転生執事と水神様 作:フリーナサマカワイイヤッター!
実際、旅人が次の国に向かうまで結構時間空いてると思うんです
※世界任務「エリニュスのはぐれ精霊」の内容を含みます。ご注意を
草神の解放がされ、大賢者をはじめとする何名かの賢者が審判を受けてから数ヶ月後。スメールに派遣している『イユー・ファントム』の構成員から受けている定期連絡越しにスメールの情勢の移り変わりを眺めているわけだが、今回は例外を受け取る事になった。
「『旅人、フォンテーヌに向かう可能性高し。キャラバン宿駅にて現地の傭兵との会話を確認』と……そろそろ来るのか。フリーナ様にも伝えておくとしよう」
大事そうにでかでかと書かれたソレを読み上げ、他の内容を読み飛ばしつつもフリーナ様の自室へ足早に向かう。報連相は大事なのだ。
「……ふぇ!? ノックは──って、イリーンか。どうしたんだい?」
ノックもなしに部屋へと入る。寝台に腰かけていた彼女は、びくりと震えた後に元の調子へと戻った。ネコだったら、尻尾をピンと立てていたことだろう。
「連絡が来た。旅人がスメールを離れ、フォンテーヌに向かっているとのことだ」
「もうそんな時期なのか……水神としては、出迎える準備でも始めておかないとな」
「どうするにしろ、フリーナ様の勝手だ。何かあれば言ってくれ。すぐに手配しておくよ」
「ありがとう、イリーン。とりあえず、護衛はキミと警察隊にするとして……歓迎の言葉も用意しておかないと……」
うーんと悩みだすフリーナ様。こういう時は、大体俺も一緒にアイデアを出し合っている。
彼女のアイデアだけでどうにかなる問題は多くないし、俺も彼女の執事として提案の一つや二つくらいはするものだ。しかし、俺の考えは少々違う。
「……そもそも、直々に国境部に出迎える程までやるか? 俺がフリーナ様の執事として一人で行くって手段もあるだろう?」
そう告げるのは、フリーナ様のメンタルも考慮してのことだ。
俺より数百年も長く民が望む姿で
「それはダメだ! みんなきっと、旅人が来るときには水神が出迎えるって信じてるはずだよ! キミの『イユー・ファントム』が民に知られてる以上、僕が旅人のことを把握済みって思ってるだろうし……それにキミが迎えに行く間、僕もちょっと寂しいんだ」
「……仕方ないな」
少々吹っ飛んだ論理のように思えるが、これには首を縦に振らざるを得ない。フリーナ様と俺はあくまでも主人とその執事なのだから。
……まぁ、最後に関しては何とも言えないのだが。
「そうなると、護衛は増やすべきだろうな」
「む…何か案があるのかい?」
「決闘代理人だ。クロリンデなんかが適任だろうと俺は思う」
「よし、それは採用しよう。歓迎の言葉は僕が用意するから、気にしないでくれ」
「了解。じゃあ、何か『イユー・ファントム』から連絡が来たら真っ先に知らせるよ」
「うん。
……でも、ここに入るときはノックしてくれよ? 僕を驚かせたくないならね」
「ぐっ……」
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夜の帳が降り、夜特有の賑わいが薄まりつつあるフォンテーヌ廷。そんな中、パレ・メルモニア前の広場に、俺は一人佇む。
いよいよ明日──旅人がフォンテーヌに入国するとされる予想日だ。前夜というのもあって、フリーナ様は早々に床につく予定。
『大丈夫かな……考えたセリフ、間違えないといいけど……』
『そんなに緊張すると寝れないぞ。深呼吸しておけ』
『ありがと…』
そんな会話を交わしたのが数十分前。頭によぎりながらも、リフトを使ってナヴィア線の巡水船乗り場へ。
「おや? イリーンさん、こんな時間に巡水船のご利用でしょうか?」
「ああ、明日から暫く忙しくなるからな。エリニュス島に散歩でも行こうかと思って」
「なるほど……エピクレシス歌劇場は夜の散歩にも適していますからね」
納得したような表情を浮かべるエルファネ。軽い雑談をしながらもガイドの仕事はキチンとこなすようで、俺の乗り込んだ後に問題なく船は動き出す。数十分もすれば、ポート・マルコットに到着した。
「ありがとな。ちなみに最しゅ――」
「最終便はおよそ一時間半後です」
「………」
相変わらずのレスポンスの速さである。
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「……この辺りまで来れば気づくか…? いや、もう夜だしな……」
「! きた!」
七天神像に着き、休憩がてらで座ったちょうどのタイミングで彼女は声をかけてきた。聞き慣れていて、かわいらしい声。
「久しぶり。こんな時間に来てすまんな」
「パシーフ! 会う、嬉しい!」
「だといいが……睡眠、とれてるのか?」
俺の質問をよそにこちらへ近づくパシーフ。そのまま足にピタリとくっついた。
「最近、紫のやつ、増えてる…青いやつ、元気ない」
「ふむ……」
続けて語るパシーフによると、最近エリニュス島で「紫のやつ」が現れたらしい。それがどうやら、何かしらで悪影響を及ぼそうとしている、と彼女は語る(という風に解釈している)。俺としても調査に乗り出したいが、如何せんこの状況だ。保留にするしかない。
「……すまんが、それについて調べられるのはもう少し後になりそうだ。俺も明日から暫く忙しくなるんだ」
そう告げると、パシーフはしょんぼりとした表情に。やめろ、そんな顔をされると罪悪感が……
「じゃあ、言葉、教えて!」
「それならいいぞ」
「やったー!」
やはりというか、パシーフは俺から人の言葉を教えてもらうのがとても好きなようだ。ヌヴィレットの紹介で「この地を守っている」なんて言われた直後に「私の代わりに彼女に言語を教えてあげてほしい」と頼まれてしまったもので。それ以降、普段の仕事の合間を見つけてはこうやって彼女に言葉を教えているのだ。
まだまだ片言だが、流暢になりつつはある。他のメリュジーヌたちのように話せるようになるまで、どれほどの時間がかかるのだろうか。
「じゃあ、今日はどういう言葉を教えてほしいんだ?」
「えっと……」
──尤も、その問いに答えられるのは俺だけである。
▼
翌日、パレ・メルモニア。
「警備の方の準備は?」
「全員揃っている。私の方も問題ない」
「承知しました。フリーナ様をお呼びしますので、警備には暫くお待ちを、と」
クロリンデからの報告を受け、了解の言葉を背にフリーナ様の自室へ。軽いノックで応答を確認し、中に入って軽く息を吐く。
「警備は準備できてるって?」
「ああ。今頃、外を出てすぐの所で整列してるだろうよ。フリーナ様の方も、準備は?」
「勿論できてるよ。頑張って歓迎の挨拶も覚えたし。
……緊張は、ちょっとするけどね」
「あまり無理はするなよ。何かあれば俺もできる限りのフォローを入れる」
「そう言うキミこそね。じゃあ、行こうか」
「了解」
俺がフリーナ様の斜め後ろに立ち、随行していく。
数々の事件を解決した旅人の来訪……きっと、この国でも事件に巻き込まれていくんだろう。
それが何かまだわからない。だが、俺はフリーナ様の執事として彼女と共に顛末を見届けるのみ。
「さぁ、英雄たるかの旅人を、共に迎え入れようではないか!」
非日常の始まりは、すぐそこだ。
中盤のヌヴィレットはパシーフのことを知っていて、イリーンに彼女のことを教えている描写ですが、前者は原作でもほぼ確定のことなので、このSSでも使用する設定にします。詳しくは「エリニュスのはぐれ精霊 考察」でググってみてください!
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追記 オリ主が元からいるように書いていたので修正。