リミィ・コマリスキーは強者を求める   作:葵莢

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13.黄金の輝きと私の共闘

 

 

 ──戦闘は続く。

 

 レインズワースは烈核解放を発動したまま、尚も怯む事なく私に斬りかかってくる。

 

 ……正直驚いた。

 

 鎧通しは完全に入っているはずだが、そのうえでまだこれほどまでに動けるとは。

 

 そもそもこいつの体、所謂(いわゆる)勁の通りが異常に悪いのだ。

 

 通常打撃でいくら勁を流し込んでも、大したダメージにはなっていないように思える。

 

 溜めと共に放つ本域の鎧通しでなければ、とても有効打にはなりそうもない。

 

 ……烈核解放によって内臓強度まで底上げされているのか、それとも単に元からタフなだけなのか。

 

 いずれにせよ、彼のこの不屈の闘志には武人として目を見張るものがある。

 

 何しろ普通なら一撃入っただけでも行動不能になり得る──というか、全身から血を噴き出して死んでいてもおかしくはない私の鎧通しを、あれからさらに四撃。

 

 それだけ打ち込んでいるにも関わらず、こいつは未だに倒れてはいなかった。

 

 これではまるで不死身の化け物でも相手にしているかのような、そんな気にまでなってくる。

 

 

「………………っ」

 

 

 ……けれど、さすがにもう限界は近いらしい。

 

 見れば徐々に呼吸は乱れ、膝もカクつき始めている。

 

 つまり、ダメージそのものは蓄積されているということだ。

 

 さらに烈核解放を発動している間は魔核とのパスも切断されているため、魔核による回復は行われない。

 

 かといって烈核解放を解けば、今度は鎧通し以外の通常打撃まで通るようになり、それこそ奴の勝ち目はなくなる。

 

 彼にとってはまさにジリ貧といえる状況。

 

 長期戦になればなるほど、私の有利は不動のものとなっていく。

 

 

「──ふッ!」

 

 

 ──ずしりとした重い手応え。

 

 動きも鈍り、隙だらけとなったレインズワースの肉体に、六撃目の鎧通しが命中した。

 

 

「──がぁ……ッ!」

 

 

 そこで彼は、遂に膝を折ってその場に崩れ落ちる。

 

 ……どうやら、今のでやっと限界が来たらしい。

 

 それでもまだ意識を保てているのは、やはり驚異的な忍耐力だと言わざるを得ない。

 

 

「……いい加減、烈核解放を解いて負けを認めたらどうだ? このままでは本当に死ぬぞ、お前」

 

「ふざけるなッ……! この俺が、たかが吸血鬼ごとき劣等種族に、それも魔力すら使っていない雑兵に敗北することなど、あってはならん! ──くっ……」

 

 

 口から血反吐を垂らしながら、レインズワースは吼える。

 

 大した気骨だ。

 

 けれど彼も、このままではさすがにまずいと悟ったのだろう。

 

 剣を支えに立ち上がりながら、彼はそれまで一騎打ちの邪魔にならぬよう周りで静観していた部下たちへと向け、怒号のような号令を飛ばした。 

 

 

「何をしている貴様ら! さっさとこのメイドを取り囲んで殺せ!!」

 

「……ちっ」

 

 

 どうやら、一騎打ちの時間は終わりらしい。

 

 この人数の翦劉たちを一度に相手取るとなると、なかなか骨が折れるな。

 

 そういえばカルラはどこに行ったんだ……?

 

 私とレインズワースの一騎打ちのどさくさに紛れ、いつの間にか姿を消していたようだが──って、いや、なんか後ろの物陰のほうに気配を感じるな。

 

 ということは、まさかこの状況で本当に戦わないつもりでいるのだろうか。

 

 ……信じられない、なんて怠惰な女なんだ……アマツ・カルラ。少しは仕事しろ。

 

 

「────」

 

 

 号令を下された完全武装の兵士たちが、即座に陣形を組み直して私を取り囲んでゆく。

 

 ……面倒だが、カルラに戦う気がない以上、私一人で相手をするしかあるまい。

 

 閣下たちは無事に街を脱出できただろうか。

 

 ──と、私が一人、そんなことを考えていた時だった。

 

 

「──特級凝血魔法・【アルティメット屍山血河】ッ!」 

 

 

 不意に、耳馴染みのあるそんな声と共に、私の頭上から突如として大量の血のナイフが降り注いだ。

 

 

「────ッ……!?」

 

 

 凝固した血液のナイフによって鎧ごと全身を貫かれ、次々とその場に倒れ伏していく翦劉たち。

 

 こんな特異な魔法の使い手は、私の知る限り一人しかいない。

 

 見上げると、私たちが泊まっていた宿屋の屋根の上、そこには私の想像した通りの、見覚えのある仮面の吸血鬼が立っていた。

 

 ムルナイト帝国軍第四部隊の隊長にして私の元上司。

 

 七紅天、デルピュネー大将軍の姿がそこにあった。

 

 

「──無事か、リミィ」

 

 

 屋根から飛び降り、シュタッ、という見事な着地を決めたデルピュネーが、そう言って私の顔を覗き込む。

 

 次いで、私の服装をじっと観察すると、困惑気味の声で訊ねてきた。

 

 

「……お前、どうしたその格好」

 

「…………色々ありまして」

 

「…………。そうか」

 

 

 ……仮面で隠れているためわからないが、なぜだか物凄く哀れみの込もった視線を向けられているような、そんな気がした。

 

 

「くっ……、吸血鬼どもの増援か……!」

 

 

 憎々しげに呻くレインズワース。

 

 見ればデルピュネーに続くように、その配下である第四部隊の面々もまた、ぞろぞろとこの場に集結していた。

 

 

「面倒な……、こんな奴ら、いちいち相手になどしていられるか……! ──おい、お前たちはここでこいつらの足止めをしていろ。……どうせ行き先はわかっているのだ、俺はアバークロンビー隊と合流し、夢想楽園でネリアとガンデスブラッドを迎え撃──」

 

 

「──アバークロンビー……? ふふ。覚えてるよ、その名前。だって強かったから。……強かったけど──勝ったよ、私」

 

 

「ッ……! 誰だッ!?」

 

 

 振り返ったレインズワースの、その視線の先。

 

 そこには──。

 

 

「──コマリさんの邪魔はさせない……」

 

 

 右目を真紅に染めた、蒼玉混じりの銀髪の吸血鬼が、凍てつく冷気を纏いて悠然と歩みを進めていた。

 

 ──サクナ・メモワール。

 

 元“逆さ月”の構成員にして七紅天の一人。そしてテラコマリ閣下の友人でもある少女。

 

 そんな彼女はレインズワースを挟んだ私の正面で立ち止まると、底冷えするような冷たい声音で私に問う。

 

 

「リミィさん。コマリさんはどこですか?」

 

「……閣下ならば既にこの街を脱出し、夢想楽園へ向かったものと思われますが」

 

「そうですか」

 

 

 ……そのあまりの迫力に、一瞬私まで気圧されそうになった。

 

 敵意とか殺気とかそういうものではなく、いったい何なのだろう、閣下の周りの少女たちが時折放つこの謎のプレッシャーは……。

 

 正体不明すぎて本気で怖いのだが……。

 

 

「じゃあ、早くこの人たちを殺してコマリさんのもとへ急ぎましょう」

 

「アッ、ハイ」

 

 

 なぜかカタコトみたいな返事になってしまった。

 

 ともかく援軍が来たのならもう何も心配はあるまい。

 

 サクナの言うとおり、さっさとこの場の翦劉たちを掃討し、閣下に続くとしよう。

 

 

嗚呼(ああ)コマリさん。コマリさんが心配です。早く助けに行ってあげないと。コマリさんのことは私が守ってあげないといけないんです。ヴィルヘイズさんには任せておけません。あの人はちょっとコマリさんに邪な気持ちがありますから、だから私がずっと一緒にいてあげないといけないんです。本当なら寝るときとかも一緒がいいんですけど、そうするとさすがに引かれちゃいますから我慢してます。でもパジャマパーティーとかに誘えば大丈夫なんじゃないかなって最近は思ってて──コマリさんコマリさんコマリさんコマリさんコマリさん」

 

「…………………」

 

 

 ……本当に、色々と大丈夫なのだろうかこの子は。

 

 というかコレ、いったい誰に向けて言ってるのだろう……。

 

 

「……気にするな。先程からずっとこの調子でな。テラコマリが消えてから、気づけばうわ言のようにこうして同じ言葉を何度も何度も……」

 

「ほ、ほう……それは、また……。心中お察しします」

 

「……ハァ」

 

 

 仮面の七紅天、デルピュネー。

 

 この人もこの人で、七紅天の中でも数少ないまともな吸血鬼として色んな苦労があるのだろうな……。

 

 ──やっぱり七紅天なんてなるものじゃない。

 

 私は改めて、染み染みとそう思ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ♢♢♢♢♢

 

 

 

 ……その後、レインズワースは【転移】の魔法石を使ってその場を離脱し、私は、街に残された翦劉たちの部隊をデルピュネーやサクナ率いる第四、第六部隊の面々、そして同じく援軍に駆けつけてきた第七部隊の生き残りたちと協力して何とか掃討した。

 

 掃討後は一時的にデルピュネーの指揮下に入り、援軍にかけつけてきた面々と共に夢想楽園へと向け行軍を開始。

 

 ──途中、

 

 

「うわぁぁん、こはるぅぅぅぅ──!」

 

「はいはい。カルラ様ひとりでよく頑張った、よしよし」

 

 

 といった具合に、天照楽土軍のカルラの部隊とも合流し、さらにそのついでになぜかはよくわからないが、道中出会った六国新聞の記者たちまでも一緒についてくることになった。

 

 こうして我々ムルナイト帝国軍第四、第六、第七部隊及び天照楽土軍第五部隊の連合部隊はひたすら進軍を続けていたのだが、夢想楽園へと到着する直前のこと。

 

 デルピュネーとサクナの通信用鉱石に、城塞都市フォールを守っていた防御グループから緊急通信が入った。

 

 内容は、ゲラ=アルカが秘蔵していた“楽園部隊”なる五千もの翦劉の軍勢が、フォールへ向けて進軍を開始したというもの。

 

 そしてデルピュネー率いる第四部隊とサクナ率いる第六部隊、そして私を含めた第七部隊の生き残りたちは一時フォールへと帰還し都市の防衛にあたってほしい、とそのような要請を受けた。

 

 カルラ率いる天照楽土部隊は、夢想楽園に囚われている可能性のある自国の民である和魂種たちを救出せねばならないとのことで、彼女らとはそこで別れ、我々吸血鬼部隊は【大量転移】によってフォールへと帰還することになった。

 

 ただしサクナだけは部隊をデルピュネーに預け、単身で夢想楽園へと向かってしまった。

 

 新聞記者たちもカルラのほうへついていき、そうして私たちは城塞都市フォールにて、迫り来る楽園部隊の進軍を阻止すべく戦場を駆け回っていたのだが、そんな中──。

 

 

 

 ──世界は突如として、黄金の輝きに照らされた。

 

 

 

『ご覧ください全世界の皆さん! テラコマリ・ガンデスブラッド閣下がついに本気を出しました! これで世界は救われます!! ──さあガンデスブラッド閣下、意気込みをどうぞ!』

 

『げらあるかを、ぶっこわす』

 

 

 上空のスクリーンには蒼玉の記者と、黄金の魔力を纏ったテラコマリ閣下の姿が映し出されている。

 

 どうやら対ミリセント戦や七紅天闘争の時と同じく、閣下がついにあの最強の烈核解放を発動したらしい。

 

 ……これでゲラ=アルカも終わりだな。

 

 閣下が本気を出されたということは、後のことはもはやただの消化試合のようなものだ。

 

 エンターテインメントではない本当の戦争を引き起こし、六国を混乱の渦へと陥れたゲラ=アルカ共和国──その君主たるマッドハルト。

 

 そんな共通の敵を討たんと、他の五ヶ国──ムルナイト、天照楽土、夭仙郷、さらには一時的にゲラ=アルカに協力していた白極連邦やラペリコ王国の軍勢までもが、核領域フォールの戦場へと続々と集結していく。

 

 その光景を目の当たりにしながら、私は傍らに立つ──自分と瓜ふたつの容姿をした青いドレスの少女へと語りかけた。

 

 

「──閣下の本気がまた見られたことは素直に嬉しいのですが、しかしこれでは姉さんも、もはや戦で武功を立てるどころの話ではなくなってしまいましたね」

 

「本当よ。せっかくの私の初陣だっていうのに、アレのせいで台無しだわ」

 

 

 言いながら、彼女──ミリセント・ブルーナイトは肩を竦める。 

 

 

「……あんな光景を目の当たりにしたんじゃ、民衆はもうテラコマリ以外の事なんか見えちゃいない。これだから英雄サマってやつはいけ好かないのよ、まったく嫌になるわ」

 

「ふむ、そう言う割にはどこか誇らしげな表情に見えますが──ふふ。まったく。姉さんも素直じゃありませんね」

 

「は? なにそれ、別に一ミリもそんな顔してないんだけど? 何言ってんの? ぶっ殺すわよ? てか殺すわ」

  

 

 言うや、シュシュシュッ、と高速で繰り出される神具による連続刺突という名の照れ隠し。

 

 私はそれらを無言で全て避けつつ、前方に展開する楽園部隊の軍勢へと視線を戻した。

 

 

「ほら、じゃれついている場合ではありませんよ。いつの間にか敵がすぐ目の前まで来ています」

 

「誰もじゃれついてなんかいないのだけど──まあ、それはさておくとして。そうね──せっかくここまで出張ってきたのだから、せめて少しぐらいは仕事をして帰るとしましょうか」

 

「ふふ。お供しますよ、姉さん」 

 

 

 そう言って私とミリセントはそれぞれ指で銃の形を作り、その指先を眼前の楽園部隊の軍勢へと向ける。

 

 そうして私たちは、全く同時に魔力の弾丸を撃ち放つのだった。

 

 一見すれば、ただの初級光撃魔法【魔弾】。

 

 けれども私たちの指より放たれたソレは【魔弾】とは比べ物にならないほどの威力を発揮する応用魔法である。

 

 その名も──。

 

 

「「──光撃魔法・【魔榴弾】──」」

 

 

 超高速で放たれた二つの弾丸は凄まじい破壊力をもって、着弾と同時に周囲一帯に大爆発を巻き起こした。

 

 爆風によって瞬く間に吹き飛ばされていく翦劉たち。

 

 その光景を眺めながら、ミリセントは恍惚にも似た表情で口の端を吊り上げる。

 

 

「──さあ、殺戮の始まりよ」 

 

「………………」

 

 

 こうしてミリセントと肩を並べて戦えることは何とも感慨深いことではあるのだが……この姉。

 

 どう見ても顔とセリフが悪役そのものなんだよなぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ♢♢♢♢♢

 

 

 

 ──かくして。

 

 テラコマリ・ガンデスブラッドとネリア・カニンガムの活躍により、マッドハルトの野望は打ち砕かれた。

 

 夢想楽園に囚われていた人々もみな開放され、六国には束の間の平穏がもたらされる。

 

 マッドハルトの失踪により君主を失ったゲラ=アルカ共和国は、アルカ共和国へと名を変え、その次代の君主を決める大統領選については此度の革命の立役者であるネリア・カニンガムの当選が確実視されているとのことだ。

 

 そして此度の六国すべてを巻き込んだエンターテインメントではない本当の戦争──(のち)に“六国大戦”と呼ばれるようになるこの大戦において、無類の活躍を誇った閣下の元には、各国からこれまで以上に数多くの宣戦布告状が届くこととなった。

 

 その中には──。

 

 

「閣下! 例の“月桃姫”の部隊が乗り込んできます! 迎え撃ちましょう!」

 

 

 閣下が御座(おわ)す本陣にて、参謀(づら)したカオステルが叫ぶ。

 

 諸事情により今日はあまり戦場を駆け回りたくない私は、護衛として閣下のお側に控え、黙ってその様子を眺めていた。

 

 

「それにしても此度の戦いは凄まじいですね。敵がすぐそこまで迫っています」

 

 

 同じく閣下の側に控えたヴィルヘイズが、実に呑気な口調でそんなことを言い放つ。

 

 よく見ればなにかをもぐもぐと咀嚼していた。

 

 あれは饅頭だろうか。

 

 いいな、私も食べたい。

 

 

「他人事みたいに言いやがって! なんでおやつ食べてるんだよ!」

 

「アマツ殿からの贈り物が残っていたので……コマリ様も食べます?」

 

「食べてる場合じゃないだろ! 食べるけど!」

 

 

 それから饅頭片手にあーだこーだと言い争いを始める閣下たちだったが、不意に届いた(しら)せに一気に身を固くした。

 

 

「閣下! 月桃姫が──ネリア・カニンガムが現れました!」

 

 

 鉄臭い旋風が野を駆ける。

 

 打ち捨てられた吸血鬼たちの屍の群れを踏み越え、此度のエンタメ戦争の対戦相手である彼女──ネリア・カニンガムが姿を現した。

 

 

「──やっと辿り着いた! コマリ、私のしもべになりなさい」

 

「誰がなるかぁっ──!!」

 

 

 渾身の絶叫を上げる閣下。

 

 けれどもネリアは全く怯む様子もなく、むしろより一層好戦的な笑みを浮かべるのだった。

 

 

「ふふふ、抵抗したければするといい。でもあなたは私とともに歩む運命にある! 私たちは世界平和を目指す同志。二人で力を合わせれば、どんな敵も怖くないんだから!」

 

 

 そんなネリアの発言に、ギリリと奥歯を噛み締めて闘志を燃やすのは閣下の傍らのヴィルヘイズである。

 

 

「コマリ様の血を飲んだくらいで、何を調子に乗っているのです? ……羨ましい。全身を雑巾のようにねじってコマリ様の血を搾り出してやる……」

 

「怖いよヴィル!!」

 

「ヴィルヘイズさんの言うとおりです!」

 

 

 そこへ、いったいどこから現れたのか。

 

 今回のエンタメ戦争では完全な部外者であるはずのサクナが、なぜか突如として割って入った。

 

 

「……この人を殺せば……コマリさんの血を飲んだ人はこの世にいなくなる……ふふ、ふふふふふふふ……」

  

「サクナもしれっと怖いこと言ってない!?」

 

 

「コマリ!」

 

「コマリさん!」

 

「コマリ様!」

 

 

 そうして三人の美少女に取り囲まれ、まるでラブコメ漫画の主人公のように一斉に詰め寄られる閣下。

 

 (はた)から見る分には実に微笑ましい光景である。

 

 ──が、そのメンツからして当事者になるのは絶対に御免被りたいところではあった。

 

 閣下も大変だな。

 

 と、完全に他人事の私である。

 

 

「……う、うぅ──よし、この場は任せたぞリミィ!」

 

「いや……ここで私に丸投げされても困るのですが……。──というか、ネリア殿にはそろそろ私の軍服を返して頂きたいのですが……」

 

「あ……ごめん忘れてた……」

 

 

 こうして。

 

 最強の七紅天大将軍テラコマリ・ガンデスブラッド閣下を取り巻く日常は、今日も今日とて華々しくも物騒な戦いによって彩られていく。

 

 次の戦いの舞台となるのはいかなる地か。

 

 それはまだ誰にもわからない。

 

 けれども私はたとえどんな場所であったとしても、これまで通り目の前の強敵をただ討ち果たすだけだ。

 

 

 吸血鬼、リミィ・コマリスキーの強者を求める日々は、これからも続いてゆく──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







……お読み頂きありがとうございます。
いかがだったでしょうか。

なんとか今日中に見直しが間に合ってほっとしました。(あまりにもギリギリ)

三巻部分については、書き始める前はもっと話数が多くなるかもと思っていたのですが、まとめてみたら意外とそうでもなくて自分でも驚きました。
原作ではこの巻で新キャラが多数登場し色々な陣営の視点に切り替わりながら進んでいくためボリュームがあるように感じられていたのですが、コマリ視点、それもコマリやネリアの覚醒の妨げにならない範囲でリミィに関われる部分のみに活躍の場を限定すると、このぐらいの話数に落ち着きました。
お兄様関係の話もあるのでカルラさんとももう少し絡めればよかったのですが、切り出すタイミングがなかなか見つけられずそちらは四巻部分に取っておくことに致します。

また、ミリセントの現状の立場については原作でも五巻部分にて詳しい言及がなされるため、本二次創作でも三巻部分では直接的な語句は使わず、このぐらいの描写に留めさせていただきました。
ラストのシーンはアニメ版リスペクトと致しまして、そちらを踏襲したものとなっております。

というわけで、次話からは原作四巻部分に入っていきますが、これ以降はアニメ版ではまだ描かれていない範囲になりますので、原作未読の方はここで一旦読むのを停止していただくのが懸命かと思われます。
本作のような二次創作で中途半端にネタバレを踏むよりも、初見は絶対に原作を読んだほうが楽しめると思いますので。

また、次話の投稿時期についてですが、今のペースだと今月中には四巻部分も書き上げられそうかな、といった具合です。

それでは、次話もお付き合い頂けましたら幸いです。
今後ともよろしくお願い致します。
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