フロリダサンデーって美味しいよね。刀持ちの烏です。
今回でChapter1が終わります。これが終わったら多分ちょっと休むことになるかもです。
〜〜〜グロトン/ニューロンドン海軍基地〜〜〜
「ずいぶん酷い目にあったそうじゃないか」
基地司令は笑いながらそう言った。両手ではカップにコーヒーを淹れている。
「ええ、私の艦は軽微で済みましたが[ティブロン]は酷いことになってました。それに作戦目標も達成できませんでしたし…」
トーマスは苦笑いした。
現在ニューロンドン海軍基地まで逃げ帰ってきた[シーパンサー]、[ティブロン]はすぐにドックに入って修理を受けていた。
[シーパンサー]は船体が少し損傷していただけだったが、[ティブロン]の状態は酷いものとなっていた。船体の側面を損傷し、指揮所付近にも浸水を引き起こしている。修理には1ヶ月以上はかかりそうなほどだった。あまりいいとは言えない。
そして、作戦目標を達成できなかったと来た。彼の作戦自体は途中まで、いや撃沈する寸前まで上手く行っただけに、輸送艦を2隻とも撃沈できなかったことを悔やんでいた。
基地司令はコーヒーカップを手渡す。
「まぁ、目標は達成できなかったとはいえど敵の艦艇1隻を撃沈できたんだ。結果的には万々歳だろう。少なくとも君の経歴には栄光の1ページが刻まれることになるんだぜ」
「確かにそうですね。そう思えばよかったとは言えるのでしょう」
彼はそう言いながらコーヒーを飲んだ。
「そういえば、これから我々はどう動くつもりですか?太平洋の方では初戦が上手くいかなかったみたいですが」
基地司令は軽蔑した目になった。
「太平洋の連中は、伊豆諸島を占領してるからこっち側がかなり有利だのなんなの言ってるが、私から言わせればはっきり言って上手くいく気がしないな。なんせ占領の代償に第2艦隊は駆逐艦を4隻も沈められた挙句、指揮を行なっていた空母[エイブラハム・リンカーン]は降伏して拿捕されたときた。貴重な原子力空母をだぞ?このざまじゃろくに作戦がうまくいくはずがない」
トーマスは同情したように見つめた。
彼が怒るのも無理はない話だった。彼が[トラウブリッジ]を撃沈したのと同時刻。太平洋の方では日本特務機関が保有する護衛艦、[ちくご]を撃沈し、日本との戦闘の火蓋を切った。
手始めにすぐにケリをつけるため、伊豆諸島を占領し、本州へ睨みをきかせ、うまくいけば日本を降伏させようとしたらしいが、はっきり言ってうまく行ったとは言えなかった。
基地司令が言っていたように、初戦である「第一次伊豆諸島沖海戦」において、アメリカは屈辱的な敗北をしてしまったからだ。
この戦闘でアメリカ側は第2艦隊から空母[エイブラハム・リンカーン]を中心とし、護衛として駆逐艦6隻を中心とする戦力を、対する日本側は奇跡的に太平洋戦争を生き残っていた戦艦[霧島]を旗艦とし、護衛艦5隻で構成される特務機関第四艦隊を差し向けた。
戦力差的にはほぼ互角、いや、普通に考えて[霧島]が大正生まれの旧式艦もいいところな艦艇だとすれば、原子力空母を持っているアメリカが有利にことを運べそうだった。
だが、敗北した。
これに関しては日本の[霧島]が予想外に強かったというものがあるが、それ以上に[エイブラハム・リンカーン]が敵の主砲射程圏内までの侵入を許したという点が大きかった。
空母の利点というのは攻撃範囲が広いことだ。特に[エイブラハム・リンカーン]のような原子力空母は圧倒的な艦載機の数をもって日本の艦隊を攻撃してしまえばある程度の被害の被害は出せたかもしれない。だが、[エイブラハム・リンカーン]の艦長はそれをしなかった。わざわざ艦載機で攻撃しなくても駆逐艦のハープーンで奢れるだろうと判断したのだろう。それが命取りとなってしまったのだ。
その結果、第2艦隊は第四艦隊に傷一つつけることのできずに降伏した。初戦から酷い有様だった。
彼はコーヒーを飲んで口をしかめた。
「まぁ、そんなかんじだ。この状況から見て、我々ももう少ししたら動くはめになるだろう」
「そうですか。それで、これから私はどうしましょうか?潜水艦に乗るのは察しがつきますが、[シーパンサー]はすぐに戦闘にはいけませんし…」
基地司令は再びいい表情になった。
「大丈夫だ。その辺に関しては心配しなくてもいい。代わりの潜水艦はもう手配してある。なんせ君にいつまでも旧式艦を使わせるわけにはいかんからな。ま、もっとも代わりの艦も旧式ではあるが」
「それはどうも、ありがとうございます。それで、どんな艦艇でしょうか?」
基地司令は身を乗り出す。
「潜水艦[ソードフィッシュ]、我が国が1950年代後半に建造した[スケート]級原子力潜水艦の1隻だ。もちろん舵はX舵にしてあるし静粛性もだいぶ良くなっている。原潜だから乗り心地は[シーパンサー]よりだいぶいいぞ」
トーマスの目が明るくてなった。
「いいですね。居住性がいいってのはありがたいですね。[シーパンサー]での生活はあまりよかったとは言えませんでしたから。それで…私は今度はこの艦でどんな任務に就くのでしょうか?」
「うむ、君にはカナダとの国境線付近を監視してもらいたい。無論、戦闘は行わない。これに関しては私からの心意気だと思ってくれ」
トーマスは、基地司令と同じようにニヤリと笑うと、ありがとうございますと言って敬礼した。
〜〜〜ノバスコシア州/ハリファックス軍港〜〜〜
「終わりましたね」
ローレンスはそう言ってハリファックスの街並みを見つめた。横にある港には客船などが停泊し、ビルの夜景がそれら艦艇を照らしている。
ブッシュは頷くと、今まで我慢していたマールボロを咥えた。実戦の疲労がどっと流れる。
「[ダッチ]はよくやってくれましたね」
ローレンスは平坦な口ぶりでそう言った。表情は複雑そうだった。
「ああ、まさに海軍の精神とやらを見せつけられたようだったね。ようやるよ、あんなの」
ブッシュの表情もいいものではなかった。それはそうだ。なんせ彼らの分も頑張ろうなんて言った矢先にこんなことが起こったのだ。いい気持ちなわけがない。
「本来なら…俺たちが頑張らんといけんのだがな。彼らにしても自分の艦を撃沈されたくはなかっただろうからな」
彼はそう言うと口から煙を吐いた。
「ですが、我々よりもっと悔しかったのは[ダッチ]の艦載機のパイロットの方々でしょう。なんせ戦闘に一切関われぬまま戦闘が終わってしまったのですから」
「そうだな」
ブッシュは表情を変えずに頷いた。彼は口から煙を吐いて振り向く。
「話は変わるがいいか?」
「ええ、大丈夫ですよ」
「突然だが、君はこの任務が終わったら艦の配置が変わることとなった」
「それはまた急ですな」
ローレンスは少し驚いた顔でそう言った。
「だが、多分悪い配置ではないよ。なんせ巡洋艦の航海長だからな」
彼はそう言って小さく笑った。
「なんて艦です?」
「巡洋艦[アナン]、114mmCIWS6基とVLSを100セル以上装備した最新鋭の防空巡洋艦だそうだ。大型の船だから乗り心地はいいと思うよ」
「それはまた、悪くないですね」
ローレンスは頷いた。
各国は近年、大型の防空巡洋艦の建造に躍起になっていた。理由は単純だ。対艦攻撃に使う戦闘機が多すぎるのだ。日本の特務機関しかり、アメリカのCIAしかり、各国は数多くの戦闘機や攻撃機を改修して運用していた。レシプロ機ですらジェットを乗せれるように改造して引っ張り出す始末だ。
それらによって編成された大編隊に攻撃されることなどあったら、流石のイージス艦とかでも対抗するのは難しい。それに対処するのがミサイルだけでは流石に心許ない。だから砲火器も充実させた防空巡洋艦を建造するという話になったのだ。イギリスの場合でもそれは同様だった。
ブッシュは彼に頷き返す。
「まぁ、そういうことだ。イギリスに帰ったら君とはお別れになる。それまではカナダでゆっくりしていこう」
「そうですね」
彼らはそう言ってハリファックスの夜景を眺めていた。あたりはすっかり春の雰囲気となっていた。
戦車の名前だと何がいい?
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モントゴメリー
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トライアンフ
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ヴェネラブル
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ブラックタイガー