大日本帝国空軍遂ニ勝ツ   作:要塞

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77式軽攻撃機「隼」④

1976年 帝都

 

帝国陸軍の制服を身に纏った二人の男が画面を見つめていた。

画面の中では奇妙な外見の航空機が飛行している

飛行高度は10m以下、固定翼機としては極端な低空飛行といえた。

セスナ機のような小型で揚力に余裕のある機体を低速で飛行させるならともかく、画面に映る機体のように時速300kmを超えるような高速で飛行することは、操縦者の技量や地形などの条件を揃えてすらほんの少しの操作の乱れや突風が墜落につながりかねない危険な行為だった

だがその機体は運動性をアピールするように、速度・高度を変えずに機首を上下左右に振って見せたり、蛇行や丘陵地帯でのNOE(匍匐飛行 )、映像の最後では攻撃ヘリのような地形を利用した襲撃機動まで行って見せた。

 

「空軍の連中が何か作っていると聞いたが、これほどのものとはね。

これで要目が事実ならば攻撃ヘリの役割はこいつに食われてしまうんじゃないか」

 

「航空(ヘリ)の方ではこの機体のことをかなり早くつかんでいた、というより開発時に空軍からノウハウの提供などで協力を求められていたようで、すでにこの機体と同様に宇宙開発技術を応用した新型ヘリの開発に動き出しているようです」

 

中年の男の言葉に、もう一人の二十代後半程度に見える太った男が返事をした。

わずかな沈黙のあと、今度は太った男の方から別の話題について話し始めた。

 

「そういえば欧州に部隊を派遣するという話を聞きましたが」

 

「ああほら、一昨年入ってくるはずだった戦術機の納入が欧州優先だかで遅れただろ。

機体そのものはともかく運用ノウハウの構築が遅れるのは困るって戦術機の導入を推進してた連中がかっかしててな。

それで欧州に陸軍から部隊を送って、そこで使うためってことで欧州用の戦術機の割り当てを少しでもこっちに回してもらおうって話が出たんだ。

それに政府の方が食いついてな。去年あたりにアメリカやEUの方とも話がついて、戦術機の操縦者、確か衛士だったか、の候補生はもうアメリカで訓練を受けてるはずだ」

 

「しかし、こう言っては何ですが一つの兵器のために軍を派遣するというのは本末転倒に見えますね」

 

「まあしょうがない。あの時は戦術機といえばF-4しかなかったからな。

今でこそF-5やF-11が出てきて欧州での需要も食われそうになったマクダエルが慌ててF-4を先行納入すると言ってきているが、当時はいつまで待たされるかわかったもんじゃなかった。

それに今BETAに叩きのめされてる露助(※ロシアを指す俗語)が持たなくなった後、欧州までBETAに蹂躙されたらそれこそ人類滅亡も視野に入ってくるからそれを防ぐ必要があるっていう政府の理屈もまあ正論だしな」

 

それを聞いた太った男は自分の中でそれを反芻するかのように考え込み、しばらくして再び画面の方を向いて言葉を発した。

 

「当然戦術機以外の部隊も欧州に派遣されるのでしょうが、空軍はこれを欧州に送るつもりなんでしょうか」

 

「まあそうするんじゃないか。連中もこいつが本当に使い物になるか実戦で試してみたいとは思ってるだろうしな」

 

それから2,3の言葉を交わした後、二人の男は部屋を出てそれぞれ次の予定に向けて歩き始めた。

 

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