曇り時々銃弾、所により爆弾   作:Aベル

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ミレニアムクエスト(おつかい)魔王城編



a.セミナー2人

 

 

 

 近未来的なビルにしか見えないようなミレニアムの校舎を一人で歩く。現在の目的は、ゲーム開発部の部室の延長申請やら部費の受取処理やらの手続き、要するに使いっ走りである。何故、部外者な上に土地勘のない俺が一人で?とは思うが、仕事は仕事。一応、雇われの身なので割り振られたタスクは大体やります。

 

 マップを頼りに目的地に到着。着いたのは生徒会室。そう、あのセミナーの本拠地である。窓口で確認すると、早速迎えに来てくれるという事でその場で待機するように指示された。

 

 手持ち無沙汰だったので、道中で見かけた自販機のラインナップをチェックしていく。お茶にコーヒー、エナジードリンク、ミネラルウォーター、エナジードリンク、エナジードリンク……銃火器がないのでこれは常識的!治安、ヨシ!

 

 

 

「……何をしているのですか?」

 

「指差し呼称。現場の安全確認です」

 

「指差し呼称しているとは思えないポーズですが……コホンッ、初めまして、トマリ君。私はセミナーの書記、生塩ノアです。ユウカちゃんは今ちょっと手が離せないので、代わりに私が案内させてもらいますね」

 

「あ、はい。トマリです。よろしくお願いします」

 

 

 全体的に白っぽいカラーの丁寧な印象を受ける少女が来た。それにしてもこの名前、つい最近聞いたような気が……あっ。

 

 

「あ、不眠治療の第一人者でしたか」

 

「うーん……私としては、そういう用途で出品した詩集ではないのですが……」

 

「余程、頭を使う内容だったんじゃないですか?逆に考えすぎて、眠れないパターンもあるとは思いますけど」

 

 

 寝ようとしている時に眼球の位置とか、呼吸の仕方を考えてみよう!後はやはり、つまらなさ過ぎて寝落ちしてしまうか。口に出したら確実に戦争になるので言わない。かしこい。

 

 

 

 

 

「さっきぶりね、トマリ。手続きに来たって聞いたけど、ゲーム開発部の部員じゃないあなたが、何故任されたのかしらね」

 

「目出度いこともあったし、まあ今ぐらいは4人でゆっくりしてて良いんじゃないかって事で、先生から頼まれたから」

 

 

 色々ありすぎたたし、それぐらいなら別に良いかなって。曰く、勇者達に束の間の休息を、と言うことらしい。俺はまあパーティの一員と言うより、スポット参戦キャラとか味方NPCみたいなものだから例外。

 

 

「仮に部長のユズが来ていたとしても、この場で記載する事が難しい項目も多いから、トマリでも問題ないわ。それ以外の項目については、すぐに終わるし。あ、注意点だけ今から説明するから、メモするなり、ここで記入するなりしてって」

 

「了解」

 

 

 手渡されるそれなりの量の書類。何時ぞやの白い巨塔に比べたら微々たるものである。

 

 

 

 

 

「トマリ君、何だかやけに手慣れてますね」

 

「前にシャーレで事務作業もしてたし、まあ納得できるわ」

 

「何故か大量に出てくる用途不明の領収書とか、経費で通るか判断に困るようなレシートが出てくるとかよりはマシだよな」

 

 

 経理の専門家でもないので、詳しいことはわからない。だが、『クラブ・ふわりん』はもう名前がアウトなんだよ。実際は、ソシャゲの課金だったわけだが。

 

 

「先生のことばかり言っているけど、そういうトマリはどうなの?」

 

「帳簿を付けるほど収支の変動がないっす」

 

「はっ」

 

「今、鼻で笑いやがったな?そう言うユウカさんこそどうなんだよ」

 

「バカにしないでちょうだい。家計簿もしっかりつけているし、何なら資産運用で今期も黒字が出ているわよ?ほら」

 

「どれどれ?……マジ?俺、ユウカさんの事が好きだったんだよなー」

 

「あらあら、ユウカちゃん。モテモテですね……え?本当に照れてる」

 

「将来が不安過ぎる……」

 

「う、うるさいわね!?照れてなんてないわよっ!」

 

 

 いくら何でもチョロすぎる。流石将来、悪い奴に騙されそうな生徒筆頭の女。お節介気質なのがイメージに輪を掛けてるとも言える。

 

 

 

 

「そ、そう言えばトマリ、シャーレでの先生の様子はどう?]

 

「露骨に話を逸らそうとしてるが、乗ってやろうじゃないか。先生なら、何だったっけか。そう、この前、特撮の限定フィギュアを爆買いして、キャベツ生活してたな」

 

 

 3食キャベツ生活なのに、滅茶苦茶良い笑顔だったぜ。その欲望への正直さは、いっそ清々しいまである。まあ最終的に飯を奢る事になったが。倒れられても迷惑だし。

 

 

「本っ当にあの人は!今度会った時に確認しないと!」

 

「ユウカさんに絞られることが決定した愛すべき馬鹿(先生)に合掌」

 

「そうさせたのはトマリ君ですけどね」

 

「だが私は謝らない」

 

 

 仮にここで俺が言わなかったところで、遅かれ早かれバレるのは自明の理。何故なら普通にシャーレのオフィスに飾ってあるから。家に持ち帰ればバレないものを。

 

 

 

 

「食生活もいい加減だし、このままじゃ体調を崩すに決まってる!」

 

「ミレニアムも食に関しては食事と言うより、栄養補給のイメージだけどそこのところどうなんですノアさん?」

 

「生徒によりけりな部分もありますが、確かに効率を重視した食生活を送る人も多いですね」

 

「ユウカさんは……カロリー計算とかしてそう」

 

「当然しているわ。体が正常に機能するためには、食事から摂取したカロリーがエネルギーとして適切に使用されることが重要だけど、当然、取りすぎは体に悪影響を及ぼすわ。かと言って、取らなさすぎるのもそれはそれで健康に悪いのよ。使用している食品から、摂取カロリーを計算することで、自分に合った食事を取ることができるのだから、とっても大事なことなの。PFCバランスって知ってる?タンパク質、脂質、炭水化物それぞれの頭文字を取った言葉よ。健康な体を維持するにはこのPFCバランスを意識するべきよ。どの栄養素で、どのくらいカロリーを取るのか、タンパク質と炭水化物が1g約4kcalに対して、脂質は1g約9kcalになる。やっぱり脂質には要注意ね…カロリー制限は体重管理や病気予防に効果的な手段で、その代表的な効果としては心臓病や糖尿病などのリスクを減らすことも……」

 

 

 言葉が弾丸だったら、俺の身体は穴だらけになってるレベル。この早口マシンガントークって俺に対して話してんの?しっかり俺の方向いてるわ。ノアさんに助けを求め…既にいなかった。危機察知能力が高い。やりやがったな。

 

 

「なるほど。さっきから摘んでる茶菓子もカロリーコントロールの一環なのか」

 

「むぐっ……少しカロリーを取りすぎたかも……」

 

「いいんじゃない?『ユウカは太腿が健康的でいいよね!』って話してたし」

 

「へえー、誰がそう言ってたか教えてくれるかしら?」

 

「……ノーコメントで!」

 

「待ちなさい!トマリっ!!」

 

 

 だって事実だから否定できなかったんだよ!そもそもそんな話題を振ってくる先生とモモイさんが悪いと思います!

 

 こうして、般若と化したユウカさんと鬼ごっこする羽目になったのだった。

 

 

 





カロリーの話は公式のお時間も引用してたりします。よかったらYouTubeを見返して来て下さい。

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