曇り時々銃弾、所により爆弾   作:Aベル

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 どこで話を切るか、ホルモンを飲み込むタイミング並みに悩みましたが無事解決。



6.そう言えば君達勉強してなくない?

 

 

 

 屋上に行ったら、何故か成り行きで保健室に急病者を送り届ける事になった今日この頃。

 

 実はトリニティの保健室では、我々にとっては有り得ない点が一つある。それは、保健室が救護騎士団と呼ばれる部活動によって、取り仕切られている事だ。実質的に、保健委員が養護教諭を兼任しているようなものだろう。この特性はトリニティだけなのかもしれないが。

 

 生徒が実施するからと言って、決してその医療技術に不足がある訳ではない。寧ろその腕前は学生の範疇を遥かに超えていると言える。その原因は、偏にキヴォトスの治安が関係していると予想できる。要するに、豊富な実践経験の賜物である。何なら普通に注射や採血も、生徒同士で日常的に行っているみたいだ。注射って医者とか看護師とかの資格持ちでないと駄目だったような気がするが、暴力どころか銃撃戦や強盗が頻発する世界では瑣末な事である。

 

 

 

「ご協力ありがとうございます。いつも応急処置が的確で、本当に助かります」

 

「ハッ!?すごいこと思いついちゃいました!トマリさんを監視すれば、具合の悪い患者さんにすぐに会えるのでは!?」

 

「確かに……」

 

「いや、そのりくつはおかしい」

 

 

 そうはならんやろ。一理も無いわ。原因が向こうからやってくるような治安だぞ?そんな無意味な事する必要はない。別に俺の周りを見張らなくとも、怪我人なんてその辺に転がっているんじゃないか?いつの間にか復活しているパターンも多い気がするけど。必要なのは精神的なケアと倫理観の再教育だと思う。

 

 

「確かにそうかもしれません!」

 

「うーん……でもトマリさんですし…」

 

 

 懇切丁寧に説明して、ハナエさんの方は素直に納得していたが、セリナさんからは未だに若干の疑いの目を向けられている。俺何か悪いことしてたっけ?何処に出しても恥ずかしくない善性の持ち主だと言うのに。

 

 

 

「そう言う所が理由だと思いますけど……まあその話は置いておくとして、トマリさんはどこで応急処置の技術を身につけたのですか?よければ参考にさせてもらいたいなと思って」

 

「確かに処置に迷いがないと言うか、手慣れていますよね!是非聞きたいです!何かコツとかありますか?」

 

「皆さんの方が上手だと思うけど……基本的な事だが、手当する時は周りをよく見るべきかも」

 

 

 二次災害は本当に怖い。修羅場で安全確認を疎かにすると、十中八九ミイラ取りがミイラになるのだ。戦闘になると、一般市民も衛生兵も関係なく襲われるから。人の心とか無いんか?やはりジュネーブ条約は偉大だった。どうかキヴォトスでも取り入れてくれ。

 

 

「なるほど、その通りですね。ただ、私達の場合はミネ団長がいますから…」

 

「団長は本当に頼りになる方なんです!戦場でもバッタバッタと殴り倒していって、患者さんの元へ一直線です!」

 

「何やってんだよ団長」

 

 

 あまりにも武闘派すぎる。銃社会で相手を己の身で殴り倒していくスタイル。いやでも確かに、急患なら時間は掛けられないし、この民度で説得なんて現実的では無いかもしれない。よくよく考えると実は合理的?かもしれない。周回して救護(物理)が最適解かもしれない世界。

 

 

 

「ただ、団長は今、行方不明で……どこに行ってしまったのでしょうか…?」

 

「団長に会いたいです…」

 

「…………」

 

 

 団長が思っていた以上に慕われていてビックリだ。いや、まあいい人であろう事は間違い無いけどさ。確かに生真面目で正義感に溢れた人物なんだけど。色々個性的過ぎるからあの人。

 

 口止めされているので団長の安否に関しては全く言うつもりは無いが、そう言われると何とも言えない気分になる。早く団長が救護騎士団に合流できるようになって欲しいものである。その頃には俺も解放されていることだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 積乱雲の発達した、頭痛がして来そうな天候。何も予定がなかったので、ふと思い立って先生の様子を見に行こうとしていたが、今日に限って生憎と言ったところである。このまま引き返そうか?……折角ここまで来たからにはと思い直し、風の噂で聞いていた補修授業部の合宿場へ。……やべっ、雨降ってきた。

 

 

 

 

 

「お邪魔しま…うおおぉっ!?」

 

 

 ドアを開いて二歩目で正面から矢が飛来。これを辛くも、しゃがみで回避。視界の端で一瞬捉えたロープの動きより、真上から何かが降って来ることを予測。それを咄嗟に横っ飛びで躱す。躱したところにくくり罠が見えたので、強引に体を捻って着地点をずらす。当面の危機は去った……ように見せかけて、傍にひっそり仕掛けられているワイヤートラップに、身体を引っかからない様に態勢を立て直す。どんなトラップが来るか分からないので、身を守る為の準備をしておく。

 

 合宿会場であろう建物の扉をノックしたが、返事もなく、鍵も施錠されていなかったので入った。ただそれだけでこの仕打ちである。何だこれ、殺る気満々かよ。その熱意をどうか勉学に向けてくれ。誰だよ仕掛けた奴。罠の配置からして、相当手慣れてやがる。

 

 

「チッ……今回は自信作だったんだけど、避けられたか」

 

「惜しい!」

 

「またやったのアズサちゃん!!??」

 

「とりあえずこのアホ教師は締めます」

 

「なんでっ!?痛たたっ!?」

 

 

 小声で言ったら、バレないと思ったのかこの野郎。ミレニアムの母直伝(※実際に食らったの意)チョークスリーパーの刑に処す。俺は本家と違って、意識が飛ぶ前に放すから優しい方だぞ。微妙に窶れていた様に見えたからって、折角人が心配して様子を見に来たのに。普通に元気じゃないか貴様。

 

 

 

 

 

「うぅ……か弱い私にこんなことしてくるのはトマリだけだよ……」

 

「流石、魅力以外ステータス1のマスコット枠。弱さの格が違いますね」

 

「それ結構な悪口だからね!?アリスにも言われたけど!?」

 

 

 アリスさんはまあ、節々に子生意気さと言うか、平たく言えばガキンチョっぽいところがあるから。活動範囲も広く、ミレニアム内の色々な場所でエンカウントする。遭遇する度に、邂逅イベント「野生のアリスがあらわれた!」が始まるのだ。アリスさんがそっち側なのな。因みに、「仲間にしない」を選ぶと同じ質問がループする素敵仕様。

 

 

 

 

「素晴らしい回避技術だった。良ければどのように訓練したか教えてほしい」

 

「実戦あるのみ……あ、これ手土産です。それではさようなら」

 

「雨も降ってるし、もうちょっとゆっくりしていきなよ」

 

「それはちょっと……あ」

 

「あら、誰かと思えばトマリさんではありませんか?よければ一緒に水着パーティーを」

 

「うぁぁぁ……へ、変態が部屋を練り歩いてる!?」

 

 

 

 お、お前は…何時ぞやに出会っちまった、公共の場で脱いでる露出狂じゃないか!?全員が部屋でスクール水着というアホみたいな状況の原因は貴様だったのか。

 

 

 

「先生はともかく、ヒフミさんも流されたのか。嫌なことは嫌とハッキリ言うべき」

 

「え、えっと……少し誤解があるような気が……」

 

「何気になく私を悪く言うのやめてくれる?」

 

「望んで水着でいるってマジ?……少し離れてもらえますか阿慈谷さん」

 

「それも誤解です!?他人行儀な呼び方にならないで!?」

 

 

 

 

 

 

 現在の摩訶不思議な状態について、先生から説明してもらった。洗濯中に雨に降られて服が全滅して、更に停電が発生したせいで乾かすこともままならないのだとか。そんな事あるか?

 

 

「と言う訳で、こちらで温かいものでも飲みましょうか。ホットミルクと紅茶を用意したので、よければどうぞ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「感謝する」

 

「お茶菓子も持ってきた物があるので、それを出しましょう」

 

「わ、手際がいいね」

 

「……あれ?何かおかしいような……」

 

「ふふっ、コハルちゃん。わかりますよ。男の子からもらう白い液体なんて、ちょっと興奮しt「エッチなのはダメ!死刑!!」

 

 

 大人しくしていた子が急に顔を真っ赤にして死刑とか言い始めたぞ。対するデカい方の淫乱ピンクは、動じた気配は一切見られない。これはピンクの方が一枚上手か。伊達に変態していない。

 

 

「いいぞー、やっちまえー!お前の実力を見せてやれー!」

 

「トマリも煽らない。余計話が拗れるでしょ」

 

「あはは……こ、こう言うときは何か楽しいお話でもしましょう!」

 

「それがいいね!そうしよう!」

 

 

 

 

 

 

 

「……と言う訳で、勇者と戦士の二人は結ばれたらしいです」

 

「めでたしめでたし、だね」

 

「素敵なお話でした!」

 

 

 世界を股に掛ける旅路の末に二人が結ばれる話である。恋愛話は女子受けがいいので、考えるのが面倒k……それっぽい話題を選んだ。案の定、大層食いつきがよろしかった。

 

 

「大変興味深いお話でした♡ところで、一つ質問してもよろしいですか♡」

 

「駄目です。この話は終了です」

 

 

 絶対余計なこと言うつもりだろ。多分君以外、皆気付いていないのだから、質問は受け付けません。こっちはこのまま綺麗に話を終わらせたいんだよ。世の中には知らない方がいいこともある。

 

 

 

「うふふ……困難を乗り越えて結ばれる。ロマンティックですね♡その困難は…」

 

「おっと、それ以上いけない」

 

「な、何なのよ……ハナコの言おうとしてることは」

 

「その困難とはズバリ、性別の壁のことですね♡まあ種族の可能性も0ではありませんが、このお話の場合は、性別と見て間違いないでしょう♡」

 

「そうだったのか!?」

 

「なんでアンタが驚くのよ!?」

 

 

 浦和フラワーさんが言った事は事実である。勇者と戦士、つまり好青年とダンディーおじさんの冒険ラブロマンスという訳である。腐海の民、大歓喜。なお、この話の裏で聖女ちゃんが勇者に、魔女が戦士に振られています。お労しや。

 

 困難の大半は、性別の壁から来る政治と宗教のあれこれである。基本的に人の命が軽い世界だった影響なのか、産めよ殖えよの教えが広く浸透していた。自由恋愛の現代とは価値観が全く異なるので、男同士で結ばれるのは世論的にもアウトだったのである。民衆を誤魔化すために、政治家共は東奔西走したらしい。ざまあみろ。

 

 最終的に、性別反転を女神に頼み込んで無理矢理解決した。奇跡を起こして性別を変えて欲しいと頼まれたのは初体験だったらしい。ちなみに奇跡を起こすために、振られた二人も協力させられています。国どころか、世界の一大事だから仕方ないと言えば仕方ないのだが……もう少しこう、何というか手心というか…

 

 それにしても、上手に誤魔化せたと思ったのにしっかり言い当ててくるとは。侮り難し。さっきのリアクションから、恐らく先生も気付いていなかっただろうに。

 

 

 

 

「もっと他の話はなかったワケ!?」

 

「後の残りは傷心病み落ち聖女か、婚期を逃した行き遅れ魔女を加えた4人が、魔王討伐パーティーですし……」

 

「それはそれで聞いてみたいお話ですね」

 

「なぜトマリの話はトンチンカンなものばかりなんだろうね……」

 

「あはは……そんなの本人がトンチンカンだからじゃないですかね?」

 

「ヒフミがここまで辛辣な事を言うのは珍しい」

 

 

 頓珍漢なのは俺じゃないやい。

 

 





 3周年ガチャは団長が来ました。書けば出るは本当だった?

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