次の日。
現在、蓮太郎たちはフェスティバルの控室にいた。
今日は2対2で戦う試合となっている。
この試合の勝者が次の決勝トーナメントに出場することになる。
そのため、誰を選ぶかが重要になるため、ルビー達のチームは誰を選ぶかかなり迷っている。
本来は蓮太郎たちのチームも同じなのだが、事情が違う。
蓮太郎とピュラの力量を知っているメンバーはもう誰を選ぶかを決めていた。
「次は蓮太郎とピュラでいいかな?」
ジョーンが誰もが考えていることを自分たちに伝えてきた。
レンやノーラも意義も申しださない。
これにより、蓮太郎とピュラで出場することになる。
「では、蓮太郎とピュラで。絶対勝ってくれよ」
その答えにピュラが頷き、自分も「任せな」の一言。
正直、負ける気がしない。
出場メンバーを決めたため、ジョーンたちは控室から退出した。
2人で試合まで待つことになる。
その間に会話はなかったが、不思議と嫌な感じはしなかった。
お互い集中し、心を落ち着かせる。
大丈夫、勝てる。
そうしているうちに控室のドアが開いた。
「試合です。準備をお願いします」
それに無言で答え、控室を後にした。
前回と同じようにコールされ、入っていく。
そのときの歓声は未だなれることはない。
だが、高揚させる心地よさがある。
周りが興奮させる。
流石に今回はすぐに試合が終わることはないだろう。
それでも、試合とならば勝つ。
この中で試合することはガストレアと戦うよりも気楽だ。
リラックスしている。
ピュラのまた、同じ考えをしていた。
大丈夫、勝てる。
私はこういった舞台に慣れている。
今日も勝てる。
しかもパートナーは蓮太郎だ。
自分を追い詰めた相手。
今までこんなパートナーと戦うことはあったのだろうか。
大丈夫、リラックスしている。
私はまた勝ち続ける。
これまでもそうであったように。
これからもそうであるように。
2人してゆっくり歩いて入ってくる。
その姿はもはや緊張とは無縁で、威圧感まで感じれる。
観客席まで距離があるのにも関わらず。
あの2人は異様だ。
その感覚を観客全員の共通認識としても問題はない。
「相手、里見とピュラでしょ」
ここは蓮太郎とピュラの相手選手がいるところ。
前回の試合を映像で確認しているため、どんな人かはわかっている。
あのピュラ・ニコスと戦える。
それだけでここまで来たかいがあった。
それで勝ちももらえるんだからさらに良い。
さぁ、入場だ。
だが、その認識は間違っていた。
先に入場し、スタートラインに立っている2人を直視。
その瞬間、殺気、威圧感、脅迫。
それらをすべて全身で受け止める。
その瞬間、すべてを察した。
「まさか、勝てるだなんて思っていないよね?」
声なき声が聞こえた。
幻聴であろう。
おそらく勝てない。
もはや実力差をここで感じることになるとは。
だが、やるしかない。
「行こう」
そうして、歩みを進めた。
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「試合開始ー!」
試合が始まった。
フィールドは砂漠と森林。
横にいるピュラは槍と盾を構え、基本姿勢をとる。
自分もまた、銃を取り出し、構える。
相手も己の武器を取り出し、構える。
相手の武器は鎖鎌とレイピア。
これもまた変形するかもしれないと考えると、警戒する必要がある。
鎖鎌の敵が鎖を回しながら接近。
その先には分銅がついており、当たると動きを止められる。
それを予想し、発砲。
レイピアの敵がそれをすべて弾き、こちらに攻めてきた。
上下に2発の突きで襲う。
それを回避しながら距離を取り、発砲。
ピュラは鎖鎌を相手することになり、盾を構え油断なく構えている。
それを確認し、レイピア使いに対して接近。
それに対して、相手は後退。
自分の距離を守り続けるのだろう、そうなれば厄介だ。
発砲しても弾かれる。
なら、接近すればいい。
私はフェイントを入れながら近づく。
相手がフェイントにつられた瞬間を狙い、距離を縮める。
それと同時に右目の義眼を解放。
演算を開始する。
レイピアの動きに規則的な部分があることを発見し、それを利用して侵入。
相手が驚いてすぐに距離を取ろうとしたが、もう遅い。
そんな距離をすぐに縮める。
「琥博天成!」
突進しながらの肘うちに相手は防ぐことができなかった。
その流れで連打。
顎や腹を集中的に攻撃。
行ける!
そう考え、逃げる相手を追う。
そのまま捕まえ、渾身の右ストレート。
相手は吹っ飛び、そのまま倒れた。
そのまま動けず、判定も死亡となった。
「危ない!」
最後の敵を片付けるために探そうとしたタイミングでピュラが声をかけた。
見ると、鎖鎌の敵が分銅をこちらに投げてきており、当たれば即死亡判定となるタイミングだった。
その奇襲を腕で防いだが、右手に巻き付いてきた。
ピュラは相手に接近戦をおこなっていたが、相手もそれに片手一本で対応している。
見た感じ、ピュラが押し切りそうであるため、このままでもいいんだけど万が一負けた時がまずい。
腕に巻き付いた鎖をなんとかほどこうとしたが、ここで閃光が走る。
腕に鎖を巻き付けたまま逆方向に走り出す。
突然のことに観客はなにをしてんだあいつは、という反応だったらしいが、すぐに称賛に変わる。
鎖鎌の相手は後ろに引っ張られることになり、バランスが取れなくなった。
無論、それを避けようと相手は力を入れるが、そんな状態でピュラの攻めを防ぎきるとは思えない。
「はぁーー!」
渾身の一撃。
相手は倒れ、その時点で蓮太郎たちの勝利が確定した。
「里見蓮太郎、ピュラ・ニコスペア勝利!」
その瞬間、会場が沸き上がった。
周りは今回の試合に満足している。
見る分には楽しいのだろう。
だが、こちらとしてはかなり疲れる。
鎖鎌の相手なんて特に。
相手がもし自分と同じくらいならかなり大変になるだろう。
そんな蓮太郎の考えをよそに、周りの観客は決勝トーナメントの話題で持ちきりだ。
蓮太郎とピュラ、どちらを出しても勝てそう。
そんな話題を出し続けているが、勘弁してくれ。
その期待を背負って負けたらかなりメンタルに来るに違いない。
そんな状態ではやりずらくてしょうがない。
2人は静かにこぶしを合わせ、互いの健闘を祝った。
一度、シャワーを浴びたいということでシャワー室に向かった。
そこでシャワーと着替えを済ませ、みんなのもとに戻った。
チームメンバーからお祝いの言葉を貰い、ルビー達も勝利したことを教えてもらった。
ルビー達はヤンとワイスを出場させたらしく、その2人がワイスの犠牲もありながら勝つことができたとのこと。
なかなかに危ない試合内容だったらしい。
試合をリアルタイムで見たかったが、仕方ない。
「ヤン、どうしたんだ?」
ヤンの様子がおかしい。
なにやらそわそわしている。
試合に勝ったのだから喜んでいるとばっかり。
聞いてみたが、「大丈夫!」といってどこかに行ってしまった。
たぶんだけど聞いちゃいけない。
それを直感で感じ、それ以降は聞かないことにした。
みんなのもとへ戻ると、チームメンバーからお祝いの言葉を貰った。
「お疲れ、やっぱ強いや」
「流石です」
「強すぎだよ~」
ジョーン、レン、ノーラが称賛してくれた。
ピュラは慣れているみたいだが、どうも慣れない。
顔が赤くなっていないだろうか。
「それじゃ、明日だね」
「明日はどっちが出る?」
ジョーンの問いかけに、ピュラと顔を合わせた。
どちらがでても実力的には問題ない。
となるど、どうするか。
「蓮太郎でいいんじゃない?」
ピュラが蓮太郎を推薦。
それは嬉しい。
だが。
「ピュラはどうしたいんだ?」
「私は蓮太郎のほうが強いと思う」
「私が恐怖に支配された時でも一人戦っていたでしょう?」
「そういった精神的強さのある蓮太郎に出場してほしい」
ここまでいわれてしまったら出るしかない。
ここまで期待されているなら勝つしかない。
「それじゃ、蓮太郎。明日は頑張って」
ここまで期待してくれる味方にはこたえたい。
「おお!」
そうして、体を休めるために先に休むことにした。
ピュラたちは今日の試合を最後まで見るらしく、その後帰宅するとのこと。
そうして、明日決勝トーナメントに出場するヤンと一緒に宿舎に戻った。
「ねぇ、蓮太郎」
「カートリッジは使用しないの?」
ヤンからすれば義手や義足に仕込まれたカートリッジを使用して、速さを活かした戦いをすれば簡単に勝つことができるだろう。
だが、蓮太郎はそれを使用せずに戦い、勝利してきた。
「ああ、なるべく隠しておきたいからな」
ここでは全員が能力を使用できる。
その能力を見せ、解析されれば自分が不利になる確率が高いだろう。
そうすれば対策され、苦戦を強いられる。
それは避けたい。
「そう。蓮太郎らしいね」
「褒められてる?」
「褒めてるのよ」
このやり取りが楽しく、こういった関係を築けることは幸運なことだろう。
入学試験でバチバチにやりあった2人が今、戦友としてとなりで歩いている。
なんとも不思議な関係だ。
そのまま別れ、部屋で眠った。
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「いよいよ明日よ」
シンダーの言葉にエメラルドとブラックが頷く。
「決勝トーナメントで混乱を引き起こすの」
「お願いね、2人とも」
その言葉に両者が頷く。
明日がどんな日になるか予想できているかのように。
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決勝トーナメントの時間だ。
蓮太郎は控室で座って集中している。
決勝トーナメントでは、残ったチームから一人ずつ、計16人が出場する。
対戦相手はランダムで決まり、直前までわからない。
抽選は試合会場にあるパネルでおこなわれ、選手は結果を知るには控室のテレビを見る必要がある。
今、初戦の組み合わせ抽選をおこなわれている。
「一回戦は、里見蓮太郎対」
「ブラック・マーキュリー」
ブラック・マーキュリー。
ピュラによると、足技が特徴的な選手で足の裏から何かを飛ばすことができるとのこと。
正直動画を見てもわからなかったが、勝つしかない。
そうして、試合会場に向かった。
両者がステージの上に立つ。
お互い、目を合わせる。
そこで実感する。
相手は強い。
今まで戦ってきたことのあるどんな選手よりも。
だが、足技主体なら過去の誰かの経験があるから大丈夫だろう。
ありがとう、名前を忘れてしまったけど。
「試合開始!」
試合開始と同時に相手が突っ込んでくる。
一応銃で距離を取ろうとしたが、かるく躱される。
このレベルになると銃弾を避けるのは造作もないことらしい。
正直、その身体能力はどこにあるのか。
欲しい。
それを想定し、義眼を解放して義眼に搭載された演算装置を動かす。
目が熱くなるが仕方ない。
相手は絶え間なく右足で攻撃し続ける。
それを避けながらカウンターを狙う。
相手の蹴りに合わせ、右ストレートでカウンター。
それを回避され、足裏から遠距離攻撃に移された。
まったく見えない。
それを動きながら回避しているが、よけきれない。
あたりはしたが軽い。
周りで煙が発生し視界が防がれる。
それが晴れると、衝撃的な光景を見る。
相手はブレイキングダンスをしながら周りに空気の塊のようなものを大量に量産している。
軽く数えただけで30はある。
あれを撃たれたらおそらく負けるだろう。
ならば、放たれた瞬間に攻め込む。
カートリッジを準備しながら構える。
相手が放ってきた。
今だ!
そのまま光の矢のごとく突っ込み、攻め込む。
相手はこの動きを予測できなかったらしく、困惑の表情を浮かべる。
おそらく、「なぜここにいるんだ?」と考えているに違いない。
そのまま攻撃に移る。
「
右ストレートがクリーンヒット。
相手が止まった。
「
相手の顎にアッパーがクリーンヒット。
そのまま地面に倒れこみ、動かなくなった。
試合終了。
だが、蓮太郎はここで違和感を覚える。
おそらく、最初の攻撃を避けることはできたはずだ。
なのに受けた。
何かがおかしい。
義眼の演算を動かしたまま、どの場で待機する。
「ここで終わりだ」
そう聞こえた。
前から倒れたはずのブラックが突っ込んでくる。
だが、義眼が否定する。
これは現実ではない。
ここで回避を選択。
ブラックが苦虫を潰したような表情を見せた。
そのままブラックが攻撃。
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何かがおかしい。
VIP席にいるラフカディオ・ハーンに限らず、全員が困惑している。
里見蓮太郎がブラックからの握手から逃げている。
一体なぜこうなっているのか。
ラフカディオ・ハーンはセンブランスを発動し、事態を確認した。
彼のセンブランスは境界を操作する能力。
東方projctを知っているなら八雲紫と同じ能力だと考えていい。
彼は蓮太郎の目と脳の間に境界を作り、そこから覗き込んだ。
見ると、蓮太郎はブラックからの攻撃からよけ続けている。
「どういうことだ?」
困惑した。
自分の目で見ていることと境界で見ているものでは明らかに違いがある。
だが、蓮太郎には異常が見られない。
「我々が幻覚を見せられているのか?」
そのまま観客席を探し、ゆがみを探す。
幻覚を見せているなら、それ相応の力が必要だ。
それはすぐに見つかった。
自分から見て東側の前列で大きなゆがみを見つけた。
そこにゆがみを覆うように境界で囲いを作った。
結果、幻覚は消えた。
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助けが来ない
そのことにイラつきを覚えた。
一体何がどうなっている?
なんだこれは。
避けることは苦ではないが、そうなんどもやられるとむかつく。
周りは静まっている。
と思っていたら音が聞こえてきた。
なんだ?歓声ではない。
ブーイングだ。
何が起きてる?
外から警備員のような人が来て、ブラックを囲った。
「ブラック・マーキュリー!」
「手を挙げてひざまずきなさい!」
ブラックは困惑していたが、渋々従った。
「蓮太郎~!」
ピュラやジョーンがやってきた。
「何が起きてる?」
「わからない」
「あなたが避けてると思っていたら、ブラックが攻撃していて」
誰も現状をわかっていないらしい。
そしたらこの対応の遅さもわかる。
ここで放送が入った。
「え~皆さん、お静かに」
「先ほど、幻覚を利用して我々に幻を見せていたものがいます」
「先ほどの里見蓮太郎が避けているのは幻覚であり、ブラック・マーキュリーが攻撃しているのが現実です」
この放送で何が起きたのかわかった。
幻覚だ。
幻覚を見せられたのだ。
これで蓮太郎の身の安全は確保された。
疲れがここできたのか、倒れた。
薄れゆく意識の中、観客が自分のことをたたえているのが聞こえた。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ラフカディオ・ハーンはもともと、八雲紫を主人公にして小説を書こうと考えていた時の名残として出てもらってます。
もしかすると、初めて出たときに分かった人とかいるのかな?
もしそうなら、書きません?小説。
ということで小ネタはここで以上とします。
また次回もよろしくお願いします。