ぼくのかんがえた ベヨネッタ3   作:(-_-)zzz

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 列車に扮した魔獣が「ソレ」の腹を食い破る。

 悲鳴を上げながら火山のマグマの中へと落下していく「ソレ」を、ベヨネッタ達は見送った。

 「ソレ」が落とした『混沌の歯車』がゆっくりと空中から現れるのを見て、『ベヨネッタ』は自らの魔獣から飛び降りると、それを受け止める。

 ベヨネッタもそれを追って着地して、笑みを受かべた。

 『ベヨネッタ』は振り返り、『混沌の歯車』を手に歩みだそうとして、その背後のマグマから巨大な手に迫られた。

「!?」

 『ベヨネッタ』は不意打ちに目を見開きながら、とっさにかわそうとするも、腕の動きのほうが早い。

「はぁっ!」

 だが、そんな『ベヨネッタ』を救ったのはベヨネッタだった。

 ゴモラの力を借りた仮面魔獣(マスカレイド)の推進力を利用して飛び出すと、『ベヨネッタ』を抱き上げてその場を離脱する。

 だが、その拍子に、『ベヨネッタ』の手から『混沌の歯車』が零れ落ちた。

 マグマから這い上がってくる「ソレ」から距離を取って着地した二人を横目に、「ソレ」はゆっくりとマグマからはい出しながら、『混沌の歯車』を拾い上げて腹へと収める。

「っ! すまない」

「大丈夫よ」

 『ベヨネッタ』が己のうかつさに謝罪し、ベヨネッタは元の姿に戻りながらそう答える。

【フフフ。もう少しで捕まえられたのだが、残念だよ…】

 「ソレ」から現れた『シンギュラリティ』の煙のような姿から、声が響く。

 相変わらずの耳障りな声音に、ベヨネッタは思わず眉をひそめた。

「しつこい男は嫌われるわよ」

 そう言ってやれば、『シンギュラリティ』は不愉快な声音で笑う。

【せっかくだから、少し遊んであげようと思ってね】

 そう言う『シンギュラリティ』と「ソレ」に、別の巨大なホムンクルスが近づいてくる。

「!?」

「貴様っ!」

 ベヨネッタが目を見開き、『ベヨネッタ』が声を荒げる。

 巨大なホムンクルスの腹には、無数の人間たちが詰まっているのが見えたからだ。

 二人のベヨネッタ達は武器を手に同時に走り出し、「ソレ」に向かう。

 だが、二人がたどり着く前に、「ソレ」は巨大なホムンクルスを人間ごと食らいつくした。

「おのれっ!! 私の部下たちをっ!!」

 激高した『ベヨネッタ』が魔獣を呼び出そうとした瞬間、「ソレ」から、すさまじいエネルギーを伴った光と爆風が飛来する。

「うぐっ」

「くうっ!」

 『ベヨネッタ』がとっさに武器を地面に突き刺し、吹き飛ばされまいと踏ん張り、ベヨネッタは素早く地面に伏せて、それをしのぐ。

 彼女たちが閉じていた目を開くと、そこには、先ほどよりも強大なエネルギーを内包し、進化した「ソレ」が存在していた。

【先に行っているよ】

 『シンギュラリティ』はそう言い残すと、「ソレ」と融合し、一気に上昇し、雲の向こうへと消えていく。

「っ!!」

 それを見送るしかなかった『ベヨネッタ』は思いきり、拳を地面へたたきつけ、声にならない思いをぶつける。

「…」

 ベヨネッタは厳しい表情でそれを見た後、空を見上げ、

「…行くわよ」

「!」

 そう、『ベヨネッタ』へと声をかけた。

「あのクズ野郎『で』遊んであげようじゃない」

 どう猛さと怒りを隠さない微笑みに、『ベヨネッタ』もまた頷き返して立ち上がる。

「…ええ。やってやるわ!」

 二人は向き合うと、同時に謡(うた)い始めた。

 

 

「「ドゥー・オー・イア・ベヨネッタ!!!」」

 

 

 魔力が立ち上り、絡み合い、爆発した。

 

 

 

===

 

 

 

 自分よりも巨大なクイーンに文字通り弄ばれながら、ボロボロになっていく「ソレ」は、最早自分の分身を作り出す力すら失ったようだった。

 クイーンの上にいるベヨネッタが、隣に立つ『ベヨネッタ』へ目配せすれば、彼女はうなずくと魔力を両手に集めて、金色の輪を作り出す。

 それを見て、ベヨネッタはクイーンを操り、泡を放って「ソレ」の動きを完全に止めさせた。

 そこへ、『ベヨネッタ』が完成させた金色の輪が放たれ、「ソレ」の頭へと巻き付く。

「はあああああっ!!」

【GYAAAAAA!!?】

 凄まじい力で頭を締め付けられ「ソレ」が思わず悲鳴を上げた。

 積もり積もった怒りと恨みが籠められたその金色の輪は、ギュルギュルと音を立てながら回転をし続ける。

 そして、そんな状態の「ソレ」に向かって、クイーンはそっと右手を差し出すと、デコピンの要領で指をはじき出した。

 その威力は先ほどまでの遊びが本当にただの遊びだったことを察せられるほどのものだった。

 食らった「ソレ」がものすごい勢いで飛び、雲海が裂けるように割れていく。

 3つの岩山を砕きながらわずかにスピードを緩め、4つ目にぶつかってそこに亀裂を作り上げながら、やっと止まった。

 数秒後、「ソレ」は力なく地面に落下し、動きを止める。

 「ソレ」の死の気配を感じ取ってか、「ソレ」の下に、魔界の入り口が現れ、黒い手たちが「ソレ」を次々とつかんでいった。

 そんな「ソレ」の前に、ベヨネッタ達は、クイーンの指先から降り立った。

「…」

 怒りの表情のまま、『ベヨネッタ』が己の武器を振りかぶる。

【なるほど、なかなかの】

「ふんっ!」

 そして、現れた『シンギュラリティ』を完全に無視して、思い切り武器をぶん投げた。

 彼女の武器は大きな亀裂が入っていた岩山にぶつかり、ぶつかられた岩山は亀裂のところからぱっくりと割れて、落下する。

 そう、その真下で動けなくなっている「ソレ」へと。

 『シンギュラリティ』の顔ごと、「ソレ」へ降り注いだ巨大な岩山の塊がとどめとなったのか、それ以上の言葉も存在すらも許さず、「ソレ」は魔方陣の中へ消え、『シンギュラリティ』は依り代を失ったため、その存在を維持できなくなり、この世界からは消滅していった。

「…仇は取ったぞ、お前たち…」

 静かにそう言って、『ベヨネッタ』は落下していた己の武器をしっかと掴む。

 そして、同じように上空からゆっくりと落下してきた『混沌の歯車』を受け止めた。

「…」

 背後でそんな光景を見つめてみたベヨネッタだったが、『ベヨネッタ』が振り返って、『混沌の歯車』を差し出してきたためにそれを受け取る。

「…行くのかしら?」

 『ベヨネッタ』が訪ねれば、静かにうなずき返すと、

「ええ。せっかく誘ってもらったパーティーだもの。ちゃんと最後まで付き合わなきゃ」

 ホストは最悪だけどね、と笑って見せた。

「そうか。ならば…」

 『ベヨネッタ』がそう言って、手に持っていた武器を差し出す。

 ベヨネッタは少し驚きながらも、視線を武器から『ベヨネッタ』へと向けた。

「良いの? 一緒に来るって方法もあるのよ?」

「私は生き残った者たちをまとめねばならない」

 それが私の仕事だ、と『ベヨネッタ』が笑う。

 ベヨネッタはその決意の込められた瞳を見つめた後、ふっと微笑んで武器を受け取った。

 同時に、『ベヨネッタ』の背中に一瞬だけ現れた魔術の紋章が、ベヨネッタの背中へと移るかのように光となって受け継がれていく。

「その子を私の代わりに連れて行ってちょうだい」

「…ええ。確かに、受け取ったわ」

 ベヨネッタは笑い、その姿がこの世界から薄れていく。

「後を頼むわ」

「ええ。任せて」

 そして、最後にそう短く言い合うと、ベヨネッタの姿が消えていく。

 それを見送った『ベヨネッタ』は、大きく息を吐いてから空を見上げ、駆け出すのだった。

 





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