黒き希望を手繰り寄せて   作:みりんはお酒

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特になし


その後

敵からの襲撃が終わった。

事件の関係者であると思われているシンダーやアダムは未だ捕まっていない。

今回の事件でホワイトファングの関りが示され、さらに現場にいたメンバーの一部は逮捕された。

また、アカデミーにあった通信施設は破壊され、他国との通信はできない状態になっている。

こちらの被害としては、地下で敵に襲撃されてポッドの中にいた女性が死亡。

オズピンも行方不明となっており、アカデミーにも甚大な被害を受けた。

アカデミーの再開は未定であり、そのあいだ学生は休みとなった。

学生の中にも、死者やけが人がいる。

街の被害も大きく、街に出現したグリムによって死亡や建物の崩壊があった。

このことを受け、現地当局は強い怒りを示している。

 

この状況下で、蓮太郎たちは誰一人欠けることなく今避難場所にいる。

なぜかヤンと影胤が一緒にいるのは未だ慣れていない。

チームメンバーは互いにお互いの無事を祝いあっている。

だが、ジョーンはピュラに怒っている。

気持ちはわかる。

あの行為を擁護する気はない。

 

「どうして離した?」

「死んだかもしれないんだぞ!」

 

その指摘は最もである。

今死んでいないのはただの結果論であり、あそこで死亡する可能性は高かった。

ただ今回は低い確率を引いただけにすぎない。

 

「ごめんなさい、ジョーン」

「こうするしかなったの」

 

気づいたらジョーンは落ち着きを取り戻し、冷静さを取り戻していた。

もしかすると、そんなに怒っていない?

蓮太郎もピュラのとなりにいて謝罪しているためそんなことを考えていた。

 

「無事でよかったけど、次はやるなよ」

 

そのままジョーンは頭を冷やしてくるといい外に出た。

何があったのかをあのときいなかった人らに説明した。

シンダーがどんな人物かを知っているため、他の人らはその無謀さに対して注意された。

だが、それにピュラと蓮太郎の2人で対処した事実のほうがかなり大きい。

どうやって対処したかを聞かれ続けたが、さすがに義眼の秘密を教えるわけにもいかず、噛み合っただけだと説明し続けた。

 

「なぁ、ピュラ」

 

「どうしたの、蓮太郎?」

 

「ポッドの中にいた女性はなんだ?」

 

時間がたってジョーンの頭が冷えたころ。

気になっていたことについて聞いた。

ピュラは少し考え、ゆっくりと口を開いた。

 

「あれはね、四季の女神フォール本人」

 

四季の女神とは、この世界で有名な話の一つで、4人の姉妹が年老いた魔法使いから力を受け継いだ物語である。

その力が四季であり、今回は秋の女神本人となる。

 

「あれはおとぎ話じゃないのか?」

 

ジョーンが困惑している。それもそうだ。

おとぎ話は実際に起きたノンフィクションだっただなんて、想像できるわけがない。

だが、嘘をついているようには見えない。

 

「私はね、そのちからを人為的に受け継ぐことにしたの」

「でもね、敵の襲撃で予定より早くやることになった」

「その結果、あの事態を招いたの」

 

それをすぐに否定する。

あれを引き起こしたのはシンダーであると。

それが擁護になるかわからないが、事実だ。

しかし、それは言わなかった。

その責任を感じてピュラはシンダーを止めようとした。

 

「なら、他のところにいる女神は守られているのか」

 

女神の力は強い。

できれば敵として表れてほしくはない。

 

「それはわからないわ」

 

当然の答えだ。

そんなことまで知っていたら、知りすぎだ。

 

「とりあえず、これは秘密にしないか」

 

ジョーンから提案され、それを受け入れた。

 

避難生活2日目。

街の復興を手助けしながら、街に来るグリムをひたすら狩り続けた。

チームごとにおこなっており、さらに武器がアトラスから支給されるため遠慮なく使用することができた。

その休憩中、アトラス軍関係者に声をかけられた。

内容は武器を試さないかということだった。

 

「構いませんよ」

 

その武器を受け取り、使用感を試した。

試した感じ、使用感は前と遜色なく、かなり使いやすくなっている。

軽く、握りやすく、弾数も多い。

そのまま午後はその銃を試すことにした。

 

「蓮太郎、その武器はどう?」

 

「しっくり来ていい感じ」

 

レンから聞かれ、自分の思っていることを答えた。

負担が以前より軽くなり、さらに不満点が見つからない。

これが借り物なのが惜しいくらいだ。

この武器を買うならいくら必要なのだろうか、そんなことを考えるくらいだ。

その後も順調に狩り続けた。

 

午後の休憩。

休憩はこまめに取るようにはしている。

さすがに、連日戦い続けるのはきつい。

 

「ごめん、ちょっといい?」

 

遠くから先に休憩していたルビーに呼ばれた。

ブレイクやヤンも一緒だが、ワイスがいない。

どこかに行っているのだろうか。

 

「ワイスのことなんだけどね」

「お父さんと一緒に帰っちゃったの」

 

親からすれば危ないところから離すのは当然だ。

いつの間にか帰ったのは驚いていたが、急ぎでそんな暇などなかったのだろう。

自分はどうするか、それも考えないと。

 

「帰るとき、ちょっと寂しそうだったよね」

 

「突然だからね」

 

ヤンとブレイクが帰るときのワイスについて話した。

友達といたほうが楽しいし、その別れは惜しむだろう。

だが、強制的に帰らされたのならば話は別だ。

雲行きが怪しくなった。

 

「なら、ワイスのところに行くのはどうだ?」

「ここからは遠いが、休暇中にお金をためれば…」

 

「無理。アトラスは鎖国に近い状態になってるから」

 

どうやら、混乱に乗じて他国からの侵略を防ぐべく、そうした処置をとったのこと。

警戒しすぎのような気がするが、国際情勢に疎いため、なんともいえない。

 

その後、ワイスの枠を蓮太郎が埋めることで合意し、各自手伝いに向かった。

 

「やぁ、里見君」

 

その夜、影胤に声をかけられた。

 

「なんだ?」

 

「行く当てはあるのかい?」

「ないなら私と一緒に来るのだどうだ?」

 

まさかの誘い。

この男と暮らすことになるとは考えていなかった。

 

「断る」

 

「敵がこれで終わると思っているのか?」

 

ここで引っかかる。

確かに、他のアカデミーが狙われる可能性はある。

それを防ぐことができれば、かなり大きい。

 

「近場のヘイブンに行くのはどうかね?」

 

ヘイブン・アカデミーのことを言っているのだろう。

特にやることもないため、決断した。

 

「行こうか」

 

「okだ」

 

二人は軽く握手をしたのちに、自分の荷物を整理した。

 

軍から安全の確保と交通が復旧したとの連絡が入った。

復旧したといってもまだ国内との交通だけだ。

未だ通信は繋がっていない。

アカデミーの防衛に貢献したとして、特別扱いですぐに利用することができた。

みんなは一度実家に戻るとのこと。

蓮太郎は影胤との二人旅をすることになった。

あまり気は乗らないが、やるしかない。

再開を誓い、その場をあとにした。

 

「では里見君、行こうか」

 

二人はヘイブン・アカデミーを目指して歩き出した。

 

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ここは空の上。

飛行機の中にはワイスとその父が搭乗している。

ワイスの家はシュ二―ダストカンパニーという会社で、金持ちである。

そのため、グレードが最高級であり、そのことに不満はない。

では、ワイス自身の不満はなんなのか。

自問自答しなくてもいい。

となりの父親が嫌いなのだから。

この男は祖父とは違い、利益を追い求める人でファウナスを不当な低賃金で働かせている。

祖父ならやらないことを平気でやる悪人。それが父である。

そのことに残念がりながら、外を見た。

願うなら、ハンターとしてまたみんなと再会したい。

シュニ―家の娘としてではなく。




ここまで読んでいただきありがとうございました。
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