久しぶりの投稿ですが、みなさんどうぞ!
電車の中から使えそうなものを探いしている最中、奥のほうから声がした。
「誰かいるのかい?」
老人のような声がした。
さらにつえを突く音と足音が少しずつ大きくなっていく。
蓮太郎はすぐに向かおうとしたが、無意味だった。
すでにうす暗い車内の中から目視できるところにまで近づいていた。
そのおばあさんはつえを突きながらこちらに向かってくる。
その足取りは年相応のものではない。
「やぁ、こんにちは」
「これで全員かい?」
どこかゆったりとしているおばあさんを見て、少し落ち着いた。
なんだか慌てているのがあほらしくなった。
かなりまずい状況なことは変わらないが、落ち着いただけましだ。
蓮太郎は深呼吸をしてそのおばあさんと対面した。
「どちらさん?」
「イザベラだよ」
イザベラと名乗ったおばあさんは慣れた様子で外に出る。
外は未だに吹雪いているが、そんなのお構いなしだ。
雪に足跡をつけ、しっかりとした足取りで歩く。
その様子を見た他のメンバーは驚きの表情をしていた。
あの状況なため、避難しそびれた人がいる可能性はあった。
しかも、専門職ではない人らによるものだ。
そういった取りこぼしはあってしかるべきだろう。
だが、ミスはミスだ。
正直へこんでいる。
誰だってそうだ。
しかし、おばあさんはどこか落ち着いた様子を見せており、それは雰囲気に伝播する。
事故当時よりも落ち着きが見られ始めた。
各自、ゆっくりと自分の落としたものを探す。
だが、オスカーから衝撃の発言でそれは破壊される。
「このレリックにはグリムを引き寄せる力がある」
何を言っているんだ?
このタイミングでそれか…。
そう発言し、少し遠くのところにあるレリックを指さす。
知恵のレリックはさも当然のように光っている。
気のせいか、少し光が強いように思う。
「何それ?笑えないんだけど…」
ヤンの反応は蓮太郎と同意見だ。
そんな重要な情報を教えてくれたっていいのではないか。
なぜ伝えなかったのか。
その情報があれば、道中のリスクを把握することもできた。
その疑問が頭の中で反復する。
まったくもって意味のない行動だ。
「申し訳ない。無駄な混乱を避けたかったから秘密にした」
もっともらしい意見だが、被害をくらうのはこちらだ。
そちらに何か事情はあるだろう。
だが、その情報は欲しかった。
蓮太郎は自身が怒りで満ちるかと思ったが、なぜか冷静になっていく。
不思議と落ち着いている。
ゆっくりと頭の中で整理し始める。
だが、それに反比例して雰囲気は悪くなっていく。
特にヤンがいつ切れてもおかしくはない。
仕方ないとはいえ、これからのことを考えていきたい。
「正直、誰を信頼すればいいのかわからなず、こういったことをした」
先日のライオンハルトの裏切りが原因なのだろうか…。
今まで何度も裏切りを経験したからなのか・・・。
だが、こちらは裏切る気などない。
「大丈夫。私たちは裏切らな…」
「そういったやつを何人も見てきた!」
ルビーが反論しようとしたときにオスカーが叫んだ。
いや、オスカーの中のオズピンか。
オズピンは他人の体に転生し続けることができる人物であるため、死ぬことはない。
そのような人間だ、やはり何か事情があるのだろうか?
「ライオンハートもそうだった」
「今まで何回裏切りを経験してきた」
「何回…」
そのことに全員が察したのだろう。
何度も裏切られたことを…。
ここで全員が黙り込む。
オズピンの勢いに押される。
「うう…」
オズピンが引っ込み、オスカーが出てきた。
ここまではいつも通り。
だが完全には戻れていないのかろれつが回っていない。
このようなことは初めて見た。
「オズピンは…隠している」
「何かを…」
頭を抱え、そう訴える。
隠している?
一体何を?
まさかオズピンの目的に関することなのか?
「彼女の名前は…ジン…」
「呼べば…いい」
レリックを使うための合図か何かだろうか。
近くにいたルビーが持ち上げる。
この中に生き物がいるとは思えない。
レリックが不気味に発光する。
「これに…」
ルビーが知恵のレリックを見る。
知恵のレリックは相変わらず何も起きない。
クロウを見る。
名前を呼ぶかどうか迷っている。
「ちょっと、お前たち…」
クロウがルビー達を呼ぶが、それを睨みつけて対処している。
女性陣の睨みはこんなに怖いものなのか。
はたまた、重要な秘密を隠していることに対する怒りなのかもしれない。
もし蓮太郎がクロウの立場なら、今までで一番の恐怖体験となっただろう。
クロウはその影響なのか、諦め始めた。
「勝手にしな」
そう言い、水分を補給する。
その様子はどこか覚悟を決めているようだった。
ルビー達は葛藤しているように見えたが、決意はすぐに固まったようだ。
「ジン…」
名前を呼んだ。
ジンと…。
するとどうだろうか、どこぞの魔法のランプよろしく青い肌の女性が出現した。
服装は最低限隠せればいいという感じで、子供に見せられるようは格好はしていない。
その女性は大きく伸びをした後、オスカーのほうを見て、どこか懐かしむようなそぶりを見せた。
そしてルビー達のほうに向いた。
「今は3回使っているけど、いいでしょう」
「特別に2回追加します」
「さぁ、何が知りたいの?」
ルビー達の決意は固い。
すぐに返答をした。
「オズピンの隠し事について」
そうルビーが答えると、周りに青い霧がかかり始めた。
一体何が起きているのか。
まったくわからない。
考えているさなか、オスカーの叫び声が聞こえてきた。
「やめろぉぉお!!」
オスカーがルビーの方向に走り出している様子が確認できた。
だが青い霧ですぐに見えなくなった。
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『昔々、はるか昔に大きな城の中で幽閉されている一人の少女がいました。
名をセイラムと言います。』
あの青い肌の女性の声が聞こえてきた。
どこから聞こえているのかは不明だがはっきり聞こえる。
『その少女は外に出たことはありませんでした』
『だけどその少女を求め、数多くの男性がその城に侵入し、撃退されていきました』
『そのまま孤独な時を過ごします』
自分は見えていないのか、セイラムの部屋に入っているが気づかれない。
自分の姿ははっきりと見えているが、あちらからは見えないのだろう。
『しかし、その状況は一変します』
『守りを破り、セイラムのもとにたどり着いた青年がいました』
『名をオズマと言います』
『二人は出会うと、すぐに意気投合します』
『二人は協力して城を脱出し、逃走に成功します』
童話とかならここから二人は幸せな生活を送りました、で終わるだろう。
しかしこれが童話だとは到底思えない。
『二人は幸せな時間を過ごしました』
『めでたしめでたし』
ここで終われば幸せな昔話。
それだけだ。
だが、違う。
『そうであったならどんなに良かっただろうか』
『人である時間はすぐに終わりを迎えます』
『白の守りを突破したオズマは病に倒れ、セイラムを残して死亡します』
場面が変わる。
そこにはベッドに突っ伏し、泣き続けるセイラムの姿があった。
その姿は痛々しく、心に直接来る。
『セイラムはオズマを生き返らせるために神々のところに行きます』
いつの間にか外に出ていたセイラムはどこかに向かうために歩いている。
足元の履き物は使い古されたのか汚れており、足にも汚れが目立つ。
だがそれを気にするそぶりをまったく見せていなかった。
少しすると、セイラムの目の前に大きな湖と巨大な木があった。
その大きさは沈みゆく太陽の半分くらいの大きさであった。
その湖の前でセイラムは跪いて祈る。
そうすると、湖の奥の木から光輝いた神が現れる。
その姿はせんとくんを巨大化したものと言われても不思議ではない服装をしていた。
その神は水の上を歩き、セイラムに近づく。
「そなたは一体何を望む?」
「夫、オズマの復活です」
さすが神というべきなのか、何があったのかをすべて理解したような振る舞いをする。
少し考える様子を見せたが、すぐにセイラムのほうを見る。
その雰囲気は厳しい現実を教えるようなものであった。
「死者を復活させることはできない」
「それは理に反する」
その言葉はセイラムを絶望させるには充分であった。
セイラムは何か叫んでいる様子であったが、神はそれに取り合わない。
そのまま神は消え去り、そこにはセイラムだけが残った。
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風景が変わった。
先ほどに湖と巨木があるところとはうって変わって、そこはまがまがしいところであった。
周りには骸骨が動き、自然らしいものは一切なかった。
中心には湖らしきものはあれど、断定することはできない。
セイラムはそこでも現れた神に懇願した。
オズマを蘇らせてほしい…と。
その願いはかなえられ…ることになった。
ここにいる全員は絶対に驚愕しただろう。
だが、現実にオズマは生き返っている。
セイラムと言葉を交わしている。
声もこちらに聞こえている。
確実に生き返ったと判断するしかない。
だが、オズマはすぐに生と死を繰り返すことになる。
そこにせんとくんを巨大化させた神が姿を現す。
そしてすぐにオズマを‘消した‘。
やはり神か…。
神の力を見せつけられ、全員が圧倒されるだろう。
その確信が蓮太郎にはあった。
だが、やり取りが少しづつ聞こえなくなっていく。
『結果的にオズマは生き返らず、セイラムには罰として不老不死となりました』
映像が変わり、セイラムが実施した自殺の方法が写される。
のどに刃物を突き刺す、毒物を飲む、高いところから落ちる、首を絞める、海に身投げする、燃える、断食する、などなど。
それはそれは、見てられなかった。
その後セイラムは神々に復讐するために文明を育て、反逆するが失敗に終わる。
神々は今回の反省を受けてこの世にいるすべての人類を消滅させていた。
セイラムはまた一人になったが、それを解決する方法がある。
それはセイラムが命の尊さを知ることであった。
『それを成し遂げるために、神々は死んだはずのオズマを復活させました』
神々はできる限りの手助けをする約束と死ぬと他人に転生する呪いをオズマにしました。
『手助けとは、人の補充でした』
その効果はそのうち見ることになるだろう。
次の場面ではオズマとセイラムの幸せそうな生活が映し出された。
さらに子供のおり、充実した生活であった。
『しかし、それも長くは続きませんでした』
オズマとセイラムが方針の違いで殺し合いのけんかに発展し、オズマは死亡しました。
そこからオズマの長い人生が始まりました。
死んでは転生し、死ぬ。
その途中で様々な人から手助けを受けていきました。
ある時は、元大統領、ある時は有名な武士、あるときは暴君。
何とかしてセイラムをどうにかしようとしてきましたが、失敗し続けました。
『いまだ一度の成功もない』
『そうして今のオズピンがいるのですよ』
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ここで現実に引き戻される。
ここで全員が思っているであろう疑問が浮かんだ。
「セイラムは殺せるの?」
ヤンの疑問はもっともだ。
セイラムはすでに不老不死となっている。
それ以外で止まるならいいが、セイラムを止めれる気がしない。
結果、殺すしかない。
だが、その答えは予想だにしないものであった。
「セイラムを殺す?そんなことできるわけないじゃない」
「だって、」
ここで雰囲気が一気に変わる。
次の発言の重要性が高まる。
「”殺す”までもなく、精神崩壊してますから」
ここからね、原作とは雰囲気が変わりますよ~