花粉症で遅れました。
あと誤字報告マジでありがとうございます。気を付けてはいるんですけど、予測変換が悪さをすることが多々あるので、本当に助かっています。
コトリちゃんとマキちゃんが、C&Cを
「いや〜、天下のセミナーといえどもセキュリティシステムを掌握されちゃえば、文字通りに手も足も出ないみたいだね! もうすぐで差押品保管室だし、思ってたより余裕じゃん!」
「ちょっとお姉ちゃん、それ
「"まあまあ、実際進捗を口に出して常に状況を確認し続けるのは効果的なことだから……それにしても、この辺りはやけに静かだね……?"」
「先生!! それもフラグです!!」
……廊下に取り残された生徒会役員どもと警備用のドローンの追走を撒いた──もとい撃退した反動からか、随分と調子をぶっこいてるみてーだった。
「おいおい
走り出すような
もう少し騙そうって気概はないのかねえ。ま、僕のことを騙すとか出し抜くとか、そういうことをするにはネルちゃんは三億年早いんだがね。
もしかすると、三億年どころではない可能性もある。何にせよ、ネルちゃんが僕を口論で打ち負かすことは未来永劫できないだろうね。物事には得手不得手というものがある。
「やりもしないことをわざわざ口に出して反応を窺うのはやめなさい。それともあれかな、最後はポーカーでの勝負をお望みかい?」
「誰がそんなかったるい勝負すんだよ。腕っぷしに決まってんだろうが、腕っぷし。つーかポーカーって道具使う勝負じゃねえか、お前のスキルで不正し放題だろ」
「バレた? いやー、勝負なら何でも二つ返事で乗ってくれると思っていたから意外だったよ。そうなったら楽に済んだというのに」
「てめえ……」
楽に
「……まあいい、あたしに対してそんな態度取って、最後に泣きを見るのはお前の方だしな。んなことよりよ、あいつらに
「ん? ああ、数百メートルは離れたビルの屋上からモモイちゃんたちを狙撃しようとしている彼女──C&Cのコールナンバー・
確かに、彼女の狙撃は驚異的だ。ミレニアムどころか、キヴォトス中を探し回ったとしてもあれほどの狙撃手はそうお目にはかかれないだろうね。
だが、しかし。いくら
「この程度、自力で突破してもらわねーとな──」
モモイちゃんたちの歩みは軽快で、言い換えてしまうのならばそれは
彼女たちは窓際を歩いている。まさか
が、しかし。気づいていないのはあくまで、その場にいるモモイちゃん・ミドリちゃん・先生の話であって、
『三人とも、伏せて!!』
「──ッ!」
一足早く察知していたハレちゃんが通信越しにそう叫び、そしてその直後。
なんとか反応できたモモイちゃんが、ほんの少しだけ頭を下げ──その直後、背後の壁が轟音を奏で大きな亀裂を走らせた。
「えっ、なっ……今なんか頭の上を凄まじい威力の弾丸が通り過ぎなかった……!?」
「壁に穴が空いてる──どころか、
「ちょっと、怖いこと言わないでよ!? 萎縮しちゃうよ、しぼんじゃうよ! しぼんじゃったらこれ以上小さくなっちゃうよ!」
……元気だねえ、本当にこの子たちは。対物狙撃用の弾丸で狙われているというのに、怯えているような様子はほとんどなかった。
いやしかし、実際どうなのだろうね。対物用の弾丸というのは、喰らってみるとどの程度の痛みを覚えるものなのかな。
「"狙撃が通ったということは、もうここはC&Cの狙撃手であるカリンって子の狙撃ポイントに入ってるってことか。ハレ、ありがとう、助かったよ"」
『ううん、これくらいお安いご用……というか、今回の私の仕事はこういうのだしね。役割を全うしただけ──みんな伏せて、二発目がくるよ!』
ハレちゃんが続けてそう言った直後、予測の通りに二発目の弾丸がぶち込まれた。背後の壁は既にいつ粉々に砕け散ってもおかしくはない。
が、しかし。その壁が粉々になることは、終ぞ訪れないのだろう。
それは何故か? 理由は単純明快だ。
これから先。カリンちゃんがモモイちゃんたちを気にかけている余裕は、一切なくなるからだ。
「……なるほど、筋は悪くない。ゲーム開発部、名前だけで運動神経はそこまで良くないとは思っていたけれど……これは修正しないといけないな、少し侮っていたかもしれない」
対岸のビルの屋上。絶好の狙撃ポイントから三人を狙い撃とうとしているカリンちゃんは、誰に向けてと言うわけでもなくそう呟いた。
カリンちゃんの視界の先には──射線の先には、すばしっこく弾丸を避けたばかりのターゲットが写っている。そしてその一挙手一投足を観察し、ある程度の行動パターンを読み取っている最中らしい。
「……だが、それだけだ。筋はいい、素早くて当てづらい──行動パターンの予測は完了した。次は100%当てる」
そう言いながらカリンちゃんはスコープを覗き込み、その先にいるはずの標的を確実に仕留めようとして──しかし視界に写ったのは
というか、スコープから見える景色は機械(らしきもの)で埋め尽くされてしまっていて、それ以外には何も見えない。それもそのはず、その機械はスコープにほぼ張り付くかのような距離で
「……これは、ドローン、か……? いや、それにしては──」
それにしては大きすぎる。果たしてこれはドローンで合っているのだろうか。何というか、全体的に
要約するに、カリンちゃんは
「──100%当てると、確かに言ったね?」
「ッ!? 誰だ!!」
カリンちゃんは声が聞こえると同時に、飛び跳ねるようにその場から移動し、声のした方向を向いた。
するとそこには、
「私の計算結果は少し違う。きみの弾丸があの子たちに当たる確率は、0%だ」
「……その、声は──」
が、しかし。カリンちゃんはその声色と
「──エンジニア部部長、ウタハだな?」
その言葉が放たれたと同時に、もうこれ以上の偽装工作は意味がないと悟ったのか、ウタハちゃんは周囲に張り巡らせていたドローンを散開させた。
ほとんど無風であるとはいえ、しかしそこは高所だったものだから、ウタハちゃんはその紫色の長髪をたなびかせ、挑発的に仁王立ちしていた。
「ご明察。まあこの程度の偽装、ミレニアムでは何の意味も持たないというのは重々承知の上ではあったのだけれどね。しかしここまで早く見透かされるとは、流石はC&Cと言うべきか」
「こんなのは当然だ──そんなことより。この
ウタハちゃんの賛辞もそこそこに、カリンちゃんは今なお宙に浮かんでいる椅子のようなドローン──ガトリングらしきものも付いている──についての追及を始めた。
まあ気になるよな。正直すげー変だし、気にするなって方が無理だろうぜ。
「ん? ああ、それはエンジニア部の新作、全ての天候に対応可能な二足歩行型戦闘用の椅子──
「本当に椅子だったのか……じゃなくて。それじゃあ何でこれは
「
「……いや、いい。つまりはあなたの
カリンちゃんのその言葉を聞くと同時に、ウタハちゃんはほんの少しの笑みを携えながら満足げに頷いた。
その行動はカリンちゃんに
「ずっと、気になってはいたんだ。いくら何でも
「当然私たちだけというわけでもないのだけどね。しかし解せないな、普通ならこういう時、真っ先に入れ知恵を疑うべきは
「
……ここでもまた「アスナちゃん」か。
いや、実際のところね。僕が一番警戒しているのはこれで案外彼女だったりするんだぜ。
結構彼女たち──C&Cのことに関しては調べたんだがね、アスナちゃんのことだけは
まるで、何者かが隠しているみてーにさ。
しかし転んでもただで起き上がる僕じゃない。むしろこの
僕の
僕が追い求めている
きみなら、情報秘匿を
知っているのではないかな。
「……まあ当のアスナ先輩が今どこにいるのかは、正直な話私も知らないんだけど……それはいい。ウタハ、一応最後に忠告だけしておく」
と、僕がまだ見ぬ何者かに思いを馳せていたところで。どうやらカリンちゃんは、ウタハちゃんに向けて何かを提案しようとしているようだった。
何かっつーか、まあ。
十中八九、降伏勧告だろうが。
「このまま私の、私たちの邪魔をされると、私としては不本意ながら、あなたを
「
やれやれ、と。そんな感じで両手を肩あたりまで上げながら首を横に振るウタハちゃん。三年生の余裕と言うべきか──随分と自信満々なようだった。
「というかそもそも、私はここ最近ちゃんとした戦闘を
「……つまり、ウタハ。あなたはあれか、私を──
「いいや別に、何もそこまで自惚れちゃいないよ。だけど──そうだな。私はただ、解明したいのさ」
「……解明? 何を──」
ウタハちゃんは、そこでぐいっと口角を吊り上げ、半ばカリンちゃんを見下すような体制を取りながら。
決定的な言葉を口にした。
「強いて言うのなら、
ウタハちゃんは見方によってはもの凄い悪役のような発言──実際セミナーから見たらこちらは悪役だろうが──をしながら、不敵な笑みを浮かべている。
自信満々に浮かべたその笑みと、風に吹かれて揺れる紫の髪が、これまた随分と雰囲気を出すのに一役買っていた。
そして、その発言は、カリンちゃんに諸々のことを
「……はあ。まあ、しょうがないか。ゲーム開発部に協力しているということは、つまりはセミナーの敵であるわけだし、言うなればそれはC&Cの敵であるってことだもんな」
しょうがない、しょうがない──そんな風に自分を納得させるようにしながら、カリンちゃんはウタハちゃんに対して
その立ち居振る舞いはまさしく
アカネちゃんと同じか──あるいはそれ以上の覇気。だというのにも関わらず、空気は凪いでいた。
カリンちゃんが生粋の
ともかく。ウタハちゃんの目論見は、こうなった時点で
僕がやることはといえば、あとはここから、ひっくり返されないことを願うだけさ。
「──……ふう。それじゃあ、エンジニア部部長、白石ウタハ。念のため、最後に確認しておくけど──どうなっても文句は言うなよ」
カリンちゃんは、そこで一度目を瞑って。
最後の言葉を言い放った。
状況は動き出す。僕の手を離れた混沌の中で、果たしてどこまで事態は転じて行くのか。
それだけが気掛かりだが──それだけが気になって仕方がないが、ま、いいだろう。今回僕は、ほとんど手を出さないと決めたからね。
だからまあ、精々上手くやってくれよ。
なあ、先生。
いつか間違えて「C&C」を「零崎」って書きそうで怖いです。
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