黒き希望を手繰り寄せて   作:みりんはお酒

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これが3作目となります。どうもみりんはお酒です。
ここで簡単な説明をさせていただきた。
里見蓮太郎を知っている人は飛ばしてください。
里見蓮太郎は高校生で、ある会社に所属していました。
彼は新人類創造計画の一人で、義手(10発)と義足(15発)に推進力を生み出すカートリッジが仕込まれています。
また、義眼には思考を加速させることができるようになっています。
次に彼の趣味について。
彼はファーブル昆虫記が好きで、生物全般が得意です。
もし、足りないところがあれば、教えてください。
話の性質上、説目できない部分がるのはご了承ください。


崩壊への道筋
消失と出没


みなさんはこんな経験はないだろうか。

自分の好きだった小説や漫画の続編が作られなくなった。

原因は打ち切りや作者の体調、亡くなるなど様々であろう。

しかし、こんなことを考えたことはないだろうか。

もし、もしもだ。

主人公がいなくなったため、作品を打ち切りになった。

こんな考え、めちゃくちゃだ、非現実的だ。そういった批判は最もだろう。

だが、これはお話だ。そんなことがあったら面白そう。

それだけで十分ではないか。

 

それでは、本題に入ろう。

もしも、ブラックブレットの続編が作られない原因が、

主人公の里見蓮太郎がいなくなったからだったら。

 

----------------------

 

 

今、里見蓮太郎は丘の上にある木の下で起きた。

目覚めた場所は近くに道があり、それ以外は特になにもない場所であった。

自然豊かな場所で少し先には森林がある。

人間が管理しているようには見えず、動物が描かれた標識がある。

周りを見てみると、家はなかった。

その代わりに子供とその母親の2人が自分の近くで座っていた。

 

「あなた、こんなところで何気持ちよく寝ているんだい?」

 

見覚えのない顔だ。

見ると、30代くらいの女性と5歳くらいの子供のようだ。

服装は特に変なところはない。

 

「すまん。寝てただけだ。」

 

そう言ってその場を離れようとする。

ここがどこであれ、早く帰らないと。

まだ日が昇っているため、今から帰れば家には暗くなる前には帰れるだろう。

それに、この人らにあまり心配をかけたくない。

 

「あなた、そっちに町はないわよ」

「グリムがいたら危ないでしょ」

 

森林に向かおうとしたため、すぐに警告された。

なんで自分は森林に向かおうとしたのか、わからない。

さらにグリムとかいう知らない単語が出てきた。

おそらく危険を警告してくれたのだろう。

ガストレアをここではそう呼んでいるのか?

初めての経験なため少し戸惑う。

 

「すまん、寝ぼけているようだ」

 

実際、もう少し寝ていたい気持ちはある。

だが、自分がどこに行けばいいのかわからないと知られれば、心配される。

それは避けたい。

 

そうしてその人と別れ、町のほうへ向かった。

到着すると、いまさらながら自分の状況を確認した。

持ち物は愛用のXD拳銃とマガジンがあり、マガジンは複数ある。

マガジンの中にはしっかりと銃弾が装填されていた。

黒の銃弾、バラニウムで作られた銃弾だ。

この銃弾で撃たれたガストレアは再生することなく死亡する。

この銃弾は蓮太郎の世界にいた怪物であるガストレアに対抗するために作られた。

また、サバイバルナイフが2本あり、これだけあれば戦闘には困らなかった。

義手や義足も違和感などはなく、いつも通り。

財布の中はいつも通りあまりなかったのは残念だが…。

服装もいつも通りの制服で、特に変化はない。

 

電車賃を払えるか不安が残る。

すぐに戻らなけれなばない。

だが、ここがどこかわからない。

だが、どこに行けばいいのかわからない。

携帯で調べても圏外表示になりまったくわからない。

とりあえず、近くにいた男性に話を聞いてみた。

 

「すみません、ここはどこですか?」

 

「ここはヴェイル東部の町、ヒハマだ」

 

ヒハマ?聞いたことがない。

携帯で調べようとしたが繋がらなかった。

そういや圏外になっていたんだ。

 

「ヒハマはともかく、ヴェイルもわからないのかい?」

「お前さん、さては頭悪いな」

 

失礼な人だなと思ったがこらえる。

 

「中古の本でよければあげるから勉強しな」

 

少しむかついたが情報が貰えそうだ。

あとヴェイルがなにかすらもわかっていない。

調べようにもインターネットにつながらないなら調べようがない。

その後男性から本を何冊か貰い、調べた。

 

ここはレムナントで、ヴェイルは国の名前だ。

他にも、アトラス、ミストラル、ヴァキュオがある。

ここには人間のほかにファウナスと呼ばれる体に動物の特徴を持った人間がいる。

ファウナスは長らく差別の対象であり、自分がいた世界でも似たようなことがあったことを思い出す。

蓮太郎の世界では、赤い目をした少女が生まれてくることがある。

その少女は高い戦闘能力を持っており、ガストレアに対抗できる手段の一つであった。

だが、その赤い目がガストレアを想起させるとして、差別の対象になっている。

 

また、グリムという負の感情に集まる習性のある生き物がいる。

そのグリムは人々を襲うため、それを防ぐためにハンターがいる。

ガストレアにそのような習性はなかったような気がするが。

 

ダストと呼ばれるエネルギー源となる物質が存在している。

ダストは幅広く利用されており、生活とは切っても切れない関係。

蓮太郎の常識がまったく通じない。

この世界はどうなっているのか。

だが、それよりも重大なことがある。

 

「嘘だろ、どういうことだよ?」

 

東京エリアがない。大阪エリアも、それどころか自分が知っている世界地図ではない。

始めてみる世界だ。

普通ならありえない。

自分の常識が通じない場所。

当たり前が当たり前ではない場所。

 

この時点で、自分が異世界にいることを理解した、するしかなかった。

さらに、自分の記憶もあやふやであるということにも気づいた。

一体どうやって自分はここまで来たのか?

歩いてきたのか?電車で来たのか?

 

自分のことはどうだろうか。

自分は16歳であり、高校2年生?なのか?

周りには誰かいたような気がする。

一緒に暮らしていた?子供がいたような気がする。

だが結婚していた覚えはない。

立場が上の人がいた?上司か?社長か?

どこかに就職していた?天童民間警備会社?

なにをしていた?民警らしい?

 

まったくわからない。いったい何が起きている?

現実を受け止められず、気が付いたら無我夢中で走り続けた。

自分が異世界にいる。

そんな現実は受け入れられない。

そうして走り疲れると、少しづつだが現実を受け入れ始めた。

自分はなぜか異世界にいる。

信じられないことだが、どうもそうらしい。

そこからは早かった。

とにかく仕事を探した。

ここで生きるためには働かなければならない。

何でもいい、とにかく仕事を探した。

特にハンターの仕事だ。

ハンターはグリムと戦いうことが仕事だとされている。

これなら蓮太郎の前の職業と似ており、自分でもできるからだ。

その前に、グリムと戦えるのかを検証する必要がある。

 

そうして、町の外に出て、グリムを探した。

グリム探しの難易度はわからないが、すぐに見つかる気がした。

 

町を出て10分ぐらいの森の中にグリムを発見し、拳銃で発砲した。

グリムには効果があったようで、即座にこちらに向かってきた。

グリムには通常の銃弾でもいい気がするが、今はバラニウムしかない。

 

「焔火扇!」

 

グリムの攻撃を避けて、正拳突きでカウンターを放ち、グリムが消失した。

そしてまたグリムを探し始める。

それを繰り返すこと数回、グリムが何も残さず死亡することにいら立ちを覚えた。

 

「消えるんじゃね!証明できないだろ!」

 

その感情によってまたグリムが集まってきた。

それを軽くいなし、感情の吐きどころとする。

グリムを倒したという実績がなければ、仕事をすることさえできないじゃないか。

だんだんとストレスが溜まってくる。

近くに人間がいても気づかないくらいには。

 

「お見事!」

 

近くから声がした。

 

「おっさん、だれだ?」

 

蓮太郎は警戒していた。

接近にまったく気づかなかったからだ。

蓮太郎が戦闘中であっても、周りの警戒は怠らない。

それでも気づけなかった。

 

「すまんな、俺はクロウだ」

「ハンターをしている」

 

「俺は里見、里見蓮太郎」

 

警戒を解かない里見を見たクロウが両手を挙げながら聞いてきた。

その様子はどこか見覚えがある。

 

「お前さんハンターか?だが、幼くないか?」

 

やはり、ハンターになるためには年齢制限があるのだろう。

ハンターについての知識がまったくない。

そのため偽ろうとしても、何も知識がない現状、ぼろを出すはず。

なら正直に話すしかない。

 

「ハンターではない。気づいたらここにいたので働かなければならないと思った」

「自分でもよくわからない」

 

その後は自分の事情をすべて話した。

なぜ話したのかはわからない。

だが話さなければならないと思った。

この人が一体自分に何をするのだろう。

クロウは困惑した顔を見せた。

 

「そしたら、孤児申請でもしたらどうだ?」

「お前さんの年齢でも通るはずだ」

「まぁ、とりあえずは俺と来い」

 

蓮太郎の予想に反して、クロウと名乗る男は解決策を提示した。

何かの冗談かと笑い飛ばすのかと思っていたがどうやら違うようだ。

しかし行く当てがないため、それに乗ることにした。

 

そうして、またヒハマという町に戻ってきた。

まだ昼頃だったので、役所で申請をし、今日は役所の用意した宿で泊まることになった。

役所では、今後の説明や生活必需品の提供、金銭を受け渡しがおこなわれた。

金銭はかなりの額らしく、クロウによると1年間は不自由なく暮らすことができるとのこと。

金銭の価値までわからないとなると、状況はかなりまずい。

そのときに今のスマホのような役割を持つスクロールが配布された。

スクロールは使う時に透明な板が出るようになり、それが液晶の役割を果たしている。

これに電話やメールなど携帯と同じ機能を持っているから驚きだ。

さらにゲームなどもできるらしい。

蓮太郎の携帯より高性能で、軽いだなんて…。

この世界の技術力に驚愕するしかなかった。

そうして紹介された宿に行き、そこでクロウに今後の打ち合わせとスクロールの使い方を学んだ。

また、今後について話しがあった。

今後、公共交通機関を利用してヴェイル市に向かい、そこでオズピンと待ち合わせる。

その後はオズピンがなんとかしてくれるらしい。

人任せだと思ったが、何とかなるなら構わない。

自然と悪い人ではないように思えたからか。

 

「それじゃ、さようなら」

 

「ありがとよ、クロウ」

 

「敬語ぐらい覚えていて欲しかったな」

 

そうして苦労はそのまま部屋から出て、蓮太郎はベッドの上で眠った。

その日は自然とよく眠れた。

 

----------------------

 

次の日、クロウに言われた通りに行動した。

電車に乗り、目的の駅まで向かう。

上り下りもわからず、さらに電車の乗り方もおぼつかない。

何度か失敗は下が、無事に到着することができた。

こんな状態で今後生活することができるのか?

不安しかない。

現在は駅でオズピンの合流を待っているところだ。

 

「君かな?里見君は」

 

「ああ、そうだ」

 

「ようこそ、ヴェイルへ」

 

見ると、そこには銀髪で杖を持った男性の姿がいた。

彼がオズピンらしい。

名乗らなかったがそう考えることにした。

 

そうして車に乗せられ、今後のことについて話があった。

クロウから戦闘能力の高さを報告されていたらしく、今後はビーコンアカデミーに入学することになった。

そのためにオズピン宅で勉強と修行をすることが決まっていた。

以前と変化ないから大丈夫だろう。勉強以外は。

そうして、不安だらけの中オズピンとの生活が始まった。

 

オズピンとの生活に慣れてきたある日。

オズピン宅の庭でいつも通り訓練をしていた。

最近は戦闘だけでなく多種多様は訓練を積んでいる。

 

「オーラを出せるようになってきたね」

 

オーラとは、人が持つ力であり、それを利用して攻撃や防御などに使用できる。

この世界ではだれでも持っている能力らしい。

 

「おかげさまで、ありがとう」

 

実際、オーラは便利なものだと感じていた。

戦闘でも使いこなすことができるようになってきたからか。

こんな便利ならガストレア相手でも遅れは取られないだろう。

 

「それじゃ、あとはセンブランスだね」

 

センブランスとは、個人の能力のこと。

特殊能力なものだと理解しているが、正確な理解をしているかと言われればそうではない。

まだまだわからないことだらけだ。

 

「センブランスを出せるように、戦闘でもしてきなさい」

 

無茶苦茶だ。

オズピンはいつもこんな調子なのでさすがに慣れてきたが…。

戦闘するとはいっても今から森の中にでも行ってグリムでも探すのか?

そんな時間があるようには思えない。

 

「相手はどうすんだ?グリムは都合よくいるわけでもないし」

 

「ここにいるじゃないか」

 

何を言っているのか、まったくわからなかった。

だが挑発しているオズピンの様子を見て蓮太郎はここで気づいた。

相手はオズピンだ。

 

「さぁ、始めようか」

 

そうして、オズピンとの戦闘が始まった。

学長をしているだけあって、強かった。

というか勝てない。

とにかく潜り込めないのだ。

銃は使わないため、拳でやりあう。

そのために近づきたいのだが近づけない。

センブランスを判明させることが目的だったが、いつの間にか勝つことが目的になっていた。

それくらい必死にやった。

そうして何も見いだせないまま、暗くなってきた。

 

「今日はここまで」

「お疲れ様」

 

蓮太郎は庭に倒れこんでいた。

体の節々が痛い。

だが、オーラですぐ治せるのはいい。

本当に便利な能力だ。

 

「今日は出前でいいかい?」

「そんな調子では自炊はできまい」

 

「できるさ」

 

蓮太郎はオズピンの家に居候という形でいるため、家事などを積極的にしている。

そのため、蓮太郎の家事スキルは以前とは比較にならないぐらい成長している。

 

そうして一日が終わった。

 

またある日。

 

「センブランスは出せたかい?」

 

「まだだ」

 

蓮太郎のセンブランスを見つけるため、試行錯誤していたがダメそうだった。

あの日からいろんなことをした。

オズピンに提案されたことはすべておこなった。

だがダメだった。

センブランスが判明しないと、入学したとしてもなかなかに難しいらしい。

 

「まだまだ時間があるだろうから、ゆっくりでいいよ」

 

入学試験までに時間があるという意味だろう。

だが、蓮太郎は焦っていた。

このままセンブランスを解放できなければ入学したとしてもやっていけないのではないか。

だが、そんなものは無意味だった。

 

1週間後、蓮太郎のセンブランスが判明した。

治癒能力だ。

オーラにも治癒能力があるが、それとは比べ物にならないほどのものだ。

それが判明したのがまさかの街で事故にあい、死にかけた経験からなのが少し不満だが、どうでもいい。

これが能力なのか実感できないところはあった。

まだわからないことはあるが、今現在分かっていることはこれぐらい。

 

「やっとセンブランスについて理解したね」

「あとはそれを成長させるのと、」

 

オズピンが微笑み、どこからか本を出した。

 

「入試対策だね」

 

蓮太郎はあからさまに嫌な顔をした。

 

「君の戦闘能力は正直高い」

「トップ合格も夢じゃない」

「だけどね、頭は危ないかもね」

 

現在の成績は正直合格するレベルにはなっている。

だが、それではオズピンが満足していないようだ。

そうして、勉強漬けの日々が始まった。

数日後、蓮太郎は17歳の誕生日を迎えた。らしい?

正直自分の誕生日も正しいのかわからない。

 

----------------------

そうして、試験の日。

蓮太郎は午前中の筆記試験は完璧な手ごたえを感じていた。

正直、早く終わりすぎて見直しを4回した。

簡単ではない試験をオーバーキルしたような気持ちだ。

 

午後は戦闘試験だ。

ルールはどちらかが戦闘不能判断を受けるまで続け、勝敗を決めるとのこと。

棄権はあるが、それを使用した時点で不合格となる。

 

一人ずつ名前が呼ばれ、案内に従って移動している。

受験生は全員一つの部屋で待っている。

各自武器をメンテナンスをおこなっている。

そうして、蓮太郎は自分の試験を待っていた。

蓮太郎の名前が呼ばれた。

 

案内に従って進むと、係の人がいた。

 

「このスキマに入ってください」

 

スキマとあるが、実際は楕円形に開いた、壁に目がところせましに描かれている空間だった。

言われた通りはいると、突然景色が変わった。

白い空間に入っていた。

右側にはおそらく審判だろう人と、正面には対戦相手がいた。

 

「ヤン・シャオロン対里見蓮太郎」

 

ブロンドの髪の少女が立っていた。

ヤン・シャオロンというらしい。

 

「はじめ!」

 

審判が開始の合図をし、試合が開始された。

ヤンが轟音銃声と共に突っ込んできた。

突っ込んでくる前に両手を後ろに持ってきてこちらにきていた。

腕に着けているなにかで反動をつけ、その勢いで来たのだろう。

自分と似たようなことをする人がいるとは…。

 

蓮太郎は横に飛び、避けて拳銃を発砲した。

腕に久しぶりの鋭い反動。

慣れた手つきで照準をつけ再度発砲。

それを防がれ、ヤンは勢いよく突っ込んできた。

また先ほどと同じやりかた。

確かに早い。

だが軌道が単調だ。

 

ヤンが勢いのままこちらに突っ込みながら右ストレートを放った隙を見逃さず、蓮太郎は腹と顎に攻撃を加えた。

きれいな2連撃。

対人戦ならこれで勝てるはずだ。

さらに勢いを利用して攻撃している。

勝利を確信した。

そのままヤンが地面に倒れる姿を見るため、目を離さずにいた。

そのまま地面にぶつかるかと思った。

だが途中で顔がこちらに向いた。

まさか…。

ヤンは空中で体をひねり、足を下にする。

そのまま後ろに下がりながら地面に着地した。

まだ倒れない。

それどころかピンピンしている。

頑丈じゃないか?

こんな相手は初めてだ。

自分でも気持ちいくらいうまくいったはずなのに…。

 

「頑丈だな」

 

そんなことをぼそっと口走った。

それに反応したのか、またヤンが攻撃を仕掛けてきた。

今度は攻め方を変えたらしく、大振りをさけて細かく攻撃し、移動も細かくなった。

そのときに先ほどのように腕を後ろにして動くのではなく、足で動く動きも増やしてきた。

正直、こちらのほうがやっかいだ。

だが蓮太郎はそれをうまく対処していた。

細かい攻撃には回避中心で、移動は付き合わない。

おそらくだが、ヤンが高速移動できる回数は限られている。

それを消費させれば勝ち目はある。

というより、今の状況で負ける気はしない。

 

一方、ヤンが頭に血が上り始めたのか。

あたらない。

まったく当たらない。

こんな状況でストレスがたまるのはわかる。

だが顔まで赤くなるのは違くないか?

 

「当たらなすぎだろ!」

 

ヤンが吠えると、今度は加速し始めた。

 

蓮太郎の周りを動き始め、その速度は上がっている。

また腕を後ろにしての高速移動。

未だに回数制限は来ていない様子。

もしかして制限なんてものがないのか?

 

だがそんなことは関係ない。

蓮太郎の体は新人類創造計画のため、義眼に演算装置、義手と義足にカートリッジが仕込まれている。

カートリッジで加速することができるが、まだそれを明らかにする気はない。

そのため演算だけを発揮してヤンを追った。

頭が熱くなる。

演算結果がすぐに表示される。

解析が横から攻撃してくると結論付けたとき、真横からヤンが顔めがけて殴りにきていた。

タイミングはあった。

蓮太郎は即座に後ろに避け、ついでにアッパーを食らわせた。

ヤンが少し上に上がり、そのままの勢いで壁に衝突した。

あの勢いならさすがに勝っただろう。

これで勝てないならさすがに少し引く。

蓮太郎の予想通りヤンは伸びており、だれから見ても勝敗は決していた。

 

「勝者!里見蓮太郎!」

 

勝った。

にしてもまさか自分と同じことをしてくる人がいるとは。

世界は広いものだ。

そんなことを考えながら指示通りに会場を去った。

相手は担架で運ばれるらしく、少し心配したがだいじょぶだろう。

 

会場を出て歩き続けてオズピン宅に戻っていった。

戻ってきてすぐに自分のことについて話そう。

歩きながら覚悟は決めてきた。

 

「オズピン、話があるんだが」

 

「構わんよ」

 

蓮太郎はすべてを話した。

自分の義手と義足は普通のものではないこと。

中に推力を生み出すカートリッジがあること。

思考を加速することができる義眼があること。

自分がもとは新人類創造計画の一人であったこと。

義眼と義手、義足を修正できる人を探してほしいということ。

オズピンは静かにすべて聞き終えた。

静かに。

 

「大体は予想通りかな」

「新人類創造計画や義眼については知らなかったが」

 

いきなり意味不明なことを言い出したらそうなるだろう。

受け入れられないと思っていたが意外と素直に受け取った。

適応力が高いのか?

そのまま黙り込み考え込んでいた。

おそらく誰が適任か考えていたのだろう。

 

「アトラスに心当たりがあるが遠いな」

「仕方ないからスキマの人を頼るしかないか」

 

スキマの人とはもしかすると試験のときのあれの使う人だろうか。

あの不気味な空間は何とかしてほしい。

贅沢は言える立場じゃないが。

 

「あぁ、スキマの人は知らないか」

「ラフカディオ・ハーンだよ」

 

なんか聞いたことあるな。

日本に来てそうな気がする。

たぶん。

 

「そういうことで」

「一度アトラスに行ってもらおうか」

 

ということで明日、アトラスに行くことになった。

アトラスは技術が発達している国で何でも空に浮く街があるとか。

 

次の日。

 

「どうも、ラフカディオ・ハーンです」

 

目の前には、髭面の中年男性がいた。

この人が昨日言っていたスキマの人。

年齢は50代くらいか。

 

「このスキマの中に入ってください」

 

言われた通り、中に入ると車いすの男性がいた。

周りにはいろんな道具や機械が並んでおり、足の踏み場もないのではと思ってしまう。

その男性はラボの中心に居り、この人がいろいろ面倒を見てくれるのだろう。

 

「こんにちは、里見君」

「私はピエトロだ」

「事情は聞いてる」

「さぁ、見せてごらん」

 

促され、蓮太郎は横になった。

義足と義手を外し、義眼は目の前にある機械で見ることのこと。

取り外されるとどうなるかわかったもんじゃない。

 

「これはこれは」

「義眼はこうか」

「義手と義足はこうで」

「天才だな」

「会いたいな」

 

こんな感じのことを言っていたような気がする。

正直、何言っているかわからなかった。

だが、これを作った天才には会う必要がない気がした。

あのマッドサイエンティストと合わせると危険が危ない。

 

「義足や義手、義眼の件は私に任せたまえ」

「何とかしよう」

 

「ありがとう」

 

礼を言い、そのままスキマの中に消えていった。

アトラスは義手や義足にはかなり発達しているらしい。

それなら安心してもいいかも。

 

その後はいつも通り過ごした。

そうして、試験の日から1か月たった。

試験結果が見れる日だ。

蓮太郎は一日中、そわそわしている。

 

「珍しいな、そんなにそわそわして」

 

「誰でも緊張するだろ、これは」

 

試験の結果前はいつもこんな調子だ。

試験が開示された。

通常、試験結果は郵送される。

スクロールとかいう便利なものがあるのにそこは郵送かと思ったが、何でも持っていない人のためだと。

だが、蓮太郎はオズピンから知らされた。

蓮太郎は合格していた。

筆記試験も戦闘試験も自信があったから正直大丈夫だろうと考えていた。

だが、万が一がある。

それが怖くてそわそわしていた。

だが、試験で戦ったヤンという少女がどうだろうか?

自分に有効打を与えられなかったことで不合格とかにはなっていないだろうか。

 

「ヤン君も合格しているよ」

 

「そうか!」

 

オズピンは察したのだろう。

オズピンの報告を聞き、安堵した。

 

「君は優しいな」

「言葉遣いは荒いのに」

 

「うるせぇな」

 

そうして二人そろって笑いあった。

その姿はまさに親子であるかのようだ。

 

「私は用事があるので、家を離れる」

「それと、ここにあるのは私からの合格祝いだ」

「受け取りなさい」

 

そうして蓮太郎は袋のなかを開けた。

見ると、歯ブラシや手入れ道具、ハンガーなど、生活に必要なものが入っていた。

 

「あとこれで足りないものを買ってきなさい」

 

そう言われ、お金を受け取った。

これくらいあれば必要なものは足りるだろう。

 

「必要なものはなにか調べながら考えなさい」

「そして、明日買いに行きなさい」

 

そうしてオズピンは家から出た。

蓮太郎は荷造りをしながら必要なものを調べた。

そうして過ごしていると、気づいたら暗くなってきた。

蓮太郎は夕飯の支度を始めたが、オズピンから連絡が入った。

なんでも、街で事件があったらしい。

その対応で遅くなるから、先に夕飯を食べてなさいということらしい。

仕方ないのでオズピンの分も準備しながら、夕飯を作った。




ここまで読んでいただきありがとうございます。
感謝感激です!
もし誤字なんかあればどうぞお知らせください。
次は早めに書きたいんですが、自分就活で忙しくなるかもなんで。
では、次がいつかわかりませんが、よろしくお願いします。
では、さようなら。
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