黒き希望を手繰り寄せて   作:みりんはお酒

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組織名、いまさらながらダサくないか


蛭子影胤として

また今日も調査だ。

前回参加したものは特に変なところはなかった。

だが、それだけでいいとは思っていない。

そのため、もう一度参加することになった。

 

「あんたら、新人か?」

 

「そうだが」

 

前回参加したときにいた人はいなかった。

新人であることを伝えると、今日はお偉いさんが来ているから一度会ってみなとのこと。

そのまま案内され、扉の前まで来た。

ここまでは気味が悪いほどに順調に進んでいる。

正直、早く終わるに越したことはないが、さすがに警戒する。

 

「緊張してんだろ、リラックスしなよ」

 

そんなことをする余裕はない。

そのまま扉をノックし、合図を待った。

中から応答があり、そのまま中に入る。

中にはオオカミの耳を持った少女がいた。

年は18くらいだろうか、赤い目をしている。

青いドレスを身にまとい、すぐそばには刀が2つ置かれている。

だが、発する圧はすさまじい。

殺気なのか圧なのか、そんなことよりもそれで語り掛けているような感じがして落ち着かない。

(少しでも変な事をしてみろ、首を飛ばすぞ)と言われていると同じような感じがする。

今まで戦っていたやつらよりは明らかに強い。

一瞬でこちらは死ぬ。

そんな圧に充てられ続け、汗が止まらない。

緊張なのか鼓動が早くなる。

目の前にいるのは少女だが、中身はおそらく違う。

神がいるといわれても納得する。

そんな存在が立ち上がり、前に出た。

そいつはゆっくり口を開いた。

 

「どうも、スクルドです」

「以後、お見知りおきを」

 

思っていたよりも丁寧だった。

未だに圧は感じているが、少し軽くなったような気がする。

 

「…里見蓮太郎」

 

「蛭子影胤だ」

 

名前を知ったからか、後ろに下がり椅子に座った。

部屋の中を見る余裕などなかったが、改めて見ると質素な内装だ。

窓はなく、壁がコンクリートの打ちっぱなしの部屋で飾りが何もない。

ただ部屋には椅子があり、壁際には机と扉がある。

ただそれだけだ。

 

「そなたらは強い。見ればわかる」

「だが、私ほどではない」

 

そんなことはわかっている。

この少女と戦えば、1分と耐えられないだろう。

とりあえずはこの少女と戦わないことになればいい。

 

「そなたらはなぜこの組織に入ったのだ?」

 

正確に答えればすぐに死亡する。

そんなわかり切った結末を回避する他ない。

 

「ケモミミが好きだからです」

 

「嘘だな」

 

すぐに見破られた。

動揺を隠すのに必死となる。

 

「私は嘘を見破れる」

「本意ではない」

「となると、そなたはここでは部外者となるのか」

 

まずい。これはまずい。

最悪ここで死ぬことになる。

銃に手を伸ばすか考えたが、それに気づかれたら終わりだ。

ここは耐える。

 

「まぁ良い」

「では聞くが、最近、暴走している輩がいるがどう思うか」

 

このグループは気にしているのか。

やはり見逃せないのか。

だが嘘がつけない以上、正直に答えるしかない。

 

「他人に自分の趣味趣向を押し付けることであれば、迷惑になってる」

「そんな行動は許すべきではない」

 

その回答に満足したのだろう、うなずいていた。

 

「よかろう」

「私はそれを防ぎたいのだ」

「最近は周りで調査されるのも煩わしい」

 

問題を解決したがっているが配下のやつらからすれば周りに伝えることは当然の行動となる。

そんな状態で抑えようとしても難しいのだろう。

とはいっても、こちらにも用事がある。

 

「申し分けないが少し難しい気が…」

 

突然突風が来た。

ここは室内にもかかわらず。

窓もないため、そこから入ってくるわけはない。

では、どこから来たのか?

前を見ると、先ほど離れた位置にいた少女がこちらに接近していた。

満面の笑みでこちらのことを覗いてくる。

 

「そうか」

「なら仮面の男だけを借りるぞ」

 

言い終わるや否や腹に強い衝撃が来る。

おそらく少女に殴られたのだろうが、まったくわからなかった。

目の前が真っ暗になった。

 

気が付くと、ミストラルの真ん中ぐらいにある病院にいた。

どうやら気絶させられていたらしい。

周りに影胤の姿が見えないということはおそらく協力させられたのだろう。

その後警察からの調査を病院で受け、そのまま出た。

またあの場所に戻ろうとしたが、やめた。

報告が先だ。

 

「まさかそうなるとは…」

 

「すまない」

 

「いや、いいんだ」

 

事の顛末を話したあと、クロウが悩んでいた。

影胤は強者だと思っていたが、あの少女には手も足もでないだろう。

それくらい強いやつを相手にしなければならない可能性もある。

 

「なら助けに…」

 

「それがそうもいかない」

「今日ライオンハートと話したんだが、女神の場所がわかった」

「その奪還作戦のために近く、そいつのところに行くことになった」

 

ルビーの提案にクロウは却下。

さらにライオンハートと会うことになった。

裏切った可能性が高いライオンハートと会うことはリスクが高い。

それに対応するために、できるだけ戦力は集中させたい。

そのため、影胤を探す余裕はない。

 

「影胤はすぐには殺されないだろう」

「ならそのあいだにライオンハートの件を片付ける。それだけだ」

 

クロウの言うとおりだ。

影胤はケモナー同好会の件が終わらない限りはおそらく死なないだろう。

そもそも影胤で解決できるのか、それは大丈夫だろうか。

 

「なら、速攻で片付けないとね」

 

ヤンに全員が同意。

罠があるかわからないが警戒を怠らないように。

その後解散となり、全員早く寝ることになった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「では影胤」

「なにか解決方法はあるか」

 

「この同好会を終わらせるという案はどうでしょうか」

 

「できるならそれでもいいが、何か策でもあるのか」

 

仮面の下で静かに笑う。

ここに蓮太郎がいなくてよかった。

 

「密告させるのです」

「そうすれば疑心暗鬼となり、組織は成り立たなくなる」

 

二人は静かに笑いあい、その案で実行することになった。

 

影胤は外にいる。

そのまま立ち続け、警察が通りかかるのを待った。

 

「やぁ、警察諸君」

「ちょっとここで行われていることを見ないか」

 

警察官はお互いの顔を見て、影胤から話を聞きだした。

話した内容は、最近話題の同好会がここで強引な勧誘をおこなっている。

今行けば監禁で捕まえられると。

 

警察官は応援を呼び、影胤は待機する。

応援が来た警察は中に突入。

そのまま現場を発見してその場にいる全員を捕まえることになった。

 

「ほかに情報は持っていないのか」

 

「そうだな…あとはあるバーでも同じことをやっていると聞いたような」

 

「なぜその情報を持っているのか?」

 

「組織を壊滅させるためさ!」

 

影胤の返答に警察官は戸惑っていたが、無線にまたなにか話し出した。

数分後、警察官に感謝された。

 

同様の行為を次の朝におこなった結果、影胤の狙い通り組織は混乱し、所属人数は減少している。

噂は広がり続け、全員が全員を疑うことになった。

 

昼には緊急の会議があり、この混乱で死傷者も出ていることをスクルドは知った。

もはやそんな組織に力はない。

 

「今回の事態を受け、この同好会は解散とする」

 

そのことに異議を唱えたものは半数近く存在した。

だが、それをスクルドが説得するために別室に連れていき、影胤が処理。

奥から出てきた影胤に全員が驚き、逃げようとした。

だが全員が撃たれ、その場で死亡。

ここにいるものは影胤とスクルドだけになった。

 

「スクルドよ」

「私と共にこないか」

「きっと望んだ世界を作れるぞ」

 

二人は静かに手をつないだ。

影胤はすでに記憶を取り戻していた。

スクルドに対しては成長した娘の姿を重ね合わせたことがきっかけだった。

 

「ハンターとして民衆を守る生活も悪くない」

「だが、それだけでは民衆はファウナスへの差別をやめない」

「この世界の在り方は間違っている!」

「さぁ、この世界を変えようか」

 

影堪が笑い、スクルドも笑う。

死体のそばで笑い続ける二人に声は届かな




ここまで読んでいただきありがとうございました。
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