黒き希望を手繰り寄せて   作:みりんはお酒

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もうそろそろ終わりにしようかな?


黒き希望を手繰り寄せて

準決勝当日。

今日は決勝と表彰式までおこなうため、以前のような人だかりができていた。

この人混みに対応するために、パブリックビューイングが増設され、活気が戻ってきた。

人が多すぎて目的地に行くのにも一苦労。

だが、フェスティバルの非日常感が戻ってきた。

そんなことを実感していた。

 

蓮太郎は今、控室にいる。

控室でいつも通り武器の整備や点検をおこなっていた。

この控室で待つのは、最大であと2回だろう。

もしかすると今回で終わりとなるのかもしれない。

 

「里見蓮太郎さん、準備をお願いします」

 

これも最大で2回だ。

思えば、自分の試合はいつも最初だった。

そのことを不満だと思ったことはない。

このフェスティバルでいろんな人と戦った。

初めての経験もした。

それも終わりが近づいてきた。

 

「里見蓮太郎!」

 

いつも通り名前を呼ばれ、前に出てきた。

ここまでは特に変化はない。

昨日と同じく、無観客だったが、慣れてきた。

カメラの向こうには多くの観客がいる。

 

「ヤン・シャオロン!」

 

向こう側からヤンが出てきた。

自分と同じ戦い方をする少女。

仲間にすると心強いが、敵にすると厄介な相手。

彼女を倒し、決勝へ行く。

ただ、それだけだ。

 

「試合開始!」

 

ヤンは遠距離での攻撃を選択したようだ。

とにかく両腕に付けられた武器であるエンバー・セリカ。

拳にはめて使用し、中に銃弾が仕込まれている。

それで銃撃するだけでなく、反動で移動する。

その点において、蓮太郎と似ている。

 

向こうは珍しく、近距離で攻めてこない。

だが、それなら都合がいい。

こちらもXD拳銃で射撃を開始。

手数は相手が多いが、命中精度はこちらが上だ。

相手の銃弾をよけながら射撃を続ける。

射撃をよけられる時点で化け物になっている実感がわく。

だが、ここではそれが普通だ。

今までの常識が通じない世界にいると苦労する。

お互い、リロードを挟む。

その瞬間、ヤンが武器の反動を利用してこちらに接近してきた。

 

「速い」

 

何度か見ていたが、やはり速い。

それを回避。

遠くに距離を取る。

ならば、同じことをしよう。

 

義足のカートリッジを使用。

横に移動する。

そのまま加速した。

ヤンも同じように加速し、正面衝突。

このままいけば、殴り合いとなるだろう。

だから、再度カートリッジを使用。

即座に移動して横を取る。

だが、それも読まれていた。

 

ヤンも同じように加速。

結局、正面衝突となった。

お互いの拳は回避不能。

あとは己が威力のみ。

勝負!

 

お互いの拳が当たるまでの時間がひどく遅く感じた。

ゆっくりに見えるそれは少しづつ近づいてきた。

当たれば終わりの拳。

それが近づくことは敗北が近づいていることでもあった。

かなりまずい。何か起こさねば。

そして、会場の外で爆発が起きた。

 

そうはならないだろ!

心の中で叫んだ。

だが、その音で止まることはできない。

お互いの拳があたり、オーラを減少。

 

そのまま試合は中断となった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ピュラは認識した。

会場の至る所で爆発騒ぎが起きている。

それはおそらく、大会で蓮太郎をはめようとしたやつらに違いない。

このパニックだ、すぐにやつらがくる。

恐れを知らないやつらがやってくる。

このアカデミーを落としてくる。

我々はそれに備えなければならない。

 

「みんな!武器を準備しよう」

 

この声掛けですぐに武器を準備。

持っていないものは自分の武器が入ったロッカーを呼び出し、準備。

そうこうしているうちにグリムがやってくる。

 

「避難優先でいこう」

 

ルビーの提案をもとに、観客の避難を開始した。

ハンターのやるべきことだろう。

すぐに行動に移し、観客を飛行艇の発着場まで案内。

そのあいだにグリムの襲撃があったため、そちらにも対応。

すでに軍関係者によって民間人の避難がおこなわれており、短時間で終わった。

 

「協力、感謝する」

 

発着場にいたのはアイアンウッド将軍がいた。

 

「みんなには選択権がある」

「一つは民間人と同じく避難すること」

 

この選択はここにいる全員は取る気はなかった。

たとえ避難という選択をしたとしても、誰も責めはしないだろう。

 

「もう一つはアカデミーを守ること」

 

飛行艇に乗ってアカデミーへ向かえば、すぐにつく。

 

「みんな!」

 

ここでヤンと蓮太郎が合流した。

仲間との再会を祝いたいが、そんな時間はない。

 

「では、アカデミーを守るなら、あれを使用しなさい」

 

この場にいるアカデミーの学生は全員守る選択肢を選んだ。

 

「将軍は?」

 

「私は制空権を取ってくる」

「健闘を祈る」

 

ルビーの疑問に将軍が答える。

アイアンウッド将軍はそのまま戦闘用に改修された飛行艇に乗り込み、我々も指定された飛行艇に乗り込んだ。

 

「ヤンとブレイクで食堂付近の防衛」

「私とワイスでCCTタワーの防衛」

「ピュラと蓮太郎、ジョーンで中心の建物の防衛」

「そのほかは飛行艇前の広場で防衛」

 

ルビーから指示があった。

これに不満はない。

 

「さぁ、頑張ろう!」

 

ルビーの掛け声をもとに、各自装備品を点検しはじめた。

数分後、ルビーがなにかを見つめている。

外を見ているだけかと思っていたが、機内に警戒アラートが鳴り響く。

 

「ごめん、片付けないといけないことがあるから」

 

そう言い残し、外に飛び出した。

片付けないといけないこととは?

全員が困惑していたが、とりあえずは好きにさせることにした。

蓮太郎がちょうど点検が終わったころ、目的地に到着した。

各自、指定された場所を防衛するために、向かった。

 

「ジョーンは後衛で俺とピュラで抑えるから」

 

「OK」

 

「了解」

 

走りながら簡単に作戦を指示。

それにピュラとジョーンが賛成。

そのまま向かった。

 

「ピュラ・ニコス、それに里見君やジョーン君まで」

 

目的地に到着すると、オズピン学長がいた。

ここの防衛でもしているのか。

まるで誰かを待っていたみたいだ。

 

「みんな、ついてきなさい」

 

いわれるがままについていった。

途中、現状についての説明があった。

曰く、グリムの大群がこちらに攻めてきている。

曰く、アトラス軍のロボット兵器が反乱を起こしている。

 

明らかに不利である。

すぐにでも対応したい。

しかし、この行動が問題の解決になるのかが想像できない。

そのまま地下へ行くエレベーターに乗り込み、下まで到着した。

そのまま前に進むと、二つのカプセルと中央にパネルがあった。

 

「なんだよこれ」

 

ジョーンが困惑の声をあげると、ピュラはその片方のポットに入っていった。

見るともう片方には女性が入っていた。

 

「里見とジョーンは防衛を頼む」

 

オズピンに言われたが、後ろがなんなのかが気になる。

だが、聞ける様子にはない。

 

「来るぞ」

 

蓮太郎自身、何か見えているわけではない。

後ろでは、装置が作動したのかピュラが苦しそうに声をあげている。

ジョーンは気になるのか、ピュラのほうをチラ見している。

静かに義眼にある演算装置を発動。

突如、何かがそこにはいた。

空間自体が薄暗く、みることはできなかったが、確かに何かがいる。

そのなにかは来る。

ジョーンに伝え警戒。

 

そして、何かが来た。

後ろでガラスが割れる音がした。

まったく認識することができなかった。

攻撃するそぶりなどなかった。

振り返ると、ピュラと反対側のポットにいた女性に命中し、絶命していた。

その瞬間、光が向こう側に飛んでいき、なにかに吸収された。

 

「こんにちは、みなさん」

「シンダーです」

 

周りに炎をまといながら空中に浮かぶそれは、シンダーと名乗った。

そのシンダーは明らかに強い。

倒すためには、ゾディアックガストレアの一体をもってこなければ倒せないのではないかと考えるほどには。

 

「君たちはすぐにこの場から脱出し、クロウやグリンダを呼んで来い!」

 

「私たちも戦います!」

 

オズピンからの指示にピュラが抵抗。

あれを倒せると考えているのか?

 

「戦いの邪魔だ」

 

オズピンが思いつめた表情で宣告した。

そのことで、決心したのだろう。

ジョーンとピュラが最初に脱出し、蓮太郎はオズピンを見てその場を脱出した。

 

何事もなく地上に出られた。

そのまま指示された通り、人を呼ぼうとしたが、異変が起きた。

下から物音がする。

さらにエレベーターか熱さを感じる。

オズピンが負けた?まさか。

だが、それが現実となる。

 

その上がってきた炎はそのまま最上階に向かった。

最上階には、オズピン学長の部屋がある。

 

「今のって…」

 

ジョーンは察したのだろう。

シンダーが上に上がってったことを。

 

「ねぇ、ジョーン」

「あなたは逃げて」

 

「それじゃ、君たちは」

 

「「いいから逃げて!!」」

 

ピュラからの宣告。

ジョーンは動かなかった。

拒否している。

だが、ピュラからすればそんなことはどうでもいい。

以前やったように腕で押し、近くにあった武器の保存や呼び出しをおこなえるロッカーにジョーンを無理やり乗せた。

ジョーンは扉をたたき、脱出しようとするが、もう遅い。

 

「さよなら」

 

そう言い残し、ジョーンは飛んでいった。

そうして、蓮太郎のほうに体を向けた。

 

「蓮太郎、一緒に戦ってくれない?」

 

「当たり前だ」

 

こんな展開は予想していた。

覚悟はしていた。

なら、やるしかない。

 

「行こう」

 

ピュラは乗ってきたエレベーターに乗り込み、センブランスを使用してその箱ごと動かした。

蓮太郎もそこに乗り込み、一緒に上へ向かった。

 

到着後、すぐさま扉を開き、射撃。

それをよけられ、目が合う。

 

「こんにちは、ピュラ・ニコス。里見蓮太郎」

 

言葉を交わしに来たわけではない。

すぐさま、義眼に搭載された演算装置を起動。

相手もそれを感じたのか、炎を錬成。

まとい始めた。

 

ピュラが右から、蓮太郎が左から攻撃。

ピュラが槍でついた瞬間を狙って、すぐさまカバーで攻撃。

シンダーはそれを炎で迎え撃ち、右手の義手があらわになった。

黒い義手など見たことがないのだろう。

シンダーの顔が険しくなった。

 

「その義手、まさか!」

 

まさか、この義手の正体に気づいたのか。

だが、それがどう影響するのかがわからない。

そもそもそんなことありえない。

 

すぐさまシンダーからの反撃が来た。

それをさばき、ピュラが後ろから援護射撃。

それを炎で防いで見せた。

こんなことをされては、遠距離での攻撃は無意味ではないか。

二人して近距離で攻撃。

息の合った連携攻撃に苦戦していたらどんなにうれしいか。

 

シンダーは炎で武器を錬成し、投擲。

すぐさま同じ武器を錬成し、装備。

ここまでされたら、もはや驚かない。

このままでは負ける。

なら、やるしかない。

 

蓮太郎は義眼の演算装置を限界まで加速させることにした。

 

「蓮太郎!」

 

チームを組んできただけのことはある。

すぐに異変に気付かれた。

シンダーはすぐに蓮太郎に攻撃を仕掛け、それをピュラが防いだ。

 

目の演算装置が加速し続ける。

少しづつ目のあたりが熱くなるのを感じる。

体から汗が噴き出してくる。

体温の上昇を全身で感じる。

それを無視してさらに加速させる。

 

そのためか、体がついてこない。

加速させても体がついてくるとは限らない。

ピュラが対応しているが、すべてをさばけるわけではない。

何とか回避しているがそれがいつまで持つのか…。

1000倍に到達。

目の前が遅くなっていくのを感じる。

それに比例して痛みと熱が増加する。

1500倍。

世界がコマ送りのようになっていく。

現実なのかを疑い始める。

1800倍に到達

頭全体が沸騰されたお湯の中に入れられたような感覚になっている。

それ以上加速すれば死ぬだろう。

今までにないような痛みを頭が襲う。

これ以上加速するなと脳が叫ぶ。

だが無視する。

 

1900倍。

頭自体が沸騰しているといわれても不思議ではない熱さになる。

目に突然光を受け、つぶる。

 

一体何が起きたのか、まったくわからない。

自分は死んだのか、はたまた演算装置の使い過ぎで故障したのか。

すぐに自分の体を触る。

そこにはしっかると体が残っている。

では演算装置の故障か?

いや違う。

今も動いている。

 

周りをゆっくり見る。

ピュラとシンダーが戦闘し続けている。

ここまではいい。

だが表情どころか髪の毛一本に至るまで見えている。

 

そうか、これが2000分の1秒《ターミナルホライズン》。

 

以前この義眼を埋め込んだ医師の言葉を思い出す。

 

『君の義眼にはリミッターがつけられている。それがあることで君は死なずに生き続けることができる』

『もしリミッターを超えたらッて?そうしたら見えすぎることになる』

『あの子のあれから未来まで何でもだ』

『リミッター内なら弾道予測とか時間がゆっくり流れる程度だろう』

『だがリミッターを超えれば1秒が2000秒になるくらいゆっくりな世界を見れる。もっとも、それを見た人間は全員あの世になってがね』

 

となると、この景色は限界を超えた景色だ。

確かに何でも見れる。

神様に与えられたものだといわれても不思議ではない。

だがそんなことはどうでもいい。

 

今ならわかる。

相手の動きも、なにをしてくるのかも。

たとえ相手が核爆弾を出そうとしてもすぐにわかる。

自分の体が思い通りに動く。

リミッターを超えたのに何か関係があるのか?

しかし勝てるならそんなことは意味を持たない。

 

すぐに行動。

ピュラはダメージを受けているようで、その場で動けなくなっている。

今までよく耐えてくれた。

シンダーは武器を錬成。

これは飛ばしてくる。

 

予想通り、飛ばしてきた。

それを首を右に傾けるだけで回避。

接近し、左ストレート。

それを回避されたが、回避位置までわかっている。

そのままその位置にまで移動し、攻撃。

 

轆轤鹿伏鬼!(ろくろかぶと)

 

拳を地面に向けてたたきつけ、その衝撃波で攻撃。

シンダーは空中に動いてよけたが、読めてる。

 

「隠禅・上下花迷子!《いんぜん・しょうかはなめいし》」

 

空中に行ったタイミングで回し蹴り。

そのままクリーンヒットし、シンダーは後ろに下がった。

この状態がいつまで続くかはわからない。

なら、早く決めないといけない。

だが、ここで不幸が起きる。

建物の周りを大型のグリムが飛んでいる。

戦闘の影響で、部屋は窓張りだったが、すべて破壊されている。

そのあいだからはいられたら厄介だ。

 

シンダーはおもむろに弓を作り出した。

そんなものに当たるわけはない。

だが、ここで未来を見た。

ピュラが立ち上がろうとしたタイミングで心臓を撃ち抜かれるところを。

それを認識し、すぐさま銃弾ではじくことを選択。

やらなければ死ぬ。

今からでは体を入れるのは間に合わない。

 

矢は放たれた。

時間はゆっくり進んでいるように感じる。

そのまま照準をつけ、射撃。

銃弾は矢じりの先端に命中。

通常なら、それではじくことはできる。

だが、この矢は違うらしい。

少し軌道をずらしただけだ。

こんなことは想定外だ。

そのままピュラの右肩に命中。

ピュラは倒れこんだ。

 

ここで異常が発生。

ルビーがここに到着していた。

全く気付かなかった。

 

「「「ピュラーーー!!!」」」

 

ここでルビーが叫びながら目を光らせた。

一瞬、何が起きたかわからなかった。

その光が落ち着いたとき、シンダーはすでにおらず、飛んでいたグリムも石化していた。

ルビーも気を失っており、今立ち上がれるのは蓮太郎ただ一人だけだった。

 

丁度下にいたワイスを発見し、救助をお願いした。

蓮太郎はピュラを、ワイスはルビーを抱えながら降り、そのまま避難するためにみんなのもとに向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

時は戻って、ヤンとブレイク。

二人は現在、目的地に向かっている。

 

「やぁ、お嬢さんたち」

 

ここで止まった。

隣のブレイクは警戒している。

 

「蛭子影胤」

 

その名を呼んだ。

一度、見たことがある。

仮面の男だ。

 

「おや、知っていたとは。そんなことはどうでもいいがね」

「私はね、あなたたちと協力する気はあるが、どうだ?」

 

「私は構わないよ」

 

ブレイクが反対の声をあげようとしたが、制した。

 

「なら、行こうか」

 

そのまま目的地に到着した。

だが、そこにはブレイクからしてみれば、最悪の人物がいた。

 

「やぁ、ブレイク。お友達と一緒かい?」

 

「アダム!」

 

ブレイクの因縁の相手。

昔ペアを組んでいた相手。

自分を変えるために離れた相手。

 

「私がやろう」

 

影胤が提案してきたが、全員でやる必要がある。

 

「全員でやろう」

 

ブレイクと影胤が構える。

私も構える。

 

「ブレイク!今日は革命記念日となるはずだった!」

「だが、お前は裏切り、消えた」

「その報いを今、受けろ!」

 

アダムが襲い掛かってきた。

刀で切りかかってきたところを影胤が透明な球体で防御。

そのまま何度も切り付けてきたが、すべて防がれた。

 

「何者だ、お前は」

 

「旧陸上自衛隊787機械化特殊部隊新人類創造計画」

「蛭子影胤」

 

アダムは何を言っているのだこいつは?といった表情を見せた。

実際、なにものか知らない。

だが、心強い味方であることだけはわかる。

 

ヤンと一緒に攻撃。

アダムは被弾しながら防御していった。

防御しているが、崩せない。

そのアダムの刀剣が赤く光りだした。

 

「アダムは攻撃をため込んで、それを攻撃に乗せてくるよ!」

 

ブレイクからの忠告は遅かった。

アダムは斬撃に乗せて飛ばし、影胤のほうに向かって飛ばしてきた。

影胤はイマジナリーギミックで防御したが、突破された。

 

「まさか、イマジナリーギミックがくずされるとは」

 

想定していなかったのか、困惑している。

そう考えたが、どうやら違うようだ。

 

「痛い。私は痛い」

「私は生きてる」

「素晴らしきかな、ハレルゥゥゥヤ!!」

 

影胤以外はすべて頭のおかしい人物だと認識したのだろう。

そんなことは知っていたが、ここまでとは。

 

「ブレイク!お前はどうせ逃げるのに」

「なぜ歯向かう!」

 

「私は逃げない!」

 

二人の間になにがあったのかがわからない。

だが、因縁らしきものを感じる。

ブレイクは逃げることはない。

 

こうして戦い続けた。

アダムは少しずつ劣勢にさせてきている。

おそらく、二人だけではこうはならないだろう。

影胤がいるだけで、こうも戦いやすいとは。

 

「さぁ、終わらせようか」

 

疲弊してきているアダムに対しての勝利宣言。

防御面では確かに硬いが、攻撃面はあまり知らない。

影胤は突然、距離を詰めた。

アダムはそれに反応し、刀を振り下ろす。

それを回避し、右手を腹部にあてる。

 

「エンドレス・スクリーム!」

 

アダムの腹部の一部がえぐれた。

なんとか回避して被害を抑えようとしたが、戦闘はできないほどの傷を負った。

そのままアダムは消え去った。

最後に悔しそうな表情を見せた。

 

「ねぇ、みんなのもとに戻らない?」

「影胤さんも一緒に」

 

ブレイクの提案に全員が賛同した。

実際にけがをしているわけだし、それについても治療がしたい。

影胤と蓮太郎、二人の関係が気になるところだが、それは後からでも大丈夫だろう。

今も仮面をつけているため、表情はわからないが、いい人なのは間違いなさそうだ。

きっと、最悪な状態を回避することはできたのだろう。




ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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