A.去年のハロウィン翌日(23/11/1)にTSして今の姿(アイコンno.1174,1353,2314)になったので実は開始時点(24/10/12~)だと男なの!分かり辛くてごめんね!!!!
【プロローグ】
此処では無い何処か、遠く遠くの世界。無数に存在する”剣の創りし世界”の中の一つに、不幸な最期を迎えた少女が居ました。
「幸せになりたい」
今際の際に抱いた小さな願いがぷりっとしたけつの神様に届いたのか、はたまた別の奇跡が起きたのか。少女の身体と魂は【あるけみすと】の世界へと迎え入れられる事となったのです。
ついでに傍で倒れていた青年も一緒に。
【一】
とある宿屋の一室、六畳一間の木造ワンルーム、最低限の家具しか置かれていない”ただ帰って寝る為の部屋”。そこに一組の男女が居た。
二人は【ユタ&ゆきんこ】という名の駆け出し冒険者だ。ここでは無い別の世界で死亡し、気が付くと完全に身体機能が回復した状態で折り重なる様にして倒れていて……元手も何も無く、多少腕には覚えがあったのでこの道を選んだ。つまり転生者でもある。
「オマエ、何か用ですか?今日は探索も休んでゆっくりするって話でしたが」
ゆきんこの方がベッドにぼすりと腰かけて言った。雪氷の様な色合いの髪と、少女の体格には不釣り合いな胸がぽわんと揺れる。その表情はどこか気怠げで、ともすれば欠伸でも始めそうなぐらいだ。
しかしそれも無理は無い。何せこの世界に流れ着いてから今日までの一週間、二人は動き詰めだったのだ。働き口と宿を確保するだけでは無く、元居た世界に帰る為の手段を求めてこの世界の常識やら歴史と言った事も調べていた。故に今日は、この世界に来て初めての休日という物だった。
「少し話があってな。おれ達の今後についてだ」
「はい」
真剣な面向きで話すユタに対し、ゆきんこが眠気を噛み殺しながら渋々と言った様子で相槌を返す……。
・・・
話はこうだった。今後必要となる生活費等は自分が稼ぐから、お前はこの【ウィンバルト共和国】で帰還手段を探してくれと。
(そういう本を読み進めるならともかく、自分でする冒険は特に好きでもないですね。)
ごく短い冒険者歴でそう感じたゆきんこは、細かい話は聞き流しつつ二つ返事で承諾した。
【二】
同日の夕暮れ時。ゆきんこはどっさりとパンの詰まった紙袋を片手に宿屋への帰路に着いていた。
「ユタももう帰ってるでしょうか」
思えばこの世界に来てから今日までの数日間、傍を離れる事なんて殆ど無かったなとゆきんこは思い返す。
一緒に町を歩いても良かったのに、今日訪れた場所の事でも教えてあげましょうか──そんな事を考えていると、遠目に宿が見えてきた。玄関前には見覚えのあるシルエットもある、どうやら帰るタイミングが丁度被った様だ。
「あ、オマエー!……あれ?」
「おう、おかえり」
遠目では分かり辛かったが、少し駆け寄るとユタの衣服・背負っている斧槍に少し血が付いている事に気付いた。
「何だその物言いたげな目線は……何でも良いが後にしてくれ。道具の手入れして身体拭いて、さっさと飯を食いたい」
「いえ、お休みの日までよくやるものと思っただけです」
ドアを開けてユタが中へ入っていくと、ぶわりと美味しそうな匂いが広がる。どうやら早い輩は既に夕飯の最中の様だ。
「ああくそ、腹の減る匂いだなぁ」
ぐぬぬと唸りながら一階の酒場を通り抜ける彼にゆきんこも追従する。二人の部屋は三階の角とその隣で、あとほんの少しの間だけ話す事が出来た。
「ああそうだ。明日から遠出してくるけど、何か土産で欲しい物でもあるか?」
どこどこと階段を上る途中、ふと思い出した様にユタが口を開く。
「え、旅行に行くんですか!?私も付いてきますっ」
「違わい。……今朝、話したろ?傭兵だよ」
傭兵。国と国、人と人が目的の為に殺し合う”戦争”に自ら参入して報酬を得る者達。この世界に来るまでは、知りもしなかった言葉。
「え?」
心底理解出来ない、とゆきんこは思った。戦争の事はまだいい、何から何まで違う異世界なのだから致し難い事があるのは当然だ。しかし同郷から来た彼が、平和の尊さと儚さを知っている彼がそんな事を言うとまでは夢にも思わなかったのだ。
「本当に聞いてなかったって顔だな…」
「……」
もうとっくに部屋の前には着いている。自室の扉を背に困った様な表情で頭を搔いているユタを、ゆきんこは困惑の眼差しで見つめ続けていた。
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