冬は雪と乾燥で嫌いな刀持ちの烏です。
今回はプロローグ2、張り切っていきましょう。
〜〜〜アドレス諸島とラブラドル海の中間地点/フリゲート艦[トラウブリッジ]〜〜〜
3月23日、2隻のうちの旗艦[ウェイクフル]とともに[トラウブリッジ]は大西洋にいた。今は哨戒任務を終えて帰還するところだ。
[トラウブリッジ]はフリゲート艦ではあるが、流石に装備に比べて船体が小さいため、現在は哨戒艦的な運用をされている。
現在の時間は2時29分、[トラウブリッジ]ではちょうど昼食を終えたところだった。
「ごちそうさまでした」
[トラウブリッジ]砲雷長、ナオキ・ムラシモは丁寧に手を合わせて食後のあいさつをした。場所は食堂で、現在の彼は、今日の昼食のメニューであるカレーが、自分好みの味付けだったため上機嫌だった。艦に乗っていると自分の趣味などができないので、彼としては料理が良かっただけでもかなりいいことだった。
彼は配膳を戻すと、本調子ですぐにCIC(戦術指揮所)に向かう。
彼はCICに入ると、すぐに兵器の状況を確認する。戦闘になったときに砲が詰まって撃てないだと話にならないため、このように状況を確認することは極めて重要だ。
彼は慎重に、仕事にとりかかろうと自分のコンソールで作業を始めた。
その時、後ろから声がする。水測長からだった。
「砲雷長、電動機らしい音を2個拾いました。左8度。本艦と同じように北東に進路をとっています」
「電動機、潜水艦ってことか?」
「ええ」
水中で電動機音を出すのは潜水艦しかいない。それも軍用のものだろうことは間違いないだろう。
だが、2個ということは最低でも2隻いる。いくらなんでも平時で潜水艦を複数艦運用することは珍しい。
ナオキは不思議そうな顔をしながら水測長に聞く。
「原子力艦か?」
「いえ、音からして通常型。おそらくアメリカ製のバラオ級か、テンチ級潜水艦の改装型と思われます」
「アメリカ国籍のか?いや、だとしたらこんな進路をとるはずがないよな…」
「私としても分からないからどうにも、しかし、怪しい行動であるとは思います。個人的には上に言っておくべきかと」
「そうだな」
彼はそう言って送受話機を取った。
「CICより艦橋へ、本艦より左8度に潜水艦と思わしき目標を探知しました。現在目標は北東に向かって航行中です」
[トラウブリッジ]艦長、ステファニー・ポプキンズは、ナオキの発言を聞き艦を動かしていた。旗艦の[ウェイクフル]にも情報を共有している。[トラウブリッジ]はもう総員戦闘配置になっていた。
彼女は、オフの時では艦で指揮を取るよりも、家事している方が似合う女性だったが、軍人としての能力は高く、今回のような事例にもすぐに対処していた。
「現在[ウェイクフル]は、上層部に連絡し、本艦とともに追跡にあたると言っております」
「上層部はなんて言ってた?」
「追跡しろ、と言ってました」
「了解、と伝えておいて。それから…」
彼女は航海長の方を向く。
「私はこれからCICに降りるから航海長に操艦を任せるわね」
「イエス・サー」
さて、と彼女はラッタルを降りてCICへと向かった。CICはすでに戦闘準備に入っており、いつでも引き金を引ける状態だ。
「水測長、潜水艦の現在の状況は?」
「先程まで進路は変わらず北東をとっていたんですが、今は2艦とも機関を停止していますね。2分前からずっとこんな状況です」
「なるほどね」
彼女は頷きながらコンソールを見た。
現在旗艦の[ウェイクフル]は目標の側面に回り込んでおり、一応何かあった時のために、そのまま対潜弾を叩き込めるような位置にいる。
そして、現在の[トラウブリッジ]は、[ウェイクフル]の反対側につき、目標を挟み込むような位置にいた。
〜〜〜同/潜水艦[シーパンサー]指揮所〜〜〜
「張り付いてやがるな…」
トーマスは舌打ちしながらそう言った。現在彼の[シーパンサー]と、僚艦の[ティブロン]は軍艦に囲まれた状況だった。
音からして小型艦だろう。おそらく哨戒していたところを捕まったのだ。
本来ならこんな時は急速潜航して逃げるのがベストなのだが、今回は任務の性質上そうはいかなかった。[ティブロン]はまだ作業中だし、[シーパンサー]もその護衛をしなくちゃならない。
彼は副長に聞いた。
「お前ならこんな状況、どうする?」
副長は頭をかきながら悔しそうな顔をした。
「難しいですね。私なら途中で逃げるか、さもなくば…魚雷を撃つか」
「なら…沈めるか」
副長は驚いたような顔をする。この艦長は戦争をするつもりなのか?いや確かにこれからアメリカは戦争することになるだろうが、彼にとっては、いくらなんでも今イギリスを相手にするのは難しい気がしていた。
「本気ですか?」
「本気さ。我々は国籍を明かしてないから、すぐに戦争なんてことはないし、それに、追跡される方がかなり面倒だ。ここで潰すしかない」
トーマスは、一旦言葉を切ってから命じた。
「魚雷装填の準備をしろ」
部下は、緊張から唾を飲むと、すぐに了解と言い。部下に魚雷装填を命じた。
〜〜〜同/フリゲート艦[トラウブリッジ]CIC〜〜〜
水測員が妙な顔をした。なにか音を感じ取ったらしい。
「どうしました?」
「艦長、おそらくこれは、発射管中水音です」
ナオキはそんな馬鹿な。と言うような感じに水測長に聞く。
「おい!それは本当なのか?」
「間違いないです。私の耳が壊れてなければ、確実に中水音と断定できます」
ナオキは息を呑んだ。内心かなり驚いている。なんてことだ。この潜水艦の連中たちは戦争をしたいのか?
彼が何か言う前に、ステファニーが命じた。
「CICより艦橋へ、現在発射管中水音を探知。回避行動をとれ」
「こちら艦橋、了解しました」
彼女はナオキの方を向く。彼は戸惑いながらも姿勢を整えた。
「砲雷長は武器の発射指示を頼みます。敵が通常動力型なら本艦の兵装でもやれるはずです」
「イエス・サー」
彼は緊張しつつも自分の配置についた。
〜〜〜同/潜水艦[シーパンサー]指揮所〜〜〜
トーマスは改めてコンソールを見た。どうやら敵は動いてはいるようだが、本艦には継続して張り付くようだった。おそらく逃げないだろう。
勇敢な奴らだな、と彼は感じた。急な出来事にある程度対応し、あまつさえこちら追跡するのを諦めない。
彼は部下に聞いた。
「[ティブロン]はどうだ?」
「まだ動けないようです。作業は終わりましたが、機関を指導したばかりで…」
しかたない。やるか、と彼は部下に命じた。
「魚雷全門発射。[ティブロン]にはできる限り回避できるように伝えろ」
副長は顔をこわばらせながらも復唱した。
「了解、魚雷全門発射!」
復唱とともに前方から水洗トイレを流したような音が連続して響いた。
魚雷が発射されたのだ。
〜〜〜同/フリゲート艦[トラウブリッジ]CIC〜〜〜
水測長が悲鳴をあげた。
「敵艦が魚雷発射!こちらに2本、[ウェイクフル]に2本が向かいます」
艦が倒れるように急回頭する。普通の人なら酔ってしまうほどだ。部下は初めての魚雷に心の底で恐怖しながらも、振動に耐える。
コンソールを見た感じ、[ウェイクフル]も回避行動を取っていたが、目標をマークするためある程度近づいていたことが災いし、距離的に間に合いそうになかった。
そして、コンソール上の魚雷表示が[ウェイクフル]に重なる。
「僚艦被雷!急速に速力を落としています」
「本艦への魚雷は?」
「なおも接近、左舷に命中します」
無理か…と思った彼女はすぐに命令した。
「左舷にいるものはは右舷に退避、全員衝撃に備え」
左舷にいるものは急いで右側へと向かい、CIC全員が地面伏せ、神頼みしながらもその時を待った。
2010年3月23日2時45分、フリゲート艦[トラウブリッジ]は大西洋に沈んだ。
そしてその翌日、ホワイトハウスは血塗られる事となる。
戦争はすでにこちらに近づいてきていた。
戦車の名前だと何がいい?
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モントゴメリー
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トライアンフ
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ヴェネラブル
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ブラックタイガー