トンヌラ、リュカと   作:117

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006話 ドワーフの亀裂

 

 006話 ドワーフの亀裂

 

 休憩。

 オレはドワーフの店主から貰ったカバンを開き、鍋を取り出した。

 リュカとフローラに落ちている枯れた木々を集めてもらい、その間にオレは小石を組んで簡素な釜土を作る。場凌ぎにもほどがあるソレができた後、オレは近くで流れていた小川から鍋いっぱいに水を汲みに行く。そして戻ればそれなりの量が集まった枯れ木を燃料として、火打ち石で熾した焚火の上に鍋を置いた。

「あったかいね~」

 ニコニコとしながらリュカが暖を取る。冬も深まった今日この頃、春の気配が感じられない中での行軍は風に吹きさらされ、体が冷えて体力が奪われる。その中での焚火は本当に体も心も温まるのだ。

「気持ちいいですわぁ……」

 普段からぽやんとした雰囲気を持つフローラは、更に穏やかな表情をしてぽややんと焚火の恩恵に預かっている。

 当然、2人共に警戒心が薄い。見晴らしのいい草原にポッカリと空いた広場のような場所で休んでいるとはいえ、万が一に備えているのはオレだけである。

(まあ、いいけどさ)

 お子様に愚痴を言う程、器が小さいつもりはない。

 リュカの年齢は6歳で、聞いていないがフローラも同じくらいの年頃だろう。精神年齢が熟したオレが文句を言うと、子供同士の幼い喧嘩で場がこじれかねない。

 2人は自覚はないかもしれないが、現状は10に全く満ちていない子供3人がモンスターが蔓延る土地で野営中なのである。普通にめちゃくちゃ危ない状況だ。モンスターにとっては襲いやすい獲物が親からはぐれて遭難中といったところか。

(まあ、実情は違うけどな)

 リュカとオレは近接戦闘をしっかりとこなせるし、オレとフローラは攻撃呪文を使える。更にリュカとフローラはホイミも使えるから、カバンに入っていた薬草や毒消し草と合わせて回復手段も豊富にある。

 年齢にさえ目をつぶれば、そこらの旅商人と同じくらいには安定感のある実力を持ったパーティーなのだ。

「お湯が沸きましたわね」

「ねえ、トンヌラ。お茶はまだ?」

「もうちょい待ち」

 まあ、中身は普通にお子様だが。温かい飲み物を飲みたくて仕方がないと言わんばかりのリュカに苦笑を浮かべつつ、オレはまずカバンの中にあった竹の水筒にお湯を注ぐ。小川の水は一見綺麗そうに見えても、どんな寄生虫や病原菌がいるか分かったものではない。煮沸消毒、これ基本。

 これにてしばらくの飲み水を確保した後、そこらに生えていた野生のハーブを鍋の中に入れて少しだけ煮出す。そうすれば野性味が溢れるハーブティの出来上がりだ。

 カバンの中から取り出した木彫りのコップを3つ取り出して、それらにハーブティを注ぐ。

「はい、フローラ」

「ありがとうございますわ、トンヌラさん」

「はい、リュカ」

「ありがとう、トンヌラ」

 お礼を言いながら受け取った2人は、にこにことしながらコップを口に運ぶ。

 オレは自分の分を注いだ後に、乾パンを3個取り出す。コムギと水を練り固めて焼いたボソボソとするそれは、飲み物と一緒に口にしながら食べないと口の中の水分が一気に失われてとてもつらい事になる。

 またも手渡してお礼を言われてを繰り返した後、ようやくオレも一息付けた。まずは乾パンに歯を立てて、ボリと硬いそれを齧れば口に広がるのはリンゴの香り。

「うまっ!?」

 思わず口に出してしまった。単調でつまらない味を想像していたオレだが、意外なるフルーティな味わいに驚きを隠せない。

 どうやらコムギと一緒に練り込んだのは水ではなく、リンゴの果汁だったらしい。

 リュカも一口噛んだ後に目を丸くしたし、フローラも左手で自分の口元を隠しながら驚きを露わにしている。

「美味しい、これ美味しいよ!」

「ビックリしましたわ…」

 両方が両方とも感想をこぼした後、示し合わせたかのように3人でハーブティをグビり。

 リンゴの香りがしたのは予想外だったが、それはそれとして乾パンである事には変わりがない。急速に失われた口の中の水分を補充するのは当然の事だった。

 そうして想定外に楽しい食事となって雰囲気が明るくなりつつも、黙々と乾パンを齧り続けて十数分。

 食事をあらかた胃に納めて、ほぅと息を吐きながら雑に作ったハーブティで喉を潤す。

「ところでトンヌラ、ここで休んだ意味ってあるの?」

 邪気のない黒い瞳でオレを見ながら、我が双子の兄が問いかけて来る。

 今現在の位置はドワーフの洞窟まで7割がた踏破したというところか。とはいえリュカが言いたいことはそうではなく、頑張ればドワーフの洞窟まで体力が持ったという事だろう。

 余力を持った今の時点で休むことも不思議に思えるだろうし、力を振り絞ってドワーフの洞窟に辿り着いて安全に休めればそれの方が良いという考え方。1つの前提条件さえなければオレも多少の無理をしてでもドワーフの洞窟に向かっただろう。だが、大きな1つの問題がその良い考えを是としない。

 フローラはそれが分かっているらしく、憂鬱そうな顔で溜息を吐きながらその問題点をあげる。

「ドワーフさんたちと仲良くできれば良いのでしょうけど……」

 そう、ドワーフが友好的ではない可能性が高いのが問題だ。オレたちはエルフの村とドワーフの洞窟が友好を結ぶ事を目的とした使者であるが、それは同時に現在の両者が険悪な状態である事も意味している。目的地に辿り着いた途端に襲い掛かられる可能性も0ではない。

 ならば疲れ切った状態でドワーフの洞窟に辿り着けるはずもなく。まだ自衛できる余力があるうちに休み、ドワーフの洞窟には万全とは言わないまでもそれなりに体調が良い状態で到着したいのだ。

 そういった意味合いの言葉をかみ砕いて伝えれば、不思議そうな顔をするリュカ。

「どうした?」

「う~ん。なんて言うか……」

 少しだけ自分の中で言葉を探した後、たどたどしい言葉で己の心の裡を伝えてきてくれる。

「そんなお客さんが来た時のネコみたいな気分で行って、本当に仲直りできるのなって」

「…………」

 一理、ある。『お前らが攻撃してくるかも知れないから警戒しています』という様子を見せれば、まとまる話もまとまらない。自分を信用してくれない相手を、どうしてドワーフ側が信じ切ることが出来ようか。どちらかが先に攻撃しない証明をしなくてはいけないのならば、それは和睦を申し出たこちら側であるべきなのだ。

 かといって、これは表層だけ取り繕えばいいだけの話ではない。いやまあ表層をキッチリ取り繕って相手を騙せれば問題ないが、あいにくとオレはオレ自身がそこまで性格の悪い人間だとは思っていない。悪い意味で正直で、表向きだけでも無警戒を装えるとは到底思えない。っていうかそんな6歳児は普通にイヤだ。

 ならばこそ、ここは性根からして優しい人物に任せるのが最善である訳で。

「リュカ」

「なに?」

「ドワーフとの交渉、オレには無理だと思う。リュカとフローラに全部任せていいか?」

 唐突なオレの言葉にきょとんとしたリュカだが、すぐに破顔した。

「うん、ボクに任せてよ!」

 リュカの返事を聞き、次に蒼髪の美少女の方を見る。

 そして視線を向けた時には既に彼女はたおやかな笑みを浮かべていた。

「トンヌラさんに信じていただけて嬉しいですわ。わたくしも頑張ります」

 2人の返事にオレは安心して頷き、そしてコップに残っていたお茶をグイと飲み干す。

 そして体に水分を取り込んで、くすりと笑いながら声をかける。

「よし。じゃあ話もまとまった事だし、後片付けをしてドワーフの洞窟に向かいますか!」

 

 ◇

 

 結論から言うと、最悪の想定よりかはずっと良い待遇だった。

「ワシらのせいで春が遠い寒い中、よくぞお出でなすった」

 ドワーフの洞窟に着いた後、出入り口の見張りに声をかけたリュカとフローラ、そしてオレは穏やかに洞窟の中に案内され。ドワーフの顔役を名乗る相手と対面しつつある中で、洞窟内に自生するコケを煮出した苔茶(こけちゃ)をご馳走になった。

 味は渋くて苦い。ってか、まずい。

「「「…………」」」

 人間の口に合わなかったとはいえ、これはドワーフの好意である。嫌がらせの可能性も若干考える程度にはまずかったが、悪意等々を含めた感情に敏感なリュカが何も言わなかったからこそ純粋な善意なのだろう。

 一口だけ飲んだオレたちは差し出された陶器の湯飲みに二度と口をつける事無く、妖精の村から訪れた和平の使者としてドワーフの顔役と対面して会話を始める。

「ワシらの大半としても、妖精族との仲直りは望むところなのですじゃ」

 髭モジャの厳つい顔を、優しく困らせたように歪めて顔役は言葉を続ける。

「じゃ、何が問題なの?」

 純粋無垢に問いかけるトンヌラにやや毒気を抜かれつつも、ドワーフの顔役は根気よく説明をする。

「まず、妖精族に対する信頼じゃ。少なくともワシはポワン殿は信頼するに値すると思っておる」

「じゃ、いいじゃん」

「ポワン殿は良い。しかし、その次代は?」

 きょとんとするリュカとフローラだが、オレの顔は渋くなる。当然といえば当然とはいえ、そこまで不信の根が広がっては排除には相当な困難が付き纏う。

「ポワン殿が引退した後の次の妖精の村の長。その方がワシらをポワン殿の前代のように迫害しないと、何故言える」

「ぅ……」

 子供であるリュカには難しい問題かも知れない。否、これは大人でも一朝一夕で解決できる問題ではないのだ。一度完全に崩壊した信頼を再度構築するには、0から築き上げるよりも一層の難易度がある。なにせ『1度裏切られた』という事実はどこまでいっても消えはしないのだ。

 リュカに任せるとは言ったが、ここまで根深い大人の事情を把握してしまえば口を挟まずには居られない。ここはオレの出番だろう。

「つまりドワーフは妖精の村との関係を断絶してもいいと? 旅人の行き来の様子くらいはうかがえましたが」

「……そう、ワシらとしても、妖精の村と完全に関係が途絶えると色々と困ることが多い」

「妖精の村の方にも非があることは部外者であるオレにも分かりますがね。ポワン様の好意を裏切って、春風のフルートを盗んだのは事実じゃないですか?」

 オレの言葉に、ドワーフの顔役は疲れ切った溜息を吐く。

「……それはワシらの過激派の仕業なのじゃ」

「その言い分が通るのなら。ポワン様も前代は過激派だったと言えば仕方がないですよね?」

「違う。妖精族にはワシらを迫害した責任を取ってもらうし、ドワーフ族も妖精族を裏切って春風のフルートを盗んだ責任を取る。それぞれは別のものであり、相殺はできん」

 キッパリと言い切るドワーフの顔役に、オレはいったん言葉の矛を収める。

 オレとしては春風のフルートを回収するのが最優先であり、それがドワーフの迫害の別のものだという言質が取れた以上は話をこじらせるつもりはない。せいぜい妖精族が苦労してドワーフとの和平を結ぶべきだろう。

 今、オレたちが優先すべきは春風のフルートを回収する事であり。ひいてはまず、それに必要なカギを3つ集めることである。

 春風のフルートを盗んだ負い目があるなら、譲歩を引き出すのは難しくはないだろう。

「それじゃあ、氷の館のカギを下さい」

 美しい黒色の瞳をパチクリさせながら、リュカが端的に言う。ドワーフが春風のフルートを返したいと思うのなら、それを拒む理由はないはずだと。

 しかしながらその言葉を受けたドワーフの顔役は渋い顔をしたままだった。

「――すぐには、出来ん」

「どうしてかしら?」

 こてんと首を傾げるフローラに、ドワーフの顔役は重々しく声をかける。

「ワシらの中にいる過激派じゃ。

 ワシらの()()は構わないが、ほんの10名にも満たない若い過激派がそれを頑なに拒んでおる。

 妖精族とは永遠に断絶したままでいい、その決意として彼らは雪の女王が春風のフルートを盗む手引きをした。そう言うのじゃ」

「「「…………」」」

「若く血気に逸った者とて、ワシらが同胞。見捨てる事はできぬ。気持ちも分かるとなれば猶更にの。

 かといって小僧どもを納得させずに話を進めたとして、同じような事例は何度でも起きるじゃろう」

「――つまり、ボクがそのヒトたちを納得させればいいんだね」

 リュカが黒い瞳を輝かせながら、少しだけ口を笑いの形に歪めながら。そうしながら、声を出した。

 それを確認したオレは、なんの心配もなくなる。

 滅多に見る事はないとはいえ、この表情をしたリュカは強い。

「出来るのかの?」

「やります」

 力強く言い切るリュカに、まったりとしていた少年に先ほどまでの穏やかな様子がなくなったのを理解して、ドワーフの顔役は少しだけたじろいだ。

 それを無視してリュカはハッキリと宣言する。

「かげきは? とか言うヒトたちを呼んでください。ボクが、なんとかします」

「わ、分かった」

 雰囲気が変わったリュカに少しだけ狼狽する顔役だが、立ち上がってこの場を外す。

 掘り抜いた洞窟にヒカリゴケの光源で視力を確保した居住区の、その一室から出ていく顔役だったが。こちらが暇だと思う間もなくドヤドヤと10人弱のドワーフを連れて戻ってきた。

 新しく訪れたドワーフの誰もかも浅薄な様相を隠そうともせず、オレに言わせれば世間に反発したいだけの粋がった若者にしか見えない。しかしそんな若者もドワーフの仲間なのだろう。若気の至りが過ぎただけで彼らを切り捨てては、確かに集落は存続できない。若者を躾けるドワーフの顔役が持つ苦労もオレには分からなくもなかった。

 そして先頭にいる、他のドワーフよりも一回り体が大きいドワーフが生意気そうな調子で口を開く。

「オメーが妖精の村から来た人間か。ザイルの名前はザイルって言うんだ。

 で、なんの話があるって?」

「ポワン様を信用しろ」

 ずばりと前置きなく言い切るリュカにオレや顔役は一瞬だけ気圧されるが、即座にザイルはハッと鼻で笑う。

「ザイルの返答は、イヤだ、だ。ポワンなんか信用できないね。前代と同じように、いつかザイルたちドワーフを裏切るに決まっている。

 ザイルたちがするべきことは妖精族と仲直りすることじゃない。ドワーフだけで生きていけるように努力することさ。妖精族が春風のフルートを失うという失態を犯した以上は貸し借りなしだ。これで清々と縁が切れるってモンだぜ」

 ザイルの言葉に顔役は困ったように顔を横に振る。それはできない、それをすればどれほどの犠牲が出るのか分かっていないという意味だろう。

 そもそも妖精の長の先代とて、妖精の村から追放したとしても繋がりを完全に断とうとはしなかった。つまりはお互いに共生しなくてはならない部分が少なからずあるのだろう。

 しかし、若いドワーフにそれが分からない。自分たちが頑張ればなんとかなると、無根拠に思い込んでいるに違いなかった。

 オレならどう言いくるめるか悩むところだが、リュカはそんな悠長な事を選ばない。ザイルの言葉に深く頷く。

「分かった」

「お?」

「ボクと、ケンカをしよう」

 腰からヒノキの棒を引き抜き、それをオレに向かって放り投げてくるリュカ。

 危なげなくキャッチするオレを確認することなく、リュカは握った両手を前に構えて不敵な笑みを浮かべた。

「――殴り合いで、勝った方が正しい」

「は」

 一瞬だけ呆けたザイルだったが、すぐその顔に好戦的な笑みを浮かべる。

 そして背負っていた斧を下ろし、後ろにいた一人にそれを預けてその場で四股を踏んだ。

「そういうの、ザイルは嫌いじゃないぜ。お前、名前はなんて言うんだ?」

「リュカ」

「そうか。

 じゃあ、殴られて泣いて帰れっ!!」

 叫びながら突進してくるザイル。リュカはそれを真っ向から受け止めるのだった。

 

 そして。

 

 ドツキ合って、殴って、蹴って、引っ搔いて、噛み付いて、爪を立てて。

 お互いの体力が尽きるまで、思う存分にやりあったリュカとザイルは、ひんやりとした洞窟の床に2人して大の字になって仰向けに寝転んでいた。

「ハァ、ハァ……」

「ゼェ、ゼェ……」

 体力が尽きるまで、いやさ体力が尽きても暴れ回った両者。

 リュカはもちろんだが、ザイルもどこか吹っ切れて清々しい表情をしていた。

「ゼェ、リュカ、ゼェ。お前、強いな……」

「ハァ、ハァ……。ザイル、こそ……」

 無い体力、そこから絞り出したような笑い。

 それを浮かべながら、ザイルは言う。

「ポワンは、信用、できねぇ」

「ハァ、ハァ……。それで?」

「でも、ゼェ、ゼェ…リュカは、信用できる」

 じっとリュカの目を見るザイルは言葉を続ける。

「ポワンは、信じねぇ。だが、ぜぇ、ポワンを信じろという、リュカをザイルは信じる」

「それ、じゃあ」

「ザイルの負けじゃねぇ。だが、妖精族と仲直りはしてやる」

 そういって、一番の爽やかな笑みを浮かべるザイル。

「だって、ザイルの友達であるリュカが、信じているんだもんな」

「うん。ベラも、ポワンさまも。いい人だよ、絶対」

 にっこりと笑うリュカ。

 ザイルがそう言った事により、他のドワーフの若者たちも動揺はあれども異論はないような様子を見せた。おそらくザイルを慕って着いてきたのだろう。ザイルが納得する方向に文句はないといった風情だった。

 それはさておき、リュカもザイルも顔と言わず体中が傷だらけである。

「イテテテテ。ホイミ」

 そんな中、リュカは自分に向けて回復呪文を唱えた。体力が低くても魔力が残っているのなら当然の判断だろう。

 だがそれをもう一方が黙って見ている訳もなく。

「ズルイぞリュカ! ザイルにもホイミをかけてくれよ!」

「あ、それならわたくしがホイミをかけますわ」

 黙って見る事しか出来なかったオレともう一人。片割れであるフローラが進み出て、ザイルの前で膝を負って手をかざす。

「天に居まわす慈悲ある神よ。我が身の魔力を使いてその癒しの力を具現したまえ。

 ホイミ」

「お、おお…。あったけぇ」

 詠唱をしてより回復力をあげたフローラのホイミに、ザイルの表情が緩んでいく。

 ……だが、癒しを受けているだけではないと感じるのは何故だろう?

「な、なあアンタ」

「はい、なんでしょうかザイルさん?」

「な、名前は?」

「フローラと申しますわ」

 花の(かんばせ)のような美しさを見せるフローラに、ザイルの顔がみるみる赤くなる。

 ……これなら何の問題もなく妖精族とも和睦はなるだろう。

 しかし、なんというか。

「オレ、何もしてねぇ……」

 ほんやりと一件落着した場を見つつ、オレは独りでそうボヤくのだった。

 




皆様。
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活動報告に近況をあげておきますので、興味があったら見ていただいたら幸いです。

ではでは、良いお年を!
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