サングラスをかけてたら友達に「人のことを騙して生計を立ててそう」って言われました。撮ってもらった写真を見たらチャイニーズマフィアみたいな見た目でした。
ついさっきに「歩きながら説明する」と言ったが、しかしこんなタイミングでのんびりと歩きながらガールズトークしているというのもなんだか説得力がない。
そう考えた僕は、直後に「少しまずそうだ」とか適当かましてイズナちゃんとハルカちゃんを走らせた。というか現在進行形で走っている。当然ながら、説明は済ませておいた。
ちなみに走ると一口に言っても、それは道を走ることを意味していない。哲学的な言い回しとかではなく、文字通りに、僕たちが走っているのは
ぶっちゃけると、
「というかハルカちゃん、君ってば意外と運動神経いいのな。僕は君をおぶって走るつもりだったんだが、どうやらいらない配慮だったらしい」
「いえ、そっ、そんな!! 私なんてまだまだで……ショットガンを使っているので……い、いつでもどこでも、飛び出せるようにはしていたというだけで……」
「ハルカ殿、それってとても凄いことなんですよ! ですから、安心してください!きっと
「……えへ、そ、そうでしょうか……?」
ふむ、イズナちゃんはストレートに、まっすぐとハルカちゃんを褒めたが……ハルカちゃんみたいな子にはむしろ、直球勝負を仕掛けた方がいいのかもしれないね。
僕はどうしても婉曲した言い回しを用いがちだから、あんまりそういう物の言い方は得意じゃねーんだよな。やはり、この辺は先生に任せるべきか。
さて、そうなってくると、僕はどのようにして生徒たちと絡んでいくことにしようか、という話になるね。この事件が解決した後あたりで、僕自身の身の振り方というものをもう一度考え直してみるのもいいかもしれない。
まあつまりは、あくまで
……なんつーか、誰に聞いても後者を選びそうだ。考えるだけ無駄、というやつかな。まあ僕は、無駄な思考なんてものは存在しねーと思っちゃいるがよ。
この場合はむしろ、考えるだけ無駄というよりは、もっとシンプルに
人(外)生は常に選択の連続だが、しかし選択制のテストというわけではない。せめて後悔しない程度に、悔いの残らない選択をしたいものだぜ。
「そっ! そういえば、
「ああいや、その辺は大丈夫だぜ、お気遣いありがとう。こんなこともあろうかと、ホシノちゃんやシロコちゃん──頼れる親友に手伝ってもらって、杖を持ったままの運動に体を慣らしておいたからね」
「なるほど、それで先ほどからそんなに器用に走っていたんですね! やはり
「まあそれなりに努力はしたさ。つーかこれくらいは出来ねーと、先生やホシノちゃんが心配して僕の単独行動なんか許してくれねーだろうぜ」
「……お、お二人の心配は、至極真っ当な、よう、な……」
まったく、ホシノちゃんは……まあしょうがない。タイミングやらシチュエーションやら、その他諸々が噛み合いに噛み合いまくった結果だから、まあ心配されても文句は言えねーな。
正直なところ、申し訳ないとすら思っているぜ。折角の再会に水を差したどころの騒ぎじゃなかったからね。
聞いた話によると、僕が眠りこけていた一週間、毎日僕の病室に来ては看病してくれていたらしい。当然お礼は言ったが、やはり今でも申し訳ないとは思っている。
僕が人外なのは皆ご存知のことだとは思うが、しかしここまで迷惑をかけておいてちゃらんぽらんに日々を過ごせるほど、人の道を外れているわけではねーんだよ。
問題なのは先生の方だ。まあ心配されるのは仕方ないと思っちゃいるが、それにしたって
シャーレ所属の生徒として僕の身分をちょろまかしてくれたこととか、アビドスに無理やり編入させて、この世界で生きていく上では重要となる学籍を与えてくれたこととか。
この二つの大恩を、
【
様々な「技術」を扱うゲマトリアに対して、現状数少ない僕が切れるカードであるこれを失うのは、何としても避けたいところだというのに。
確かにこの
僕にとっての日常が日常であり続けるとは限らない。
非日常が日常に成り代わる展開も十分あり得るのだ。
元の世界に帰るためにも、これだけは
あの約束を、果たすためにも。
……ま、その辺は上手くやるしかないね。今気にしてもしょうがないことだし、ひとまずこの話はここで打ち切ろうか。
そろそろ廃墟が近くなって来たし、恐らく先生も到着した頃合いだろう。ここらでイズナちゃんに揺さぶりをかけておくとしようか。
「──さ、もうすぐ先生が連れて行かれた廃墟に到着だ。イズナちゃん、今のうちに何か聞いておきたいことはあるかな?」
「……それなら、一つだけ聞きたいことがあります。先程の説明では、イズナの雇い主が桜花祭を台無しにしようとしていると、
「そうだね、確かに僕はそう言った。君の雇い主こそが、君の大好きなお祭りを破壊しようとしている悪人さ。それがどうかしたかな?」
「それなら、イズナの成して来たことは悪ですか?」
「それは僕の知ったところじゃないね。まあ客観的に見たら、そりゃあ悪だろうぜ。だって魑魅一座は、お祭りを壊そうとしているんだから。手を貸している奴がいたら、そいつだって悪に見える」
「…………」
「しかしイズナちゃん。君の話を聞く限りでは、君の雇い主は『忍者として活躍してほしい』だとか『商売の邪魔になる連中を邪魔してほしい』と言っていたんだろう? 誰がどう聞いても、お祭りを破壊しようとしているようには聞こえねーな」
「……やっぱりイズナ、騙されていたんでしょうか?」
「それもまた、自分で見て聞いて判断しなさい。その上で先生と雇い主、どちらに着くのか決めてくれればいいさ。君自身の判断であれば、僕も先生も、もちろんホシノちゃんや、君の友達であるハルカちゃんだって応援してくれるだろうぜ」
もっとも、敵対を選んだ場合に容赦するほど、ホシノちゃんもハルカちゃんも甘くはねーだろうがよ。その辺は仕事だから恨まないでおくれ、イズナちゃん。
ま、これを今わざわざ口に出すほど、僕は無粋じゃねーつもりだけどね。
「さて、ようやく見えて来たよ。いやはや、それにしてもこの辺りは活気がないねえ。お祭りの空気感とは全く真逆みてーだ──寧ろそれ故に、ここを拠点としたのかもしれないね」
「……その、あ、
「ん? ああいいとも、行ってきなさい。何をするつもりかは……まあ何となく察しは付くけれど、まあ僕は感知しねーよ。君のやりたいようにやりなさい」
「はっ、はい……
……この廃墟、数十分後に跡形が残っているかどうか、怪しくなってきたね。ここがカイザー基地よりも頑丈であることを祈るばかりだぜ。
廃墟消滅確定。
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