私は未だ病院で入院している。
ブレイクは退院をしており、蓮太郎ももうすぐで退院となると聞いている。
最後になりそうだ。
ならば早く退院できるようにしなければならない。
そのまま目を瞑り、眠った。
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「なに…これ…」
なぜか自分はビーコン・アカデミーにいる。
それも襲撃があった日の。
一体何が起きているのか。
自分は病院のベッドで眠っていたはずだ。
なら、これは夢か。
そう納得させた。
となると、あそこはどうなっているのだろうか。
すぐにアダムと敵対した食堂のところに向かった。
だが走っている感覚がない。
走っているというよりも飛んでいるという感覚に近い。
自分の体が空に浮いているのではないと思っても不思議ではないくらいには。
そのまま食堂に到着すると、ちょうど自分が到着した。
自分というのは、もう一人のヤンであり、今浮いているヤンではない。
そのもう一人のヤンがアダムとブレイクを発見。
そのままアダムに突撃。
まずい
そう思ったが声に出せなかった。
予感は的中した。
もう一人のヤンは右腕を落とされ、そのまま地面に落下する。
その様子を黙って見るしかなかった。
その後はブレイクに運ばれてどこかへ行った。
少し後をつけてみると、ブレイクも脇腹を怪我している。
奇遇にも今回怪我をした場所と同じであった。
去っていく二人を見届けながら視界が暗くなっていった。
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「…はぁ」
そのままゆっくりと目覚めた。
何だったんだ今のは…。
まったく心当たりがない。
あのときは影胤とブレイクと一緒にアダムと戦い、撃退したはずだ。
だが今回の夢は影胤がいなかった。
となると、あの夢は影胤がいなかった場合?
悪い夢だ。
こんな夢を見るなんてどうかしている。
疲れているのか。
その後、無理に眠ろうとしたがどうもダメみたいだ。
まったく眠れない。
それが朝まで続いた。
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蓮太郎の退院の日。
いつも通り朝に起き、出されたご飯を食べる。
いつもはそのままリハビリに行くことになるが、今日はそれがない。
昼間の退院に向けて準備しなければならない。
片付けはすでに昨日のうちに済ませておいたのであとは時間を待つだけだ。
「やっと暇な時間が終わる」
すでに暇つぶしが難しくなったため、退院の日は嬉しい。
その後はどうしようか。
新しい銃を試そうか、格闘の勘を取り戻そうか。
そのまま考えていると、ちょうど退院の時間を迎えた。
自分の足で歩き、病院を後にする。
「蓮太郎~」
病院から出てバス停に向かう途中、ノーラの声が聞こえた。
周りにはレンやジョーン、ワイスなど全員勢ぞろいだ。
なんだか嬉しくなる。
「ありがとう」
そう一言だけいい、全員のところへ向かう。
全員でバスに乗り、宿泊地に向かう。
途中、窓から街の様子を見た。
あちこちで破壊の限りを尽くされた現実と直面した。
破壊されてない建物が目立つくらいにはひどい惨状だった。
一応覚悟はしていたが心に来るものがある。
この現状を修復するのに一体何日かかるのだろうか。
「ねぇ蓮太郎」
「明日から街の復興できそう?」
「大丈夫だ」
退院したら街の復興を手伝うだろうなとは薄々感じていたため、すぐに承諾した。
聞いてきた本人であるルビーは嬉しそうに笑った。
また改めて外を見る。
これを修復するのはかなり難しそうだ。
そのままバスに揺られること数十分、バス停に着き下車した。
そのまま数分歩くと、前から止まっていた場所に到着する。
高台にあるため影響を受けておらず、傷一つついていない。
そのまま中に入ると前と同じような雰囲気となっており、懐かしささえ感じる。
「それじゃ、今後について話そうか」
クロウから今後について話が合った。
内容としてはヤンの退院と交通機関の回復を待ってヘイブン・アカデミーから持ち出してきた知恵のレリックをアトラスに運ぶ。
だが直接行くことはできないため、一度アーガスにあるアトラス軍の基地に持っていく。
その後アトラスに向かうということになっていたらしい。
それに関しては依存はない。
だが、交通機関はどれくらいで回復するのか。
それをどうするのかを考えていた。
どうやらクロウによると交通機関は2週間後には回復するとのこと。
ヤンの退院も遅くとも1週間以内らしく、それならそこまで悲観する必要もない。
待っている間は復興を手伝うのも問題はない。
「すまんが明日ヤンにお見舞いに行ってもいいか?」
「いいよ」
「みんなも大丈夫だよね?」
ルビーを含む全員が承諾した。
ならば明日はすぐにヤンのところへ向かい、その後復興を手伝う。
その後は今まで会えなかった時間を取り戻すかのように語り合った。
入院中に起きたこと、戦闘中でのやらかし、今まで話してこなかったことなど、とにかく話し続けた。
次の日。
自分一人でヤンのところへ向かった。
行ったところで何を話そうか。
特に何も決めていない。
そのまま何も決まらず目的地に到着した。
「すみませーん」
「お見舞いしたいんですけど」
「そしたらこちらに記入をお願いします」
出された書類に書き込んでいく。
その後面会に来たことを示す札を渡され、ヤンのところへ向かう。
「ヤン」
「元気か」
「蓮太郎」
「久しぶりだね」
ヤンの顔は疲れ切っていた。
眠れなかったのか。
「寝不足か」
「嫌な夢を見ちゃってね」
意外だった。
大雑把な性格だと思っていたが繊細な部分もあったとは。
そのまま何を話そうか迷っていたがそれはすぐに解決した。
「ねぇ蓮太郎」
「もし影胤がいなかったらどうなっていたと思う?」
「影胤がいなかったら?」
「何も変わらないと思うけど」
この質問に一体どういった意図があるのだろうか。
まったくわからない。
話を聞いていくしかなさそうだ。
「影胤がアダムと戦うときに一緒にいたのは知っているでしょ?」
「そうだな」
「でも、もしその時に影胤がいなかったら、私とブレイクはどうなったのかなって」
すぐには答えられない。
アダムの一撃に影胤のイマジナリーギミックは破られたと聞いている。
そんな相手と戦い、ヤンやブレイクが無事に戻ってこられるとは思っていない。
そのため、なんて答えるのが正解か、迷うしかない。
「おそらく、今と同じ状態になったのかな」
「最悪、死んでいたかもね」
すぐに否定したいができない。
そのことを考えてしまった。
ヤンもブレイクもあそこで負ければ、死んでいるだろう。
現実的だ。
「私ね、その夢を見ちゃったの」
「もしかすると私たちがこうなったのって、影胤がいなくなったからなのかな…」
「味方だったはずの影胤にやられたときはショックだった」
「でも落ち着いて考えると、こうなることは運命だったのかな」
何も言えない。
運命なのかもわからない。
「ねぇ蓮太郎、運命って信じる?」
答えることができない。
運命を信じているかと言われれば、あまり信じてはいない。
だが、もしかすると運命ってあるのかなと思うときはある。
ゆえにすぐに答えることはできない。
少しの沈黙の後、なんとか答えた。
「わからない」
「だけど、それを理由にする気はない」
必死に頭を働かして出した結論がこれだ。
うまく答えられているかどうか不安だが、果たしてどうだろうか。
ヤンは静かにその答えを聞いた。
その後はゆっくり咀嚼するように噛みしめている。
「そうね」
「なら、私も立ち上がりましょうかね」
そう言い、横にある箱を開ける。
中には義手が入っていた。
「これはね、アイアンウッド将軍からもらったの」
「これを使って、また立ち上がる」
「そうする」
「いいと思う」
本心から言葉が出た。
その後は世間話を少ししてその場を去った。
すぐに復興の手伝いをしなければ。
数日後、ヤンは退院した。
ここまで読んでいただきありがとうございました。