曇り時々銃弾、所により爆弾   作:Aベル

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 シリアス寄りになった気がします



7.ティーパーティー(真夜中)

 

 

 

「あー……眠い…」

 

 

 仕事だから文句を垂れても仕方ないが、真夜中に急に呼び出されるのは普通にしんどい。曰く、トリニティの自治区内にて騒動が起きたのだとか。詳細はまだよく分かっていないが、念には念を入れてお呼びが掛かったらしい。テロや爆撃が日常茶飯事ではあるが、エデン条約の関係でピリピリしているこの時期に慎重になるのは、まあ妥当な判断だろうとは思う。

 

 ここ最近ですっかり見慣れた景色を走り抜け、指定された部屋の前に到着する。最近は学園内で迷子になる事も大方なくなった。見張り番の子に経緯を説明すると、既に話が通っているのか、特に不審がられる事なく部屋に入れて貰えた。今回は呼び出しから大した時間が掛かってないからセーフ。

 

 

 

「想定より早い到着ですね。よく来てくださいました、トマリさん」

 

「仕事ですからね。それに、いつも良くして貰ってますから」

 

 

 仕事内容はともかく、お嬢様学校だからか報酬が良いのが非常に有り難い。さらに言えば、ナギサさんは仕事と関係ないところで、よくお菓子を振る舞ってくれるし。……餌付けされてる?それはまあうん、否定はできない。

 

 今回も真夜中の緊急事態だと言うのに、しっかりお茶の用意がされていた。実は余裕があるな?

 

 

「今回の騒動は、ゲヘナ学園のテロ集団である『美食研究会』がトリニティのアクアリウムに襲撃したようです。相手の規模や目的、素行から推測すると、政治的な意図はないかと思われますが、何分現在は時期が時期ですので。最大限、警戒をしておくに越したことはありません。既に正義実現委員会には連絡済みですし、鎮圧するのも時間の問題でしょう」

 

「アクアリウムに美食研究会?展示品でも食べるつもりなのか?」

 

「ええ、その通りです。美食研究会の目標は、現在展示中の希少種である『ゴールドマグロ』の強奪とのことです」

 

「何だそれ」

 

 

 来たら既に対応済みだった。ゴールドマグロ……名前からしてあまり美味くはなさそうだが、珍味か何かか?美食研究会って名前なのにナチュラルにテロ組織扱いされてるのがキヴォトスクオリティ。普段はどんな活動をしているか知らないが、まあテロ組織だから碌な事をしていないのだろう。

 

 その後、それ程時間も経たずして、メンバー5人の身柄を確保したという報告が上がった。事後処理については、現場のトップに一任するとの事。因みに何故か先生と補習授業部も現場に居たそうな。しかも、テロ集団の鎮圧に割と貢献したとか。それはまあ良かったけど、一体何故そこに?

 

 

「夜も更けてきましたし、そろそろお開きってことで」

 

「……お茶菓子も残っていますし、もう少しお話しませんか?」

 

「俺は別に問題ないけど、ナギサさんの方は大丈夫?」

 

 

 今は優雅に茶をしばいているが、雇われ下っ端の俺と違ってトリニティのトップとして、多忙な身の上である。抱える仕事が多過ぎて、頭まで抱えている場面をチラホラ見掛ける。後、普通に眠いから帰りたい。

 

 

「ええ、ご心配ありがとうございます。今のところ、問題ありませんので。それよりも、こちらのティラミスをどうぞ。このティラミスは由緒正しい……」

 

 

 最終的に夜のお茶会は、お付きの人が呼びに来るまで続いた。ナギサさんは楽しそう…いや楽しそうかこれ?日頃のストレスが溜まりに溜まっているだろうから、愚痴りたいのだろう。話し振りから明らかに、ストレスフルな生活を送っている事には疑いの余地は無い。立場的に俺は、部外者な上に無所属だから何かと都合がいいのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……であるからして…………れない」

 

「…るほど、そ…………す」

 

「……………………」

 

「ぐえっ、起きるから揺すらないでください」

 

 

 結構な力で身体を揺さぶられて目を覚ましたがやはり辛い。真夜中のお茶会の後、帰る時間もなかったので、そのまま団長達のいるセーフハウスに来て、またお茶会が始まった。お菓子食べられるから俺としては良いんだが、トリニティ生、お茶会好きすぎないか?

 

 ここにはセイアさんの経過観察を兼ねて、定期的に来るような手筈になっている。それなりに遠いところだから割と不便。しかも来る時には、人目を避ける必要があるのもネックだ。まあ療養中の筈のティーパーティーのトップと失踪中の救護騎士団の団長がいると言うトップシークレット情報なので、必要な処置だとは理解している。セイアさんに関しては、普段は寝ていることが多いのだが、今回は珍しく起きていた。これまでに覗た予知夢を元にした今後の方針は、一応決まったらしい。

 

 

 

「全く、いかに睡眠時間が足りなかったとしても、真面目な話をしているときぐらい起きていてほしいものだ。私もまだ本調子ではないのだから、起きているときの方が少ない程だと言うのに」

 

「話し方が小難しいから、余計に眠くなるんですよ」

 

 

 その上話も長いし。聡明なんだろうけど、アンタの譬え話、抽象的過ぎて分かりづらいんだよ!頭が良いなら、分かりやすく説明してくれ。

 

 

「おや、如何に異界の術を操るトマリの頭脳と言えども、私の話は分かりにくかったかい?誰でも理解できるように、説明したつもりだったのだけど」

 

「生意気言ってんじゃねーよチビフォックス。囀るのはシマエナガ君だけで十分なんだよ」

 

 

 そしてこの小狐、中々に口が悪い。俺とはほぼ初対面みたいなものなのに、平気な顔して煽りよる。そんな事ばかりしてるから、襲撃事件が起きたのだろうとは思っている。

 

 

「どうやらトマリさんには救護が必要みたいですね」

 

「救護と言うか、休眠では?」

 

「それもまた救護でしょう」

 

 

 間違ってはいないのか?言うや否や立ち上がった団長に腕を掴まれる。団長からは、すぐに逃げると思われているのか、事ある毎に捕まっている。初手の対応を完全にミスった結果がこれだよ。そして確かに有効な手だよ畜生。

 

 

 

 

 

「ところで、どこへ連れてかれると言うのです?」

 

「当然、仮眠用のベッドです。普段は私が使っていますが、衛生面は問題ありませんのでご安心ください」

 

「正気か?」

 

 

 精神衛生面の方が大丈夫じゃないです。寧ろ何も安心する要素がねーよ。心配する部分が致命的にズレてやがる。

 

 

「同衾は流石にライン越えでは?」

 

「監視ついでに仮眠を取ろうかと」

 

「狂気の沙汰でしかないんだが?」

 

 

 救護と自身の休憩を同時にできるため、効率的だとか。本気で言ってるのか?普段からトチ狂ってるから、これで正気なのだろう。余計に駄目だった。命の危機から、どうにか逃れようとするが……駄目っ……!拘束が強すぎて全然逃げられる気がしない。いい加減離してくれてもよろしいのでは?と口を開いたが、団長は既に夢の世界に旅立った後だった。嘘だろ団長?

 

 くそっ、こんな危険地帯に居られるか!俺は部屋にもd…待て待て力を入れるな息が苦しい!……あっ意識が

 

 

 





敗因:窒息

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