曇り時々銃弾、所により爆弾   作:Aベル

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2.デスマーチ・デスマッチ

 

 

 

 デスマーチ進行をどうにか乗り越え、いよいよ完成間近、遂に最終局面まで辿り着いた。締め切りまで残り10分を切ったが、もう後5分もあれば出品できるだろう。何か重大なミスさえなければの話だが。

 

 

「よかった〜これならどうにか間に合いそう」

 

「お姉ちゃん、まだ油断しないで。そんなに余裕がある訳じゃないんだから」

 

「え〜?大丈夫だって!停電とか何かトラブルでも起きない限りはいけるって!」

 

「アリス知ってます!この発言がフラグだってことを!」

 

「あはは、アリス。確かにゲームならそうかもしれないけど、現実はそんなこと…」

 

 

 そして辺りに響く爆音。発言した側から発生したその物々しい音は、近頃頻繁に耳にするようになったそれだ。……偶々近くで爆発があっただけだよな?

 

 

「ひゃっ!?」

 

「遠距離攻撃を確認、部室正面に対して11時の方角!距離は1km!」

 

「ぜ、前回の仕返し!?」

 

「前科あるのか?」

 

 

 前回とやらにどんな因縁があったかは知らないが、こっちの仕返しは相変わらず物騒すぎなんだよ!話し合いとか交渉とか一切なしで銃撃戦が始まるとか頭が戦闘民族か?キヴォトスでは常識?それなら常識を疑え。

 

 

「で、現実は何だって?非情であるって話?」

 

「うるさい!ああもう、後少しで完成なのにぃ!」

 

「どど、どうしよう!?このままじゃゲームが完成しない!?」

 

 

 せめて後少しでも襲撃が遅ければ何も気にせずに逃げ一択だったが、如何せんタイミングが悪過ぎた。お相手からすればこっちの事情なんてものは関係ないのだから偶々なんだろうけど。

 

 

「ゲーム作成チームと戦闘チームの二組に分けよう!チーム分けは…うわっ!?」

 

「私とアリスとトマリで時間を稼ぐから、みんなは急いで完成させて!」

 

「了解しました!」

 

「え?俺も居残り組の方が…」

 

「ほら、ここで戦うわけにはいかないから、リロードしているうちに、とにかく外へ出よう」

 

「パーティ離脱イベントですね!モモイ達の装備を外しておきましょう」

 

「えぇっ!?ちょ、ちょっと!?」

 

「後で再加入イベントあるからそのままでいいんじゃない?」

 

 

 専用装備の類は俺達が持っていても嵩張るだけだろう。装備を回収しようとするアリスさんを引っ張る…が全然動かない。背負っている武器が重すぎる!成程、これが若者の人間離れか…。

 

 

「トマリも遊んでないで早く!」

 

「今のやりとりに俺が怒られる要素ありました?」

 

 

 

 

 

 部室から出て、三人で開けた場所に歩を進める。相手に狙撃手がいるらしいので自殺行為な気もするが、先生はひとまず対話を試みるとか。キヴォトス人に対話って通じるのか…?撃ってから考えるのが奴等の基本だと思うんだが。

 

 そしてドローンや機械兵?やらの姿を確認。箱型の可愛らしい見た目で近づいてくるが、どうせ碌なものじゃないだろう。自爆機能とか付いていても驚かんぞ。警戒しておくに限る。

 

 

「まずは話ができる生徒を探したいけど、ドローン兵相手に対話ってできるかな?」

 

「対話用のAIが搭載されていれば可能です!」

 

「間違ってはいないが解答としては何か違うような」

 

「一緒に試してみましょう」

 

 

 そう言うと武器を置いて何の警戒もせずに歩み寄っていく先生達。判断が早い!勇気と無謀は違うんだよなあ。対話するなら指示を出している誰かを見つけてからにするべきだとは思うが…。ここで反対しても多数決で押し切られるだけ、と言うより既に行動しているので、渋々その提案に乗ることにする。

 

 箱型ロボはかなり近くまで来て動きを止めると、口らしき部分を出現させた。その形状は真丸で、それでいて少し火薬の匂いがする気がする。どう考えても銃口ですねこれは。

 

 こうなることは予想できていたので、銃口を突き付ける不届き物を思いっきり蹴り飛ばす。そのまま先んじて用意していた煙幕を投げつけ、二人を抱えて一目散に撤退する。

 

 

「敵対行動を確認。やはり先に弱らせてから仲間にするべきでした…」

 

「正しくないけど、割と間違ってもいないのが困る発言」

 

「まあ、こうなるよね」

 

「予想できていたなら何故あんなアホなことをしたのか。いや、まあ許可した俺も悪いですけど」

 

「無抵抗なら誰かきてくれるかもって思ったんだけどね。ダメだったね!」

 

「こんなところで命掛けないでもらえます?」

 

 

  命の賭け方が花京院の魂のノリなんだよ。命懸けですることじゃないだろ。君達、頭のネジ何本か絞め忘れてない?

 

 

 

 

 

「で、こうなると」

 

 

 前線にポツンと一人。挟撃されていて戦闘要員が二人。その戦闘要員の内の一人って、本職は支援職なんですが…?まあ最初のメンバーの振り分けの時点で、この展開はある程度の予想はできていたので、今更驚かないが。

 

 幸いにして、相手の大部分は動きがあまり早くない上に、至近距離からしか攻撃して来ないみたいなので、足を動かしてさえいれば対処は楽である。問題があるとすれば…

 

 

「この距離でも撃ってくるか…」

 

 

 箱型ロボの合間に飛来するドローン群をどうするか。ああいう飛行物体は、吹き飛ばしてしまうのが一番手っ取り早いのだが、ここは屋内で風通しが悪い。そもそも術の用意をしている間に、ロボ達に囲まれる恐れもある。

 

 

「やはり頼りになるのは現代兵器か」

 

 

 こんな世紀末みたいな世界で武器を用意していない訳がないだろ!取って置きの手榴弾(自販機産・おもちゃではない)の出番である。どうして銃弾や手榴弾が自販機で購入できてしまうのですか…?それはさておき、扱い方や大体の威力まで確認済みである。事前確認、ヨシ!ボールを相手のゴールにシュゥーッ!!

 

 

「うん、普通に有効だわ。これ」

 

 

 当たったら吹っ飛んでいくし、何なら当たらなくても爆風で飛ばされていく。それぐらい威力があるってことだ。やっぱりどう考えてもおかしいだろ、キヴォトスの治安。

 

 

「あ、やべっ」

 

 

 気付いたら箱型ロボ達に壁際まで追い込まれていた。後方確認を怠ったのは、普通に俺のミスである。いや、逆に考えるんだ。敵機が集まっているから好機であると。

 

 

「三角飛びぐらいはな」

 

 

 所謂壁ジャンプ、赤帽子の配管工もよくやるアレである。昨今のアクションゲームでもお馴染みの動作である。背の低い敵機を飛び越えるぐらいなら、素の身体能力だけでも別に問題ない。ついでに手榴弾を置いておけば纏めて爆破できて経済的。

 

 

 先生達のいる方からは、何回か派手な音が聞こえてきたが、今は落ち着いている。向こうも終わったのだろう。所々、壁に穴が開いているがいいのかこれ?

 

 

 

 

 

「そっちも終わったみたいだね」

 

「あ、はい。これからどうしますか?」

 

「モモイたちも出品できたらしいから、全員でこっちに向かっているって連絡がきたよ」

 

「あ!モモイたちの姿、確認できました!」

 

「同時に敵機の大群も来てますね…」

 

 

 リアルでもトレインは迷惑行為。デスゲームの世界でも使われる由緒正しいテクニックである。で、これどうすんの?

 

 

「うわぁー!?に、逃げてー!?」

 

「アリス、お願い!」

 

「行きます、魔力充電100%…光よ!」

 

「個人で扱う武器で出していい威力じゃないだろ」

 

 

 巨大なレールガンから放たれるバ火力が敵集団に叩き込まれた。まさに一網打尽。その衝撃は射線状にいなかった3人が冷や汗を流すほどだ。この威力でフレンドリーファイアは流石に洒落にならないぞ…。

 

 

「これがバランス崩壊武器『スーパーノヴァ』の破壊力です!」

 

「さ、さすがアリスちゃん…」

 

「相変わらずすごい火力…」

 

 

「その内建物まで崩壊するんじゃないか?」

 

「と、とりあえずここから脱出しよう!」

 

 

 こうしてモモイさんを先導として、逃走劇が始まったのだった。

 

 

 





デスマッチ(一部人物のみ)

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