親に垢バレしました。
遅刻の原因はそれです。
さて、そういうわけで僕の想定通りに、先生は魑魅一座の連中に誘拐──自発的に着いて行ったわけだが、ここまでスムーズに行くとはね。
スムーズすぎて逆に困っちまうぜ。まだイズナちゃんとハルカちゃんの仲は深まりきってないっつーのによ。
パッと見た感じ、イズナちゃんは自分の夢を肯定してくれたハルカちゃんのことを、既に友人として捉えているように見える。仲が拗れるようなことはなさそうだ。
ただ……やはりハルカちゃんはまだイズナちゃんのことを明確に友達とは定義できていないようだ──しかし、スキルを使って仲良くさせるのも違うしなあ。
やはりここは、イズナちゃんに何とかしてもらう他ないね。ただそれだと、イズナちゃんに真実を知ってもらうタイミングがなくなってしまうし。
「……
「そうだな、それならいっそ──
ハルカちゃんの方は……ちょうどハルカちゃんの「敵なのになぜ仲良くしてくれるのか」という質問に対して、イズナちゃんが「イズナとハルカ殿はお友達だからです!」と返したところか。
やはりこの調子なら問題なさそうだね。僕自身、自分の目が確か過ぎて困っちまうな。おそらく、前の僕も確かだったのだろう。そういう自信がある。
「あのさ、
「この程度ならね。このスキルはそこまで負担が大きくないから、そこまで考えずに使っても問題ないんだよ。ゲームで例えるならば、これはコスト1のスキルだからね」
「……あんまり無理しないでよ〜? また倒れちゃうと、今度こそ車椅子に乗せるしかなくなっちゃうからさ〜。おじさん、介護するのはやだよ?」
「ふむ、老老介護という奴かな。つーか僕はそこまで考えなしじゃねーから、ホシノちゃんは安心しなさい(
「洒落になってないよ〜!」
わっはっは、ホシノちゃんってば本当に心配性だねえ。ま、無理もないことではあるがよ。
……それじゃあ、さっさと魑魅一座の連中を妨害するとしよう。スキルはこれで打ち止めかな。
というわけで、僕は道に迷わせるスキル「
一応先生に「スキルを使って時間を稼いでいる」と連絡をしたいんだが、今モモトークにメッセージを送っても、まず間違いなく魑魅一座にバレてしまうだろうし──。
うん、アロナちゃんに伝言を頼むのが一番いいかな。と言うわけで「
「ぅわっ!? どこから侵入──って、なーんだ。何かと思ったら、
「や、アロナちゃん。お休み中に突然尋ねてしまってすまないね。お願いがあるんだが、聞いてもらってもいいかな?」
「お安い御用です!」
頼もしい返事だ。実際この子が何をどこまで出来るのかは僕の預かり知る所ではないが、しかし先生から聞いた話などから推測するに、それなりに
「お願いというのは、つまり先生に『僕がスキルを使って時間を稼いでいる』ということを伝えてほしいんだよ。ほら、まさかこの状況でモモトークを送るわけにも行かねーしさ」
「……なるほど。コストが軽いスキルを除けば、
「そういうわけだよ。アロナちゃんは察しがいいねえ、流石はスーパーAIを自称するだけのことはある。今度報酬として絶品いちごミルクを持ってきてやるぜ」
「本当ですか!? よーし、俄然やる気が出てきましたよー! 先生への伝言、承りました! このスーパーアロナちゃんにお任せください!!」
そいつは頼もしいね。そんなことを考えつつ、僕はアロナちゃんに手を振ってホシノちゃんのいる屋根の上へと戻った。
「今度はどこに行ってたのさ。またハルカちゃん達のとこ?」
「いや、少し別の用事があったもんでね。企業秘密だから、これはホシノちゃんにも流石に明かせねーな」
「うへーい。わざわざ
「……もはや癖になって染み付いていてね。こういう含みを持った言い方が。なんつーか、僕は腹の中に一物抱えていそうな話し方をしがちだからね」
「ま、それが
どういう仮定かよく分からねーな。よりにもよって、どうしてそのチョイスなんだか。
いやまあ使おうと思えば使えるんだが、想像するだけで背中がぞくぞくしちまうから却下だね。僕らしくねーし。
「というわけでホシノちゃん、しばらく僕はハルカちゃん達の方に行こうかと思ってるんだが、ここは任せてもいいかな?」
「いーよいーよ、行ってきな〜。おじさんはここでのんびり人間観察と洒落込むことにするからさ〜」
ホシノちゃんはあくびをしながら、左目を瞑ってそう言った。いやー、何度も留守を任せてすまないね。
……「すまない」とか、前の僕だったら果たして考えていたのかな。そこのところ、気になる所ではあるよね。
「そういうわけで、ハルカちゃんにイズナちゃ──っ」
あー、
いやまあ、使おうと思えば使えるんだけど、それで倒れたりしたら、僕は今度こそ先生とホシノちゃんの手によって車椅子に乗せられちまう。流石にそれは困るな。
まったく、しょーがねーぜ。シズコちゃんとフィーナちゃん、それから修行部の連中にはモモトークで連絡を入れておくとしよう。
ぽちぽち、っと。これでよし、送信完了だ。
シズコちゃんにさえ連絡しておけば大丈夫だろう。
……アロナちゃんにこっちの連絡も任せちまった方が早かったかな。
「えっ、あ、
「そっ、それに……なんだか、とても辛そうですけど……だ、大丈夫ですか?って、私なんかに心配されても困ると思いますけど……」
「あー、うん……いやすまないね。その辺一帯を忍者さながらに飛び回って
誤魔化しはこんなところでいいだろう。というか今は、僕の体調よりもよっぽど気になることがあるし、そちらを優先させてもらうぜ。
「それよりも、君たちは無事に仲良くなれたのかな。途中から見ていなかったから、今どういう状況なのかは分からねーが」
「えっ、イズナ達のこと見てたんですか!?一体どこから……」
「い、イズナさん。多分
「ふむ、なるほど! 千里眼の術というやつですか、
「……本当はスキルなんだが、まあそれでいいさ。それで、ハルカちゃん?二人の関係性はどうなったのかな」
中々に無理矢理な質問だが、こちらとしてもあまり時間をかけてはいられないから許してくれたまえ。先生たちを迷わせていられる時間にも限りがあるからね。
僕の質問を聞いたイズナちゃんが固唾を飲んでハルカちゃんを見つめている辺り、まだ決めあぐねていそうだね。
「……その、
「さあね。詳しい定義は僕も知らないさ。ただ、そうだな──少なくとも、友達でもないやつとお祭りを回るとか、そんなことはできないだろうぜ」
「……えっと、それじゃあ、い、イズナさんのこと……もう、友達だと思っても……いいんですか……?」
「は、ハルカ殿……!!」
うーん……まあこれなら問題はないか。アルちゃんから受けた依頼とは若干意味が変わってくる気もするが、まあいいだろう。任務達成だ。
よし、それじゃあ本題に戻るとしよう。素晴らしき友情に乾杯したいところだが、このままだと先生が魑魅一座に包囲されちまう。
そうなる前に、何としてもニャン天丸の隠れているところまで、イズナちゃんを連れて行かなくてはね。
「さて、そろそろいいかな。僕がここに飛んできた理由、実は気になっていたりするんじゃないのかい」
僕がそう問いかけると、二人は瞬時に真剣な顔付きになって頷いた。思っていたよりもメリハリが付いているね。こちらとしては話を進めやすくなるからありがたい限りだぜ。
「実は、少し困ったことになっているんだ。二人とも、よければ力を貸してくれるかい?」
「はいっ! もちろんです、
「私も、お手伝いします……そこまで、力になれるとは思いませんけど……」
「ありがとう、とても助かるぜ、百人力だ。そうだな……詳細は歩きながら説明しよう。着いて来てくれたまえ」
……イズナちゃん、僕たちが敵対してるってこと、完全に忘れてそうだね。しょうがない子だぜ、まったくよ。
マジでアカウント消すか悩みましたが、もったいないので消しません。
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