曇り時々銃弾、所により爆弾   作:Aベル

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ルートの分岐点が多い印象。



3.ティーパーティー(2−1−1+1)

 

 

 

「ではそう言うことで」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

 

 あれから数時間してようやっと解放された。聖園さんに至っては、飽きたのか割と早い段階でどっか行ったし。まさかのトップとの対談形式。

 

 本題に入るまでの長いこと長いこと。9割は無駄話だっただろう。最初の方とか、採用面接もかくやといったレベルで経歴や素性の質問されたし。隠す必要もないので、正直に答えていたら頭抱えていた。ハハッ、ウケる。俺も困ってるんだよ。笑ってる場合じゃなかった。

 

 後は真面目そうな話題が多かった印象。お菓子の蘊蓄は正直面白かったが、トリニティの歴史の話とかは、全く興味ねえっす。寧ろ今日初めてトリニティの存在を知ったまであるぞ。

 

 もしかしてティーパーティーは暇なのか?まあお菓子が食べられるなら、話の聞き役ぐらいはするが。どれもこれも美味だったので、手土産に貰ったバームクーヘンも味に期待ができる。

 

 

「はあー……帰ろ」

 

 

 先生?知らん。そもそもどこに行ったのかも全く分からない。常に一緒にいる必要もないだろう。それに、護衛(という体)の依頼は既に終わったのだから。

 

 建物が無駄に広いせいで迷子になりかけたが、どうにか見覚えがある広場にまで着いた。畜生、俺にも案内つけてくれよ。せめて地図ぐらいは用意しておいてほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 学園を出て大通りに進む。夕暮れが近づく時分の街には、制服を着た学生がお喋りやショッピングにと賑やかで、活気に溢れている。賑やかなストリートを通り抜け、暫く歩き続ける。そこから段々と、人の少ない方へ少ない方へと足を進め、細い路地に入って行く。どうしたものか……。

 

 

「それで、何か用ですか?」

 

「あなたがトマリさんですね?ではこちらへ」

 

「いきなり言われても。一体何の話ですか?」

 

「……?先生から何も聞いていませんでしたか?」

 

「先生から?……もしかして案内するから〜ってやつのことですか?」

 

「やはり聞いているではありませんか。では参りましょう」

 

「いやいやいやいや待ってくださいよ」

 

 

 この流れで、はい行きましょう、とはならないだろ。もう少し目的地とか、俺が呼ばれた理由とかの詳細を先に話すんだ。足りないっ……!情報がっ……!

 

 

「ここでは話せないんです…!早く来てくださいっ!」

 

「腕引っ張r…イタァッ!?力強っ!?」

 

 

 キヴォトス人、腕力で問題解決しがち。腕を引っ張る想像以上のパワーに負けて、ズルズル引き摺られて行く。さながら病院に行きたくない犬が抵抗しているみたいだ。当然、そんなに可愛いらしいものではないが。

 

 

「わかっ、分かりました!分かったから離してください!」

 

「フゥ……大人しく来てください」

 

 

 俺も同世代と比べて臂力はある筈なんだけど。今のところ、基本的に力比べは負け続きだから、自信無くなる。いや、確かに同じ様な姿形ってだけで、根本的に違う人種だと考えてはいるけどさ。銃器類を抱えて走り続ける身体能力を勘案すると、寧ろ妥当なのかもしれない。

 

 

「あの、そろそろ腕を解放して貰えないですか?」

 

「念の為、このまま来ていただきます。よろしいですね?」

 

「アッハイ」

 

 

 おっかねえよ、この女……。圧が、圧が半端じゃない。下手な真似したら、腕が一本犠牲になりそう。そんな事しなくても、逃げられる気がしねえよ。後、微妙に力込めるのやめてもらえる?君達からすれば手加減しているのかもしれないが、割と痛いから。

 

 

 

 

 

「救護騎士団団長、蒼森ミネと申します。仕方なかったとはいえ、少し強引に連れてきてしまい、申し訳ありません」

 

「あ、はい。トマリです。えー……よろしくお願いします?」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

 

 連れられて促されるまま席に着いたはいいが、何を話せばいいのやら。互いに簡単な自己紹介をして、何故かこちらを見つめたまま沈黙する団長。いや、何か喋れよ。連れてきた理由とか、話す事いっぱいあるだろ。見詰め合っていても仕方がないので、こちらから口火を切ることにした。

 

 

「それで、俺をここに連れて来た目的は何ですか?」

 

「……お願いしたいことがあって、お呼びしました。診ていただきたい人がいるのです」

 

 

 見ていただきたい人?誰か俺の知り合いでもいるのか?態々こんな手の込んだ事をしたのは、隠れて会う必要があるからとか?今の発言だけでは、まだ意図が読めない。

 

 

「はぁ、構いませんが……」

 

「では参りましょう」

 

 

 行動早い。座った意味のなさよ。ほぼ自己紹介しかしていない。状況をイマイチ把握できていないまま、団長に引き摺られて行くのであった。ここまで来たら、流石に逃げも隠れもしないから離してくれない?あ、駄目ですか?そう……。

 

 

 

 

 

 

 

 団長の言う件の人物は、病室の様なベッドで眠っていた。人が来ても起きる気配のないこのケモ耳少女こそが、百合園セイアその人らしい。何を隠そうティーパーティーの三大派閥の内の一つのトップである。

 

 何故、某妖怪神社の素敵な紅白巫女の様に脇を露出したバカみたいな格好をしているのか。身体が弱いなら、その服装はどうかと思うが。

 

 

「寝てる?」

 

「身体的には回復しましたが、意識が戻りません」

 

「なるほど」

 

「それで、どうでしょうか?」

 

「……ん?」

 

 

 え?今更だけど、『見る』は『診る』のことだったりする?もしかして俺、医者か何かと勘違いされてる?無理無理、そんな責任持てない。

 

 

「俺は医者じゃないですが……」

 

「セイア様は現在、身体的には問題ない筈ですが、意識が中々回復しなくて……貴方は不思議な術を使うと聞き及んでいます。何か方法があればと思いまして」

 

「また無茶を仰る」

 

 

 泣き言を溢しても始まらないので、こうなった経緯を詳しく聞かせてもらう。と言っても団長も知っていることは限られている様だが……?

 

 

 

 

 

 

 

「予知夢と来たかぁ」

 

 

 それに追い詰められているって話なら、最早悪夢と言ってもいいだろう。悪夢をどうにかする方法はない……訳でもないな。試す価値はあるぐらいのものだが。

 

 

「原因が夢なら、何とかなる?のかは分からないですけど。まあやってみる価値がある事にはあります。リスクも別にないので、ひとまず試してみますか?」

 

「ぜひお願いします」

 

 

 了承を得たので準備に係る。今回使うのは効果そのまま、夢を見なくするお呪いである。悪夢を見てしまうならば、夢自体を見なくすればいいじゃない。悪夢の方を何とかするのは難易度がちょっと……。

 

 元々は、遥か昔に夢魔の被害に遭っていた、とある村で伝わっていたものだ。村が廃れ、失われかけていたものを自分が再編したものである。用途が些か限定的過ぎること、そもそも悪夢に困る事自体が滅多に無いことから、習得者はコレクターか、奇人変人の類。効果を絞っている分、それに見合った成果が期待できる。

 

 

 

 

 

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「どこか懐かしさを感じる穏やかな曲調です。儀式に歌謡は付き物ですが、横笛の演奏と言うのはこの辺りでは中々お目にかかれないので新鮮ですね」

 

「久々だったので、上手くいってよかったです」

 

 

 実際、夢を見なくするという結果だけを考慮するなら、選択肢は結構ある。例えば、デメリットを考えない方法なら、そもそも寝られない様にするとか。今回に関しては、状況が特殊なため、俺はこれ以外の方法を知らなかったが。

 

 何故笛を吹いただけで、夢を見なくなるかって?私にも分からん。それは使っている俺の方が聞きたい。世の中にはオカリナを吹くだけで嵐を巻き起こしたり、ワープしたりする奴もいるから不思議ではない。

 

 今できる事はこれ以上ないので、帰らせてもらうことにした。結果は後日、もしくは継続的に通うことになるだろう。外も暗いので泊まりの提案をされたが、丁重にお断りさせていただいた。だって、貴女怖いし……

 

 

 

 





お泊まりイベント?無事に回避しました。

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