 

 疑問を持ったということは、ハルカの中で()()()()()()()()()()()()()()()()ということに他ならない。つまり、多少とはいえ()()()()()()()()()()()()ということでもある。

 

 私がハルカに覚えてほしいのは、()()()()

 そして少しの疑いを持った上で、()()()()()

 

 ──この場合の「疑う」というのは、つまりは()()()()()()()ということ。「信じる」というのは、()()()()()()()()()ということ。

 

 もちろん、無理をして変わる必要はない。そしてこちらからも、変化を強制するつもりはない。あくまでもハルカには、自分自身の確固たる考えを持ってほしいというだけだ。

 

 自分を、信じてほしいだけ。

 

「"さて、ハルカ。まずはどこから回ろうか──って、どうしたの?"」

 

「せ、先生……あの、あれ……!」

 

 うーん、ひそひそ話の構えを取っているということは、何か周りに聞かるとマズい話なのだろうか。いや、でも表情はそんな風には見えないな。

 

 とりあえず、私はハルカの口元に耳を近づけた。

 

「"どうしたの、ハルカ? 何か良くないことでもあった?"」

 

「いえ、その、悪いこととかではなく……あ、あの……()()って、い、イズナさんじゃないですか……?」

 

「"ん……あれ、本当だ。こんなところで何してるんだろう。魑魅一座は見当たらないし、それなら──"」

 

 いや、違う。ハルカはイズナにお祭りを案内してもらう約束をしていたし、だったら、むしろ()()()()()

 

「"──ハルカは、()()()()()?"」

 

「……えっ? ど、どうしたい、って……そっそれじゃあ、今の私は、シャーレと業務提携中なので……イズナさんを、尾行──」

 

「"ああいや、シャーレとしてじゃなくて。()()()()()()()()()()()()?"」

 

「私としては、ですか……? でも、イズナさんとは、今は敵同士ですし……」

 

「"だけど、二人は友達でしょ?"」

 

「……と、友達、で……いいんでしょうか……?」

 

「"いいんじゃないかな。イズナもきっと、ハルカのことを友達だと思ってると思うよ"」

 

 そう言ってみるけど、やっぱり立場のことを気にしているみたいだ。うーん、それなら……そうだ、いっそのこと呼んじゃおうか。

 

「"おーーい!! イズナーー!!"」

 

「えっ、先生!? そ、そんなに大きな声を出したら……!」

 

「……むむっ! 先生にハルカ殿ではありませんか! ちょうどイズナも先生を探していたところだったのです!」

 

「や、やっぱりバレちゃいましたよ……!?」

 

「"せっかくのお祭りなのにこそこそするのも、少し勿体無いしね。それに、ハルカも明日に備えて、お祭りのことを詳しく知っておきたいでしょ?"」

 

「ああ、なるほど! その件ですね! ハルカ殿、お祭りの案内ならばイズナにお任せを! これでもイズナ、百夜ノ春ノ桜花祭には詳しいですから!」

 

 イズナは元気いっぱいに、胸をこんと一度叩いて胸を張ってみせた。いつ見てもイズナは元気に溢れているから、こっちまで元気をもらえるね。

 

「……い、イズナさん。私たち、敵同士……ですよね?」

 

「へ? って、ああ! そうでした! そもそも先生たちを探していたのも、今度こそ先生を倒して説得するため……!」

 

「"まあまあ。とりあえずさ、二人でお祭りを回ってきてみたら?お互いに気になってることもあるだろうし"」

 

「先生?」

 

「え、うーん……? しかしイズナ今は雇われの身ですし……でも、せっかく出来たお友達と桜花祭を回るチャンス……」

 

「お友達……」

 

 やっぱり私の見立て通り、イズナもハルカのことを友達と思ってくれてるみたいだ。それなら、やっぱり悪いようにはならないかな。

 

「……決めました! ここは一時休戦ということにして、ハルカ殿と一緒に桜花祭を回ることにします!」

 

「せっ、先生!? どっどどどうすれば!?」

 

「"ほらほら、折角だからさ。一緒にお祭りを見てきなよ。今は敵かもしれないけど、友達なんだからさ"」

 

「でも、今は敵じゃないですか……!?」

 

「"それを言ったら、安心院(あんしんいん)さんとかホシノだって、前は敵だったんじゃない? 懐かしいなあ、戦ったこともあったよね"」

 

「……それは、そうですけど……」

 

「"でしょ? だから立場はそんなに気にしなくてもいいんだよ。それじゃあイズナ、ハルカをよろしくね"」

 

「はい!! お任せください!!」

 

 イズナはそう言うと、ハルカの手を取り、今までに比べると随分とゆっくりとしたスピードで駆け出した。

 

「わっ……イズナさん、ちょっと……!?」

 

「まあまあ! 明日に備えて、今のうちに回れるところは回っておきましょう! ハルカ殿もきっと気に入るはずですから!!」

 

 ……すぐに見えなくなってしまった。ハルカは不安げな顔をしていたけど、大丈夫。きっともっと仲良くなれるよ。

 

 さて。これで私は一人っきりになってしまったわけだけど。

 

「"……狙いは、私の身柄かな?"」

 

「なんだ、よく分かってるじゃんシャーレの先生! 痛い目見たくなかったら着いて来な!」

 

「一応言っとくけど、抵抗とか無駄っすよ〜!」

 

 魑魅一座の子たち……この様子だと、雇い主の元まで連れて行ってくれそうだ。

 

 ちょうどいい。わざわざその姿を見せてくれるというのなら、こっちから拝みに行ってやろう。

 

「"分かった。それじゃあ連れて行ってもらおうかな"」

 

「ははっ、そりゃそうだ! それじゃ、抵抗するならこっちも──って、えっ? 着いてくるの?」

 

「い、いくらなんでも素直すぎやしないっすかね……? 大丈夫なんすか、そんな危機管理能力で……?」

 

「えっと、うーん……まあ計画通りだしいっか! わざわざ傷付けるのもなんか違うって思ってたし! 連れてくぞ!」

 

「はいっす!」

 

 ……なんか、思ってたよりもいい子たちだな、魑魅一座。そんなことを考えながら、私は二人の案内に着いて行った。

 

 お祭りを壊そうとした元凶に、お灸を据えてあげなきゃね。

 

 






 なんかハルカとイズナがお祭り見に行っちゃいましたが、想定の範疇です。

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