日本国最後の幸運艦 外伝[大西洋の死闘]   作:刀持ちの烏

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最近雪にうんざりしている刀持ちの烏です。
 
今回はいよいよ本格的に戦闘に突入します。



Episode3 接敵

 

〜〜〜セントジョンズより200km先の地点/フリゲート艦[ジェイムズ]〜〜〜

 

「[ダッチ]から情報入りました。コッド岬より約300km付近で潜水艦2隻を発見、予想進路からしてこちらに向かってくるものと思われます。深度、速度ともに不明」

 

「潜水艦か…厄介だな」

 

 そう言ってシェルビーは表情を険しくする。予想したとはいえこっちに来たか。

 2隻だとすると、もしかしたら[トラウブリッジ]と[ウェイクフル]を沈めたやつの可能性もあるな。まあ、いずれにせよ厄介なことには間違いない。

 

「旗艦からはなにか連絡はあるか?」

 

「今のところは、進路を変更などは言っていませんね。そのまま予定通りに行くものと思われます」

 

「なるほど、迎え撃つ構えってことだな」

 

 シェルビーは副長にそう言って頷いた。まあ、進路は急に変更できるものでもないし、そもそも護衛のために俺たちがいるわけだからな。彼はそう思いながら外へと目を移す。

 

 シェルビーは艦橋から周囲を眺めた。真後ろには輸送艦がおり、挟むように、右後ろには[ヴィクター]、左後ろに旗艦の[ベッドフォード]が見える。

 現在[ジェイムズ]は船団の正面に位置していた。前にも言ったように、本艦は防空艦だからあまり対潜性能そのものは高いわけではないが、船団で唯一アスロック対潜ミサイルを積めるため

に、ここの配置についているというわけである。

 

 ローレンスは緊張したような表情で拳を強く握っていた。彼は実戦経験がないため、体感したことのない「本当の戦争」に関してかなりの恐怖を抱いていた。

 

「怖いか?」

 

 彼を見たシェルビーが聞く。ローレンスはすぐにええ、と言う。

 

「情けないですけど…そうですね」

 

「まぁ、怖くて当然だろうさ。俺が初めて戦場に出たときもそうだったからな。だが…」

 

 彼は一旦話を切る。

 

「…それで冷静さを欠いてしまうのはいけないな。戦闘において混乱してしまっては、その時その時で適正な対処ができないからな」

 

「そうですね。心に留めておきます」

 

 シェルビーは、まあ、うまくやれと言って優しく頷いた。

 

 

 

 

 

〜〜〜コッド岬より300km先の地点/潜水艦[シーパンサー]〜〜〜

 

「目標はこちらに気づいたようです。ですが進路を変更せず依然としてこちらに接近しています」

 

「なるほどな」

 

 トーマスはふむ、といった表情で顎を撫でた。

 そっちから近づいてくるなら、こっちも全力で応えるとするか。

 

「私たちはどうしますか?」

 

 副長が聞く。彼は悩むまでもなくすぐに返答した。

 

「そのままだ。発見されたとはいえ、どちらにせよ潜ってしまえば見えないんだからな。だが、そのまま接近するってわけではない」

 

「では、どうしますか?」

 

 トーマスはニヤリと笑うと、コンソールに映った海図を指差しながら言った。

 

「まずは[ティブロン]を先行させ目標へと向かわせろ。そうすれば連中はうまく食いついてくるはずだ。その間に我々が船団の後方へと向かい輸送艦を撃沈する」

 

「しかし、我々は2隻とも発見されています。さすがに戦力はそう簡単に分けてくれないのでは?」

 

「それもそうだが、[ティブロン]が魚雷を撃ってしまえば連中はそれに対応せざるをえなくなる。おそらく2隻ぐらいはさいてくるはずだ。どちらにせよ船団の護衛は薄くなる」

 

 副長はなるほどといった表情になった。

 今回の狙いはあくまでも輸送艦だから、護衛艦をそんなに気にする必要性は皆無だ。だとすれば護衛をしているフリゲートクラスは無視して輸送艦を攻撃するのが手っ取り早いというわけか。

 

 トーマスはそうだといって別の方へと命じた。

 

「[ティブロン]に伝えておけ。貴艦はこれより本艦に先行して敵のフリゲートを惹きつけてくれ。その間に我々が叩く。とな」

 

「了解です。[シーパンサー]より[ティブロン]へ、貴艦は本艦に先行して敵を惹きつけてください」

 

「こちら[ティブロン]、了解した。これより本艦は貴艦の前方に出る」

 

 2隻の潜水艦は行動を開始した。

 

 

 

 

 

〜〜〜セントジョンズより200km先の地点/フリゲート艦[ベッドフォード]〜〜〜

 

「敵潜水艦1隻が本船団に急速に接近します」

 

「1隻だと?もう1隻はどうした?」

 

 [ベッドフォード]艦長兼船団指揮官、イアン・スチュアートは不思議そうに聞いた。

 彼はまだ40の坂を超えたばかりの年齢で、指揮官をするには少し若い年齢だが、その実力に関してはかなり高かった。

 

「もう1隻は、現在別の方向に針路をとっているものと思われます。脅威的な対象としては接近してくる方を優先すべきかと…」

 

「まあ、確かにそうだな。前方にいる[ジェイムズ]と[ヴィクター]に迎撃するように命じろ。本艦と[ダッチ]は護衛を継続する」

 

「了解、2隻に通信します」

 

 イアンはどうなるかと考えながら正面を見つめた。

 

 

 

 

 

〜〜〜同/フリゲート艦[ジェイムズ]〜〜〜

 

 [ベッドフォード]からの通信が届かないなや、[ジェイムズ]は増速して目標へと向かう。後方には[ヴィクター]がついている。

 

 シェルビーはいつもの調子で聞いた。

 

「現在目標に動きはないな?」

 

「ええ、針路はそのまま。こちらに向かってきます」

 

 どう出るかな?と彼は考える。

 おそらく目標はそのまま接近してくることから考えて、本艦や[ヴィクター]に攻撃してくるはずだろう。正確な場所は[ダッチ]の艦載機に聞かねばならぬようだが、予想針路などを考えても来ることは間違いない。

 

 

 

 

 

〜〜〜[ジェイムズ]から40km先の地点/潜水艦[ティブロン]〜〜〜

 

「現在目標より40kmまで接近。針路はそのまま、まもなく魚雷発射可能な距離に到達します」

 

 いよいよか、と[ティブロン]艦長は身構えた。

 前の戦闘では[シーパンサー]に助けてもらったが、今度はこっちが助ける番だ。絶対に敵を惹きつけてやる。

 

 彼は命じた。

 

「魚雷発射管注水、水雷は発射解析値を出せ」

 

 水測員の報告が入る。

 

「目標は針路変更、ですがなおも接近」

 

「解析値計算よし、発射管注水」

 

「全発射管開け、魚雷発射」

 

 [ティブロン]は戦闘の火蓋を切った。

 

 

 

 

 

 [ティブロン]が533mm発射管から打ち出したMK48長魚雷4発は目標へと接近した。

 

 MK48は重量約1600kg、炸薬量295kgのれっきとした長魚雷だ。誘導方式は魚雷本体のソナーと有線を使い分けることが可能で、自動的に目標へと向かっていく。

 他の長魚雷と同様に、近接信管を採用しているため効果範囲は広く、1発くらうだけでもフリゲートクラスならひとたまりもない。

 

 今回[ティブロン]が発射したMK48は2発ずつ目標へと向かうように設定されていた。誘導方式は全て有線誘導だ。

 有線誘導の利点はケーブルから常に情報が送られるため命中率が高いことだが、欠点としてケーブルで繋げているため命中するまで迂闊に動けないというのがあった。

 

 そのため、[ティブロン]艦長は敵艦の近くまで行った時にケーブルを切断、あとは魚雷本体のソナーに任せるつもりだった。有線の時とは違い命中率は下がるが、これならすぐに回避行動が取れるはずだ。

 

 魚雷は2隻へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

〜〜〜[ティブロン]から40km先の地点/フリゲート艦[ジェイムズ]〜〜〜

 

「敵艦が魚雷発射。数は4、それぞれ2発ずつ向かってきます」

 

「面舵45°、回避行動を取れ」

 

 トーマスは来たか、と思いながら命じた。彼はすでにCICに降りて体勢を整える。

 

 彼はコンソールを見た。現在後方の[ヴィクター]が対潜ロケットを発射、本艦の後方について回避行動をとっている。短魚雷が外れたとしてもまだデコイ(囮魚雷)があるし、回避行動もとっているから避けれる可能性は高い。

 問題はそれからどう動くかだろう。

 

 まあ、本艦が取れる行動は決まっているのだがな。彼はそう思ってほくそ笑んだ。

 

 部下からの報告が聞こえた。

 

「魚雷回避成功、後方の[ヴィクター]も回避成功しました」

 

「アスロックで攻撃しろ、数は2発でやれ」

 

「VLSハッチ解放、VLA攻撃始め」

 

 [ジェイムズ]艦上に爆煙が立ち、2つの光の矢が立ち昇って行く。

 戦いは始まったばかりであった。

 

戦車の名前だと何がいい?

  • モントゴメリー
  • トライアンフ
  • ヴェネラブル
  • ブラックタイガー
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