曇り時々銃弾、所により爆弾   作:Aベル

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この主人公は特異現象の塊みたいな奴だからまあ



d.不思議発見伝

 

 

 

「初めまして。ヴェリタスの部長兼、特異現象捜査部の部長。ミレニアムサイエンススクールが誇る超天才清楚系病弱美少女ハッカーの明星ヒマリと申します。あなたがトマリさんですね。お噂は予々伺っておりました」

 

「超天才清楚系病弱美少女ハッカー……長いからチジョって呼びますね」

 

「この澄んだ小川の如く清らかな美少女をチジョ呼ばわり!?もしかしてあなた、目が見えてないのですか?」

 

「どっちも発言が非常識すぎる」

 

 

 開幕から愉快な発言が聞こえてきたからつい。思わず湯婆婆になるところだった。

 

 

「それに、その称号はエイミにこそ相応しいかと」

 

「ヒマリ部長?」

 

 

 ガチなのはちょっと……。エイミさんの服装は、上半身はコートをはだけさせてる上に、そこには謎のファスナーが。いらないだろ、どう考えても。下半身も異常に短いスカートである。オマケに当の本人は、『暑いから』と言う理由で、そこから更に脱ごうとしだす始末。その場に俺がいたとしてもだ。羞恥心、何処に置いて来た?

 

 一緒にいると、無用な誤解を生む可能性しかない。短い付き合いだが、よく分かる。往来で下着に手を掛け出した時には、思わずこちらが悲鳴を上げてしまった。(社会的に)絶体絶命だった一幕である。

 

 

 

 

 

「話を戻しませんか?」

 

「脱線させた本人が言う?」

 

「とにかく、先日から任命された『特異現象捜査部』の部長として、調査をしようと思うのですが……エイミ、特異現象捜査部について説明してもらえますか?」

 

「科学的には解明し難い現象を研究することを目的としたセミナー傘下の部活。今までは明確な活動内容も特に無かったんだけど」

 

「えぇ、丁度良さそうな調査対象が現れたので、少しばかり協力していただければと思いまして」

 

 

 特異現象の研究を主とするとは、科学主義がはこびってそうなミレニアムにおいては、意外な活動内容ではある。だが確かにキヴォトスでは、自分の存在そのものが特異現象と言っても過言ではないので、調査対象になるのも納得だ。

 

 それにしても、協力してほしい、と来たか。

 

 

「引き受けるメリットは俺にありますか?」

 

「当然です。それは……」

 

「それは?」

 

「ミレニアムの清楚な高嶺の花であり、みなさんの憧れである『全知』の学位を持つ眉目秀麗な美少女であるこの私と一緒に過ごせることです」

 

「ヒマリ先輩、真面目にして。そんな残念な提案では、トマリも乗らない」

 

「……」

 

「ほら、見て。あの険しい表情。これは交渉決裂」

 

「その提案、乗ったァー!!」

 

「なんで?」

 

 

 別にメリットとかどうでもいい、と言う訳ではない。寧ろ仲良くしておけば損はないだろうと言う打算しかない。それはそれとして、浅く付き合う分には愉快そうな事も理由の一つではあるが。

 

 

「ふふふっ…。そうでしょう、そうでしょう!初対面の相手すら魅了する傾国の美少女とは、やはり罪深いものですね…」

 

「うおおぉっ、1000年に1人の美少女!地上に降りたオーロラ!光り輝く天使の囁き!ミレニアムの至宝!」

 

「トマリが壊れた」

 

「ふふっ、ふふふふ……いえいえ、それほどでもありますが。当然の評価ですが、実際に耳にすると嬉しいものです」

 

「飽きた」

 

「急に冷静になるね。トマリの考えてることがわからない」

 

 

 会議で騒ぐ、だから進まず。一応、真面目な話であることは理解しているつもりだ。だがあまりにも緊張感が無さ過ぎて、つい相手のおふざけに悪ノリしてしまう。……やっぱり、真面目な話じゃないな、これ。

 

 

 

 

 

 閑話休題。調査する事は問題ないが、具体的には、何をどのように調べるのか。話を聞くより、実際に見る方が手っ取り早いと言うことで、実演することになった。

 

 

「特異現象ですか。例えば……これとかですか?」

 

「これは……パイロキネシスですか」

 

「アッツい!……こんなの使ってたら、こっちは普通に火傷しますからね」

 

「うーん……便利だけど扱いづらいんだね」

 

 

 『爪先の火』は名前の通り、小さな火を灯す術だ。別名ライターマン。右腕はちゃんとある。だから普通に火傷してしまう。ちなみに、何処ぞの花を食べた配管工の様に、火の玉にして投げつけるとか器用なことはできない。加えて、火を着けられるのも爪先のみである。だからお前は着火マンにはなれないんだよ。

 

 実は簡単に使える術の一つであるが、現代社会においては超能力に分類される現象の一つである。実態は兎も角、客観的に見れば歴とした超常現象だ。火傷さえ気にしなければ便利ではあるな、うん。

 

 

 

 

「…………よし、次にこれはどうですか?」

 

「……?何も変化がない様に見えるけど?」

 

「いえ、僅かにですがトマリの目線が上がっています。これは背が伸びる魔法ですね」

 

「素晴らしい観察力。けど違います。宙に浮いてます」

 

「ホントだ……もうちょっと高く浮けたりしないの?」

 

「できなくはないですけど、中々難しいんですよねえ」

 

「確かにすごいけど……うーん」

 

 

 大体5cmぐらい地面から足が離れている状態である。空を自由に飛びたかったんだが、俺にはこれが限界だった。一応もう少し高度を上げられるが、何故か難易度が一気に跳ね上がってしまう。空はまだまだ遠い。

 

 

 

 

 

「もっと予想を超えるようなものはないのですか?」

 

「まだやるのですか?……それなら、少し準備します」

 

「何してるの?……へえ、不思議な模様だね」

 

「できた。早速起動させます」

 

「これは期待できそうです…!」

 

「模様の中心に出てきたのは……大きな箱?」

 

「これはまるで……あ、トマリ!」

 

 

 制止する声を振り切って、描いた模様の中心に現れた箱に近付いていく。そのまま召喚した箱の蓋を開けて、思いっきり首を突っ込んだ。そして…………盛大に吐いた。

 

 

「うわっ……トマリ、大丈夫?」

 

「オロロロ……やっぱり厳しい……」

 

 

 エイミさんが心配して、背中を摩ってくれている。超有用だけど、使うと脳みそがシェイクされるような、三半規管に大ダメージが来るような、それ相応の症状が出てしまう。

 

 そう、出現させたのは大き目のゴミ箱。この惨状を予想していたから選んでいた。以前はここまで副作用が強くなかったのに。キヴォトスに来てからは、何故か気軽に扱えなくなっていた。まあこれに限らず、能力が全般的に大幅ナーフされているんだが。

 

 今回使用するつもりだったのは、所謂アイテムボックス。ゲームの主人公なんかが当たり前の様に持っているチート技術である。それらと比較すると大きく劣るが、限定的であれ、類する技術を持っていた。現状、徐々に改善させつつはあるものの、依然として使うとこの様である。どうしてこうなった。

 

 

 

 幸いにして、立ち直るのにあまり時間が掛からなかった。が、今回の調査については、一旦切り上げる事になった。

 

 

 





ミレニアム編は一旦終わろうかなと思います。

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