黒き希望を手繰り寄せて   作:みりんはお酒

23 / 27
タイトルは気にせんでくれ


いざ、倒れゆくその時まで
寒すぎて死にそう


予定通り交通インフラが回復した。

以前と同じようにできるかと言われればまだまだ難しそうだが、目的地にまで行くなら十分だ。

電車でアーガスに向かうため、現在蓮太郎たちは駅にいる。

線路には被害があったが、駅自体には被害はなかったという。

そのためか、震災後のはずなのにお土産が販売している。

なんだかんだ言って活発になっていた。

 

「お土産ねぇ」

 

蓮太郎は一人でお土産を見ている。

渡す相手などいないが、長旅になるということで、その間になにか食べるものが欲しい。

そう考えながらとにかく駅の中を歩き続ける。

クッキーやカステラのような定番なものから3分の1ではずれがあるお菓子など、多種多様なお土産が販売している。

中にはすべてはずれのお菓子のお土産もあった。

誰がこんなものを買うのか。

そう思っていたが、店の前にある売り上げランキングには上位に入っていた。

絶対仲間内でふざけるようだ。

 

「無難なものでいいか」

 

そう考え、近くにあったクッキーの詰め合わせを選び、レジに持っていく。

そのまま会計を済ませ、みんなの元に戻ろうとしたときに話しかけられた。

 

「すいません。ぬいぐるみのお土産が売っているところはありますか?」

 

声のしたほうを向くと、そこには30代ぐらいの男性がいた。

黒いコートを着て、背中に大きなカバンを背負っている。

中に銃器類があってもおかしくはない。

 

「たぶん、右奥のところじゃないですかね」

 

確かそこらへんで見たような気がする。

そのまま伝えると、その男性は感謝したあとにそこに向かった。

誰だったのか、あれは。

多少引っかかる部分はあったが、あまり気にせずにみんなのもとに戻っていった。

 

お土産を持ったまま戻っていくと、ルビーやヤンたちが知らない男らと話をしていた。

おそらく大丈夫だろうと思うけど、一応足早に近づく。

ここでのトラブルは避けたいが、万が一があれば仕方がない。

だがそんな考えは不要だった。

あいだにクロウが入り、何やら言葉を交わしあっている。

そしたらすぐに男らはその場を離れ、帰っていった。

 

「何かあったのか?」

 

「ナンパだよ」

 

くだらなすぎる。

この人らにナンパしてもし成功でもしたら大変そうなのに。

相手が。

 

なんか鋭い視線を感じたような気がするが無視する。

気にしたら負けだ。

あとはブレイクが到着すれば全員が集まる。

発車時間まであと15分と時間はあるが、ギリギリになるのはまずい。

5分後ブレイクが戻ってきた。

全員が集合したということでそのまま電車に乗り、発車時刻を待った。

 

----------------------

 

無事電車は出発し、今はアーガスに向かっている。

電車の中はハリーポッターに出てくるような内装で、小部屋ごとに座席がある。

その中で、蓮太郎たちはオスカーから送られてきた文章を読んでいた。

曰く、知恵のレリックは100年のうち3回までは質問に何でも答えてくれる。

だがすべて使い切ったため、もう答えることはできない。とのこと。

 

メリットとデメリットは釣り合っているかどうかはさておき、効果が強すぎる。

その後はそのことを無視し、チームメンバーで遊び続けた。

蓮太郎が買ってきたお菓子を食べながらトランプやゲームを遊び、充実した時間を過ごした。

こんなことをするのはいつぶりだろうか。

もしかすると、フェスティバルぶりではないか。

 

「あ!蓮太郎の負け~」

 

違うことを考えていたら負けた。

普通にやらかした。

やっぱり何人かで遊ぶのは楽しい。

だが、そんな時間はすぐに終わった。

外が騒がしい。

今は大自然の中を通過しているため、騒がしくなる要素はないはず。

そう考え、外の見る。

外は吹雪がひどい。

かといってこれが騒がしくなる原因となるか?

そう思っていたが、すぐに原因が判明した。

窓越しにはっきりとグリムの姿を見ることができた。

グリフォンのグリムがこの電車に襲ってきている。

 

なぜだ?

この電車内でトラブルらしいトラブルはない。

不安がないとは言わないが、グリムの群れが襲ってくるいわれはない。

だが現実に襲ってきている。

 

「行くぞ!グリムだ」

 

自分から合図を出した。

それに反応したノーラやレン、ジョーンはすぐに自分の武器を持ち、外に出るて屋根に上る。

外は吹雪いており、寒い。

さらに屋根の上にいるため、落下する危険もある。

そんな中でもグリムは襲い続けている。

それを何とか対処しながら銃でグリムを落としていく。

新しくした銃の初めての実践となったが、凍るような寒さの中でも安定して動作している。

反動は強いが、その分威力はある。

一体、また一体と落とし続けている。

他のみんなも同じだが、まったく減らない。

 

その様子を見た電車を護衛している人が前のほうに向かう。

おそらく何か対処できるものがあるだろう。

護衛が電車の上に迎撃システムを稼働させた。

電車の車両一つ一つに大砲が出現し、それで迎撃を始めた。

それらはグリムに対しては抜群の威力を見せた。

面白いくらい撃ち落されていく。

だが、一つ問題がある。

 

「あれ、客室のほうに被害が及ばないか?」

 

大砲はすべての車両にあるため、そちらにグリムがやってくる可能性がある。

大砲一つでは対処不可能な場合があるため、車両が攻撃を受け、脱線で見したら終わりだ。

なら一部でヘイトを買い、攻撃を集中させられたほうがまだましだ。

 

その考えに至り、すぐに護衛のもとに向かう。

 

「システムを落としてくれ」

「客が危険すぎる」

 

「バカ言うな!」

「こうしたほうが安全だ」

 

まったく聞き入れてくれない。

そうこうしているうちに大砲の一つが破壊された。

その車両が大きく揺れるが、脱線には至らない。

今はまだいいが、いつ脱線の危機に陥るかわからない。

 

「すぐに止めろ!」

 

「うるさい!」

「この責任者は俺だ」

「指示に従え」

 

この頑固ものが!

何言ってもおそらく自分の意見を変える気はないだろう。

だがこのままではまずい。

いつ客室が被害を受けるかわかったもんじゃない。

さてどうしようか。

グリムを素早く処理したいが、その場合には一つのところに集めたほうが得策だ。

だが、迎撃システムのせいでその方法が使えない。

だんだんと思考の海に落ちていく。

それは突然止められた。

 

「トンネルだーーー!!」

 

前を見ると、トンネルがあった。

それもかなり近い。

すぐに中に戻らなければ…。

体が反射的に動き、連結部分に入る。

他のみんなもすでに中に入ったようで、外には誰もいなかった。

 

トンネルを通過しているときに全員が集合している。

見た感じ、やっぱり全員が車内に戻っている。

良かった。

だが、護衛が怪我をしているようだ。

腕を抑え、痛がっている素振りを見せている。

だが、そんなことは関係ないといわんばかりにクロウが責め立てる。

 

「あの邪魔なシステムを早く仕舞え!」

 

「断る!」

「あれがあれば安全だ」

 

「この…」

 

一色触発のこの雰囲気。

こんなことで仲間割れをしている場合ではない。

そんなことをしていては全滅する。

もし生きていたとしてもこの吹雪の中だ。

すぐに凍えて死ぬ。

 

「やめて!」

 

ルビーが叫ぶ。

それに全員がルビーのほうへ向かう。

クロウと護衛との争いをいさめる女神と言われても不思議ではないほどの魅力があった。

一体何をいうのか、それを考えながらルビーを見る。

本人は護衛のところに向かう。

そのまま正面に到着した。

少し体を曲げ、その男を見る。

 

「お願いします。システムを停止してください」

「私たちを信じて…」

 

その言葉を受けた護衛はどうだろうか?

面食らったまま表情で固定されていた。

だがすぐにその顔が崩れ、手元にある端末で捜査している。

 

「停止させた」

「あとは好きにやりな」

 

「ありがとうございます!」

 

車内にはルビーの嬉しそうな声が響いた。

それが残響となって残り、胸に残る。

 

トンネルを通過した。

そのためすぐに行動に移した。

上に上ったのは、チームルビークロウ、オスカー、蓮太郎である。

車内で乗客を前のほうに避難させているのは、ノーラとレン、ジョーンの3名。

護衛の男は負傷で動けない。

 

レンのセンブランスが発動したのを確認し、電車の連結部分を破壊。

前にいた電車が離れていく。

そのため、グリムが全員こちらにやってきた。

それを射撃だけで処理し続ける。

屋根の上に乗ったグリムは他の人らが対処している。

自分のやるべきことは射撃で敵の数を減らし続けることとなった。

命中精度はかなりいい。

9割当たっているといわれても不思議ではない。

また、銃の威力があるのか、グリムが簡単に撃ち落せる。

こうしてグリムのほとんどを削り、最後の一体を撃破した。

だが不幸にもそのグリムは電車と激突し、脱線した。

 

「いてぇ…」

 

脱線した後、雪から脱出する。

積もっている影響か、何とか怪我をせずに済んだ。

あたりを見回すと、他のみんなも同様な状況となっており、雪から体を出す。

だがルビーだけが体の半分まで埋まっており、足をバタバタさせる。

それに気づき、思わず笑った。

他のみんなも同じ状況となり、ヤンが引っ張り出した。

笑ったが、現状は最悪だ。

電車は脱線し、使い物にならない。

さらに圏外となっているため、連絡も取れない。

どうしようもないため、近くにある樹木を切り落とし、方向を確認する。

状況は絶望的。

ここから寒さと戦う非日常が始まる。




ここまで読んでいただきありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。