ノリで書いてるので『連続投稿しない』っていってるのにしたりします。
ユウカちゃんの案内のもと、僕たちはミレニアムへと向かっていた。杖を突きながらの歩行には慣れたもんだけど、しかしそれにしたって必要かね、これ。
前もこんなこと言った気がするな。
「それにしても、ミレニアムの自治区内は随分と発展しているね。D.U.近辺もまあ大したもんだったが、向こうとはまた違った発展を遂げているように見える」
「まあ科学の都ミレニアムですから、発展具合で言ったら負けないですよ。というか
「ああ、そういえばそんな連絡もしていたね。ここのところ忙しかったからすっかり忘れていたぜ、わっはっは」
「自分のことなのに無頓着すぎるでしょ……?」
今更この程度で驚いてられるかっつーの。こちとら一回上半身と下半身が泣き別れしてるんだ、頭痛の一つや二つじゃ怯みやしねーさ。
「っていうか、
「ああ、『
連邦生徒会の制服、アビドスの制服、巫女服に加えてこれで四着目だ。
「まあまあ、そうカッカすんなよユウカちゃん。先生から頼まれて張り切ってるのは分かるんだが、張り切り過ぎも体に毒だぜ。ほら、リラックスリラックス」
「んなっ……いや、別に!? 先生に頼まれたから張り切ってるわけじゃないんで!!」
「お菓子でも食べて落ち着きなさい。ほら、ちょうどよく僕はお菓子を持っているから、これはきみにあげようじゃないか」
「それはヒマリ先輩にお詫びとして持っていく菓子折りでしたよね!?」
「わっはっは」
おお、怖い怖い。確か以前、先生もおもちゃの買い過ぎでこんな風に怒られていたっけな。ユウカちゃんも大変だよねえ、色々と背負い込んでて。
うん、そうだな。これ以上は流石に可哀想だし、冗談はこれくらいにしておこう。
どうやら、
「まあ愉快な冗談はさて置き。なんとなく分かったから、案内はこの辺でいいよ。ありがとうユウカちゃん、ここまで送ってくれて」
「えっ、あの冗談を愉快だと……じゃなくて! えっと、本当にここでいいんですか?」
「心配には及ばないとも。僕はこれでも一応シャーレの
「そういう問題じゃないと思いますけど……」
まあまあ、そう詮索すんなよユウカちゃん。ほら、物質を複製するスキル「
なんて、僕は善意のつもりで渡してやったんだが……しかし当のユウカちゃんはといえば、その表情を蒼白に染め上げていた。
あちゃー、これは気付かれたかな。このスキルの
「えっ、と……その、
「ああ、そっち? まあ確かにスキルで複製したがよ、菓子折りの一つや二つを複製したくらいじゃあ、流石に僕の神秘は枯渇しないとも。だからそれは安心して受け取ってくれたまえ(
「いやっ、それもそうなんですけど、これっ……これって! 歴史的に貴重な価値があるものとか、あるいはもっと単純に
「できるよ。その気になればきみの個人資産を一億倍にすることもできるけれど、やるかい?」
「やるわけないでしょ!?!?」
ついに敬語が外れちまった。まったくもう、そんなに震え上がらなくたっていいじゃないか。流石の僕も、そこまでモラルのない人間(人外だけど)じゃないっつーの。
あまりにも信用されていないらしいということを僕が噛み締めている間も、ユウカちゃんは顎に手を当て、大量の冷や汗をかきながら何かを計算していたらしかった。
「そんなに心配しなくとも、僕の個人資産を爆増させてハイパーインフレーションを発生させ、キヴォトスの市場を完全に破壊したりはしないから、そこの所はよろしく頼むぜ」
「当たり前でしょ!? ああもうどうしよう、こんなの計算外なんだけど……!!」
そもそも金とか興味ねーしな。同じように、キヴォトスを支配したいとも思わない。黒服辺りが聞いたら質問攻めにしてきそうだな、この考えは。
「というわけで、僕の暇つぶしに付き合ってくれてありがとう、ユウカちゃん。迷惑料と言っちゃあなんだが……何か困ってることがあったら教えてくれ。シャーレは二十四時間三百六十五日、いつでもきみの力になるぜ」
「──本当に、いらない心労をかけさせないでください……
ふむ、なるほど。そういえばユウカちゃんは何だかんだで甘いところがあるからすっかり忘れちまってたが、ミレニアムの中でもかなり上の立場なんだったか。
それなら、そうだな。ここ最近は様々な仕事が舞い込んできて大変だったろうし、肩や目、その他にも身体の
僕はそう推測するなり、疲労を回復するスキル「
「ん? あれっ、体が軽い──って
「大丈夫大丈夫。こういうスキルを二・三回使う程度なら、全くのノーリスクで使用できるんだよ。今日使っているのは、全て容量が軽めのスキルだけだからね」
さっきも説明した気がするんだが、揶揄いすぎに加えてスキルを見せまくったせいで、頭の中から吹っ飛んじまってる可能性もあるね。
まあユウカちゃんのことだし、しばらくして落ち着いたら思い出すだろう。
「ふう、困惑も因数分解してやったわ──本人が大丈夫って言ってるし、実際平気そうだからもう気にしなくていいわね。それで、
落ち着くの早すぎるだろ。マジで一瞬じゃん。
「困惑を因数分解っつーのはよく分かんねーが……まあいいさ。ここからは僕一人で大丈夫だから、きみは、そうだな……先生と顔でも合わせてきたらどうだい」
「えっ!? いやっ、別に、私はそんな──」
「ああはいはい分かった分かった。先生はゲーム開発部の部室にいるっぽいから……ん?」
おおまかな居場所を把握するスキル「
……こうなるんだったら、着いていけばよかったかな? 状態を把握するスキル「
まあいっか。大丈夫だろ、多分。
この感じは【日常】とか【ギャグ】の雰囲気だ。
「先生はちょっと疲れて眠っているらしい。今ならもしかすると、僕だって拝んだことのない先生の寝顔を見ることができるかもしれねーぜ」
「ゲーム開発部の部室で眠って……? もしかして先生、ゲーム開発部に何かされたんじゃ──」
「僕の予想としてもその線が濃厚だろうが、まあ悪気はないだろ。だからまあ、そんなに叱らないでおいてあげなさい。どうせ先生は許すだろうからね。その辺の確認も兼ねてさ、行って来なよ」
「うーん、それなら……まあ、いいのかも……」
この調子なら誘導は上手くいったかな。
心惹かれる要素と不安に駆られる要素を交互に伝えてやれば、一見堅物そうなユウカちゃんでも──実際に堅物かどうかは置いておいて──この通り、自分の考えを作り替えちまう。自己の正当化というやつだね。
いや、別に正当化することは全然悪いことじゃねーんだけどさ。
まあ要するに何が言いたいかっていうと、行動するには理由が必要ってことさ。当たり前に聞こえるとは思うが、こいつが意外と重要だったりするんだぜ。
人というのは、理由さえあれば動く。
目先の楽を取れば、当然後々苦労する。しかし人というのは不思議なもので、それが分かっていてもなお宿題をサボる。『この問題は分からないから後回しにするのはしょうがない』といった具合に。
これは別に、自発的に生じる理由に限った話ではない。というかむしろ、
人の話を聞いて、いい子にしているというのは。
生きていく上で、一番楽なことなんだぜ。
だって言われた通りに動いてればいいんだから。こんなに楽なこともそうそうないだろう。
と、わざと少し嫌な言い方をしてみたわけだが、結局のところ僕が言いたいのは、それっぽい理由を与えてあげれば人を操るのは簡単ってことさ。
僕が今やったみたいにね。
そして、
僕は今、先生とゲーム開発部をダシにしてユウカちゃんの行動を制御したわけだが、実のところヒマリちゃんとやらも
この場合は、『元の世界』という単語。それから、どこからどう考えても僕の情報を集めようとしているカメラの動き方。
大方僕のスキルについて情報を集めようとしていたんだろう。それに関してはこちらとしても好都合だから、先ほどから矢継ぎ早にスキルを使っていたわけだ。
と、そんな事を考えているうちに、ユウカちゃんは先生のところに行く決心を固めたようで、どう見ても浮き足だった感じになっていた。
「えっと、それじゃあ
ユウカちゃんはそう言い放った後、文字通りに目にも止まらぬスピードでミレニアム旧校舎の方へと走り去って行ってしまった。
……もう見えなくなったな。随分と健脚なようで何よりだぜ、わっはっは。
「──さて。茶番はそろそろ終わりにして、とっとと要件を済ませちまうか」
僕はこちらを凝視している監視カメラの方を突如として振り向き、そのレンズに視線を合わせ、言葉を吐き捨てた。
それから僕は、まったく間を置かずに瞬間移動を
このキヴォトスに来てから、こういう移動系のスキルは「
電子の海を泳ぐスキル「
目の前には、
おっと、一応初対面だからね。これからいやがおうにも仲良くなるとは思うんだが、第一印象というのは大事だろう。ここは一つ、
「やあ『全知』。最近僕の周りをこそこそと嗅ぎ回ってたみてーだから、わざわざこうして直接調べさせてやりに来たんだ、感謝したまえ、わっはっは。」
「──なるほど、『全能』というわけですか……!」
『全知』と『全能』ねえ。
はははは、これは仲良くなれそうだぜ。
流石にモニターから人が出てきたらヒマリだってビビるって。
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