ぼくのかんがえた ベヨネッタ3   作:(-_-)zzz

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 ベヨネッタと『ベヨネッタ』はマルファスの背から「ソレ」を見下ろしていた。

 この世界の『アーク・イブ』である『ジャンヌ』を取り込み、巨大化したホムンクルスを。

「…」

 ちらりと、ベヨネッタは隣に立つ『ベヨネッタ』を見る。

 彼女は、『ジャンヌ』の望みがあったとはいえ、親友の命を奪ったのだ。しかし、その覚悟もむなしく、この結果となった。

 その表情は硬く、武器を握る手もまた固く握られている。

【これは、どういうことだ?】

 「ソレ」にとりついた『シンギュラリティ』が言葉を発した。

 また、高みの見物をして、楽しんでいたのだろうと、ベヨネッタは内心怒りを覚える。

【アークイブが消滅し、世界の滅びは確定したはずだが】

 『シンギュラリティ』が何か考察をしているが、ベヨネッタにとってはどうでもいいことだった。

【新たな『アーク・イブ』が誕生したのか? まるで世界が迷っているかのようだ】

 一度目を閉じ、開く。

 隣に立つ『ベヨネッタ』が覚悟を見せたように、自分もまた覚悟を決めねばならぬのだ、と彼女は思った。

「…ドゥー・オー・イア・ベヨネッタ」

 その口を開き、呪文を唱え始める。

 ゆっくりと右手を上げると、それに呼応するかのように上空に魔法陣が現れる。

「ニラー・ダ・コンシェラー・オッド・アナナエル」

 ベヨネッタが何をしようとするのか理解した『ベヨネッタ』が目を見開いた。

 だが、呪文を止まらず、ベヨネッタの動きも止まらない。

 魔法陣から召喚されたファンタズマラネアが地面に着地した。

「マウプリック・ロール・ミッカオーリー・イーアルポン・イルス」

 ベヨネッタは伸ばしていた右手を、自分の左胸へと突き刺す。

「!」

 『ベヨネッタ』が息をのむ。

 痛みと苦しみに襲われながらも、ベヨネッタは単独の『デッドリー・シン』をやり遂げるために、心臓を引き抜いた。

「ファ・フェン・ニース!!」

 ベヨネッタの心臓から滴り落ちた血が、ファンタズマラネアへと降り注ぐ。

 膨大な魔力と贄を捧げられたファンタズマラネアは、その力を爆発させ、その姿を変える。

 かつては、魔界にてその名前を口にすることすらはばかられた存在。

 強大な力と熱を発する魔獣。

 

『ザ・ファントム』

 

 その口から放たれた咆哮が、空気を震わせた。

【主、心してかかられよ。この灼熱の体、もってあと寸刻】

 『ザ・ファントム』はそう言って、吠える。

 ベヨネッタは脂汗を流しながらもうなずいて、『ベヨネッタ』を見た。

「行くわよ!」

「ええ!」

 『ベヨネッタ』も強く答えて、マルファスへと指示を飛ばした。

「「この子たちの力を食らうがいいわ!!」」

 二人のベヨネッタの声にこたえるように、二体の魔獣たちは巨大な「ソレ」に向かって果敢に攻撃を始めるのだった。

 

===

 

 時に空から、時に地上からの波状攻撃に「ソレ」は耐えきれないように叫びながら、身を守るためのシールドを完全に消滅させてしまう。

「今よ! 走りなさい!」

 ベヨネッタがデーモンスレイブを駆使しながら、『ザ・ファントム』へと告げる。

 『ザ・ファントム』は今は主となった彼女の指示に従い、「ソレ」の腕を上り、駆け、核(コア)らしきものへと取りついた。

【この身を焦がす無限の炎熱…最早制御は効かぬ!】

 一層『ザ・ファントム』からあふれる光が強くなり、ベヨネッタは肩で息をしながら『ベヨネッタ』へと告げる。

「距離を取って! 早く!!」

 『ベヨネッタ』はそれを聞いて急いでマルファスへと指示を出す。

 マルファスはともに戦った戦友に向かって大きく一鳴きした後、彼に背を向けて大きく羽ばたいた。

 それを見届けた後、『ザ・ファントム』は、己の体の枷を完全に手放す。

 その瞬間、『ザ・ファントム』の体はさらに強く発光し、爆発した。

 さらに、そこを中心にブラックホールが生成され、「ソレ」ごと辺り一帯を飲み込んでいく。

『GYAAAAAAAA!!?』

 「ソレ」が断末魔の悲鳴を上げながら、ブラックホールへと吸い込まれていくのを、ベヨネッタと『ベヨネッタ』は静かに見つめていた。

 

 

===

 

 

 「ソレ」を飲み込んだブラックホールが消え、一面の砂漠となった場所へと、マルファスは着地する。

 ベヨネッタたちはその背中から降り、

「あれは…!」

 何かに気が付いた『ベヨネッタ』が駆け出していく。

 ベヨネッタは同じものを見つけていたが、ゆっくりと歩いてその背中を追った。

 『ベヨネッタ』がたどり着いた先には、『ジャンヌ』が武器として使っていたマイクスタンドに似た槍が地面に突き刺さっていたからだ。

「どうして、ここに…?」

 『ベヨネッタ』が思わずといった様子で呟けば、ベヨネッタが答える。

「きっと、貴方を待っていたのよ」

「!」

 『ベヨネッタ』はその言葉にベヨネッタを振り向き、そして、静かに手に持った槍へと目を落とした。

「…ジャンヌ…」

 そして、今は亡き親友の名前をつぶやく。

 だが、すぐに顔を上げて、ベヨネッタへと視線を向けた。

「貴方は、これからどうするの?」

「あのいけ好かない黒幕を追うわ。幸い、もう少しで『おうち』にご招待いただけるようだしね」

 と、いたずらっぽく笑って見せる。

 つられるように『ベヨネッタ』も少し笑った後、まじめな顔になり、

「それなら、私たちの代わりに、この子たちを連れてって」

 そう言って、手に持っていたジャンヌの槍と、自分の武器をベヨネッタへと差し出し、視線を自分たちが乗ってきたマルファスへと向ける。

「何を言っているのよ」

 思わずベヨネッタがそれを止めようとするが、『ベヨネッタ』の決意は固いらしく、手に持ったものをベヨネッタへと押し付けるように持たせる。

「私たちを助けてくれた貴方に力を貸したいの。お願い、受け取って」

「…」

 ベヨネッタは驚いた顔をしていたものの、その表情を微笑みに変えて武器を受け取ると、

「そこまで言うなら、仕方ないわね。大事に使わせてもらうわ」

「ええ」

 安堵した様子の『ベヨネッタ』の背にマルファスの紋章が浮かび上がり、消え、ベヨネッタの背中へと移る。

 そして、その直後、ベヨネッタの背に別の魔獣の紋章が浮かび上がった。

【どうか、私も連れて行ってくださいませ!】

 特徴的な高い声でそう言いながら、幻影を現したのは、巨大なカエルの魔獣である『バアル』だった。

 ベヨネッタはその相手へと肩をすくめると、

「良いわよ。でも、貴方、言う前についてくる気しかないじゃない」

 そう口をとがらせる姿を見て、『ベヨネッタ』は可笑しそうにクスクスと笑った。

 『バアル』が消えるのを背中に、ベヨネッタもつられるように笑みを浮かべる。

「…そろそろ行くわ」

「ええ。気を付けて」

 そして、最後にそう短く言い合うと、ベヨネッタの姿は消え、『ベヨネッタ』だけが残される。

「…」

 彼女は『ベヨネッタ』がいた場所を見つめた後、空を見上げる。

 乾いた風が、吹き抜けていった。

 

 

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