黒き希望を手繰り寄せて   作:みりんはお酒

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書くものなんてねぇよ


襲撃

ライオンハートに会う当日。

影胤のことは心配だが、今は目の前に集中しなければならない。

各自自分の武器を点検し、異常がないか確認している。

蓮太郎もまた、自分の武器を点検している。

こちらはブレイクと影胤、ピュラがいないため、相手の戦力によっては不足するかもしれない。

かといって待つこともできない。

今はこれでやるしかない。

覚悟は昨日のうちに決めた。

 

「時間だ。行くぞ」

 

クロウの合図で全員が外に出る。

心配そうな素振りはない。

数分後、アカデミー前に到着した。

アカデミーは特に異常はない。

油断なく進み、学長室がある建物のエントランスまで入ってきた。

中は前に階段と女神の像があり、周りは廊下へ繋がっている。

木造建築らしい感じだ。

その像の前に数人立っている。

 

「やぁ、どうも」

「なんで武器を携帯して来ているのかな?」

 

「いつもだろ、そんなこと」

 

ライオンハートは階段部分におり、何やら不安そうにしている。

早く本題に行きたいクロウが焦りを見せている。

 

「奪還作戦にはどれくらいの軍が行くんだ?」

 

「それは…」

 

「答える必要はないわ」

 

横から女性の声がした。

 

「シンダー?なんでここに」

 

「彼はね、必要なことをしたの」

「それを責めないで頂戴」

 

周りからエメラルドやブラック、ワイスとヤンに出会ったときにいた仮面の女とその部下、マッチョの男がいた。

確実に罠の一つはこれだ。

人数は6人で、こちらは10人。

人数では上回っているが、実際はどうなるのだろうか。

 

「いい。周りにはホワイト・ファングがいるの」

「彼らはね、施設に爆弾を仕掛けていて、誰かが出た瞬間に爆発するように指示してある」

「まぁ、一緒に彼らも吹っ飛ぶけど」

 

「あなたたちの狙いは何なの?」

 

シンダーが淡々と状況を説明しているが、そんなことを聞く余裕はない。

ルビーが突如切り出した。

 

「そうね。ここの陥落かしらね」

「あと、君たちの抹殺」

 

予想していた通りだ。

おそらく、全員が実力者だろう。

1対1で勝てる相手のほうが少ないだろう。

 

「そうだ。仮面の男はどうした?」

 

このブラックから投げられた質問には無視する。

ここにはいないがそれを悟られるわけにはいかない。

 

「いいじゃない。あいつは全員で囲めばいいから」

 

「それじゃね、みなさん」

 

シンダーが笑う。

 

「ここでお別れ」

 

相手が全員突っ込んでくる。

それに対応するために蓮太郎を含む全員が散る。

 

「やぁ、里見君」

「リベンジさせてもらおうか」

 

ブラックがこちらに攻めてくる。

頭の横を足が通り、戻ってくる。

それを連続かつ素早くおこなわれ、防ぐしかない。

それを防ぎきり、攻勢に出ようとしたが、すでに遠くに離れている。

 

「おや、どうしたんだい?」

 

カートリッジを使用して前に詰め、右ストレートを叩き込む。

防御されたが、それを超えてダメージを与えることはできた。

そのままの勢いで攻め続ける。

相手はとにかく逃げ続け攻撃を耐えしのごうとするが、無駄だ。

足が遅くなってきている。

スクルドの圧に比べれば、こいつの対処するのは容易い。

 

「終わりだ」

「焔火扇!」

 

渾身の右ストレートがブラックの腹に突き刺し、吹っ飛ばす。

ブラックはオーラを使用して防いだが、気絶している。

 

「他は…」

 

周りを見ると、全体的に劣勢になってきている。

クロウとオスカーはマッチョの男と、ヤンとワイスは仮面の女と、ジョーンはシンダーと、ノーラとレンはエメラルドと戦闘中だ。

どこも攻め切れておらず、厳しい戦いを強いられている。

蓮太郎はシンダーと戦うためにジョーンのところへ向かった。

 

「ジョーン!大丈夫か」

 

「助かる」

 

シンダーは蓮太郎が早く来たのを想定外だと思ったのか、すぐに横を向いた。

目線の先にはおそらく倒れているブラックの姿が映っているだろう。

すぐにこちらに目線を向け、構えてきた。

 

「あら、意外と強いのね」

 

そのまま炎を飛ばしてくる。

それを回避しながら腰にある銃を取り出す。

そのまま照準をつけ、射撃。

相手はそれを避け、炎をまた飛ばしてくる。

その隙にジョーンが近づいているが、炎を飛ばして対処される。

 

まずい。

こちらから近づこうとしても炎を飛ばしてきて近づけない。

かといって向こうの炎がきれる様子はない。

このままではじり貧で終わる。

 

義眼に搭載された演算装置を動かし、相手の動きを見る。

体が熱くなるような感覚になるが、気にしない。

相手の動きを予測しながら攻撃を再開する。

ジョーンが時折、想定外の動きをするが、それを含めて学習する。

少しづつ、動きがよくなってくる。

相手の炎を首を動かしただけで回避したときには、すでに相手のやりたいことが手に取るようにわかる。

ジョーンに疲れが見え始めたころ、蓮太郎は逆に動きやすくなってきた。

 

「ジョーン、一度下がれ!」

 

「ダメだ。まだいける」

 

提案をするも、なかなか折れない。

 

「喧嘩かしら」

「里見君はね、「邪魔だから引っ込んでろ」と言ってるのよ」

 

「うるさい!」

「一緒に戦って、それで死んでも本望だ」

 

「そう…」

 

シンダーは言い終わるや否や、炎から弓を錬成し、横に向ける。

当然、そのまま射ってもこちらには飛んでこない。

ジョーンは不可解な行動に首をかしげているが、蓮太郎は気づく。

その先にはワイスが敵を攻撃を受け倒れこんでいる。

そこに向けている。

 

「まずい!」

 

蓮太郎は即座に射撃で弾くことを考える

だが、ピュラのときのように弾けても当たるだろう。

ならやることは一つだ。

 

向こうが打つ前に走り出した。

弓を討つ。

その矢はワイスにまっすぐ向かってくる。

 

間に合え!

 

心の中で叫び、走り続ける。

シンダーの意図に気付いたジョーンがここで叫ぶが、聞こえない。

そのまま走り続ける。

 

間に合わない。

 

それを認識したら、体が飛び出していた。

そのまま矢の軌道上に入り、胸の上あたりに被弾する。

矢は蓮太郎の体を貫通し。ワイスに刺さる。

そのまま作られた矢は消えた。

ワイスが肩を抑え、こちらに振り返ってくる。

 

「蓮太郎!大丈夫ですの!」

 

ワイスが叫んだ。

 

「「「蓮太郎!!!」」」

 

体が痛む中、ルビーの叫び声とともにまばゆい光が飛び込んでくる。

それに反射的に目を瞑った。

そのままレンとジョーンに運び出される。

ジョーンが手で傷跡を抑えている感覚がする。

何か話しているが、何も聞こえない。

ワイスの声もしているが、何も聞こえない。

 

「行ってくれ…」

 

今も戦闘は継続している。

そこにワイスとジョーンが残り、レンは戦いに戻っていった。

 

意識が遠くなっている。

体の感覚が少しずつなくなっていく。

呼吸が落ちてくる。

少しづつ死の感覚が近づいてくる。

そろそろ走馬灯が始まるだろう。

誰かが叫んでいるが、どうでもいい。

そのまま意識が沈んでいくことを体の隅々まで理解していった。

 

----------------------

 

「里見君!何をぼさっとしているの」

 

「え?ああ。悪い」

 

目の前には黒髪に黒のセーラー服を着た少女がいた。

 

「いい?これから里見君はうちの社員として■■■▪と一緒に戦ってもらうの」

「だから、死なないでね」

 

「ああ、わかったよ」

 

「もし死んだら葬式くらいは行くから、心配せずに成仏してね♥」

 

「死ぬ前提で話すな!」

 

その場で笑いが起きる。

そこにいる蓮太郎を除く全員が笑い出す。

まったく、これからこんな調子なのかよ。

少しうんざりするが、大丈夫だ。

 

「それじゃ、頼むわよ」

「死なないでね」

 

「ああ。任された」

 

----------------------

 

そうだ、死んだらまずいのか。

死んだら、名も知らぬ人たちに心配されてしまう。

ならば立たねば。

だが、体に力が入らない。

それだけでなく、体中が痛い。

そうだ、かばったからこうなったんだ。

目の前がいまだ真っ暗だが、それでも立たなければ。

誰も悲しませないために。

 

その真っ暗の景色の中、一つの光が差し込んできた。

 

「…太郎、蓮太郎!」

 

その光から呼ばれた気がした。

そこに向かって立ち上がる。

 

目が開いた。

自分の目の前にはジョーンの手が光っている。

その光は自分に触れている。

 

「どうなっているんだ?」

 

「あなたのセンブランスが開花したのです」

 

ジョーンは戸惑いながらも、それを否定する。

 

「違う。俺が回復させているんじゃない」

「オーラが回復させているんだ」

 

「それじゃ、あなたのセンブランスはオーラの増長?」

 

頭が混乱している。

目が覚めたらジョーンのセンブランスが開花している。

もしそうなら、嬉しいことだ。

 

「今、どうなってる?」

 

声を出し、ジョーンに聞く。

ジョーンもワイスも嬉しそうにこちらに顔を見せた。

 

「今、君の治療の手助けをしている」

「シンダーと仮面の女、その部下は像の下から降りていった」

「ブラックも含むその他は全員健在だ」

 

状況はよくなっているとは思えない。

そのまま話を聞くと、その部下は女神の力を受け継いだ一人だそうだ。

そのため、そこにいたとなると合点がいく。

 

「そうか。続けてくれ」

 

それにジョーンが力強く頷いた。

そのまま回復するのを待てば、また戦える。

そう確信し、回復を待った。

 

数分後、体が完全に回復した。

ジョーンに礼を言い、苦戦しているマッチョ男と戦うために向かった。

 

「焔火扇!三点撃!」

 

意識の外だったのか、その攻撃は相手に当たり後退させる。

そのまま下がり、相手の堅さを実感した。

 

「蓮太郎!あいつは、ヘイゼルは痛みを感じない」

 

なんだそれは。

痛みを感じない相手との戦いは初めてだ。

 

「ヤン!」

 

ルビーが合図をしたらしく、ヤンが像の下にある空間に向かっていった。

そのまま敵の妨害を無視し、下に潜っていった。

 

ここからは相手に集中しなければ。

 

「来い!オズピン!」

「これが運命だ」

 

ヘイゼルはダストを肩に突き刺し、攻撃を開始した。

それをクロウとオスカーと一緒に対処し、こんどはクロウが吹っ飛ばす。

そのまま扉を破壊し外まで吹っ飛んでいった。

それを3人で見る。

 

それからは早かった。

完全に回復し、人数有利となって少しずつ追い詰めていった。

向こうは像を中心に防衛しながら、シンダーをかえりを待っているのだろう。

時間稼ぎの動きが目立ってきた。

もし、像の下から出てきたのがシンダーなら、戦況がひっくり返る。

だが、ヤンだったらそのまま勝ちだ。

 

そんなことを考えていると、外が騒がしい。

破壊された扉から外を見ると、ファウナスがホワイト・ファングのメンバーらしい人らを囲っていた。

さらに警察も来ているらしく、天が味方したような感覚を味わった。

 

そのまま攻撃を続けるとブレイクが参戦してきた。

ブレイクの参戦によって防衛を崩せると思っていたが、どうやら違うらしい。

以前として崩れなかった。

 

そのとき、像から何やら音がした。

それは少しずつ近づいてくる。

上がってくるのは誰か?

シンダーか?ヤンか?

それに全員が注目し、戦闘が止まった。

 

上がってきたのは、ヤンだった。

その結果、敵の防衛は崩壊した。

すぐに相手の戦意はなくなり、逃亡を図った。

ブラックもヘイゼルも下がり続けている。

だが、エメラルドだけが床に座り、号泣している。

 

「「いやーーー!!」」

 

エメラルドが叫んだ瞬間、目の前に白い肌をした女性がいた。

それはこちらに口を開き、こちらに向かってくる。

それを受けた後、目の前には敵がいなかった。

 

「今のは、セイラム」

「倒すべき敵のリーダーだ」

 

オズピンとなっているだろうオスカーが答えた、全員の疑問を。

だが、終わりではなかった。




ここまで読んでいただきありがとうございました。
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